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1957〜1987年あたりの本格ミステリ作家達

1 :名無しのオプ:2006/03/24(金) 04:02:25 ID:CkkE1NKm
清張以降綾辻以前の本格ミステリは、泡坂・島田・笠井・連城・東野・岡嶋などといった一部を除いて絶版が多い。
また、名前は知られていても本格ミステリ作家としての認知度が低い作家も多い(笹沢・西村・森村等)。

この時期に活躍した本格ミステリ作家達のうち専用スレがない作家達の傑作・駄作を紹介して下さい。
(要するに「ミステリーズ」でやってた「本格ミステリフラッシュバック」のようなものです)

2 ::2006/03/24(金) 04:18:26 ID:CkkE1NKm
最近、俺が読んだもの。

大谷羊太郎『生れ変った男』
主人公が犯人で被害者で探偵役、という都筑道夫がやったパターンを踏襲。
実験精神は好きだが、真相の意外性があまりなかった。
笹沢左保『どんでん返し』
会話だけで構成された短編小説集。キチンと会話形式である必然性があって良い。
石沢英太郎『カーラリー殺人事件』
メタな構成や派手なトリックがなくても、充分楽しい本格になるんだと感心。
井沢元彦『欲の無い犯罪者』
井沢の第一短編集。この人には珍し歴史は絡まない普通のミステリ。
どんでん返しが楽しめたけれど、本格としてみた場合は駄作なのかも。

3 :名無しのオプ:2006/03/24(金) 10:21:39 ID:FHORqB5c
高木、鮎川、土屋、仁木、都筑、森村、山村美紗、西村、泡坂、連城などの有名どころ、
乱歩賞受賞作などの有名作品を除けば、以下が当時の本格ミステリの傑作・佳作だと思う
(だいたい年代順)。

島田一男「去来氏曰く」
笹沢左保「霧に溶ける」「求婚の密室」他多数
佐野洋「賭の季節」
陳舜臣「方壺園」「長安日記」他多数
蒼社廉三「戦艦金剛」
結城昌治「魚たちと眠れ」
海渡英祐「影の座標」「白夜の密室」他多数
斉藤栄「真夜中の意匠」
大谷羊太郎「殺人航路」「レコーディング殺人」
藤村正太「特命社員殺人事件」
笠原卓「ゼロのある死角」
山村正夫「裂けた背景」
草野唯雄「影の斜坑」「瀬戸内海殺人事件」
日下圭介「鶯を呼ぶ少年」「花の復讐」
小林久三「暗黒告知」
高柳芳夫「『禿鷹城』の惨劇」
伴野朗「香港から来た男」「殺意の複合」
梶龍雄「海を見ないで陸を見よう」「ぼくの好色天使たち」「リア王密室に死す」他多数
本岡類「白い森の幽霊殺人」

上記の中でも、特に海渡と梶は復権してほしい。

4 :名無しのオプ:2006/03/25(土) 02:30:26 ID:dsGArr7u
>>3
すげー。
相当読み込んでる方みたいですね(ひょっとして日下さん?)
>蒼社廉三「戦艦金剛」
↑これなんか名前すら知らなかったよ。
古本屋行くのが楽しみになりそうです(勿論復刊本も買うけどw)。

とりあえず、積んどく状態だった「瀬戸内海殺人事件」を読んでみます。

5 :名無しのオプ:2006/03/25(土) 03:14:26 ID:igMSaMfv
中町・辻のトラミスのお薦めない?

6 :名無しのオプ:2006/03/25(土) 06:27:40 ID:pQ8PwZQ2
これは凄い良スレだ!
しかし海外専門の俺には手が出ないなw

>>3のせいでいきなりハードル上がったwww

7 :名無しのオプ:2006/03/25(土) 18:12:23 ID:KzG9LN7I
平石貴樹がいいな。作品数は圧倒的に少ないが…
「ポオ」と「笑ってジグソー」だけで十分名を残すに値する。

8 :名無しのオプ:2006/03/26(日) 14:12:32 ID:nvIdbkCp
良スレage

9 :3:2006/03/27(月) 11:15:44 ID:q/TKy6nH
>日下さん?
いえいえ、そんな偉いヒトではないです。
一時期、「新本格は嫌い、でも国産の本格ミステリを読みたい!」と思い、中島河太郎「ミステリ・ハンドブック」の
「推理小説事典」、九鬼紫郎「推理小説入門(?)」の作家紹介、渡辺剣次「ミステリ・カクテル」などで調べて、
色々読み続けただけです。
そう言えば、
>小林久三「暗黒告知」
これはれっきとした乱歩賞受賞作でしたorz
でもこの作家、これ以外には本格ミステリと言えるものはないようだから・・・。
なお、
>草野唯雄「瀬戸内海殺人事件」
>伴野朗「香港から来た男」
は、俺は「本格ミステリ」と認識していますが、現代の基準では微妙かも。特に前者は、バカミスに近いものが・・・。
でも色々な意味で面白さは保証します。あと、
>蒼社廉三「戦艦金剛」
これは戦記物で、海戦の最中に「砲塔内の密室殺人」が起こるという凄い代物。トリック自体は良くあるパターンですが、
シチュエーションが非常に特異で印象的。探偵役が軍の士官で、古処誠二の自衛隊ミステリの先駆といった感じです。
俺は、掲載の旧「宝石」誌を見つけて読みました。別に徳間書店版の単行本があるらしいですが、良く知りません。


10 :名無しのオプ:2006/03/27(月) 17:03:49 ID:LZQgo5qU
>>9
神ですね・・・
海外の黄金時代本格は資料も揃ってるし、読んでる人も多いけど、国内ってのは意外と盲点。
今後もどしどし書き込んでください

11 :3:2006/03/27(月) 18:21:31 ID:q/TKy6nH
サンクスです。
でも、>>3で挙げている中でも、「他多数」とある作家の作品は20〜30作ほど
読んでいますが、それ以外は大したことないです。それ1作しか読んでない、
という作家もいますし・・・。orz
因みに、昨日読んだのは、
本岡類「青い森の竜伝説殺人」(角川ノベルス)
先に紹介した「白い森の幽霊殺人」から続くシリーズ物で、信州のペンションの
オーナーが探偵役。
湖に突っ込んだ車が消失した謎、麻雀牌を使ったダイイング・メッセージ、さり気
ない伏線、意外な真犯人など、確かに「本格派」ではありますが、やはり、1980年代
の風俗的な描写が今となってはイタいものだし、細かい矛盾などもあり「白い森・・・」
には劣りました。
因みに昭和62年3月刊で「十角館の殺人」の半年前の作品。「新本格登場直前」の本格
ミステリの状況を知る上では良いかも知れません。

あと、ダークホース的な作品を紹介しておくと、
角田喜久雄「影丸極道帖」(上下巻・春陽文庫)
戦前からの老大家の、確か昭和40年頃の最晩年の作品。
今も春陽文庫で現役だと思います。単なる時代小説と思われているようで、実際、序盤
から中盤まで、とても「本格派」とは言い難いのですが、終盤の謎解きの論理展開、
特に謎の盗賊「影丸」の意外極まる正体、奉行所の書類すり替えトリックなど、十分
「本格派」であると思います。探偵役の与力が、謎を追って東海道の宿場町を捜査して
回る部分など、鮎川哲也の鬼貫警部かと思いましたw

12 :名無しのオプ:2006/03/28(火) 00:49:18 ID:1wqfW4Zm
スゴい人が降臨したもんですなぁ。
>角田喜久雄「影丸極道帖」(上下巻・春陽文庫)
これなど、ここで紹介されてなかったら絶対に気にもとめなかっただろうなぁ。

ちょっと↓はスレの趣旨からずれますが、枯れ木も山のにぎわいということでw

横田順弥「奇想天外殺人事件」(講談社文庫)
一応事件は起こるけれど、解決はトンデモ。
本格どころかミステリですらなく、ナンセンス小説。
ただ、オチの脱力感が蘇部健一や津島誠司の短編と似た感じがしたのでここにとりあげてみました。
ちなみに84年刊行で、作者唯一のミステリだそうです。

次は深谷忠記の第1・2作を収めた『偏差値・内申書殺人事件』を読んでみます(本格なのかな?コレ)。


13 :名無しのオプ:2006/03/29(水) 01:33:01 ID:Ixujg9f/
本格ミステリフラッシュバック紹介作品

@笹沢左保(招かれざる客・霧に溶ける・空白の起点・真夜中の詩人・求婚の密室・どん
でん返し)
梶龍雄(龍神池の小さな死体・リア王密室に死す・奥鬼怒密室村の惨劇・紅い蛾は死の予告)
A陳舜臣(枯草の根・三色の家・方壺園・黒いヒマラヤ・炎に絵を・孔雀の道)
多岐川恭(落ちる・静かな教授・異郷の帆・変人島風物誌)
B草野唯雄(瀬戸内海殺人事件・女相続人・山口線“貴婦人号”・蔵王山荘連続殺人事件)
中町信(新人文学賞殺人事件・自動車教習所殺人事件・高校野球殺人事件・散歩する死者)
C大谷羊太郎(死を運ぶギター・真夜中の殺意・複合誘拐・悪人は三度死ぬ)
山村美紗(花の棺・黒の環状線・死体はクーラーが好き・京都の祭に人が死ぬ)
D赤川次郎(マリオネットの罠・幽霊列車・三毛猫ホームズの推理・死者は空中を歩く・
幽霊から愛をこめて・招かれた女)
飛鳥高(犯罪の場・疑惑の夜・死にぞこない)
伴野朗(五十万年の死角・殺意の複合・三十三時間)
E松本清張(点と線・ゼロの焦点・黒い画集・時間の習俗・火神被殺・ガラスの城)
小峰元(アルキメデスは手を汚さない・ピタゴラス豆畑に死す・イソップの首に鈴をつけろ)
長井彬(原子炉の蟹・殺人オンライン・北アルプス殺人組曲)


14 :名無しのオプ:2006/03/29(水) 01:33:44 ID:Ixujg9f/
F夏樹静子(黒白の旅路・蒸発・77便に何が起きたか・第三の女・Wの悲劇・訃報は午後二時に届く)
佐々木丸美(崖の館・水に描かれた館・罪灯)
G岡島二人(焦茶色のパステル・あした天気にしておくれ・開けっぱなしの密室・チョコレートゲーム・なんでも屋大蔵でございます・そして扉が閉ざされた)
楠田匡介(狙われた顔・脱獄囚・密室殺人)
本岡類(白い森の幽霊殺人・飛び鐘伝説殺人事件・桜島一〇〇〇キロ殺人航路)
H辻真先(仮題中学殺人事件・盗作高校殺人事件・紺碧は殺しの色・アリスの国の殺人・ローカル線に紅い血が散る・天使の殺人)
高柳芳夫(『禿鷹城』の惨劇・「ラインの薔薇城」殺人事件・維納の森殺人事件)
深谷忠記(0・096逆転の殺人・殺人ウイルスを追え・房総武蔵野殺人ライン)
I仁木悦子(猫は知っていた・殺人配線図・二つの陰画・冷えきった街・赤い猫・灯らない窓)
戸板康二(グリーン車の子供・浪子のハンカチ・第三の演出者)
鷲尾三郎(死臭の家・悪魔の函・呪縛の沼)
J西村京太郎(名探偵なんか怖くない・殺しの双曲線・消えたタンカー・おれたちはブルースしか歌わない・七人の証人・終着駅殺人事件)
小泉喜美子(弁護側の証人・またたかない星・死だけが私の贈り物)
笠原卓(ゼロのある死角・詐欺師の饗宴・殺意の葬列)


15 :名無しのオプ:2006/03/29(水) 01:56:30 ID:9fqDsJ8J
この時代にしてはってのも割とあるからな
今読んで面白いかは微妙
英国の古典本格なんかと違ってあまり伏線貼るの得意じゃないからね
新本格以前の国内本格作家は

16 :名無しのオプ:2006/03/29(水) 03:38:03 ID:Ixujg9f/
辻真先の『天使の殺人』は今読んでも凄いと思う。
創元推理文庫版には戯曲版も収められていてお得。

ところで、辻真先の戯曲作品をまとめて単行本化してくれる出版社はないかなぁ(あるわけないかorz)
どんでん返しの数が半端じゃない作品があるらしい

17 :3:2006/03/29(水) 11:52:40 ID:bDjzJRvz
では、>>13-14で紹介されていない秀作・傑作・珍作を幾つか紹介しておきますね。

笹沢左保「孤独な彼らの恐ろしさ」「明日に別れの接吻を」「四月の危険な石」
一番目は或るミスディレクションが効いています。現代では見破られやすいかも知れませんが、
初めて読んだときは、すっかり騙されました。但しこれを見破れば、全く面白くないかも。
二番目は、物凄いアリバイトリックが使われています。今ではバカミスの類かも。俺は感心しま
したが。
三番目は・・・。たった200ページに、意外な犯人、密室トリック、隠し場所トリックを詰め込んだ
挙句、国際謀略物に発展し損ねて終了、というメチャクチャな怪作ですが、個人的に大好きなのでw

海渡英祐「突っ込んだ首」(自選傑作短編集)
お得意の歴史ミステリから密室物、アリバイ崩しにクローズド・サークル物、推理作家協会の余興の
犯人当てなど、バラエティに富んだ短編集。最高傑作はCC物の「告発の輪舞」。長編を支えられる
アイディアを思い切って使っています。
他の短編集「閉塞回路」「仮面の告発」「死の国のアリス」もお勧め。

大谷羊太郎「殺人予告状」
1973年頃の長編。芸能界を舞台にした密室物。大谷版「密室講義」が出てくるのが楽しい。
肝心の密室トリックの出来は評価が分かれるかも知れませんが。


18 :3:2006/03/29(水) 11:55:00 ID:bDjzJRvz
連投スマソ

仁木悦子「枯葉色の街で」
彼女のベストはこれだと思います。詩人志望の貧しい青年、彼を慕う本屋の娘、
行き掛かり上預かることになった少女・・・。もはや死語になった「清貧」に
感じ入ります。もちろん謎解きの要素も十分にあり。

陳舜臣「割れる」「杭州菊花園」
本格ミステリとしての出来は「三色の家」がベストですが、名探偵・陶展文の
魅力に迫るなら「割れる」が一番。「杭州菊花園」は知られざる名短編集。但し、
本格ミステリのみではないので、「方壺園」「長安日記」には一歩譲りますが。

多岐川恭「13人の殺人者」
昭和40〜50年代の短編を集めたもの。鮎川ばりのアリバイ崩し「ショット」、
最後の一行でトリッキーな小道具を明かす「過去から来た男」、ドンデン返しが
連続する「逃亡者の宿」がベストか。
上記以外は本格ミステリでなく残念ですが、サスペンス物なども十分面白い。

草野唯雄「まぼろしの凶器」
短編集。若干の作品を除いて、本格物で固めています。密室トリックにアリバイ崩し、
金庫破りにチャスタートン風の大技まで色々。でもどれも通俗的で、昭和40、50年代の
古びた風俗とユーモアの空回りには、引きまくるどころか凍りつきます。

小林信彦「大統領の密使」
これは、作者自身が「ミステリマガジンを読んでいる、すれっからしの読者に一杯
食わせるために書いた」と言っているとおり、本格ミステリのパロディです。
バカミスというか、メタ・ミステリというか、何とも言えないラストが強烈。
SRの会が選んだ1973年のベスト1。

19 :名無しのオプ:2006/03/29(水) 17:20:03 ID:lT6MKnJH
良スレだね
阿井渉介を読もうと思うんだが、お勧め教えて

20 :名無しのオプ:2006/03/29(水) 18:18:44 ID:zne05Qdx
先日、高柳芳夫「『禿鷹城』の惨劇」を古本屋で100円で手に入れたんだけど
開いたらサインらしきものあった。

>>18
「密使」良いですよねぇ。「晩餐」も面白いとは思うんだが
密使に比べギャグが高尚すぎる感じで少しついていけなかった。

21 :名無しのオプ:2006/03/32(土) 00:05:58 ID:U/hzvO/H
3/32日記念

22 :名無しのオプ:2006/03/32(土) 00:07:19 ID:1/goQN5y
へ?

23 :名無しのオプ:2006/03/32(土) 00:51:40 ID:HkMFKxx1
ミステリ・プロパーじゃないけど広瀬正の「T型フォード殺人事件」なんかも
このスレでいいのかな?
メイントリックは某有名作のバリエーションです。

24 :名無しのオプ:2006/03/32(土) 15:50:33 ID:xncx5nTT
小泉喜美子も含まれる?
微妙に本格とは言いがたい部分もあるが(テイスト的にはサスペンスかしら
弁護側、ダイナマイト、血の季節は本格として評価していいと思う
「死だけがわたしの贈り物」はこの前買ったけど未読

25 :名無しのオプ:2006/03/32(土) 21:31:28 ID:e9BYC3ou
小泉喜美子が本格?
本人はかなり過激なアンチ本格派だぞ

26 :名無しのオプ:2006/04/02(日) 16:43:22 ID:vKG8FAtH
三つとも本格物じゃないだろ。
「このトリック(アイデア or シチュエーション)を評価する」と
「本格物として評価する」とは別だよ。

27 :名無しのオプ:2006/04/02(日) 19:53:13 ID:Ezo9PP9t
各人の本格論は横に置くとして、このスレで小泉喜美子が
スレ違いになってしまうのだとしたらそれはそれで納得しかねる。

28 :名無しのオプ:2006/04/02(日) 20:44:35 ID:jHjNM0Y4
本格論がどうこういうと容疑者Xに噛み付く某先生みたくなるからw
実際このスレは「本格ミステリフラッシュバックみたいなもの」を想定してるんだし
実際あの連載には取り上げられるてるし、いいと思うよ

個人的にはこの間読んだダイナマイト〜にも
何気ない描写の伏線が最後に結びついて解決?を導くところで
本格を感じたけど(作者がどう思って書いてるかは別にしてさ




29 :3:2006/04/03(月) 14:43:10 ID:TWZQOqaX
また、幾つか紹介しておきます。

三好徹「帰らざる夜」
1970年頃の長編。この作者の「本格ミステリ」には、清張の「新本格」に応じた
「閃光の遺産」があるが失敗作。一応、フーダニットに徹し、かなり意外な犯人
(飽くまで、当時としては)を設定した本作がベスト。
その他、社会派と見せかけて実は、という「光と影」もあるが、トリックがショボ
過ぎ。「消えた蜜月」も、現代の感覚では「本格ミステリ」とは言い難い。

山村正夫「落日の墓標」
1977年に出た、表題作ほか「逆行の賭」「負け犬」「孤独な意匠」「災厄への招待」
からなる短編集。八丈島を舞台にしたアリバイ崩しの表題作がベスト、「負け犬」の
新聞社に関する意外というか凄まじい動機も印象的。残りもアリバイ崩しなどトリッ
クに凝ってますが、やはり通俗的で古びてしまっています。

皆川博子「妖かし蔵殺人事件」「知床岬殺人事件」
いずれも1985年前後の長編で、余計な付加価値のないストレートな「本格ミステリ」。
前者では歌舞伎界を舞台にしたユニークなトリックが光り、後者では、機械的ながら
も印象に残るアリバイ工作が使われている。他に「相馬野馬追い殺人事件」も読み
ましたが、これは駄作。

笹沢左保「盗作の風景」「遥かなり、わが愛を」
前者は1960年代、後者は1970年代の長編。いずれも、鮎川哲也とは全く異質な
アリバイ物。どちらも説明し辛いですが、前者は心理的なもの、後者は機械的(?)
なもの。
バカミス好きには、ごく初期の「揺れる視界」「結婚って何さ」もお勧め。
やはり笹沢左保は凄いの一言。個人的には、乱歩、横溝、清張に次ぐ巨匠は、鮎川でも
高木でもなく、この作家だと思います。


30 :3:2006/04/03(月) 14:44:52 ID:TWZQOqaX
連投スマソ
海渡英祐「おかしな死体ども」「ふざけた死体ども」
吉田茂なる「ドーヴァー警部」もどきの無能警部補を主人公にした連作集。
いずれも、ケーキに顔を突っ込んで死んだのは何故か、全裸で死んでるのは何故、
縫いぐるみを被って死んだのは何故、といったパターンで統一されており、恐らく、
都筑道夫の「キリオン・スレイ」「退職刑事」シリーズに呼応して書いたのでしょう
が、全く残念なことに、「ユーモア本格」にしたのが今となっては大失敗。ユーモア
は古び、下品な通俗性は鼻に付くはで、せっかくの素晴らしい謎の設定が、勿体ない
ことになっています。それを気にしなければ楽しめる怪シリーズ。

(番外)
島田一男「黒い花束」
1961年の長編。
登山中に事故死した女性。その呪いなのか、友人たちが次々と謎の消失を遂げる。或る者は
怪しい洋館で足跡だけを残して、また或る者はトンネルから、更には衆人環視のバンガロー
から、最上階のマンションから・・・・。
奇術師一家の古びた洋館、事故死した女性の幽霊、妖しい晩餐会、現場に残される黒い花束・・・、
と来れば、誰だって、J・D・カーかC・ロースンかN・ベロウかというバリバリのオカルト風
本格ミステリと思いますが、実は・・・・。
まあ、島田一男にこんな不可能犯罪物が書けるはずはない、とは最初から思ってましたけど。
バカミスを笑って済ませられる人だけにお勧め。

31 :名無しのオプ:2006/04/03(月) 16:36:23 ID:8vmJBkqI
>>3には1作しか入ってないけど、結城昌治には「ひげのある男たち」「長い長い眠り」「仲のいい死体」の
本格3部作(というか同じ刑事が出てくるっていうだけなんだけど)があるじゃないですか。
作家の知名度がハードボイルド寄りなので、その手の作品と勘違いされてる節もあるけど。

32 :3:2006/04/03(月) 17:52:31 ID:TWZQOqaX
>>31
はい、その3部作を紹介しないのは、「長い長い眠り」しか読んでないからですorz
俺も、決して広範に読んでる訳ではないのでご容赦を。

・・・では詰まらないので、別の紹介を。

海渡英祐「事件は場所を選ばない」
タイトルどおり、ホテル、トイレ、エレベーターなど、色々な場所で起きた事件を
テーマにした短編集。
巻頭作は「殺しもあるでよ」。・・・・・。
何ちゅうタイトルか。でもイタいタイトルとは裏腹に、広告代理店を舞台にした、
被害者以外に人の出入りがないエレベーター内で起きた密室殺人、伏線も上手いし、
ストーリーはともかく、プロット、トリックに本格派の粋を凝らした一編。
その他「禁断の時」「臭い仲」も不可能犯罪物の佳作。特に後者はアクロバティックな
トリックと意味深長なタイトルが印象に残る。
「悪霊の家」は、J・D・カーばりに、幽霊屋敷で起きる不可解な首吊り事件と殺人事件。
文中でもカーに触れていますが、怪奇的な雰囲気の中での密室トリックが見事。
その他「夏の終わり」「不可解な心中」「甘い罠」で全7編。やや通俗的なストーリーばかり
ですが、全編、最低限は、本格ミステリとしての筋を一本通しています。

33 :名無しのオプ:2006/04/03(月) 18:01:42 ID:BluqaVZp
>「殺しもあるでよ」
良いタイトルだと思ってしまうおれはイタイのだろうかw

34 :名無しのオプ:2006/04/04(火) 00:58:33 ID:Qe5cNPOc
和久峻三を読もうと思うのが、「仮面法廷」「雨月荘殺人事件」以外で
これは読んどけって作品ある?

35 :名無しのオプ:2006/04/17(月) 12:46:24 ID:Qjkf85g6
age

36 :名無しのオプ:2006/04/18(火) 12:01:02 ID:jmn8r0Rv
あんまり伸びていないなあ。
取りあえず紹介。

斉藤栄「黒部ルート殺人旅行」(徳間文庫)
1972年の長編。
黒部ルートに関する或る意外な事実(今もそうかは知らないが)と、富士山に関する
或る知識がアリバイ工作のミソになっているところが、まあユニーク。
探偵である検事の行動が唐突であったり、根拠も無く推理を広げてゆく点、被害者の
妻の行動がその後説明されない点などが気になるが、まあまあの佳作かと。
感心したのは、小技ながら、車で事故死に見せかける話。どうしたって死体の疑念に
目が行くところ、実は・・・、という点は面白いところ。

笹沢左保「誰もが信じられない」(徳間文庫)
1967年の長編。
現在進行形で起きている事件の犯人は直ぐに割ってしまっているが、過去の事件に
ついては、それなりに手の込んだ真相を用意。でも、これで「本格ミステリ」と
呼ぶのは少々辛いか。まあクリスティ中期から後期にある「回想の殺人」テーマと
考えれば良いかなと。
あと文庫版解説は、あの笠井潔。1981年執筆とのことで、デビューして1、2年頃
か、青臭くて何の変哲もない月並みな評論が笑える。

37 :名無しのオプ:2006/04/18(火) 12:21:41 ID:Sq7qHvMd
ブクオフにて参考にさせてもらってます
ただランク付けしてもらえるとありがたいかな

38 :名無しのオプ:2006/04/18(火) 16:03:47 ID:jmn8r0Rv
了解。五つ星満点で星幾つとか、100点満点で何点、とかいうことね。
例えばこんな風?

アンソロジー「ホシは誰だ?」(文春文庫)★★★★
1980年刊。「犯人あて推理アンソロジー」の副題どおり、文春「漫画讀本」掲載の犯人当て短編の集成だが、
収録作家が凄い。このスレのために編集されたような面々。
鮎川哲也、三好徹、飛鳥高、佐野洋、高原弘吉、結城昌治、樹下太郎、島田一男、都筑道夫、笹沢左保、
土屋隆夫、菊村到、陳舜臣、筒井康隆、戸板康二、生島治郎、海渡英祐(全17名、掲載順)。
ああ、壮観。
全編20ページ足らずで、犯人当てのレベルを考えると、はっきり言って玉石混交だが、短い故に、
伏線の張り方やトリックなどに各作家の個性や持ち味が出ていると思う。
トップバッターは鮎川哲也「Nホテル六○六号室」。アリバイ工作とダイイング・メッセージを盛り
込んだ手際、構成など他作家とは違う緊密さがあり頭一つ抜けている。土屋隆夫「動機と機会」は
毒殺トリックに新趣向を示し、島田一男「執念の島」は南郷弁護士が登場。アリバイ工作に笹沢左保の
某初期長編に似た手法が使われている。トリを務める海渡英祐「ウマい発見」は競馬ミステリ。出馬表
に絡めたダイイング・メッセージ物。
歴史物としては、三好徹「王妃の首飾り」。フランス・ルイ王朝時代の殺人事件を扱っているが、捻りが
やや弱いのが難。
本書の最高傑作は、ユーモア物の樹下太郎「怪人ギラギロ現わる!」。女性の鼻毛を狙う怪人ギラギロが
温泉に侵入、5人の女性のうち誰の鼻毛を抜いたか?という当て物(!?)。フザケルな、と思ったら、
これがちゃんと論理的に解明されるから恐れ入る。陳舜臣「新・黄色の部屋」も、「あの陳舜臣が!?」と
驚くギャグ満載で、「猟人日記」の楽屋落ちは爆笑もの。
SF仕立てでは、筒井康隆「ケンタウルスの殺人」。論理構成は推理プロパー作家に負けていない。
また都筑道夫「夢の完全犯罪」も、「ロボット三原則」を逆手にとった密室トリックが冴えている。
その他の作品も、それなりに趣向を凝らしており飽きない。

39 :名無しのオプ:2006/04/18(火) 16:28:16 ID:Sq7qHvMd
うおおサンクス!
超読みてえ!!

出来ればこれまでのも採点頼みまする

40 :名無しのオプ:2006/04/18(火) 17:50:16 ID:jmn8r0Rv
では一番最初の>>3から紹介した全作ランク付け。

島田一男
「去来氏曰く」(別題・夜の指揮者)★★★★「黒い花束」(採点不能)
笹沢左保
「霧に溶ける」★★★★★「求婚の密室」★★★★「孤独な彼らの恐ろしさ」★★☆
「明日に別れの接吻を」★★★「四月の危険な石」★「盗作の風景」★★★☆
「遥かなり、わが愛を」★★★「誰もが信じられない」★★
佐野洋
「賭の季節」★★★☆
陳舜臣
「方壺園」★★★★★「長安日記」★★★★「割れる」★★★「杭州菊花園」★★★
蒼社廉三
「戦艦金剛」★★★★
結城昌治
「魚たちと眠れ」★★★☆
海渡英祐
「影の座標」★★★★★「白夜の密室」★★★★「突っ込んだ首」★★★★☆
「閉塞回路」★★★★「仮面の告発」★★★「死の国のアリス」★★☆
「おかしな死体ども」★☆「ふざけた死体ども」★☆
斉藤栄
「真夜中の意匠」★★★☆「黒部ルート殺人旅行」★★☆
大谷羊太郎
「殺人航路」★★★☆「レコーディング殺人」★★☆「殺人予告状」★★★
藤村正太
「特命社員殺人事件」★★★
笠原卓
「ゼロのある死角」★★★☆
山村正夫
「裂けた背景」★★★☆「落日の墓標」★★☆

41 :名無しのオプ:2006/04/18(火) 17:51:16 ID:jmn8r0Rv
(続き)
草野唯雄
「影の斜坑」★★★☆「瀬戸内海殺人事件」★★★「まぼろしの凶器」★☆
日下圭介
「鶯を呼ぶ少年」★★★★☆「花の復讐」★★★☆
小林久三
「暗黒告知」★★★
高柳芳夫
「『禿鷹城』の惨劇」★★★☆
伴野朗
「香港から来た男」★★★「殺意の複合」★★★☆
梶龍雄
「海を見ないで陸を見よう」★★★★★「ぼくの好色天使たち」★★★★
「リア王密室に死す」★★★★☆
本岡類
「白い森の幽霊殺人」★★★★「青い森の竜伝説殺人」★★☆
角田喜久雄
「影丸極道帖」★★★☆
仁木悦子
「枯葉色の街で」★★★☆
多岐川恭
「13人の殺人者」★★★
小林信彦
「大統領の密使」★★☆
三好徹
「帰らざる夜」★★★☆「光と影」★「消えた蜜月」★
皆川博子
「妖かし蔵殺人事件」★★★★「知床岬殺人事件」★★★「相馬野馬追い殺人事件」★

42 :名無しのオプ:2006/04/27(木) 14:35:10 ID:V9icm/Fr
笹沢の評価が甘い気がするから他のも不安だが読んでみるよ

43 :名無しのオプ:2006/04/27(木) 16:31:32 ID:ZFLBC1iM
>本岡類「白い森の幽霊殺人」
って新本格隆盛のころに何かに紹介されてるの見て読んだから、
同じ新本格グループの仲間かと思ってたよ。
それほど古臭さもなかったな。

44 :3:2006/04/27(木) 18:35:56 ID:7uFyh5It
久々にレスが付いたので、また幾つか紹介しときます。

大谷羊太郎「虚妄の残影」(徳間文庫)★★★☆
1972年刊。戦争中、将校から軍資金のダイヤモンドを託され、後年、社長となった
男が密室状態の部屋で毒殺される。その男が過去に犯したらしい強盗事件の被害者
の孫である主人公の芸能プロダクション社長が事件を追うが・・・。
密室トリックに相変わらずアイディアを凝らしており、なかなか秀逸、真犯人の設定
も先ず先ず。難点は複雑な人間関係が手際よく処理されていない点でしょうか。

大谷羊太郎「深夜の訪問者」(光文社文庫)★★★
1975年刊。バンドのボーヤをしている高垣。知り合いのルポライターが、高垣が
席を外した隙に密室状況の部屋から謎の転落死を遂げる。更には、ルポライターの
婚約者も名古屋のホテルから密室状況の中、謎の転落死を遂げた・・・。
芸能界を舞台にした典型的な大谷作品だが、やや冗長。連続3件の密室殺人が起こり、
第二、第三の心理的トリックの出来は悪いが、何気ないエピソードを伏線として、
心理的なトリックと機械的なトリックを組み合わせた第一の殺人が秀逸です。

佐野洋「秘密パーティ」(集英社文庫)★☆
1961年刊。さる料亭で開かれた議員連中の秘密パーティの席上、料亭の女将の妹が
謎の毒殺死を遂げる。議員達は事件をウヤムヤにして、同席していたホステス達にも
固く口止めをするが、やがて謎の脅迫文がメンバーのところへ届き始める・・・。
シンプルな構成と大胆不敵なトリックで、最後の数ページまでネタを割らせないよう
工夫されている点は流石ですが、飽くまで、当時としては「大胆不敵」なだけ。現代の
読者には直ぐに察しが付いてしまうでしょう。

45 :3:2006/04/27(木) 18:37:58 ID:7uFyh5It
連投スマソ

森村誠一「死の軌跡」(集英社文庫)★★☆
鉄道のアリバイ物4編で固めた短編集。
「剥がされた仮面」は甲府近郊で起きた殺人事件、列車の乗降に関するトリックが
意表を突いているが、フェアでないのが残念。
「殺意の接点」は更に意表を突いた大技のトリックというかバカミス。「こんなこと
出来るか!」と思いましたが、伏線は序盤から明示されており、その意味ではフェア
かも。
「浜名湖東方十五キロの地点」は、来日中のアメリカ政府高官の暗殺を企む話。絶対に
近づけない筈の走行中の新幹線に接近するためのトリックがありますが、これは現代で
は予想がつくでしょう。
「歪んだ空白」は長編「新幹線殺人事件」と似たシチュエーションながら、全く別の
真相が用意されており、まあまあの佳作です。

海渡英祐「美女が八人死体が七つ」(トクマノベルズ)★★★
1978年刊、司法試験の受験生を探偵役とした連作集。
第1話「密室のワンちゃん」は、飼い犬が誘拐され殺人事件の現場で発見される。被害
者は大の犬嫌いだったのに何故?・・・という話。先ず先ずの出来。
「ネコかぶりのネコ」は飼い猫の誘拐、毒殺が続いた挙句の殺人事件。クイーンの某短編
を思い出すが、もちろん別の意表を突いた真相を用意。本作がベストか。
「ピンク・パンティ2」「憎らしい絵本」は、いずれも下着泥棒、本の盗難、といった
小事件が、やがて殺人に発展し、最初の事件が意味する真相は?というもの。「その嘘
ほんと?」「ミセス放射能」も同工異曲。ラストの「お熱いのはダメ」は、新婚初夜に
ホテルのバスルームから失踪した花嫁が、別室で殺されていた、という事件。密室から
の失踪という「不可能犯罪」に拘泥せず、心理的な動機解明が面白いです。
全体として、重大犯罪とは無関係に思える珍妙な事件が、やがて殺人事件に発展、さて
冒頭の変な事件が意味していたのは?という流れで統一されています。やはり都筑道夫の
影響が大きいようです。

46 :名無しのオプ:2006/04/27(木) 22:31:19 ID:OtrLWh2Z
参考になります。感謝。

47 :名無しのオプ:2006/04/29(土) 13:47:15 ID:KWlkeIHq
>>38
ダメ元で検索したら、「ホシは誰だ?」が近所の図書館にあった。
今から借りてくる。

48 :名無しのオプ:2006/04/29(土) 14:55:50 ID:8gwZDqiH
『ホシは誰だ?』は島田一男の南郷弁護士シリーズの未収録短編を読むために買ったけど、
作者の個性が出ていて良質の犯人当てアンソロジーだと思う

49 :名無しのオプ:2006/04/29(土) 16:33:12 ID:2d/Pp/Bt
>>38
筒井康隆のだけ本人の短編集で読んだな。
論理的ではあるんだろうけど、正直解決編は謎の解明というよりもオチっぽかったな。

同じ犯人当てで、最近出たやつだけど収録作の発表時がこのスレに該当するのが、
「あなたが名探偵」(講談社文庫・もっと最近に出た同題の創元クライムクラブのほうじゃない)。
この中の1篇、仁木悦子の作品には実は図版が抜けていて、その内容のままだと解決できなくなっている。
仁木自身の作品集にはちゃんと図版つきで収められているのを確認するまで、
【メール欄】、それが常識で自分が知らないだけなのかとてっきり思い込んでいた。

50 :名無しのオプ:2006/04/30(日) 02:19:26 ID:FxauXqxm
>>41
梶龍雄だったら、「リア王密室に死す」もいいけど、個人的には
「若きウェルテルの怪死」もオススメ。旧制高校シリーズを復刊してくれないかな。

本岡類は、1980年代前半の赤川次郎ブームの頃、いろんな作家がノベルズでユーモアミステリーを出していた中で、
かなり本格物としても充実した作品を発表していた記憶がある。
その中では光文社から出ていた僧侶を主人公にしたシリーズがイチオシ。
「武蔵野0.82t殺人事件」(タイトルうろ覚え)は、鐘楼にぶら下がっていた巨大な鐘が
ある日突然飛んで人を踏みつぶした謎をから始まる連続殺人事件を追うという物。
個人的な考えだけど、新本格の作家よりも本格ミステリーのセンス、特にトリックのセンスは
はるかに上だと思う。

51 :名無しのオプ:2006/04/30(日) 12:54:08 ID:U8R8FWz9
>>50の補足。
本岡類の「武蔵野0.82t殺人事件」は、文庫化の際に「飛び鐘伝説殺人事件」に改題された。
僧侶シリーズの2作目(この作品で打ち切りだけど)は「斜め「首つりの木」殺人事件」(ノベルス時は「大雪山 牙と顎の殺人」)。
どちらも面白いので機会があったら読んでみてほしい。

52 :名無しのオプ:2006/04/30(日) 23:21:24 ID:Sfmo0qdB
本岡類は俺も好き。
ただ、ミステリー絶筆宣言しちゃったね。

53 :名無しのオプ:2006/04/30(日) 23:51:05 ID:bXOISz24
左右田謙(角田実)のおすすめってありますか?

54 :3:2006/05/01(月) 10:18:26 ID:/CMEK4f+
>>53
左右田謙は・・・・、以下の3長編&1短編しか読んでいませんが、全く評価できません。悪しからず。
「球魂の蹉跌−高校野球殺人事件」(春陽文庫)★
「一本の万年筆−県立D高校殺人事件」(同)☆
「狂人館の惨劇−大立目家の崩壊」(同)(採点不能)
短編「嫉妬」(別冊『宝石』−新鋭二十二人集(昭和27年6月)、角田實名義)★★

最初の3長編は、1980年代に春陽文庫書き下ろしで刊行されたと思います。アリバイ工作やら密室やら
本格ミステリを狙っているのは分かりますが、結局プロットが破綻して、矛盾撞着したまま終了します。
そもそも、どうしようもなく泥臭いストーリーですし。
「狂人館の惨劇」など、その最たるもの。本作はそのキテレツさ故、幾瀬勝彬「推理実験室」などと
並んでカルト的な人気があるようですが、そういう奇を衒ったマニア的な態度は大嫌いなので、評価ゼロ。
むしろ、短編「嫉妬」の、ゴムのチューブを使った奇矯な絞殺トリックが面白かったです。
あと、確か昭和25年頃の短編デビュー作「山荘殺人事件」が、密室トリックの佳作だったのではないかと
思いますが、今、内容を思い出せません。

55 :名無しのオプ:2006/05/01(月) 10:54:58 ID:/s1BWC0y
>>32
>巻頭作は「殺しもあるでよ」。・・・・・。

これ、「ハヤシもあるでよ」っていうCMのパロディだよね。


56 :3:2006/05/01(月) 12:24:50 ID:/CMEK4f+
>>55
そのとおり、オリエンタルカレーですね。しかし、そのCMを知っているということは、
俺と同世代?w

また幾つか紹介しておきます。

長井彬「奥穂高殺人事件」(光文社カッパノベルス)★★☆
「北アルプス殺人組曲」に続く山岳ミステリの第2弾。1985年の長編。
なかなか巧妙な犯罪計画の真相が明らかになる終盤は面白いのですが、それまでの展開が、
どうももたついているような。真犯人の心理の一部にも納得できないものがあります。
何よりも、登山のシーンが長くなりすぎた感じで、色々な伏線も示された立派な本格ミステリ
ではあるのですが、裏の真相と上手く溶け合っていないようで残念。
因みに、本格ミステリフラッシュバックで紹介済みの「北アルプス殺人組曲」(★★★★)の
方が本格ミステリとしては上出来。終盤で或る真相が暴かれる瞬間は、なかなかにビックリ
しました。「原子炉の蟹」以下の初期社会派風作品よりは山岳物の方が本格ミステリとしての
出来は上だし、森村誠一「密閉山脈」他の山岳物よりも優れていると思う。

(番外)
伴野朗「三十三時間」(講談社文庫)★★★★
1978年の長編。
昭和20年8月の上海。沖合の孤島に駐留し、無線連絡が不能となった日本軍部隊に向け、終戦の
事実を伝えるべく秘密裏に船が出港した。だが、その島にいる中国の要人を狙うスパイが船内に
潜入、船内の密室で殺人事件が発生する。一体、敵のスパイは誰なのか?そして船は無事に島に
到着できるのか・・・?
以上のとおり、本作は冒険小説ですが、実はフーダニット、密室、ダイイングメッセージなど
謎解きの要素も十分に詰まった秀作です。まあ、トリックは大したことないし、ダイイング
メッセージは詰まらない出来ですが、創元文庫で「冒険小説と謎解きの融合した傑作」などと紹介
されている「捕虜収容所の死」や「人魚とビスケット」辺りよりは、遥かに「本格スピリット」に
溢れていると思います。スパイの正体に関する伏線も、それなりに張られていますし。

57 :53:2006/05/01(月) 14:21:26 ID:7WS4aaEB
3氏、ありがとうございます。
春陽文庫はなかなか見かけないですが、
頑張って見つけてみようと思います。

58 :名無しのオプ:2006/05/01(月) 16:23:35 ID:GysijZc2
>>54
「一本の万年筆‐県立D高校殺人事件」は、幻影城ノベルスから出た「疑惑の渦」の文庫化だったと思います。

59 :名無しのオプ:2006/05/01(月) 22:19:00 ID:/s1BWC0y
個人的に好きな作品

井沢元彦「五つの首」
戦国時代の安土を舞台に、連続首無し殺人事件を織田信長が推理する、
当時作者がよく書いていた織田信長シリーズの一作。
時代背景などもしっかり書き込んであり、歴史ミステリーとしてもしっかりしているが、
本格ミステリーとしても完成度が高い。。
これだけの作品を書ける作者が、なぜ今は見るも無惨な姿に……

栗本薫「優しい密室」
ある名門女子校で若い男性の死体が見つかる。
学校に馴染めずに孤独に苛まれていた少女は、この事件に疑問を持ち、
教育実習生としてこの学校に来ていた伊集院大介と共に事件解明に乗り出す。
伊集院大介シリーズの一作で、伊集院大介と初期の語り手森カオルとの出会いを描いている。
あの密室トリックはどうかと思うし、本格物としてはイマイチではあるが、
自意識過剰な若者の苦悩と模索を描いた青春小説としてはそこそこ面白い。
ま、のちのこの作者の姿を予感させるところも見られるが、
これだけの作品を書ける作者が、なぜ(ry


古い記憶を掘り起こして書いているので、間違いや美化してる部分があるかもしれません。

60 :3ではないが・・・・・:2006/05/02(火) 15:54:10 ID:uQeTR+qS
>>3のように親切ではないので題名と点数だけ。
詳しくは3さん、フォローよろしく。

荒巻義雄 
『天女の密室』★★ 『石の結社』★
筑波孔一郎
『殺人は死の正装』★ 『屍衣を着た夜』★☆
狩久
『不必要な犯罪』★★
梶龍雄
『金沢逢魔殺人事件』★★★ 『海を見ないで陸を見よう』★★★★★ 『竜神池の小さな死体』★★★
高柳芳夫
『ライン河の舞姫』★★☆(「『禿鷹城』の惨劇よりは上)
余志宏
『蒔く如く穫りとらん』★★★
草野唯雄
『もう一人の乗客』★★★★ 『女相続人』★★★★(厳密には本格とは言えないが・・・)
海渡英祐
『燃えつきる日々』★★★
日下圭介
『木に登る犬』★★★★★ 
黒木曜之助
『妄執の推理』★★★★(なかなかの拾い物)
新羽精之
『鯨のあとに鯱がくる』 ★★
五代駿介
『酒中死美人の謎』☆
美土里くん
『ドライツェーン』☆半分

61 :名無しのオプ:2006/05/02(火) 17:53:40 ID:cK2NmlQi
イイヨイイヨー
「本格ミステリフラッシュバック」収録作品にも星つけてくれたら
モットイイヨー

62 :名無しのオプ:2006/05/03(水) 00:18:09 ID:6qIuqxfY
鮎川哲也「死者を笞打て」

1965年作。鮎川哲也は「死者を笞打て」という小説を発表するが、
それは別人の作品であり鮎川が盗作したとの疑いをかけられてしまう。
いろんな意味で窮地に立たされた鮎川は、身の潔白をはらすため、
「死者を笞打て」の晋の作者といわれる女性を捜そうとするのだが……

鮎川の作品、特に晩年の物にはユーモア溢れる物が数多くあるが、それらの極北にあるのが、この作品。
何と言って当時活躍していたミステリー作家が、名前の一部を一部を改変して登場。
実名でないからいいだろうと作者が思ったかは知らないが、ま、はちゃめちゃの連続。
こういう物を笑って許せる交友関係があったのだろう。
楽屋話や登場する作家の人柄を偲ばせるエピソード満載で、
このスレの住人には必読の書と言ってもいいと思う。

63 :名無しのオプ:2006/05/03(水) 00:46:52 ID:bch8cxky
>>62
鮎川は専用スレがあるがなあ。
このタイトル、いつ見ても「こけうて」と読んでしまう。

64 :名無しのオプ:2006/05/03(水) 02:04:04 ID:AWYwgC1/
このスレって、>>1にもあるように「本格ミステリフラッシュバック」系の
ミステリ作家・本格ミステリ・本格マインドのある作品が対象だよね?

65 :名無しのオプ:2006/05/04(木) 01:19:54 ID:pP5gWeny
>>64
このスレを立てた者ですが、そういう作品を想定していました。
「専用スレがない作家」と言いましたが、このスレ的にどうかという文脈で語るのは有りだと思うし、
87年以降の作品でもいわゆる新本格以外の作家の話(深谷忠記の近作とか)ならOKって感じで、ある程度曖昧で良いと思いますw。

ちなみに今は『魔境殺神事件』を読んでいます。
読了したらレビューをするつもりですが、このスレの住人にとってはメジャーな部類かな?

66 :名無しのオプ:2006/05/06(土) 12:59:13 ID:QAt/tS2/
>>56
長井彬は「殺人オンライン」「死の轆轤」「函館五稜郭の闇」「連続殺人
マグ二チュード8」などの評価はどうですか?

67 :名無しのオプ:2006/05/07(日) 17:30:08 ID:4VDQ3/kY
青柳友子、草川隆ってどうなの?

>>66
『函館五稜郭の闇』は持ってるかも。
探してみて見つかったら読んでみる。

68 :名無しのオプ:2006/05/07(日) 20:44:52 ID:+8f9CKCG
ここで挙がってる作品、ほとんどとは言わないまでも結構既読なのだが
内容をすっかり忘れてしまっているので参加できない・・・orz

69 :名無しのオプ:2006/05/07(日) 21:22:05 ID:et3zdx8r
笠原卓あたりも是非とも再評価してもらいたい

70 :名無しのオプ:2006/05/07(日) 22:00:11 ID:L+fDbhh9
>>13-14の評価もよろ

71 :3:2006/05/08(月) 14:14:14 ID:zFKiHzEN
長井彬「槍ヶ岳殺人行」(光文社文庫)★★★★
1985年刊、「北アルプス殺人組曲」「奥穂高殺人事件」に続く山岳物の本格ミステリの第3作。
これは派手なトリックや真相暴露の部分の効果的な演出がない点で、第1作の「北アルプス・・・」に
一歩譲りますが、実に細かい伏線を張り巡らした秀作です。真相が解ったときには、思わず或るペー
ジを読み返し、ちゃんとフェアに描かれていることに感心しました。
惜しむらくは、序盤に登場人物が多数登場し過ぎて、整理が悪くなっている点と、或る人物に関する
情報が後出し的で、ちょっとアンフェアかな、と思った点でしょうか。でも地味なトリックとさり気
ない伏線を細かく積み重ねた、渋い出来の秀作だと思います。

>>66
>長井彬は「殺人オンライン」「死の轆轤」「函館五稜郭の闇」「連続殺人
>マグ二チュード8」などの評価はどうですか?

評価は以下のとおりです。
「殺人オンライン」★★★
「死の轆轤」所持せず未読
「函館五稜郭の闇」所持するも未読
「連続殺人マグ二チュード8」★★☆

「函館・・・」と「萩・殺人迷路」は所持してますが、どうも凡庸なトラミス臭くて食指が動きません。


72 :3:2006/05/08(月) 14:17:34 ID:zFKiHzEN
連投スマソ

高柳芳夫「ベルリンの柩」(新潮文庫)★★☆
1980年頃の短編集。「『黒い森』の宿」は、確か著者の処女作。習作の域を出ない凡作。
「ライン河の二重教会」はスパイ物で本格に非ず。
「木曜日の女」は秀作。結末の意外性に優れ、密室トリックとしても合格点。
表題作も佳作。「ベルリンの壁」で東西に分断されていたベルリンの状況を上手くストーリーに
溶け込ませ、トリックと何気ない伏線が活きている。
本格ミステリは後半の2作のみだが、読む価値はあると思います。

陳舜臣「怒りの菩薩」(集英社文庫)★★☆
1962年の長編。
昭和21年の台湾が舞台。密室状況の山中から犯人が消失したトリックは小粒で凡庸だが、
何気ない描写に含まれた伏線が光ります。

陳舜臣「月をのせた海」(徳間文庫)★★★
1964年の長編。これまた小粒の話で、どこか中途半端に終わった点が残念。
中心となるトリックは写真絡みのアリバイ工作で、伏線や手掛かりの点で不満が残りますが、
ネタとしては実に陳舜臣らしく、この作者以外には描けないもの。ラストのドンデン返しと
劇的な幕切れも先ず先ず。

幾瀬勝彬「幻の魚殺人事件」(春陽文庫)★☆
春陽文庫お抱えのB級作家の短編集。
表題作は小学生のクイズ並みのネタ。でも忘れていたので結末まで見破れず・・・orz
「オパールの女」、「夏風邪をひく女」、「死の時計」、「撃墜作戦」は駄作。
「密封された寝室」も詰まらないが、室内のドアの目張りを、部屋の外部から行う密室トリックが
使われており、それがJ・D・カーの某作品とは違う方法で、しかも現実性がありそうなので、
ちょっとだけ感心。
巻末の「孤独な詭計」がベスト。犯人側でなく、×××がアリバイ工作を行うが○○○になって
しまって・・・・、という点がユニーク。確か鮎川哲也の某短編で先例がありますが、あれとは微妙に
状況をズラしており、独創性があると言えます。

73 :名無しのオプ:2006/05/08(月) 21:47:30 ID:a2BRfAUx
>72
「幻の魚」は消防の頃、宰太郎にトリックだけばらされて
是非読んでみたかったものだった。

高柳は今上がっているくらいまでは耐えられるんだが……

74 :名無しのオプ:2006/05/09(火) 00:10:35 ID:cU9xDB9b
>>18で紹介されていた仁木悦子の「枯葉色の街で」を読了。
いや、これはいいわ……。
仁木悦子が描く子供は、本当に魅力的。
紹介,thx!

75 :3:2006/05/10(水) 11:30:37 ID:383Qc+fH
アリバイ物を幾つか紹介。

松本清張「死の発送」(角川文庫)★★☆
1962年の長編を1982年に改題したもの(改稿も?)。
トランクの送り主が、そのトランクから死体で発見されるという謎は面白いし、
アリバイトリックそれ自体も出来の良いもの。××車を使った移動、○○車と
△△車の時間のズレなど面白いです。トランクの件も、まあセーフかな。
でも、やはり何かが足りません。小説としては面白くても、アリバイを崩して
ゆく展開が退屈。鮎川哲也ならば同じ材料でもっと面白い本格ミステリに仕立
てるような気がします。それはきっとセンスというか、真相に至る際の閃きみ
たいなもの(例えば、鮎川「黒いトランク」の風見鶏の件みたいなもの)が決
定的に違うのではないかと思います。

津村秀介「時間の風蝕」★☆「黒い流域」★★(ともに集英社文庫)
どちらも1983年頃の初期長編。鮎川哲也が推していたようなので読みましたが・・・。
「時間の風蝕」など、出だしは快調なのですが、ショボいトリックで腰砕け。
「黒い流域」の方がトリック的には買えますが、これまた何かが決定的に足り
ない。単に時刻表の盲点やら知られざる知識、意外な移動手段を使えばアリバイ
物として面白くなる、という訳ではないことを如実に証明したような作品。題名
からして、鮎川や清張のエピゴーネン臭いし。

小杉健治「東京−岐阜Σ0秒の罠」(光文社文庫)★★☆
1987年刊。本格的なアリバイトリックの秀作、ということで読みました。
確かに、複雑なアリバイ工作は面白く、1960年代頃の作品であれば立派な
アリバイ物の秀作だったでしょうが、現代の視点で見れば、ただ物事を
複雑にし過ぎているだけのようで、犯人はもっと合理的な行動を取るべき
では、との疑問が。もっとも作者自身も、アリバイ崩しだけでなく、後半
の法廷推理との結合を狙ったのでしょうが、どこか力を出し切っておらず、
法廷物・アリバイ崩し物、どちらも中途半端になった気がします。

76 :名無しのオプ:2006/05/12(金) 22:04:16 ID:WlsDqPYp
仁木は「林の中の家」も傑作。

77 :名無しのオプ:2006/05/14(日) 09:18:20 ID:1SF0CPZr
>>75
小杉健治は87年前後あたりはそれなりの佳作を量産してたと思う。
だいぶ内容忘れているのでその辺のレビューをキボンヌ。

78 :名無しのオプ:2006/05/20(土) 00:46:41 ID:8RSg8WRz
藤雪夫・藤桂子「獅子座」(1984年・講談社)
藤雪夫氏が約30年前に書いた作品を、娘さんの桂子さんと合作で改稿したもの。
ちなみに元の作品は、「十三番目の椅子」を鮎川哲也の「黒いトランク」と最後まで争った。
幼い頃に母が失踪に天涯孤独となった姉妹の物語と、殺人事件を追う刑事の話が
微妙に絡み合い、闇に隠れた悲しい真相が明らかになっていく。

暗号やアリバイなど、ミステリーのあらゆる小道具を詰め込んだ力作。
50年代に書かれた小説の改稿版だから、どことなく古くささを感じることもあるけど、
本格物の佳作として今も多くの人に読まれるべき作品だと思う。

なお、作者の藤雪夫氏は第2作の「黒水仙」を執筆中に亡くなった。
もう少し長く活動してくれれば、この「獅子座」ももう少し長く残ったと思う。

79 :名無しのオプ:2006/05/21(日) 01:52:35 ID:kSMOAD9C
だからフラッシュバックの作品群にも☆を付けてたも

80 :3:2006/05/22(月) 11:24:47 ID:/qM+tbWt
笹沢左保「東へ走れ男と女」(徳間文庫)★★★
1967年刊。かつて強奪したダイヤモンドを山分けするべく、十年ぶりに再会した
強奪犯やその代理人たち。鹿児島の貸金庫から首尾よくダイヤを取り出したは
良いが、東京への帰路、九州で、瀬戸内海で、神戸で、静岡でと、各地を転々と
する間に、分け前を巡って、メンバーが次々と殺されてゆく。メンバーは、強盗
犯という負い目で、警察や外部には助けを求められない。そして最後の一人と
なった時、意外な結末が・・・。
上記から想像できるとおり、クリスティの某有名作品と同趣向ですね。結末も、
クリスティのアレを超える出来栄えではないでしょう。但し、この時代に、孤島や
山荘などの「物理的なクローズド・サークル」ではなく、外部に訴えることのでき
ない、或いは外部の介入を拒否する「心理的なクローズド・サークル」を設定し、
しかも、そのサークルが九州から東京まで日本列島を縦断してゆくなどという
アイディアを思いついたこと自体に感心します。

山村正夫「振飛車殺人事件」(徳間文庫)★★★☆
1977年刊、表題作ほか「詰将棋殺人事件」「棒銀殺人事件」の3中短編からなる、
警視庁警部を夫に持つ女流棋士を探偵役とした連作集。
俺は将棋のルールを殆ど知りませんでしたが、将棋そのものに絡むトリックは
少ないので楽しめました。3作とも、アリバイ工作や密室、人間消失など工夫を
凝らしています。紹介済みの短編集「落日の墓標」よりも出来は良いです。

81 :3:2006/05/22(月) 11:58:44 ID:/qM+tbWt
笹沢左保
「招かれざる客」★★★★☆「空白の起点」★★★☆「真夜中の詩人」★★★
「どんでん返し」★★★
梶龍雄
「龍神池の小さな死体」★★★☆「奥鬼怒密室村の惨劇」★★★☆「紅い蛾は死の予告」★★☆
陳舜臣
「枯草の根」★★★★「三色の家」★★★★☆「黒いヒマラヤ」★★☆「炎に絵を」★★★
「孔雀の道」★★☆
多岐川恭
「落ちる」★★★☆「異郷の帆」★★★★「変人島風物誌」★★★
草野唯雄
「蔵王山荘連続殺人事件」★★☆
中町信
「新人文学賞殺人事件」★★★☆「高校野球殺人事件」★★★★「散歩する死者」★★★
大谷羊太郎
「死を運ぶギター」★★★☆「真夜中の殺意」★★★
山村美紗
「花の棺」★★★★「黒の環状線」★★★☆「死体はクーラーが好き」★★☆
赤川次郎
「マリオネットの罠」★★★☆「幽霊列車」★★★★「三毛猫ホームズの推理」★★★☆
飛鳥高
「犯罪の場」★★★☆
松本清張
「点と線」★★★★☆「ゼロの焦点」★★★☆「時間の習俗」★★★☆「火神被殺」★★

82 :3:2006/05/22(月) 11:59:39 ID:/qM+tbWt
再連投スマソ
小峰元
「アルキメデスは手を汚さない」★★★
夏樹静子
「黒白の旅路」★★★「蒸発」★★★★「77便に何が起きたか」★★
佐々木丸美
「崖の館」★★「水に描かれた館」★☆
岡島二人
「そして扉が閉ざされた」★★★★
辻真先
「仮題中学殺人事件」★★★☆「アリスの国の殺人」★★☆
仁木悦子
「猫は知っていた」★★★★☆「殺人配線図」★★☆「二つの陰画」★★★☆「冷えきった街」★★★★
「赤い猫」★★「灯らない窓」★★★
戸板康二
「グリーン車の子供」★★★「浪子のハンカチ」★★☆
鷲尾三郎
「呪縛の沼」★★★
西村京太郎
「名探偵なんか怖くない」★★★「殺しの双曲線」★★★★☆
小泉喜美子
「弁護側の証人」★★
笠原卓
「詐欺師の饗宴」★★★☆

・・・・佐々木丸美と小泉喜美子の評価が辛いが、個人的に大嫌いな作家なのでご了承下さい。

83 :3:2006/05/22(月) 12:08:04 ID:/qM+tbWt
書き漏らしたスマソ
>>81-82は、>>13-14の作品のうち、未評価で、俺が読んでいるものです。
残りは俺も未読。

84 :名無しのオプ:2006/05/22(月) 17:02:10 ID:n2YSBAOP
>>81
念のため、中町信の「新人文学賞殺人事件」は「模倣の殺意」、
「高校野球殺人事件」は「空白の殺意」として創元から改稿版が出ている。

85 :名無しのオプ:2006/05/22(月) 20:09:39 ID:+VSSLV9x
3氏、GJ&乙です

86 :名無しのオプ:2006/05/22(月) 20:54:18 ID:k58UTNpv
>>84
「散歩する死者」も「天啓の殺意」に改稿改題されてますよ。

87 :名無しのオプ:2006/05/23(火) 23:12:38 ID:kxyYcabX
>>3
ありがとうございました

88 :名無しのオプ:2006/05/25(木) 02:13:09 ID:xck/acYE
赤川次郎『死者の学園祭』(1977年)
作者の初長編にして初の単行本。
主人公・結城真知子が転校してきたばかりの学校で、クラスメート3人が次々に死んでいく。
恋ありサスペンスありで、学園ミステリのお手本のような作品だけれども、
テンポの良いストーリーで飽きさせないのはさすがだと思う。
フラッシュバックでは、本格としても評価できるとあったけれど、
意外な真相はあるものの、手がかりがフェアに提示されているわけではないのでさすがに本格とは言えないと思う。

89 :名無しのオプ:2006/05/25(木) 10:06:42 ID:FOqmk6FN
> フラッシュバックでは、本格としても評価できるとあったけれど、
> 意外な真相はあるものの、手がかりがフェアに提示されているわけではないのでさすがに本格とは言えないと思う。
今の「新本格」は、本格とは言えない作品も屁理屈捏ねて本格に引っ張り込んでるから、読む気がしねえんだよな。
このスレで紹介されてる作品を読んでる方が、楽しい過ごせる。

90 :3:2006/05/25(木) 10:35:33 ID:cWtP9932
斉藤栄「奥の細道殺人事件」(集英社文庫)★★☆
1970年の長編。
いきなり中盤で一番臭い容疑者が自殺してしまい、この先、一体どうなるのだろう?と
思って読み進めたら、なるほど、こういう真相でしたか。
真犯人の意外性という点では白眉、というか、この人物を犯人にした例は、海外の古典に
あったような気もしますが、ちょっと思い出せません。
公害問題、芭蕉「奥の細道」の暗号、「芭蕉=忍者説」など、色々サービス満点ですが、
メイン・トリックと必ずしも直結していないし、暗号はこじ付けだし、意表を突くストー
リー展開も、従来の常道を打破する意気込みがあったのでしょうが、今となっては、犯人
の意外性だけを楽しむ作品かも。ただ、伏線が不足しているので、急転直下の終盤には
不満が残ります。

西村京太郎「伊豆七島殺人事件」(光文社文庫)★★★
1972年の長編。
伊豆諸島の神津島と八丈島を舞台に、海底調査基地内で起こった密室状況の殺人をメイン
に扱ったもの。海面下40メートルにある基地に近づける者が限定されており、容疑者
数名にはアリバイがあることから、そのアリバイ崩しがメインの興味となります。
「濡れていた電話器」という伏線が、なかなか上手いです(でも、鑑識で調べれば一発で
分かることだと思うがw)。テープレコーダーに関する謎は、少々凝り過ぎの感があり
ますが。まあ、当時の作者の秀作群の中では水準作でしょうか。

91 :3:2006/05/29(月) 12:01:23 ID:xt0vxQIh
数日置いたが連投でスマソ

山村正夫「東京−盛岡双影殺人」(徳間文庫)★★★☆
1988年刊の長編。1980年代の作者は伝奇推理物か怪奇物、通俗的なユーモア風ミステリばかり
書いていたのかと思ったら、こんなオーソドックスな本格ミステリも書いていたのですね。
発表年から推測すると、「新本格」の勃興に刺激されたのかも。
東京の殺人事件の容疑者となった新興宗教の教祖、しかし彼は、同日同時刻に岩手県・盛岡で
起きた殺人事件の容疑者でもあった。幽体離脱で東京・盛岡間を自由に行き来できるとウソぶく
教祖。警視庁と岩手県警は、互いのメンツをかけて彼を逮捕したいのだが、もう一方の事件が
アリバイとなってしまう・・・、という展開は面白いと思います。メインのトリックは、まあ
コレしかないな、というものですが、それに或るトリックを組み合わせた点は評価できるし、
小技ながら、ちょっとした地名のトリックなどもあって楽しめます。
1970年代の長編「裂けた背景」よりも出来はやや上、世評高い「ボウリング殺人事件(球形の
殺意)」を未読なので何とも言えませんが、暫定的にはこの作者の長編ベストでしょう。

三好徹「幻の美女」(集英社文庫)★★★
1976年刊の長編。厳密には「本格ミステリ」とするのは辛いですが、この作者には珍しい、
「帰らざる夜」と並ぶ「フーダニット」物の作品なので。
「現代の小野小町」と噂される謎のインテリア・デザイナーの女性。主人公の新聞記者は
彼女に取材を申し込むが、会えないまま、彼女の秘書や関係者が謎の死を遂げてゆく・・・。
トリックには冴えないものが二つほど使われているだけで、真犯人の指摘も、ああそうですか、
というレベル。しかも政界の裏面などに発展して、白けること夥しいのですが、「小野小町
伝説」に絡めた薀蓄が、少々唖然・呆然とするラストのミスリーディングとなっていることが
重要。「小野小町伝説」ばかりに目が行ってしまい、読み終わって暫く経ってから、タイトルや
ストーリーが、全然別の意味だったことに気付きました。作者がどこまで意識していたかは知り
ませんが。
なお巻末の解説は先に読まないこと。この趣向に気付きもしないでネタバレしているので。

92 :名無しのオプ:2006/06/03(土) 00:54:20 ID:SKqZtb1I
3氏、毎度のことながら乙です。

草川隆がある程度たまったので、読んでみようかと思う今日この頃。
当たりを引けるかどうか、楽しみです。

93 :3:2006/06/05(月) 12:49:15 ID:54PKLPBl
>>92
草川隆、読み終わったら感想お願いしますね、俺は1冊も読んでないので・・・orz

斉藤栄「少年探偵ジャーネ君の冒険」(講談社文庫)★★★
中篇2作からなるジュブナイル。恐らく、作者が少年時代に愛読した、乱歩の
「知恵の一太郎」へのオマージュ、しかし、昨今の作者の大人向き作品に比べれば、
遥かに好感が持てる佳作。昭和50年代後半に書かれたもののようです。
第1話は、瀬戸内海にある地獄島(笑)なる島に遊びに出かけた小学生のジャーネ君
たち一行が大判小判を見つけるが、金庫から盗まれて・・・、という話。学校の授業に
絡めた国語・算数・理科・社会のネタの数々にはウンザリですが、ちゃんとクローズド・
サークルの設定を意識的に取り込んでいるし、メイン・トリックの鍵の掛かった金庫から
の盗難トリックは、前例多数のトリックながら小気味良くまとめています。
第2話は、秘密の設計図を軽飛行機で運ぶ途中、日本アルプス山中に不時着して、という話。
相変わらずの小学生勉強ネタに閉口ですが、ジャーネ君がE・クイーンばりに、一応、
論理的に犯人を一人に絞り込んでゆく推理を披露する本格派の佳作。

長井彬「白馬岳の失踪」(大陸書房)★★★★
この作者お得意の山岳物で固めた短編集。1982年〜1990年の短編6作を収録。
巻頭の表題作は、さしたる出来ではなく、トリック的にも弱い。
続く「遠見二人山行」がベスト。長編群でお馴染みとなった或るトリックを主軸に、
作品の構成にも或る仕掛けを施した労作。登山中の「山日記」の扱いや、何気ない
描写など実に上手い。ただし短編のため、或る仕掛けがバレやすいのが残念。
「悪女の谷」も登山ならではの錯覚トリックだが小粒。
「ある遭難美談」は吹雪の冬山でなくては成立不可能な、物凄いトリックというか
バカミス。「ふつう、気付くだろ?」とは思いますが、まあ、真冬の北海道では、
自分の家の庭で遭難したという実例もあるそうだから・・・。
他に「蝶ケ岳環状彷徨」「未必の遭難」で全6編。長編も含め、この作者の山岳物の
本格ミステリは、恐らく日本の最高レベル(他にこのジャンルを書く人は森村誠一しか
知らず、彼よりは本格ミステリとして上出来、というだけの話ですが)。

94 :名無しのオプ:2006/06/09(金) 22:16:36 ID:+9I/UVaQ
梓林太郎?や生田直規も山岳ミステリっぽいの書いてませんでしたっけ?

95 :3:2006/06/13(火) 14:39:22 ID:ixocPoKd
飽くまで、「山岳物」の「本格ミステリ」ですから。梓林太郎や太田蘭三あたりも
ごく若干ですが読みましたが、まるで「本格ミステリ」ではありませんでしたので。
探せば、彼らの作品にも本格ミステリはあるのかも知れませんが。

深谷忠記「アリバイ特急+−の交叉」(講談社文庫)★★★
1987年の長編。
タイトルから想像されるような、泥臭いトラミス風ではなく、クセのない端正な
仕上がりで、まあ満足できました。やはり作者の年齢的なものか、女性の描き方が
1980年代にしても古めかしくオヤジ臭さ全開なのと、探偵役に全く魅力がないのが
欠点ですが。
使われているトリックは前例がない訳ではないですが、盲点を突いたユニークな
もの。列車についての或る仕掛けは、オールタイム・ベスト10常連の、或る名作
国産ミステリに近い感触があります。

長井彬「南紀殺人 海の密室」(講談社ノベルス)★★
1987年9月刊の長編。
友人のカメラマンが南紀の海で溺死した事故に不審を抱いたフリーのカメラマンが
主人公。友人は或る人気俳優のスキャンダルを追っていたことのだが、その俳優には
アリバイが。また事故現場と目される岬も、発生当時は密室状況にあった。鍵を握る
俳優の恋人は、南紀の「安珍清姫伝説」の末裔だった。その妹と共に主人公は事件を
追うが、第二、第三の殺人が・・・。
これは危惧していたとおり、典型的な二時間ドラマ風トラミスでした。観光地が舞台で
ご当地の伝説も登場、美人姉妹とカメラマン、芸能界のスキャンダル、良い加減な地元
警察・・・・、辟易しました。
但し、腐っても長井彬、海岸の密室状況の設定と「困難は分割せよ」という鉄則に沿った
その解決法、また余りにも単純な故に見落としてしまった大胆な伏線など、光るところは
残っています。
因みに、本書と同時に講談社ノベルスから出たのが「十角館の殺人」。両方を読み比べれば、
まさに「新旧交代」という言葉がピッタリという感じです。

96 :名無しのオプ:2006/06/14(水) 01:18:35 ID:ZVNkJatN
辻、中町、阿井辺りもお願いしたい

97 :名無しのオプ:2006/06/15(木) 16:58:23 ID:Sx0KPNqo
長井彬『函館五稜郭の闇』(講談社ノベルスまたはケイブンシャ文庫)★
 1986年の長編。
 立待岬で撮影中、男が突き落とされるのを目撃したフリーカメラマンが主人公。
 翌日、函館山の麓にある碧血碑でその男が毒殺されているのが発見されます。
 転落死した男が同日同時刻に別の場所で殺されたのか? 警察に岬での目撃
を疑われた主人公は、一ヶ月前に夜の五稜郭で服毒死した父は自殺ではないと
信じる女性と知り合い、彼女と共に事件を追う。
 国鉄・青函連絡船・ジャパ行きさん・フライデー・フラッシュ・三浦義和と、
読んでいて懐かしくなりました(笑)。歴史旅情ミステリーと謳われていますが、
典型的な2時間ドラマ風トラベルミステリーです(歴史を感じさせてくれるのは
箱館戦争のトリビアくらい)。観光名所で事件発生、ご当地の歴史、素人探偵
コンビ、芸能スキャンダル(?)、お粗末&いい加減な警察、追い詰められて
探偵を襲う犯人――この手の作品ではおなじみの道具立てです(笑)。
 探偵の推理した動機にはあまりにも酷すぎて唖然としました(犯人にも「そ
んな理由で殺したのではない」と言われる始末)。意外な犯人ではありますが、
犯人と動機の伏線はないのでアンフェアですが、トリックに関する伏線は単純
過ぎて見落としてしまうものとなっています。
 それぞれの思惑が絡んだアリバイトリックは良かったのですが、それ以外が
どうしようもないので読む価値はないでしょう。

98 :名無しのオプ:2006/06/19(月) 18:36:23 ID:uxUGgthx
良スレage

99 :名無しのオプ:2006/06/19(月) 21:15:14 ID:uWMyOs7F
太田蘭三は「脱獄山脈」とか「赤い雪崩」あたりが本格っぽいかもしれない

100 :名無しのオプ:2006/06/19(月) 22:32:19 ID:DIAxP+e4
いま来たけど、すぐお気に入りに登録しました
レビュー書いてる方、がんばって下さい


101 :3:2006/06/20(火) 12:05:13 ID:EH0fkmQe
佐野洋「赤い熱い海」(角川文庫)★★★
1967年の長編。
死亡者3名を出した航空機事故。だがこの飛行機に乗っていたと思しき男が行方不明になる。
死亡者の或る者と入れ替わっていたのではないか、或いは、事故のドサクサにまぎれて大金を
持ったまま行方を絶ったのか。依頼を受けた探偵事務所のメンバーたちは手分けをして謎の
真相に迫るが・・・。
これは犯人の意外性という点では特筆すべきものでしょう。この当時にしては思い切った真相を
用意した佳作。しかし、フェアかと言うとそうでもなく、伏線不足の感が否めません。今の作家
なら、もっと紙一重のところまで技巧を凝らして描写を続けるでしょう。

西村京太郎「鬼女面殺人事件」(徳間文庫)★★☆
1973年の長編。これは横溝正史に挑戦した作品。
オープニングからして、「妹を助けてくれ」と言い残して死んだ男の遺言で絶海の孤島に向かう
など、「獄門島」を意識していますね。世間と隔絶した島の様子など、1970年代というのに、
「獄門島」以上にオドロオドロしいですw
真相は、ちょっと意表を突いていますが、でもそれだけ。アリバイトリックも見破られやすい
もので、まあ水準作でしょうか。

深谷忠記「津軽海峡+−の交叉」(講談社ノベルス)★★★★
1988年の長編。
函館に住む女流作家を訪ねるはずだった編集者が行方不明の末、青森で他殺体で発見された。
どうも、青森に住む或る作家志望者の恨みを買っていたらしく、編集者の上司もまた殺さ
れる。作家志望者の男が犯人なのか、だが意外なことに・・・。
青函連絡船を使ったアリバイトリックの秀作。函館・青森間の移動に関する思い切った
トリックが印象に残ります。一箇所だけ、「ちょっとそれは無理では?」と思える部分も
ありますが、そのための伏線も事前に明示しているので、まあ合格でしょう。

102 :名無しのオプ:2006/06/20(火) 15:11:31 ID:S7u6iI54
>>3
深谷忠記は「逆転シリーズ」や「歴史の謎シリーズ」も面白いですよ。
ぜひお試しを。

>>96
レビューでひゃありませんが・・・。
辻はシリーズ物の初期作品やノン・シリーズ物は面白いです。
中町は「新人文学賞殺人事件」(「模倣の殺意」)から「奥只見温泉郷殺人事件」
までは面白かったはず。
阿井は牛深警部シリーズしか読んでませんが、島荘系の奇想ミステリーです。
シリーズ初期は昔話・御伽噺の見立て殺人、中期からは不可能犯罪や消失と集団誘拐
を組み合わせています。

103 :名無しのオプ:2006/06/25(日) 20:05:42 ID:L0KSOO+E
>102
中町信は「十和田湖殺人事件」まで(「心の旅路連続殺人事件」「女性編集者殺人事件」以外)面白いよ。
以降は「佐渡金山殺人事件」が佳作だけど、他は好きずきwかな。
「阿寒湖殺人事件」とか面白い仕掛けだけど、無茶と言えば無茶(笑)。


104 :3:2006/06/26(月) 14:03:47 ID:yh1xKiqc
大谷羊太郎「死の部屋でギターが鳴った」(徳間文庫)★★★☆
1973年の長編。「殺人予告状」にも登場した、芸能プロダクションに勤める主人公が
探偵役を務める第2弾。
コンサートの楽屋で出番を待つ女性歌手が殺される。その直前に部屋で鳴り響いた
ギターの音色。犯人が脱出する時に弦に触れたものと思われるが、楽屋の外には人の
目があり、完全な密室状態に置かれていた。現場近くにいて容疑者とされた主人公は
自ら事件の謎を追い、かつて米軍キャンプで起きた密室での米兵殺人事件に遠因が
あることを突き止めるが・・・。
相変わらず密室トリックに熱意を見せており、本作でも2つの密室トリックを考案して
います。米軍キャンプの密室トリックは大したことはないのですが、楽屋の密室は、
海野十三ばりに少々突飛ながらも楽しめました。殺害動機の鍵となる、或る錯誤も
ユニーク。もとギタリストである作者の面目躍如の一冊。

陳舜臣「白い泥」(徳間文庫)★★★
1964年の長編。
神戸からシンガポールの港に届けられた寒天の積荷から死体が出てくるシーンは、
クロフツ「樽」を思い出すほど印象的でした。アリバイ工作と地味な渋いトリック
を組合わせており、けっこう読ませますが、結末は、やり切れないほど悲惨で、
ハードボイルドの名作、生島治郎「男たちのブルース」の主人公を思い出しました。

斉藤栄「香港殺人旅行」(徳間文庫)★★☆
1971年の長編。
「奥の細道殺人事件」でも扱った公害問題を取り上げつつ、色々トリッキーな趣向も
活かされていますが、メイントリックに、さほど面白みがありません。空港の或る
制度に関するものですが、現代では実行不可能ですし。ただ、レッド・ヘリングの
使い方が上手いのが救いでしょうか。

105 :102:2006/06/26(月) 15:31:54 ID:nIGgGTzi
>>103
俺、「十和田湖殺人事件」はダメだったんだよねー
「十和田湖」あたりから中町は専業作家になったと記憶してるけど、
専業になってからの中町作品は酷すぎて読むのが辛かった……

106 :103:2006/06/26(月) 19:27:37 ID:4DrkUSX9
>105
「十和田湖殺人事件」は仕掛けは地味だけど、手堅くまとまってると思うよ。
らしさが薄いとは言える(確か協会賞候補作)ので、欠点ばかり気になったのかな?

107 :105:2006/06/26(月) 21:24:32 ID:Wf6WxSg6
>>106
「十和田湖」は欠点ばかりが目に付いて、のれなかったんだよね
期待しすぎてたのがいけなかったのかも


108 :3:2006/06/30(金) 19:24:12 ID:mQiVGz9a
伴野朗「Kファイル38」(徳間文庫)★★★☆
1978年の長編。
朝鮮戦争直前の韓国・ソウル。主人公の日本人・林田は駐留米軍で働く妻を惨殺される。
妻は創設間もないCIAへの協力者で、或る機密に絡んで殺されたらしい。しかし妻を
殺したらしき容疑者には鉄壁のアリバイが・・・。
これは、動乱の朝鮮半島を舞台にした冒険小説ですが、「三十三時間」と同様、本格ミス
テリに近い謎解きの要素も盛り込まれています。
アリバイトリックは、さほど手の込んだものではありませんが、常識の盲点を突いたもの
で、本格ミステリファンをも満足させる出来のものです。むろん冒険小説としても佳作で
しょう。

小林久三「黒衣の映画祭」(講談社文庫)★★☆
1975年の長編。
ニューヨークの映画祭に出席していた映画監督が謎の電話で急遽帰国、密室状態の殺人
現場で昏倒していたところを発見される。殺人の一部始終を目撃していた者まで現れ、
窮地に陥るが・・・・。
目撃者の状況が、いかにもトリックがありますよ、と言わんばかりのものなので萎えて
しまいます。真相も、誰でも予想できるレベル。その他にも、フィルムに関するアリバイ
工作や、心理的トリックなどもあるのですが、本格ミステリとしては殆ど面白みがありま
せん。
しかし、斜陽のどん底にあった日本の映画界の状況を熱気溢れる筆致で描き、登場人物も
魅力的で活き活きとしており、小説自体としては面白いものでした。

109 :3:2006/07/07(金) 18:43:31 ID:tlBsxO93
またも連投になってしまいスマソ

梶龍雄「灰色の季節−ギョライ先生探偵ノート」(光風社出版)★★★★☆
1983年刊。1977年頃から断続的に発表された、旧制中学校のギョライ先生を探偵役とする連作集。
「ふしぎな声」「おふくろは霊媒」「池の見える家」「イソップとドイルと・・・」「てけつの緑子」
「夜から来た女」の全6編。
太平洋戦争を挟んだ前後の時代を描かせると、梶龍雄は本当に上手いです。本作は真珠湾攻撃直前の
東京の下町の中学生を描いた青春小説として読むだけでも傑作と言える上、そこに本格ミステリの
仕掛けも盛り込み、しかもハズレがない(作品によっては地味な出来栄えもありますが)という、
高レベル。これが現在、手軽に読めないのは残念。創元推理文庫あたりで是非とも復刊してほしいです。

大谷羊太郎「スキャンダル殺人事件」(桃園書房)★★☆
1974年刊の、恐らく作者初の短編集。
まあ出版元が出版元だけに、アレかな、と思って読んでみたところ、確かにエロ風俗小説風の作品も
ありましたが、一応、どの作品にもトリッキーな仕掛けが施されていたので安心しました。
「栄光と陥穽」は脅迫電話を巡って二転三転する犯罪小説、「消えた指紋」は指紋トリックだがヒネり
が弱く駄作、「悪女のプレゼント」は一応アリバイ物だがエロ小説。「消された死体」は、「犯人当て」
と副題が付くだけに堂々たる本格ミステリを予感させる始まりで、山小屋で殺人事件が勃発するが、
突如死体が消えて、山小屋から遥か離れたところで死体が再び現れる・・・、というもの。でも真相は、
ちょっとした矛盾を突くだけのものでガッカリ。死体が消えた真相もアレですし。
表題作は芸能界を舞台にしたものでアリバイ物だが、これも小粒。「盗聴器」はショートショートの
レベル。巻末の「死体はLを描いた」が最も秀作でしょうか。死体を巡る謎の真相には唖然としました。
今までに聞いたことも無い、或るユニークな動機が隠されており、バカミスに近いですが、意外とOK
かも、と思わせるものでした。

110 :3:2006/07/07(金) 18:47:16 ID:tlBsxO93
更に再連投だがご勘弁を。

梓林太郎「殺人氷壁」(光文社文庫)★★★
この作家に「本格ミステリ」は無いなあ、と以前に書き込みましたが、その後探してみたところ、
解説に「本格ミステリの傑作」とある本作を見つけたので読んでみました。1989年の長編。
ぶっきらぼうな刑事と、その相方の刑事による探偵コンビは面白く感じました。肝心の本格ミス
テリとしての出来は、第一の殺人のアリバイトリックが冬山の或る風物を用いたユニークなもので
合格点ですが、それ以外のトリックには何の新味もなく、ああそう、というレベル。意外な真犯人
も用意されていますが、これも伏線不足で反則。
ただ、二時間ドラマに毛が生えたレベルかと思っていたところ、意外と乾いた文体で独特の雰囲気を
持っている作品で、決して犯罪風俗小説に堕してはいないので、ちょっと考えを改めました。

本岡類「南海航路殺人事件」(講談社ノベルス)★★☆
1985年の長編第3作。
東京・高知間の船上将棋ツアーに参加したプロ棋士で名探偵の神永と新聞記者・高見は、同行した
客の一人が行方不明の末、宮崎県で自殺したことを知る。だがその娘は他殺を主張し、神永に再調査を
依頼した。しかし容疑者二人には高知と大阪にいたというアリバイが・・・。
この作家は「白い森の幽霊殺人」他のペンション物シリーズや、僧・秀円シリーズなどを読み続けて
いて気付いたのですが、最近の東川篤哉と同種のユーモアのセンスがあるように思います。俺は好き
ですが、人によっては嫌うかも。
カーフェリーの特性を活かしたアリバイトリックは、面白くはあるのですが、やはり「そんな大掛かり
なことをしないでも、もっと別の機会に別の方法でやれば?」と思わせるもの。一応説明はしています
けど、説得力に欠けますね。それから失笑するほどのハッピーエンドも、読んでいるこっちが照れ臭く
なります。凡作。

111 :名無しのオプ:2006/07/09(日) 01:07:07 ID:ZwCIerjC
>>3

このスレのおかげでブッコフ巡りの楽しみが増えました。
ところで梶さんの乱歩賞受賞作「透明な季節」っておもしろいのでしょうか。
読んだことあれば簡単な評価をお聞かせください。

112 :名無しのオプ:2006/07/09(日) 02:13:53 ID:1AYdCBKe
>>111
梶龍雄スレッドへどうぞw
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1139725141/l50

113 :名無しのオプ:2006/07/09(日) 17:09:27 ID:ZwCIerjC
>>112
どもです!

114 :3:2006/07/10(月) 12:14:31 ID:uXa9LI3Z
>>111
俺の「透明な季節」の評価は★★★です。
戦争中の青春小説としては佳作ですが、本格ミステリとしてのしてのトリッキーな仕掛けは
弱いですので。

井沢元彦「殺人ドライブ・ロード」(徳間文庫)★★★★☆
1983年の長編。
資産家の妻を持つ男、仲の冷え切った妻を仲直りのためのドライブ旅行に誘うが、旅行中に
喧嘩別れをした隙に、妻は夫の愛人に殺されてしまう。男には完璧なアリバイがあるのだが、
死んだ妻の妹である女子大生は男に不審を抱き、ボーイフレンドと共に独自の調査に乗り出
した・・・。
或る理由から、このトリックの核となる或る事実を知っていたので、最初の数十ページで全て
のカラクリが読めた、と確信できました。それは殆ど当たっていたのですが、まさかその先に
更なるドンデン返しがあるとは予想できませんでした。読み返してみれば、なるほど納得。
書き出しの或る部分など実に上手い書きぶり。同じく序盤に描写される何気ない事実が、後に
なって大きな意味を持ってくることにも感心しました。
「猿丸幻視行」「義経幻殺録」等の歴史ミステリ風の長編群よりも、「本格ミステリ」としての
構成は上回っていると言えます。傑作。

115 :名無しのオプ:2006/07/10(月) 18:36:53 ID:NBQJ7pN/
>>114
「殺人ドライブ・ロード」は「二つのトランク」という短篇の長篇化作品。
おそらく貴兄が「読めた」と思った序盤の数十ページは、短篇をそのまま
使用した冒頭部分でしょう。

既発表の短篇を丸ごと捨て石として使って、さらに大きなドンデン返しを
仕掛けるという実に野心的な長篇でした。傑作ですね。

116 :名無しのオプ:2006/07/11(火) 22:51:16 ID:dr++oHL3
赤川次郎
『マリオネットの罠』★★★☆『幽霊列車』★★★★『三毛猫ホームズの推理』★★★☆
『死者は空中を歩く』『幽霊から愛をこめて』『招かれた女』『死者の学園祭』
飛鳥高
『犯罪の場』★★★☆『疑惑の夜』『死にぞこない』
梓林太郎
『殺人氷壁』★★★
鮎川哲也
『死者を笞打て』
荒巻義雄
『天女の密室』★★『石の結社』★
幾瀬勝彬
推理実験室シリーズ(『声優密室殺人事件(別題:北まくら殺人事件)』『私立医大殺人
事件(別題:死のマークはX)』)『幻の魚殺人事件』★☆
井沢元彦
『欲の無い犯罪者』『五つの首』『殺人ドライブ・ロード』(短編「二つのトランク」を
長編化)★★★★☆『猿丸幻視行』『義経幻殺録』
石沢英太郎
『カーラリー殺人事件』
太田蘭三
『脱獄山脈』『赤い雪崩』
大谷羊太郎
『生れ変った男』『殺人航路』★★★☆『レコーディング殺人』★★☆
『死を運ぶギター』★★★☆『真夜中の殺意』★★★『複合誘拐』
『悪人は三度死ぬ』『殺人予告状』★★★『虚妄の残影』★★★☆
『深夜の訪問者』★★★『死の部屋でギターが鳴った』★★★☆
『スキャンダル殺人事件』★★☆
岡島二人
『焦茶色のパステル』『あした天気にしておくれ』『開けっぱなしの密室』
『チョコレートゲーム』『なんでも屋大蔵でございます』『そして扉が閉ざされた』★★★★

117 :名無しのオプ:2006/07/11(火) 22:55:20 ID:dr++oHL3
海渡英祐
『影の座標』★★★★★『白夜の密室』★★★★『突っ込んだ首』★★★★☆ 『閉塞回路』★★★★『仮面の告発』★★★『死の国のアリス』★★☆『おかしな死体ども』★☆『ふざけた死体ども』★☆
『事件は場所を選ばない』『美女が八人死体が七つ』★★★『燃えつきる日々』★★★
笠原卓
『ゼロのある死角』★★★☆『詐欺師の饗宴』★★★☆『殺意の葬列』
梶龍雄
『海を見ないで陸を見よう』★★★★★『ぼくの好色天使たち』★★★★
『リア王密室に死す』★★★★☆『龍神池の小さな死体』★★★(>>3の評価は★★★☆)
『奥鬼怒密室村の惨劇』★★★☆『紅い蛾は死の予告』★★☆『若きウェルテルの怪死』
『金沢逢魔殺人事件』★★★『灰色の季節−ギョライ先生探偵ノート』★★★★☆ 『透明な季節』★★★
狩久
『不必要な犯罪』★★
日下圭介
『鶯を呼ぶ少年』★★★★☆『花の復讐』★★★☆『木に登る犬』★★★★★
楠田匡介
『狙われた』『脱獄囚』『密室殺人』
栗本薫
『優しい密室』
黒木曜之助
『妄執の推理』★★★★
小泉喜美子
『弁護側の証人』★★『またたかない星』『死だけが私の贈り物』『ダイナマイト円舞曲』 『血の季節』
小杉健治
『東京−岐阜Σ0秒の罠』★★☆
五代駿介
『酒中死美人の謎』☆
小林久三
『暗黒告知』★★★「黒衣の映画祭」★★☆
小林信彦
『大統領の密使』★★☆『大統領の晩餐』
小峰元
『アルキメデスは手を汚さない』★★★『ピタゴラス豆畑に死す』 『イソップの首に鈴をつけろ』

118 :名無しのオプ:2006/07/11(火) 23:17:00 ID:dr++oHL3
斎藤栄
『真夜中の意匠』★★★☆「黒部ルート殺人旅行」★★☆「奥の細道殺人事件」★★☆「少年探偵ジャーネ君の冒険」★★★「香港殺人旅行」★★☆
笹沢左保
『どんでん返し』★★★『霧に溶ける』★★★★★『求婚の密室』★★★★『招かれざる客』★★★★☆『空白の起点』★★★☆『真夜中の詩人』★★★「孤独な彼らの恐ろしさ」★★☆「明日に別れの接吻を」★★★
「四月の危険な石」★「盗作の風景」★★★☆「遥かなり、わが愛を」★★★「揺れる視界」「結婚って何さ」「誰もが信じられない」★★「東へ走れ男と女」★★★
佐々木丸美
『崖の館』★★『水に描かれた館』★☆『罪灯』
島田一男
『去来氏曰く(別題・夜の指揮者)』」★★★★『黒い花束』(採点不能)
佐野洋
『賭の季節』★★★☆「秘密パーティ」★☆「赤い熱い海」★★★
蒼社廉三
『戦艦金剛』★★★★
左右田謙
「球魂の蹉跌−高校野球殺人事件」★「一本の万年筆−県立D高校殺人事件(別題:疑惑の渦)」☆「狂人館の惨劇−大立目家の崩壊」(採点不能)
短編「嫉妬」(角田實名義)★★「山荘殺人事件」
草野唯雄
『影の斜坑』★★★☆『瀬戸内海殺人事件』★★★『女相続人』★★★★『山口線“貴婦人号”』『蔵王山荘連続殺人事件』★★☆「まぼろしの凶器」★☆『もう一人の乗客』★★★★
高柳芳夫
「『禿鷹城』の惨劇」★★★☆『「ラインの薔薇城」殺人事件』『維納の森殺人事件』『ライン河の舞姫』★★☆「ベルリンの柩」★★☆
多岐川恭
『落ちる』★★★☆『静かな教授』『異郷の帆』★★★★『変人島風物誌』★★★「13人の殺人者」★★★
陳舜臣
『方壺園』★★★★★『長安日記』★★★★『枯草の根』★★★★『三色の家』★★★★☆『黒いヒマラヤ』★★☆『炎に絵を』★★★『孔雀の道』★★☆「割れる」★★★「杭州菊花園」★★★「怒りの菩薩」★★☆「月をのせた海」★★★「白い泥」★★★
筑波孔一郎
『殺人は死の正装』★『屍衣を着た夜』★☆

119 :名無しのオプ:2006/07/11(火) 23:40:12 ID:dr++oHL3
辻真先
『仮題・中学殺人事件』★★★☆『盗作・高校殺人事件』『紺碧は殺しの色』『アリスの国の殺人』★★☆『ローカル線に紅い血が散る』『天使の殺人』
角田喜久雄
『影丸極道帖 上・下』★★★☆
津村秀介
「時間の風蝕」★☆「黒い流域」★★
戸板康二
『グリーン車の子供』★★★『浪子のハンカチ』★★☆『第三の演出者』
伴野朗
『香港から来た男』★★★『殺意の複合』★★★☆『五十万年の死角』『三十三時間』★★★★「Kファイル38」★★★☆
長井彬
『原子炉の蟹』『殺人オンライン』★★★『北アルプス殺人組曲』★★★★「奥穂高殺人事件」★★☆「死の轆轤」「函館五稜郭の闇」★「連続殺人マグ二チュード8」★★☆「槍ヶ岳殺人行」★★★★「白馬岳の失踪」★★★★「南紀殺人 海の密室」★★
中町信
『新人文学賞殺人事件(別題:模倣の殺意)』★★★☆『自動車教習所殺人事件』『高校野球殺人事件(別題:空白の殺意)』★★★★『散歩する死者(別題:天啓の殺意)』★★★
「奥只見温泉郷殺人事件」「十和田湖殺人事件」「心の旅路連続殺人事件」「女性編集者殺人事件」「佐渡金山殺人事件」「阿寒湖殺人事件」
夏樹静子
『黒白の旅路』★★★『蒸発』★★★★『77便に何が起きたか』★★『第三の女』『Wの悲劇』『訃報は午後二時に届く』
新羽精之
『鯨のあとに鯱がくる』★★
仁木悦子
『猫は知っていた』★★★★☆『殺人配線図』★★☆『二つの陰画』★★★☆『冷えきった街』★★★★『赤い猫』★★『灯らない窓』★★★「枯葉色の街で」★★★☆「林の中の家」
西村京太郎
『名探偵なんか怖くない』★★★『殺しの双曲線』★★★★☆『消えたタンカー』『おれたちはブルースしか歌わない』『七人の証人』『終着駅殺人事件』「伊豆七島殺人事件」★★★「鬼女面殺人事件」★★☆

120 :名無しのオプ:2006/07/11(火) 23:42:08 ID:dr++oHL3
林美土里
「美土里くんの『ドライツェーン』」☆半分
半村良
『魔境殺神事件』
平石貴樹
『だれもがポオを愛していた』『笑ってジグソー、殺してパズル』
広瀬正
『T型フォード殺人事件』
深谷忠記
『偏差値・内申書殺人事件』『0・096逆転の殺人』『殺人ウイルスを追え』『房総・武蔵野殺人ライン』「アリバイ特急+−の交叉」★★★「津軽海峡+−の交叉」★★★★
藤雪夫・藤桂子
「獅子座」「黒水仙」
藤村正太
『特命社員殺人事件』★★★
松本清張
『点と線』★★★★☆『ゼロの焦点』★★★☆『黒い画集』『時間の習俗』★★★☆『火神被殺』★★『ガラスの城』「死の発送」★★☆
皆川博子
「妖かし蔵殺人事件」★★★★「知床岬殺人事件」★★★「相馬野馬追い殺人事件」★
三好徹
「帰らざる夜」★★★☆「閃光の遺産」「光と影」★「消えた蜜月」★「幻の美女」★★★
本岡類
『白い森の幽霊殺人』★★★★『青い森の竜伝説殺人』★★☆『飛び鐘伝説殺人事件(別題:武蔵野0.82t殺人事件)』『桜島一〇〇〇キロ殺人航路』『斜め「首つりの木」殺人事件(別題:大雪山 牙と顎の殺人)』「南海航路殺人事件」★★☆

121 :名無しのオプ:2006/07/11(火) 23:43:59 ID:dr++oHL3
森村誠一
「死の軌跡」★★☆「密閉山脈」
山村正夫
『裂けた背景』★★★☆「落日の墓標」★★☆「振飛車殺人事件」★★★☆「東京−盛岡双影殺人」★★★☆「ボウリング殺人事件(球形の殺意)」
山村美紗
『花の棺』★★★★『黒の環状線』★★★☆『死体はクーラーが好き』★★☆『京都の祭に人が死ぬ』
結城昌治
『魚たちと眠れ』★★★☆「ひげのある男たち」「長い長い眠り」「仲のいい死体」
横田順弥
『奇想天外殺人事件』
余志宏
『蒔く如く穫りとらん』★★★
和久峻三
「仮面法廷」「雨月荘殺人事件」
鷲尾三郎
『死臭の家』『悪魔の函』『呪縛の沼』★★★
アンソロジー「ホシは誰だ?」(文春文庫)★★★★「あなたが名探偵」(講談社文庫)

6連投スマソ。
今まで名前の挙がった作品とレビュー作品を纏めてみた。

122 :名無しのオプ:2006/07/12(水) 00:44:55 ID:Zvcyn1Am
>>121
乙乙。
せっかくまとめてくれたんで、WIKIにコピペしておいた。
http://f17.aaa.livedoor.jp/~miggypop/pukiwiki/pukiwiki.php?%5B%5B%A3%B1%A3%B9%A3%B5%A3%B7%A1%C1%A3%B1%A3%B9%A3%B8%A3%B7%C7%AF%A4%A2%A4%BF%A4%EA%A4%CE%CB%DC%B3%CA%A5%DF%A5%B9%A5%C6%A5%EA%BA%EE%B2%C8%C3%A3%5D%5D

徐々に体裁整えて、レビュー本文なんかもこのスレからコピペするといいかも。

123 :名無しのオプ:2006/07/12(水) 03:58:10 ID:ziaGvczH
>俺の「透明な季節」の評価は★★★です。

ども。
最近、笹沢左保『人喰い』読んだけど、正直「え、これで協会賞?」と
思った。ミステリって大進化したんだなあ、って思いました。

124 :3:2006/07/12(水) 11:58:07 ID:gyAoBuWR
>>115
情報サンクスです。元の短編があるとは知りませんでした。

>>121>>122
お二人とも本当に乙でした。凄いです。こうして綺麗に整理していただけると、俺は
適当に紹介していたというのに、立派になって嬉しいです。

>>123
「人喰い」は俺も余り感心しません。読んでなければ「霧に溶ける」や「求婚の密室」を
一番にお勧めします。

ではまた1作紹介。

藤村正太「コンピューター殺人事件」(講談社文庫)★★★
1971年の長編。
経営コンサルタント会社から出向し、コンピューターシステム導入に携わる主人公・江幡。
システム導入による人員削減で労使が緊張状態にある中、コンピューター・ルームでボヤ
騒ぎが起こり、システムに批判的だった課長の死体が発見される。江幡は殺害時に謎の呼び
出し電話を受けてアリバイを奪われ、警察からマークされる事態に。彼は真相を探るべく
事件を追うが、更に第二の殺人が・・・。
第一の殺人は大したことないですが、人間の先入観を利用した、「孤独なアスファルト」でも
使われた手法。第二の殺人における、日本の地域性における或る錯覚を利用したアリバイ工作
は、伏線は張られているが、出来としては今ひとつ。むしろ、消えたロープの謎とか、被害者が
死亡直前に読んでいた本の謎などの小道具や小技が印象に残りました。やや甘いですが星3つ。

125 :名無しのオプ:2006/07/18(火) 10:35:19 ID:YVQ1N5aH
hoshu

126 :名無しのオプ:2006/07/20(木) 02:25:00 ID:QoIVWuQ1
>>124
ども。
探してみますわ。

127 :3:2006/07/20(木) 14:56:15 ID:yoGRXRnq
深谷忠記「阿蘇・雲仙逆転の殺人」(ケイブンシャ文庫)★★★☆
1986年の長編。
伊良湖崎、伊豆の太平洋岸に相次いで漂着したバラバラ死体。被害者は九州・福岡の女性と
判明、彼女とその息子の通う予備校との間には、裏口入学を巡るトラブルが。しかし、一番の
容疑者である予備校幹部にはアリバイがあり、殺人は無論、死体を処分することも不可能だった。
更には、他の予備校幹部もまた、何者かに殺される・・・。
第二の殺人の真相は尻すぼみですが、最後に明かされる、第一の殺人のキテレツなトリックが
凄い。そんなに上手く行くものか、と苦笑しましたが、漂着した死体に付いていた「焼き切れた
ヒモ」など、伏線は実に入念に張られています。死体をバラバラにした真相も納得。先ず先ずの
佳作でしょう。

梓林太郎「風葬連峰」(廣済堂文庫)★☆
1984年の著者の長編デビュー作。別題「北アルプス冬山殺人事件」。
北アルプスで遭難したパーティ。しかし、うち1名は明らかに殺人で、離れたところで
死んでいた残りの2名の死因にも不審な点が。直前になって参加を取り止めた友人には、
名古屋にいたというアリバイが。また、別に起きた女性の遭難事故の関係者にも不審な
動きが・・・。
デビュー作といえば作者の持ち味とか意気込みみたいなものが感じられる筈ですが、
残念ながら登山の場面を除いては全く感じられず、シリーズ作の第何作目かを唐突に
読んだような印象。
アリバイトリックのうち一つは、山にありがちな或る物を使ったもので、確か草野唯雄の
先行作に同種のものがあったようですが、まあ良しとしましょう。問題はもう一つの方。
最後の謎解きで、今までヒントすら無かった事実を「実はこうでした」と明かすのは、
アンフェアを通り越して卑怯。これではダメでしょう。


128 :名無しのオプ:2006/07/21(金) 19:20:12 ID:PWxSGbGb
まだ出てない作品でこんなのはどうでしょう?

笹沢左保
「突然の明日」★★★人間消失トリックが印象的
梶 龍雄
「清里高原殺人別荘」★★★★現在の新本格派も真っ青の驚愕トリック
草野唯雄
「北の廃坑」★★★☆同じ炭鉱ものでも「影の斜坑」より面白い。でもサスペンス系か
小峰 元
「ディオゲネスは午前三時に笑う」★★★この辺から作風変わったような。
麗 羅
「桜子は帰ってきたか」★★★★ロマン+本格風味

129 :名無しのオプ:2006/07/21(金) 19:39:10 ID:cV+Vl1fj
>麗 羅
>「桜子は帰ってきたか」★★★★ロマン

風魔の戦士キタコレ

130 :名無しのオプ:2006/07/22(土) 02:52:35 ID:gQD0wosn
>>128
小峰氏の作風が変わったのを指摘するとは、さすがここの方々は
渋いですねえ。
確か、「ディオゲネスー」はハードカバーでなくなって
サイズも小さくなったんですよね。

131 :名無しのオプ:2006/07/22(土) 13:16:40 ID:V82ExBrT
梶龍雄は過大評価されすぎ。
「清里高原」なんて、かなりしょんぼり。
あの作品の真相は苦し紛れに思いついた感じで、
読者が勝手に「クローズドサークルの新パターン!」と
脳内補完してる面が大きいと思う。

132 :名無しのオプ:2006/07/24(月) 03:41:46 ID:+pVI8Lu0
音楽なんか80年代ミュージックとか、80年代Jポップって言葉あるけど、
ミステリーにも確かに70、80年代それぞれの香りってありますね。
新本格派が出る前で。
歴史ミステリーものとかね。


133 :3:2006/07/24(月) 11:49:49 ID:xooRt8vm
斉藤栄「死角の時刻表」(集英社文庫)★★★★
1972年の長編。
国鉄100周年の年、新幹線が新大阪から岡山まで延長し、全国のSLが引退した頃を
事件の舞台に選んでますが、なかなかの力作。寝台列車に絡むアリバイトリックは、
今となっては珍しくもないのでしょうが、当時としては意表を突いた新鮮なものだっ
たのかも。
むしろ、もう一つのトリックの方に驚きました。実は地の文に矛盾した箇所があるの
でアンフェアだとは思いますが、こっちの方が読者の意表を突いており面白いです。
やや甘いですが星4つ。

深谷忠記「寝台特急『出雲』+−の交叉」(講談社文庫)★★★★☆
1989年の長編。
こちらも寝台特急を使ったアリバイ物。「死角の時刻表」から十数年を経て、どこ
までアリバイ物が進化したか、読み比べてみました。
難攻不落のアリバイが、ちょっとした発想の転換で崩れ落ちる瞬間が非常に印象的。
これぞ本格ミステリの醍醐味。やや説明が煩雑な部分もありますが、今のところ、
この作者のベスト。
因みに、「死角の時刻表」に使われたトリックは、それを検討しても良い状況なのに、
一切触れていませんね。凡庸な警察が「犯人はこうしたんじゃないか?」などと指摘
するかと思ったのですが、それすらもない。そんなに陳腐化したとも思えないのですが。

大谷羊太郎「旋律の証言」(集英社文庫)★★★
1972年の長編を1983年に文庫化する際に全面改稿したもの。
「暗号ミステリ」と銘打ったとおり、元ミュージシャンである作者ならではの暗号が
二つ出てきますが、どちらも効果を上げているとは思えません。楽譜の暗号は、過去に
あった横溝「蝶々殺人事件」などの「演奏できない楽譜」ではなく、ちゃんと演奏でき
て、かつ暗号となっているのは流石ですが、でもそれ以上、何に感心すれば良いの?と
いう感じ。
むしろ密室トリックの方が、バカミスに近いですが、ちょっと前例のない変な仕掛けで、
バカバカしいですが面白かったです。

134 :名無しのオプ:2006/07/24(月) 12:40:16 ID:hVkWH4iG
>>133
斉藤栄「死角の時刻表」はノーチェックでした。
てゆうか、斉藤栄は地雷が多すぎて怖いですw

津村秀介「山陰殺人事件」(青樹社文庫)☆
1984年の長編。シリーズ探偵の浦上伸介初登場作品です。
横浜での連続婦女暴行事件の取材をする浦上は第一容疑者と親しくなりますが、容疑者が山陰で死にます。
警察は自殺と判断しますが、これに疑問を持った浦上は独自の調査を始めます。
退屈で退屈で読むのが辛かったです。>>3が以前レビューした「時間の風蝕」「黒い流域」の方がまともに
思えるくらいに酷い小説です。トリックもしょぼく、著者のワースト作品でしょう。

135 :3:2006/07/24(月) 13:24:59 ID:xooRt8vm
>>134
斉藤栄は、デビューから1973年頃の公務員を辞めるまでの作品ならば、問題ないのではないかと
思います。プロになって以降、現在まで続く地雷原の数々は、ご存知のとおりでしょうけどw

ついでにもう一作。
深谷忠記「『法隆寺の謎』殺人事件」(光文社文庫)★★★
1988年の長編。
法隆寺を巡る古代史の謎は個人的にも好きで、別に色々な本を読みましたが、本書は上っ面を
なぞっただけで肩透かし。でも、本格ミステリとしての構成はしっかりしています。寝台特急
の殺人事件のトリックにはビックリしました。
但し一箇所だけ不満が。「××××であることが、ほぼ確定した」という地の文があるのに、
結局それを全て否定する真相であったのは、「・・・と断定した」と書いた訳ではないですが、
ややアンフェアではないかと。
蛇足ながら、探偵役の壮と美緒、毎度毎度、健康的なのは結構ですが、俺には物足りないです
ね。こういうタイプの探偵の方が、派手なトリックが毎回出てくるシリーズでは、むしろ飽き
られないのかも知れませんが。

136 :名無しのオプ:2006/07/24(月) 19:31:29 ID:LwTtJWLa
まだ出てない作品でアリバイトリックものだとこんなのはどうでしょう?

土屋隆夫
「影の告発」★★★★ 写真を使ったアリバイトリックはクロフツの「多忙な休暇」を
          嚆矢として清張、鮎川と多数ありますが、これも傑作かと。
斎藤 栄
「海の碑」★★★☆  このあたりの作品までは結構読めると思います。 
         
         



137 :名無しのオプ:2006/07/24(月) 20:06:38 ID:UmkBaETd
有名すぎるから出てなかったんじゃね

138 :名無しのオプ:2006/07/24(月) 21:33:06 ID:kPQPqbi3
天藤真とかはどう?短編だと本格っぽいの多いが・・・

139 :名無しのオプ:2006/07/24(月) 21:40:25 ID:Vdnym456
天藤真は専用スレがあるので、ここではスレ違いかと。

140 :名無しのオプ:2006/07/24(月) 21:49:02 ID:Sa9FNiQi
>>139
西村京太郎のレビューもあるから、スレ違いにはならないでしょう。
>>1に「専用スレのない作家」とあるけど、レビューをするだけなら無問題じゃないかな。

141 :名無しのオプ:2006/07/24(月) 23:04:41 ID:UmkBaETd
却下

142 :名無しのオプ:2006/07/24(月) 23:25:50 ID:SEGi+kOp
レビューするだけなら無問題だと俺も思う。


143 :名無しのオプ:2006/07/24(月) 23:27:03 ID:mPSoGaaY
>>63-65

144 :名無しのオプ:2006/07/25(火) 19:11:44 ID:quDZ7W/Z
まだ出てない作品でこんな歴史ミステリはどうでしょう?

多岐川 恭
「姉小路卿暗殺」★★☆
三好 徹
「誰が竜馬を殺したか」★★

どちらも遊び心がなく学術書のような感じですが。

145 :3:2006/07/26(水) 10:35:51 ID:0YdJg3cP
島田一男「その灯を消すな」(春陽文庫)
1957年発表の南郷弁護士物の長編。
奥鬼怒・蚊太の里。平家の落武者の血を引く一族が隠れ住む秘境で、南郷弁護士の旧友が
自動車事故死を遂げた。旧友は旧家の三姉妹の長女と結婚していたのだが、遺産を巡る争い
に巻き込まれたらしい。現地に駆けつける南郷だが、またも次女の夫が火葬場で殺され、
更には次女の愛人である学生もまた・・・。
「上を見るな」に続く、地方の旧家を舞台にした連続殺人という、横溝正史ばりの設定です
が、例の島田一男調の軽快な文体で、おどろおどろしい感じは希薄です。とは言え、本作は
「獄門島」の影響が濃厚。地方の旧家、三姉妹、隔絶された環境という一種の密室状況、
更には、「獄門島」を連想させるアリバイ工作と、やはり「獄門島」的な或る錯誤などなど。
本格ミステリとしての出来は「上を見るな」「去来氏曰く(夜の指揮者)」の方が勝っている
と思いますが、まあまあの佳作。

146 :名無しのオプ:2006/07/26(水) 17:05:19 ID:89KujYHP
>>145
★いくつですか?みっつぐらいかな

147 :3:2006/07/26(水) 17:59:30 ID:0YdJg3cP
忘れてました、失礼。「その灯を消すな」は、そのとおり★★★です。

もう一冊紹介。
アンソロジー「わたしだけが知っている−第1集」(光文社文庫)★★★☆
昭和30年代に放映されたNHKのテレビ番組「わたしだけが知っている」の脚本を収めたもの。
鮎川哲也、土屋隆夫、笹沢左保、夏樹静子、藤村正太、島田一男、渡辺剣次他の作品を収録。
先ずは鮎川哲也。「七人の乗客」は、吹雪で山荘に避難したバスの乗客の間で起きる殺人事件。
アッサリ流した描写が上手く、作者が後に多数書いた倒叙物短編の萌芽があります。「終着駅」
も、これまた吹雪で立ち往生した列車で起こる殺人事件。作者の某短編でも使われた、或る大胆
な心理的錯覚を狙ったものだが、脚本には向かず、効果が上がっていません。
土屋隆夫も2編収録。「死の扉」は学校の宿直室での密室殺人を扱っていますが、作者自身の
既存のトリックの蒸し返し。「地獄の法廷」は駄作。
笹沢左保は1編収録。「見えない道」は、重役令嬢とライバルのBG達(昭和30年代ですから)
の暗闘が描かれ、さすがに笹沢左保、こういう題材は上手いです。足跡トリックの変型ですが、
なかなか奇抜で面白いです。
夏樹静子「ホテルの客」は、映画の撮影で来合わせた俳優、芸能記者、会社社長などの間に起こった
殺人。設定が粗いですが、アイディアは凡手ではありません。
藤村正太「初雪」は病院の一室で起きた一種の密室殺人。足跡トリックと或るトリックの組み合わせ
ですが、テレビドラマで、その或るトリックをどう処理したのか興味深いところ。
島田一男の「暴風雨の宿」は日系移民の帰郷パーティで起こる殺人事件。日系移民二世の、いかにも
昭和30年代風な素っ頓狂なセリフが笑える。「オオ!パパさん!」とか「ミー、プレゼントするヨ」
などなどw
渡辺剣次「割れたコップ」はE・クイーンの某短編と同じでお粗末。「二つの真相」は密室トリック
ですが、これも独創性なし。
なお巻末のエッセイも興味深く、生放送だったため、やり直しが利かず、カメラがクローズアップ
して密室状況を示したところ、部屋のドアが閉まっていなかったとか、シャンパンの栓が抜けなく
なり、生放送の最中に立ち往生したとか、現代では考えられない、のどかな話が紹介されています。

148 :名無しのオプ:2006/07/27(木) 22:19:16 ID:+b5d0Ykd
まだ出ていない作品でこんな連作短編集はどうでしょう?

戸板 康二
「目黒の狂女」(1982年)「淀君の謎」(1983年)「劇場の迷子」(1985年)
      いずれも講談社版、中村雅楽推理手帖の副題あり。すべて★★★
      歌舞伎界の「日常の謎」系ミステリです。
小林 信彦
「神野推理氏の華麗な冒険」(平凡社 1977年)★★★☆ パロデイ系ですが、          
      結構本格やってます。
佐野 洋
「七色の密室」(実業之日本社 1977年)★★★★ 初期の佐野氏はトリッキィな
      作品が多いですね。いろんな密室トリックが楽しめます。
阿刀田 高
「Aサイズ殺人事件」(文春文庫 1979年)★★★ 和尚さんは安楽椅子探偵。


149 :名無しのオプ:2006/07/28(金) 18:03:59 ID:w4Qw46gS
>>148
中村雅楽シリーズは今後創元推理文庫で全作品でるらしい
Aサイズ殺人事件も創元で復刊された

150 :名無しのオプ:2006/07/28(金) 19:39:28 ID:EwSDFBOc
>>148
『七色の密室』はハルキ文庫で復刊されています。
底本にした物よりも収録作が多いそうですよ。

151 :名無しのオプ:2006/07/30(日) 23:24:41 ID:V0LCO7Om
『七色の密室』のハルキ文庫版はたしか『大密室』。
『七色の密室』の収録作+その他の密室ミステリ数編という
収録内容だったと思う。

152 :3:2006/07/31(月) 12:26:38 ID:Z2UiB427
西東登「熱砂の渇き」(講談社)★★☆
1971年の長編。
東京都下・T動物公園で起きた殺人事件。死体は上半身を物凄い力で圧迫されていた。
その謎を警察が追う一方で、別に、アフリカから帰国した男が三流新聞社に「ダチョウの
レース」を売り込みに来る話が展開。どうやら、その新聞社に勤める主人公の過去に絡ん
でいるらしいのだが・・・。
本作を「本格ミステリ」とするのは少々苦しく、途中で犯人はほぼ割れてしまうし、謎解き
の興味を盛り上げる展開も中途半端で、結局、最後に残るのは「物凄い力で圧迫された死体」
の真相と、ダチョウを巡る謎だけとなります。前者は、一般的に知られているものではない
のですが、あの乱歩「類別トリック集成」にあり、彼のエッセイでも印象的な紹介のされ方を
しているトリック(原理は多分、逆でしょう)なので、気付いても良かったのですが。
久生十蘭の短編にも似たトリックがあったような・・・。
もう一つのダチョウの件は、まさか1970年代にもなって、こんな・・・(以下略。どう書いて
もバレそうなので)。そのためか、却って気付きませんでしたが。
「蟻の木の下で」(評価は★★★)と同様、「異様な凶器」のアイディアは買いますが、どちら
も「本格ミステリ」としてのプロットに、根本的な問題があるように思います。


153 :名無しのオプ:2006/07/31(月) 13:03:24 ID:L9UjUUbs
「蟻の木の下で」の結末には悪い意味で驚いたw
それ読んで以降西東登には興味なくしてたんだが
ダチョウの謎が気になるんで「熱砂の渇き」も読んでみるわ

154 :3:2006/07/31(月) 18:31:56 ID:Z2UiB427
>ダチョウの謎
期待しないで読んでくださいw

海渡英祐「新門辰五郎事件帖」(徳間文庫)★★★☆
1985〜1989年に発表された、幕末の侠客・新門辰五郎を探偵役とした連作集。
新門辰五郎は幕末・江戸の火消し「を組」の頭領で、娘が十五代将軍・慶喜の側室となった
ことで有名な侠客。幕末の動乱を背景にした、いわゆる「捕物帖」ですが、さすがは海渡英祐、
トリッキーな作品が多く楽しめます。「神隠し夢隠し」は暗号トリックと消失トリック、
「戊辰の華」はダイイング・メッセージ物、「望郷三番叟」では密室からの消失トリックに
挑んでおり、この3編がベスト。その他「紅蓮の女」「廓の狐」「手向けの芒」「立志編異聞」
「告別の舞」で全8編。全編を通じてトリッキーな捕物帳として、都筑「なめくじ長屋」シリーズ
に劣らず楽しめます。

深谷忠記「札幌・仙台48秒の逆転」(ケイブンシャ文庫)★★★
1987年の長編。
函館で同日に起きた航空機事故と自動車事故と殺人事件が微妙に絡みつつ、最後に一つに繋がる、
という構成は見事だし、何故、犯人は函館へ・・・・・したのか?という謎の真相も面白いのですが、
どこか小説としての面白みに欠けます。航空機事故に絡んだ或る真相も、見破られやすいもので
すし・・・。まあ水準作でしょうか。

155 :名無しのオプ:2006/08/02(水) 19:36:02 ID:mlxcTNsN
まだ出ていない作家でこんな作品はどうでしょう?

岩崎 正吾
「探偵の夏あるいは悪魔の子守唄」(創元推理文庫 1987年)★★★☆
  いわゆる本家取りミステリ、「探偵の四季」シリーズ第1作です。
  その後「秋」「冬」がでるも、3作で頓挫していますね。
  この作者のベストは「風よ緑よ故郷よ」(東京創元社 1989年)★★★★☆

鷹見 緋沙子
「わが師はサタン」(徳間書店 1975年)「死体は二度消えた」(立風書房 1975年)
  覆面作家ですから「まだ出ていない・・」は微妙ですが、トリッキィな作風で
  まずまず楽しめます。ともに★★★

田中 光ニ
「爆発の臨界」(角川文庫 1975年)★★★☆
  ポリティカル・サスペンス。最後のオチは本格に通じるのでは?

156 :3:2006/08/04(金) 10:28:37 ID:jot2Xn6G
海渡英祐「俥に乗った幽霊」(光文社文庫)★★★☆
明治の文明開化の時代を舞台に、新聞記者・有沢を探偵役とした連作集。1987年〜1992年に
発表された短編を収録。
全体として「捕物帖」に近い雰囲気があり、本格ミステリとしては既存のトリックの蒸し返し
に過ぎないのですが、未だ法医学や鑑識が発達していない時代ということで、大技で素っ頓狂
なトリックも違和感を感じませんでした。
表題作は人力車に現れた幽霊騒ぎによるアリバイ工作、「乱菊の庭」は、屋敷の庭で素裸で死んで
いた見知らぬ男を巡る話で、何故、衣服を取られたかの理由に、作者の「吉田警部補物」に共通
するものがあります。「銀座の三度笠」もトリック自体は馬鹿馬鹿しくとも、話の背景が上手い
ので楽しめます。
集中の最高傑作は「吐き出した餌」。豪商の旦那が失踪した事件に絡んで、主人公が元・岡っ引き
の老人に出会い、更にライバル新聞社の記者に岡本某というのがいて・・・、と来れば、捕物帖
ファンなら何の話か分かるはず。が、そう思って読み進めると、まんまと引っ掛かります。某捕物
帖のパロディと見せて、実はその捕物帖の・・・・(以下略)、というユニークさが光ります。

深谷忠記「成田・青梅殺人ライン」(光文社文庫)★★
1984年の、この作者のごく初期の長編。
前半の、大学受験の不正絡みの殺人事件から一転、後半は別の視点から事件を洗い直す、という
構成ですが、残念ながらストーリー展開が「退屈」の一言。メリハリがないというか平板という
か・・・。
でトリックの方はどうかと言うと、あれだけジラされた挙句に、あんな機械的なトリックでは・・・。
脱力しました。あんなにメカニズムを多用すれば、何でも大抵のことは出来ますよ。
同年発表の「甲子園殺人事件」(★★)も、ちょっと小粒すぎるし(ジュブナイルであることを
差し引いても)、この頃の深谷忠記は、未だ実力を出していないですね。

157 :名無しのオプ:2006/08/04(金) 16:24:07 ID:wBMO4w41
>>155
「わが師はサタン」は天藤真名義で出てるね。
ttp://www.tsogen.co.jp/np/detail.do?goods_id=1646

158 :名無しのオプ:2006/08/04(金) 21:36:16 ID:ycPEgjYg
海渡英祐
「出囃子が死を招く」(光文社文庫)★★★☆
同じく明治時代の新聞記者が主人公のミステリ、こちらは長編。
この作者の軽いユーモアの入った作風が好みです。
吉田茂警部シリーズなどは是非創元ぐらいから復刊してほしい。

159 :名無しのオプ:2006/08/05(土) 21:43:46 ID:bAUXJWFv
海渡 英祐
「次郎長開花事件簿」(徳間文庫)★★★☆もあるよ。

160 :名無しのオプ:2006/08/05(土) 21:48:20 ID:9gyAtUeG
海渡英祐ってまだ存命ですよね?
新作でないけど病気かなにかですかね?

161 :名無しのオプ:2006/08/05(土) 22:15:25 ID:6/nTaPPa
わかる方いますか?そして誰も居なくなった。っていう小説を書いてる先生教えてください。

162 :名無しのオプ:2006/08/05(土) 22:50:47 ID:pVoKsoWY
クリスティだって。って、釣りか

163 :名無しのオプ:2006/08/05(土) 23:48:35 ID:6/nTaPPa
クリスティで探せば本屋または古本屋にありますか?最近小説にはまって友人にコレは面白いって聞いたんだけど書いてる人がわからないと言うことだったので。

164 :名無しのオプ:2006/08/06(日) 02:43:58 ID:hh5QTN/U
>>160
ご存命ですよ。
新作が発表されなくなって7,8年になるので、引退されたのかも知れませんね。
加納一朗のように、文庫書き下ろしの時代小説を刊行して驚かしてくれるといいのですが。

165 :名無しのオプ:2006/08/06(日) 13:59:18 ID:PGfyfMXh
>>164
単行本としては「札差弥平治事件帖」(文庫にしろ徳間)以来ですからねぇ。
加納一朗の「あやかし同心事件帖」はびっくりして思わず買ってしまいましたw。亡くなったとか書いてるサイトもあったし…。

166 :3:2006/08/07(月) 10:59:39 ID:lTkXsBns
たまには当時の雑誌の感想でも。

「別冊宝石124号」(1963年12月)
本誌の目玉は、笹沢左保「アリバイ奪取」(★★★★)。ストライキ中の会社を舞台に、組合の暗闘の
中で起きた殺人事件。窮地に立たされた容疑者のアリバイを証明する女性もまた殺される・・・。
タイトルどおりのテーマと見せて、その上を行く着想が際立っています。更に小技のトリックも交えて
おり、看板に恥じない佳作。
斎藤栄「三つの悪い芽」(★★★☆)は、横浜で起きた連続殺人事件。一見関係ない事件を繋ぐミッシ
ング・リンク物で、意外性があり優れてますが、如何せん短編なので、ちょっと唐突な印象。とはいえ
「殺人の棋譜」で乱歩賞を取る前で、駆け出しにしては佳作。
「戦艦金剛」発表直後の蒼社廉三「スターリン・グラード」(★★★)は戦争ミステリ。ソ連軍とドイツ
軍のスターリングラード攻防戦で、行方をくらましたナチス将校を追跡するソ連軍将校が、或るビルの
一室でドイツ軍の残党を見つけるが、という話。同じビルの中で、お互い弾薬の尽きたドイツ軍とソ連軍
が部屋を隔てて睨み合い、そこが最前線だという凄まじいシチュエーションが先ず読ませるし、ナチス
将校が誰なのかを特定する推理など「本格」そのものですが、やはり短編なので物足りないです。たっぷり
枚数を与えて、好きなように書いてほしい作家でしたが、時代が悪かったのか。
時代が悪いと言えば、千葉淳平「13/18・8」(★★☆)。同年の密室もの「或る老後」でデビュー
した、当時としては珍しい密室派の作家らしいですが未詳。本作は機械的な密室トリックですが、この当時、
どれだけ反響があったのか。アマチュアなのか小説として下手なのは目を瞑っても、登場が遅すぎたという
感じです。
日影丈吉「消えた家」(★★☆)はお得意の戦争中の台湾もの。小品ですが、C・ロースン風の消失
トリックを扱っています。
本格ミステリは以上。竹村直伸「裏目の男」、猪股聖吾「シャドー」、新羽精之「素晴らしき老年」は
ブラック・ユーモアというか奇妙な味の佳作。藤村正太「癌」、藤木靖子「学校の階段」はオチが読めて
しまいます。多岐川恭「禁煙法」はちょっとSF風の珍品ですがオチがダメ。川辺豊三「はれもの」も
犯罪小説の傑作ですが「本格ミステリ」とは何の関係もないので割愛。

167 :名無しのオプ:2006/08/07(月) 11:59:22 ID:++BqdB1b
>>165
私も『あやかし同心事件帖』を買いました。
平積みされてるのを見たときは「これは夢……?」と思いましたよw

>>166
千葉淳平は「幻影城」で特集される予定でしたね。
「宝石」か「別冊宝石」のどちらだったかは忘れましたが、インタビュー記事が掲載されていたと思います。
インタビューを含む現時点で判明している短編のコピーを所有しているのですが、どこかに行ったみたいで見当たりません。
「ユダの窓はどれだ」が一番面白かった記憶があります。
「或る老後」は鮎川哲也・島田荘司編『ミステリーの愉しみ4』、「ユダの窓はどれだ」は鮎川哲也編『紅鱒館の惨劇』、
「静かなる復讐」はミステリー文学資料館編『「エロティック・ミステリー」傑作選』に収録されています。

笹沢左保「アリバイ奪取」は同題の本が東方社から出ていますが、短編集なのでしょうか。
斎藤栄「三つの悪い芽」は『赤富士殺人事件』(双葉文庫)に、日影丈吉「消えた家」は『日影丈吉選集 猫の泉』
(河出書房新社)に収録されているようです。

168 :3:2006/08/07(月) 12:27:16 ID:lTkXsBns
>>167
追加情報、サンクスです。
書誌的な事情は全く知らずに手当たり次第に読むだけなので、大変助かります。

ついでにもう一作。
深谷忠記「信州・奥多摩殺人ライン」(エイコーノベルス)★★★
1986年の長編。
あの壮・美緒シリーズの第一作。信州・北アルプス山麓の別荘で起きた殺人事件と、
奥多摩で発見された女性の死体を繋ぐ謎が扱われていますが、これは流石にトリック
を殆ど見破ることが出来ました。かと言って出来が悪いとも思えず、伏線などで作者が
正直すぎるというか、今では非常にポピュラーなトリックなので、ということでしょうか。
このシリーズが現在まで長く続いているところからも、この辺りで作者もスランプ脱出、
そろそろ本領発揮という感じでしょうか。

169 :名無しのオプ:2006/08/08(火) 20:13:21 ID:lKPRJnFD
各作家のナンバー1を決めよう!スレにて、「草野唯雄」作品投票中。

締切りは、平成18年8月11日(金)、〜12:00まで。よろしくご参加を。

http://book3.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1154275629/l50

投票したい作品を<<作品名>>のように<< >>括って投票するのがローカル・ルールになってます。


170 :名無しのオプ:2006/08/12(土) 01:14:53 ID:nTC0Nnsw
このスレはおそらくミス板の中で今一番資料性が高い重要なスレですね
ところで>>3さんの正体をそろそろ明かしてほしいなw 絶対ry
自分がまさにこの時代の国内作家は未知の世界だから老後の楽しみにログだけ保存しておきます

171 :名無しのオプ:2006/08/12(土) 02:30:54 ID:MKhX//ht
斎藤栄「花嫁川柳殺人事件」(カッパ・ノベルス)☆の半分
1985年の長編。タロット日美子シリーズの第2作。
旧友から結婚を目前に控えた従兄弟が自殺しそうなので助けて欲しいと頼まれた日美子は新潟へ向かう。
自殺の方法とは、横溝正史の『本陣殺人事件』を再現するというもの。ある朝、予告通りに従兄弟が密室で
死体となって発見される。
地雷と分かっていて、あえて読みました。『本陣殺人事件』へのオマージュなのですが、酷すぎます。
密室トリックの酷さは勿論のこと、琴の代わりに被害者が唄って録音した(苦笑)『雪のふる街を』が流れている
というのはいくらなんでも……。「この作品を横溝の墓前に」というコメントが作者の言葉にあるのですが、
泉下の横溝は激怒するのでは……。
本作の存在価値は(メル欄)の趣向があるということだけ。
(国内作家では笹沢左保や辻真先がこの趣向を多用していますが、斎藤も度々使っていますね)

172 :171:2006/08/12(土) 02:33:17 ID:MKhX//ht
(メル欄)を書き忘れてました

173 :名無しのオプ:2006/08/13(日) 20:48:43 ID:Ay93M8uk
jazzの中の人?

174 :名無しのオプ:2006/08/14(月) 02:32:42 ID:ZVccv/j7
>>172
なってねえよ〜

175 :3:2006/08/14(月) 11:20:02 ID:uJg9n0LP
>>170
正体も何も、全く無名ですw
スレの初めには、日下さんかと言われたけど、もちろん違うし、有名なネット書評家の人たち
でもないし、ブログもHPも持っていません。
まだ数十作ほどストックがあるので、飽きられるか評判が落ちるまで書き込んでみますので、
どうぞ宜しく。

井沢元彦「陰画の構図」(双葉ノベルス)★★★☆
1984年の長編。
若手弁護士・立花は、かつての恋人がマンションでガス自殺したのを不審に思い、友人の医師・
津村と調査に乗り出した。現場は内側からチェーンが掛かっており、更にはドアの隙間にも
目張りされた完璧な密室だった・・・。
先ず、安っぽい表紙とイラストに辟易し、余りに素人くさい探偵やらおバカな脇役、バブル漂う
ストーリーで、「こりゃ何だ?」と思いつつ読み進めたのですが・・・。
なるほど、ラストまで読んで、納得できました。何故、探偵がベタなのか、わざとらしい展開は
何故なのか、この結末なら、まあ必然的ともいえます。冒頭に繋がるラスト数行も、当時としては
斬新でしょうか。しかし、ここまでベタにしたら、気付かれ易いと思いますね。
なお密室トリックは脱力系。

井沢元彦「修道士の首」(講談社文庫)★★★★
>>59さんが紹介している「五つの首」に先立つ、織田信長を探偵役にした1983年の連作集。
どの作品も技巧を凝らして、戦国時代の風俗とマッチしたトリックを考案しており、楽しめました。
ベストは「不動明王の剣」。密室物だが、トリックよりも何故密室にしたのか?という理由が実に
上手い。
ただ、織田信長は確かに天才的な戦略家で、現代人に近い合理的思考の持ち主だったとは思いますが、
果たしてここまで論理的な考え方をしたのか疑問ですがw

176 :3:2006/08/14(月) 11:32:14 ID:uJg9n0LP
1回で収まらなかった。連投スマソ

井沢元彦「マダム・ロスタンの伝言」(集英社文庫)★★★
行方不明になった美術品などを探し出す「トレジャー・ハンター」永源寺峻を主人公とした1988年の
連作集。
どの話も、依頼品の捜索とともに事件が起こり、その謎解きまでする羽目に、というパターンで、
依頼品がどこにあるかの謎解きよりも、不明となった事情、依頼人が何故探しているのか、という方の
謎解きに力点が置かれ、「盗む」と「探す」の違いはあっても、E・D・ホック「怪盗ニック」と同じ
ですね。さほどトリッキーな仕掛けがある訳でもないが、意外な隠し場所、暗号、アリバイなど工夫を
凝らしています。ただ、どうも全体を通して薄っぺらいというか、当時のバブルな雰囲気が臭ってくる
感じ。

深谷忠記「南紀・伊豆Sの逆転」(ケイブンシャ文庫)★★★
1987年の長編。
南紀白浜で衆人環視の中で起きた大胆な毒殺事件。容疑者と思しき男は潮岬で服毒自殺を遂げるが、偽装
自殺の疑いが。一方、伊豆半島を旅行中の壮と美緒は、地元の友人がその事件に関わっていることを知る
のだが・・・。
>>102さんから勧められて以来、最近はすっかり深谷忠記作品にハマッていますねw。何の変哲も無いミス
テリとも言えますが、一応、「本格」としての水準は、どれも維持しており安心して読めます。
本作は如何かと言うと、メインのトリックに、やや無理があるような気がしますが、まあ合格点でしょうか。
細かいサブ・トリックに面白みがないのが弱点。タイトルの「S」が意味するものは、何故気付かなかった
のか、とまあまあ感心しましたが。
あと本筋とは関係ないですが、結末で作者が美緒の口を借りて、「死刑廃止論」に正面から反対しているのが
印象に残りました。

177 :102:2006/08/14(月) 14:16:58 ID:bFv2cEks
>>3
深谷を気に入ってくださったようで、嬉しいですw

私はあなたがレビューされた『仮面の告発』『新門辰五郎事件帖』を読んで
海渡英祐にハマッてしまいました。師匠の高木より好きになりそうですw

178 :3:2006/08/16(水) 10:36:07 ID:4mNmt/Jg
笹沢左保「暗い傾斜(別題:暗鬼の旅路)」(角川文庫)★★★☆
1962年の長編。
発明家の詐欺に引っかかって窮地に立たされた化学企業の若い女社長が、高知県の室戸岬で
無理心中するが、九死に一生を得て生還。しかし、その同時刻、会社の大株主で、借金を盾に
彼女に結婚を迫る男が東京で殺されていた・・・。彼女の部下である主人公は、真犯人は彼女以外
にいないと確信を持つが、彼女には高知県での心中未遂という鉄壁のアリバイが・・・。
確実性はさておき、このトリックは笹沢左保独自のもので、良く指摘されるように「鮎川、清張
などのアリバイ物とは全く異質のアリバイ物」として評価できます。主人公の葛藤にもリアリティ
があるし、社会への怨念めいた「笹沢節」も絶好調。
なお真相の根幹に、或る女性心理に絡んだものがあり、昭和30年代なら普通でも、現代なら納得
しない読者が多いな、と思われ、普遍的と思われがちな心理的トリックでも、古びてしまうもの
はありますね。

笹沢左保「炎の虚像」(講談社文庫)★★☆
1964年の長編。
「大胆不敵な心理的トリック」(中島河太郎)とのレビューを読み、期待したのですが、幾つか
の点で期待を裏切られてしまいました。
敏腕テレビ・ディレクターが生放送ドラマの収録に遅刻するという不祥事が勃発。そのとき彼は
交通事故に遭い、加害者の新進女優と俳優の家で寝込んでいた、ということで不問に付される。
が、彼を負傷させた加害者が相次いで謎の死を遂げる。その謎をディレクターの友人が追うが・・・。
「大胆不敵な心理的トリック」については、まあ確かにその通りで、恐らくアレをトリックに
使った嚆矢かも。でもかなり確実性に乏しく、当時なら新鮮でも今となっては色褪せて見えます。
例の「笹沢節」も低調、テーマもぼやけ、「動機追及」「犯人探し」「犯行手段如何」の何れに
絞ったのか不明確、破綻とまでは行かないが「あの人物の、あの謎の行動は結局どうなったの?」
と首を傾げる部分も。ラストの捻りが効いているのが救いだが、残念ながら凡作。

179 :名無しのオプ:2006/08/18(金) 22:53:33 ID:j1hkjivE
「読みました」報告・国内編

梶 龍雄「奥秩父狐火殺人事件」(講談社ノベルス 1986年)★★★☆
映画監督探偵シリーズの本格推理。取材で訪れた奥秩父の寒村で旧家の
縁者が次々と殺されて・・と、いかにも二時間ドラマ風の設定ですが、
全編ミスリードと伏線のオンパレードで、さすが梶龍雄です。
特に、犯行現場の時計を操作しながら、それがアリバイ作りのためでない
という捻った論理にうなりました。
女子大生たちのベタな会話口調等がまんして読めばまずまずの本格編といえる
のではないでしょうか。





180 :名無しのオプ:2006/08/19(土) 09:15:49 ID:+Iw9Moze
>>133
深谷忠記、読んだよ。
正直、つくづく自分にトラミスは合わないということがよくわかった。
もうこうなってくるとトリックがどうこういう問題じゃないって感じ。
「審判」には心底感心したし、「島崎警部のアリバイ事件簿」なんかも読んで
時刻表トリックにも免疫つけてからw読んだんだが、やっぱぜんぜんダメ。
もともとトラミス自体ほとんど読んでないが、(島崎警部シリーズのような)
短編と違って長編一作を時刻表トリック一本で読み切るのはこんなにも難作業
であったということを思い知らされた。

181 :名無しのオプ:2006/08/19(土) 23:02:55 ID:M8IP64WH
アリバイ崩しものを時間の密室ものと看破したのは有栖川だったっけ?
ワンアイディアの密室トリックのみで長編立ち上げたの読んでも、へーそーだから何、
みたいに、作者側にトリック発明の高揚感のようなものがあるのはわかるけど、
読者としては何も伝わるものがないというのは、密室・アリバイもの両方ともによくある。

182 :名無しのオプ:2006/08/20(日) 13:01:05 ID:iInA1dUo
鉄ミスは好みがはっきり分かれるからね。
深谷は鮎川同様ロジックに力を入れてる鉄ミス作家だから好きだけど、
探偵コンビに華がないんだよなぁw

>>181
北村薫じゃなかったっけ?(評論家時代、鮎川哲也の解説にそう書いてた記憶が…)

183 :名無しのオプ:2006/08/24(木) 22:28:01 ID:ZvnZfV0/
この時代の各作家の代表作を挙げてみた。
新本格からのミステリ読者はぜひこれらの秀作・怪作を読んでほしい。

佐野洋「死んだ時間」、斎藤栄「真夜中の意匠」、海渡英祐「影の座標」
天藤真「遠くに目ありて」、森村誠一「東京国際空港殺人事件」、笹沢左保「真夜中の
詩人」、梶龍雄「海を見ないで陸を見よう」、仁木悦子『粘土の犬』、中町信「散歩
する死者」、土屋隆夫「危険な童話」、多岐川恭「異郷の帆」、山村美紗『殺意のまつ
り』、本岡類「大雪山・牙と顎の殺人」、深谷忠記「阿蘇雲仙・逆転の殺人」
草野唯雄「北の廃坑」、西村京太郎「殺しの双曲線」、戸板康ニ『団十郎切腹事件』



184 :名無しのオプ:2006/08/25(金) 03:00:54 ID:pdzo/6V4
このスレのおかげで最近ブッコフ巡りが楽しい。


185 :名無しのオプ:2006/08/26(土) 22:52:50 ID:2UgoL9CU
森村誠一の初奇策では「虚構の空路」がピカイチだとおもう

186 :3:2006/08/28(月) 13:36:37 ID:szC5PK35
陳舜臣「天の上の天」(徳間文庫)★★☆
1963年の長編。
中堅商社に勤める主人公が、外国為替管理の網の目をくぐった裏金を又貸しするため、指示された
借り手の所へ行くと、相手は何者かに殺されていた。主人公は表沙汰に出来ない金のため、一部を
猫ババし、警察に追及される羽目に陥りながらも、独自に真犯人の追及を始める。一方、サイド
ストーリーとして、戦争中に日本に強制連行され、その時受けた仕打ちに復讐を誓う中国人がいて、
その相手が殺人事件に絡んでいるらしい。だが、疑わしい人間には、鉄壁のアリバイが・・・。
密室物に偏っていた作者がアリバイ物を手がけた異色作。アリバイ工作自体は良くあるパターンで
すが、陳舜臣の筆にかかると何かしら風格があるように思えるのが不思議。でも小説としては面白
くても、アリバイ物はやはり作風に合ってないというか、どこかシックリこない気がしました。

和久峻三「多国籍企業殺人事件」(角川文庫)★★
1973年の、乱歩賞受賞後第一作の長編。
小さな海運会社を経営する海野。愛人の裏切りに遭って、会社は商社に乗っ取られる寸前に。更に
は、商社から派遣されていた重役が殺され、容疑者とされた海野は、彼を助けてくれる黒幕の要請
で、中東の産油国に飛ぶが・・・。
1960〜70年代に流行った、いわゆる「産業推理」だと思いますが、アリバイ崩しとドンデン返しが
あるというので、期待して読みましたが・・・。
先ず主人公の手前勝手な浮気の話に閉口し、必然性があるのか分からない殺人事件に閉口し、主人公
の逃避行の話が、緊張感ゼロの観光案内っぽくて幻滅し、ようやく終盤になって、アリバイ崩しと
意外な真犯人と、更なるドンデン返しがあるのですが、全て想定の範囲。
当時としては、森村誠一あたりを、やや国際的にスケールアップした味を狙ったものでしょうかね?
凡作。

187 :3:2006/09/04(月) 13:15:09 ID:vsBZ+2eq
一週間置いたが連投となりスマソ

井沢元彦「葬られた遺書」(光文社文庫)★★★
1981〜1987年に発表された作品を収録した短編集。
表題作は、新聞雑誌の記事を羅列する形で、或る天才少女作家のデビューから急死するまでを
描いた作品で、最後に全てを引っくり返す手紙が付いてオチとなる佳作。色々と伏線が張って
あり、楽しめます。「闇夜のカラス」は高校野球が題材。ナイターの練習試合の最中に突然停電
となった瞬間、打球に当たって死んだ選手の謎。トリッキーな仕掛けもあって、ちょっとユニー
クな本格ミステリ。「トライアル・アンド・エラー」は倒叙もの。捻りは効かせていますが、
どこかあり触れた印象。
「盗まれた顔」はストレートな本格ですが、ストーリーが泥臭いのが残念。
「オクタビアヌスの手紙」は暗号解読ものだが今ひとつ。「金の十字架」も、暗号解読までは
興味があっても、その後は凡庸で後味の悪い結末を迎えるだけで惜しい。
「炎の花の女」は駄作、「忠臣蔵内匠絡繰」は小説ではなく、問答形式で忠臣蔵に関する作者の
薀蓄を並べたエッセイ。
以上、まさに「玉石混交」の一冊。

由良三郎「偽装自殺の惨劇」(光文社文庫)★★
1989年の長編。
学園祭に出演予定のロックバンドに脅迫状が届いた。人気を妬む他のバンドのメンバーからの
嫌がらせか?果たして学園祭当日、ステージ上で首吊りの演技をしたバンドのメンバーが本当に
首吊り死体となり、横にいたメンバーもまた、謎の毒殺を遂げる・・・。
まるで愛想のないタイトルはともかくとして、バンドの演奏中に起こった二重殺人事件の謎の
真相が、とにかく面白みに欠けます。首吊りの謎の真相となる、「或るもの」は、恐らく発表
当時に話題となっていたものだったと思いますが、トリックとしては面白くないし、毒殺トリック
の方も「へえ、そうなんだ」とちょっと感心しておしまい。探偵役も印象が薄いし、意外な真犯人
の設定も、最後の最後に別の犯人を用意しましたよ、というだけで、ちっとも「意外」ではありま
せんでした。

188 :名無しのオプ:2006/09/11(月) 15:53:46 ID:5Bwsm1Sc
追悼・小林久三age

189 :名無しのオプ:2006/09/11(月) 17:35:57 ID:IHZedoeQ
やっぱりアカかぶの作者死亡か。

190 :名無しのオプ:2006/09/11(月) 18:34:37 ID:T8LN6Gu2
和久峻三と混同

191 :名無しのオプ:2006/09/12(火) 10:00:31 ID:+kvluLDJ
キュウゾウは何読んでいいかわからんね

192 :3:2006/09/12(火) 12:05:39 ID:d4+E/4fi
日下圭介「女怪盗が盗まれた」(光文社文庫)★★★★
1976〜1988年に発表された本格物・倒叙物で固めた短編集。
巻頭の「正直なうそつき」は推理作家協会の余興に使われた犯人当て物。犯人特定のヒントが
犯罪そのものと直結してないし、密室トリックもバカバカしいですが、伏線はしっかりして
います。
「旅の密室」は列車内の二人の人物の会話から過去の密室殺人事件を解明する作品。密室トリック
がちょっとユニークで、伏線も上手いので合格点。その上、ラストには二重のドンデン返しが
仕掛けられていますが、これは無かった方が良いかも。
「犯人は誰だ刑事は誰だ」はCC物。地震で足止めを食らったバスの乗客たちが避難した旅館には、
拳銃強奪犯と休暇中の刑事が混じっている、それは一体誰なのか?という話。凝った構成で楽しめ
ますが、主役コンビが、いかにも1980年代風の軽薄なヤツなので好きになれません。
表題作も同じく犯人当て物。「犯人は誰だ・・・」に登場した主役コンビがまた登場。またも軽薄な
文章だし、後味が悪いのが残念ですが、犯人当てとしては合格点。
「ポケットの中の時間」は写真を使ったアリバイ物。「へえ、そうなんだ」と感心するだけの話、
「午後五時の証言」も、ちょっとヒネッただけのアリバイ物。
巻末の「蜜と毒」は倒叙物。アリバイ崩壊の決め手となる小道具が動植物を使ったユニークなもの
で、作者の名短編集「鶯を呼ぶ少年」「花の復讐」の傑作群を思わせます。本格ミステリとしては
平凡ですが、独特の暗いムードと、何とも言えない哀愁漂うラストが胸に迫る佳作。
評価はちょっと甘いが星4つ。

193 :名無しのオプ:2006/09/12(火) 19:00:54 ID:wNdLattt
私も日下圭介の初期の短編集を追っかけているところです。
一人称の作品が多くサスペンス作家の印象があったが、
結構楽しめます。
しかし、長編は「蝶たちは今・・」以外に良作はありませんね。
特に「折鶴が知った・・」はひどかった。



194 :名無しのオプ:2006/09/12(火) 20:17:27 ID:LfnGr/9r
各作家のナンバー1を決めよう!スレにて、「梶龍雄」作品投票中。

締切りは、平成18年9月15日(金)、〜12:00まで。1人1票でよろしくご参加を。

http://book3.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1154275629/l50

投票したい作品を<<作品名>>のように<< >>括って投票するのがローカル・ルールになってます。


195 :3:2006/09/15(金) 17:51:53 ID:DAXpmDbm
>>193
確かに、日下圭介の長編は見るべきものはないですね。「血の色の花々の伝説」(講談社文庫)
など、ヒドいものでした。

少々、小物を在庫整理。

皆川博子「光源氏殺人事件」(講談社文庫)★★☆
1985年の長編。
まあ、トリック的にどうこういうレベルの作品ではないし、或る女性の登場人物などは一番嫌い
なタイプの人間だし、ということで評価できませんでしたが、これは「源氏物語」ファンであれ
ば、最初の方で明らかにされている或る事実から、真相を見破ることができるのかも知れません。
その点が一番のトリッキーな仕掛け、というか伏線かも。でもそれだけ。

皆川博子「忠臣蔵殺人事件」(徳間文庫)★
1986年の長編。
うーん、これは失敗作でしょう。一部の登場人物の描き方に中途半端なものがあるし、途中で
作者が興味を失ったかのようなヒドい端折り方で終了。ついでに解説者のトンチンカンさも
最悪。

長井彬「殺人路・上高地」(光文社カッパノベルス)★☆
1986年の長編。
長井彬の山岳物ならハズれでないだろうと思ったら。これまた失敗作。錯綜する人間関係も、
ただ複雑なだけで面白くないし、トリック的にも感心しません。「上高地の三箇所に同時に
現れた女性」の謎も、誰でも思いつくとおりの真相で腰砕け。
主役の刑事の性格設定が、やや面白いだけ。これならトラミス風でベタベタの展開を見せる
「南海殺人海の密室」の方が未だ面白いです。
緻密なプロットと伏線に渋いトリックを積み重ね、更に叙述にも工夫を凝らした「山岳物三部作」
(北アルプス殺人組曲、奥穂高殺人事件、槍ヶ岳殺人行)の傑作群とは大違い。ここが作者の
ターニング・ポイントだったのかも。

196 :名無しのオプ:2006/09/15(金) 18:42:36 ID:QTPrsVZV
3氏のレビューいつも楽しみにしていますが、
できれば「あまり知られていないが意外と秀作」という
ような作品を重点的にお願いしたいですね。
年齢的に読める冊数も限られてきますので。

197 :3:2006/09/15(金) 18:53:49 ID:DAXpmDbm
>>196
了解。でももう、そんなに優良在庫は残ってなさそうです・・・orz
最近では、>>175の「陰画の構図」、>>192辺りが、その条件に近い感じの
作品でしたが・・・・。
まあ在庫分だけでなくリアルタイムでも探求中ですので、暫くお待ちを。

198 :名無しのオプ:2006/09/15(金) 20:58:07 ID:euGTjhU5
自分も実際読もうと思うのは★4つ以上の作品だけだな。
ただ、怪作や異色作なども含めて幅広く紹介していくというのは
有用だと思うので、現行のままで問題ないと思うよ。
>>196氏には頑張って長生きしてもらおう。

199 :名無しのオプ:2006/09/15(金) 22:26:05 ID:p/HIjdxD
俺はこのスレでレビュー・紹介された作品は、可能な限り読むつもりでいる。
(田舎暮らしだから現物を入手するのにてこずってるけど)
このスレを見るまで笹沢・海渡・長井・井沢らにはまったく興味がなかったから、
3氏をはじめとする投稿者の方たちには感謝してる。
玉石混交で構わないんで、今後もいろんな作品を紹介していって欲しいと思う。

余談。
本格じゃないけど、日下の長編「黄金機関車を狙え」は面白く読んだ覚えがあります。

200 :名無しのオプ:2006/09/16(土) 00:49:54 ID:KHfc7BMp
>>3氏やその他の方々のレビューを読んでいても、
いかに埋もれた佳作、傑作というのが少ないかが分かってくる。
色々と壁(駄作)にぶつかることも多かろうと思うけれど、
その壁にぶつかったことも記録として遺してもらえるので、
後年になっても使える資料になると思う。

なので、駄作にぶつかっても、めげずに読んで、紹介してくれる方々を
本当にありがたく思います。

201 :名無しのオプ:2006/09/16(土) 02:25:54 ID:3yyeoARP
駄作を壁だと思うようではこんな酔狂な企画やってられないと思うがw
まぁそれを石だと思う人もいれば玉だと思う人もいるだろうし
3氏が駄作認定した作品も今後もどんどん紹介してほしいな。

ミステリー史としての重要ではない作品でも、高度成長からバブルまでの
“昭和”の資料と言えるものがもしかしたらあるんじゃないだろうか。

202 :名無しのオプ:2006/09/16(土) 05:49:18 ID:YAH059XR
田舎のブッコフは、普通の平成の古本しかないんだよなあ。
昭和の頃の本は年寄りたちは児童館とかに寄付しちゃうし。
(で、汚い本は捨てちゃうんだよね、もったいない)



203 :名無しのオプ:2006/09/16(土) 08:59:48 ID:T1URIgmM
うちもかなりの田舎だけど
ブクオフの105円コーナーでこのスレで
紹介された作家の本がかなりあったので
大変助かった。
田舎のブクオフ限定企画の3冊105円処分品
の中によくみかけるのでこれも大助かり。

せどりもスルーしてくれるのであわてていく必要もないし
このスレのおかげですごく楽しませてもらっています。
紹介してくれた方々ありがとう。これからもよろしく。
(自分も少しづつ開拓してみます。)

204 :名無しのオプ:2006/09/16(土) 10:12:04 ID:KJHv39zc
>>121以降に紹介された作品を纏めてみました。(名前の挙がった作品も入れました)
どなたか、WIKIに追加をお願いします。
http://f17.aaa.livedoor.jp/~miggypop/pukiwiki/pukiwiki.php?%5B%5B%A3%B1%A3%B9%A3%B5%A3%B7%A1%C1%A3%B1%A3%B9%A3%B8%A3%B7%C7%AF%A4%A2%A4%BF%A4%EA%A4%CE%CB%DC%B3%CA%A5%DF%A5%B9%A5%C6%A5%EA%BA%EE%B2%C8%C3%A3%5D%5D

梓林太郎
『風葬連峰(別題:北アルプス冬山殺人事件)』★☆
阿刀田高
『Aサイズ殺人事件』★★★
天城一
『島崎警部のアリバイ事件簿』
井沢元彦
『陰画の構図』★★★☆『修道士の首』★★★★『マダム・ロスタンの伝言』★★★
『葬られた遺書』★★★
岩崎正吾
『探偵の夏あるいは悪魔の子守唄』★★★☆『探偵の秋あるいは猥の悲劇』
『探偵の冬あるいはシャーロック・ホームズの絶望』『風よ緑よ故郷よ』★★★★☆
大谷羊太郎
『旋律の証言』★★★
海渡英祐
『新門辰五郎事件帖』★★★☆『俥に乗った幽霊』★★★☆
『出囃子が死を招く』★★★☆『次郎長開花事件簿』★★★☆
梶龍雄
『清里高原殺人別荘』★★★★『奥秩父狐火殺人事件』★★★☆
日下圭介
『女怪盗が盗まれた』★★★★『蝶たちは今…』『折鶴が知った…』『黄金機関車を狙え』
小林信彦
『神野推理氏の華麗な冒険』★★★☆
小峰元
『ディオゲネスは午前三時に笑う』★★★

205 :名無しのオプ:2006/09/16(土) 10:13:49 ID:KJHv39zc
斉藤栄
『死角の時刻表』★★★★『海の碑』★★★☆『花嫁川柳殺人事件』☆の半分
『真夜中の意匠』
西東登
『熱砂の渇き』★★☆『蟻の木の下で』★★★
笹沢左保
『人喰い』『突然の明日』★★★『暗い傾斜(別題:暗鬼の旅路)』★★★☆
『炎の虚像』★★☆『真夜中の詩人』
佐野洋
『七色の密室』(その後、増補版『大密室』が刊行されている)★★★★
『死んだ時間』
島田一男
『その灯を消すな』★★★
草野唯雄
『北の廃坑』★★★☆
鷹見緋沙子
『死体は二度消えた』★★★
多岐川恭
『姉小路卿暗殺』★★☆
田中光ニ
『爆発の臨界』★★★☆
千葉淳平
「ユダの窓はどれだ」(鮎川哲也編『紅鱒館の惨劇』収録)
「或る老後」(鮎川哲也・島田荘司編『ミステリーの愉しみ4』収録)
「静かなる復讐」(ミステリー文学資料館編『「エロティック・ミステリー」傑作選』収録)
陳舜臣
『天の上の天』★★☆
土屋隆夫
『影の告発』★★★★『危険な童話』
津村秀介
『山陰殺人事件』☆

206 :名無しのオプ:2006/09/16(土) 10:14:55 ID:KJHv39zc
天藤真
『わが師はサタン』★★★(鷹見緋沙子名義で発表)
『遠くに目ありて』
戸板康二
『目黒の狂女』★★★『淀君の謎』★★★『劇場の迷子』★★★『団十郎切腹事件』
長井彬
『殺人路・上高地』★☆
仁木悦子
『粘土の犬』
深谷忠記
『阿蘇・雲仙逆転の殺人』★★★☆『寝台特急『出雲』+−の交叉』★★★★☆
『『法隆寺の謎』殺人事件』★★★『札幌・仙台48秒の逆転』★★★
『成田・青梅殺人ライン』★★『甲子園殺人事件』★★『信州・奥多摩殺人ライン』★★★
『南紀・伊豆Sの逆転』★★★『審判』
藤村正太
『コンピューター殺人事件』★★★ 『孤独なアスファルト』
皆川博子
『光源氏殺人事件』★★☆『忠臣蔵殺人事件』★
三好徹
『誰が竜馬を殺したか』★★
森村誠一
『東京国際空港殺人事件』『虚構の空路』
山村美紗
『殺意のまつり』
由良三郎
『偽装自殺の惨劇』★★
麗羅
『桜子は帰ってきたか』★★★★

207 :名無しのオプ:2006/09/16(土) 10:16:11 ID:KJHv39zc
和久峻三
『多国籍企業殺人事件』★★
アンソロジー
『わたしだけが知っている−第1集』(光文社文庫)★★★☆
雑誌
「別冊宝石124号」(1963年12月)
・笹沢左保「アリバイ奪取」★★★★(東方社から同題の本が出ているが……?)
・斎藤栄「三つの悪い芽」★★★☆(『赤富士殺人事件』(双葉文庫)収録)
・蒼社廉三「スターリン・グラード」★★★
・千葉淳平「13/18・8」★★☆
・日影丈吉「消えた家」★★☆(『日影丈吉選集 猫の泉』(河出書房新社)収録)

4連投スマソ

208 :名無しのオプ:2006/09/16(土) 13:08:43 ID:Mwxq/4oB
小峰元の「ピタゴラス」復刊されたね

209 :名無しのオプ:2006/09/16(土) 23:18:07 ID:+e4UbWqR
このスレの対象1957年から87年といえば、佐野洋でしょう。
ほぼ全期間で作品を発表していますから。
作品的に軽めでド本格とはいえませんが、初期作は秀作がそろって
います。
長編では、
「一本の鉛」(角川文庫 1958年)★★★☆ 処女作。殺人の動機隠しと皮肉なオチ
「透明受胎」(角川文庫 1974年)★★★ 当時としてな斬新なSFミステリ
「狂った信号」(講談社文庫 1976年)★★★「黒衣の花嫁」を髣髴させるミッシング
                     リンクもの。
短編集では、
『銅婚式』(春陽文庫 1958年)★★★★ 最初期の短編集、表題作と「不運な
                    旅館」がトリッキィな傑作
『折鶴の殺意』(文春文庫 1977年)★★★☆ 佐野版「退職刑事」連作短編集。
『完全犯罪研究』(講談社文庫 1983年)★★★☆本格度が高い短編集。講談社
                     文庫の80年代前半の短編集はどれも
                     秀作ぞろいです。


210 :名無しのオプ:2006/09/19(火) 03:42:25 ID:f2ZoHQuP
どうしてピタゴラスまた今更出たんだろう?
理由ご存知の方教えてください。

211 :名無しのオプ:2006/09/19(火) 11:44:27 ID:gVYoxFp9
>>210
超売れっ子になった東野圭吾が「はじめて読んだミステリー」が
小峰の「アルキメデス」(これは合本で入手可能)。

「東野圭吾をミステリーに開眼させた小峰元!」とか
大々的に売り出したいのでは。

212 :名無しのオプ:2006/09/19(火) 14:02:51 ID:VmKCXP0k
帯は「東野圭吾」の文字が大きかったな。

213 :名無しのオプ:2006/09/19(火) 15:26:49 ID:4c6AJ/re
>>211
小峰元を売りたいというよりも、これをきっかけに新規読者に
乱歩賞を売りたいのでは。
あの二作品合本した全集、乱歩賞の知名度のわりにぜんぜん売れてないみたいだし。

214 :名無しのオプ:2006/09/19(火) 16:18:56 ID:tPIu5/Bn
>>213
江戸川乱歩の名前を冠した賞だから鉄板だろう、って乱歩賞ばっかり読み続けてる、
みたいな笑い話もあるくらいだからなあ。
売ることに関してはあまり当てにならないんじゃない乱歩賞は。

215 :3:2006/09/19(火) 17:37:29 ID:zHG5C/MF
色々ご意見もあったようですが、傑作・駄作いずれにも偏らず紹介してゆきたいと思います。

山村美紗「燃えた花嫁」(光文社文庫)★★★☆
「花の棺」「百人一首殺人事件」に続く、キャサリンを探偵役とする1982年の長編第3作。
南禅寺のモデル殺し、ホテルのファッション・ショーでの毒殺に続き、総理大臣の娘が結婚式の
最中に密室状態の控え室で謎の焼死を遂げ、更には女優も撮影所の楽屋で焼死するなど、とにか
く派手な展開で、出だしからグイグイと読者を引き込む手腕は流石。
密室の焼死トリックは、いささか理化学的な現象に頼り過ぎだと思いますが、「現場に残されて
いた百円ライターと灰皿」という小道具のヒネッた扱いが実に上手い。終盤に出てくる或る毒殺
トリックも、小技ながら渋くまとまっています。
しかし真相の一部は、かなりアンフェアなのでは?「そんなの聞いてなかったよ」と言いたい
です。ついでに、ファッション・ショーでの毒殺も納得できず。この方法では被害者は死なない
のでは?(当時、誰か作家か評論家が指摘した有名な話かも)
良くも悪くも山村美紗らしい、豪華絢爛で力業でねじ伏せたような作品。でも、フェア云々と
一部のトリックの現実性を一切無視して評価すれば、こんなに楽しく読めた作品は久々。
「誰でも分かる、面白くて読み易い話」という、ベストセラー作家の持つ良い一面に溢れた佳作
とも言えそうな・・・。
なお光文社文庫版の解説は鮎川哲也。当時、山村を評した「日本のクリスティ」「日本のチェス
タートン」に対して異議を唱え、「日本の×××」と、考えもつかない海外作家を引き合いに
出しています。理由は説明されていますが、これは一寸・・・。詳しくは同文庫で。

216 :3:2006/09/19(火) 17:40:45 ID:zHG5C/MF
連投スマソ

由良三郎「裏切りの第二楽章」(文春文庫)★★★☆
1987年の長編。
弦楽四重奏のコンサートの最中に発生した毒殺事件。毒薬は楽屋で発見されるが、そこは被害者が
中に入ることはもとより、犯人が毒薬を取りに行くことも、また戻すことも出来ない完全な密室
だった・・・。
独創的な毒殺トリック、密室、細かい伏線、最後まで二転三転する真犯人などなど、「本格ミステリ」
の王道を行く内容でありながら、何故かスッキリしない印象が残ります。それは謎の解明に係る
展開がバカ正直すぎるというか、もっとハッタリを効かせて終盤で一気に解決すれば良いのに、最後
まで伏せるべきトリックを早めに解明してしまったり、些細な伏線を後々まで引っ張ったりと、真相
究明に手際の悪さがあるように思えるからでしょうか。実に惜しいけど、その点を除けば佳作。

高橋泰邦「黒潮の偽証」(光文社文庫)★★☆
作者の得意な海洋物ミステリに「本格」風味を盛った長編。1963年、かの東都ミステリーの1冊として
発表。
フィリピンから日本に向かう貨物船が小笠原沖で遭難。実は船長と一等航海士の不正による積荷の積載
オーバーの疑惑が。その一等航海士は密室状態の船室から失踪、飛び込み自殺を遂げたかと見られた。
船長は他の乗員を全て救命艇で下船させ、一人、漂流を続ける船に残る。だが船内には謎の密航者が。
更に、行方不明の一等航海士の遺体が発見されるが、傷跡から他殺と断定される。遭難時に一体、何が
起きたのか・・・。
船内での密室トリックは、取り立てて言うほどの出来ではなく、前半の「海洋漂流冒険」物が、後半、
探偵役の海事補佐人・大滝の取って付けたような登場で分断され、その推理にもまた不満が残ったの
ですが、海洋小説に「本格ミステリ」を取り込もうとした努力を買うべきでしょうかね(確か初出の
東都ミステリー版では、犯人の名は伏せられており、読者はハガキで回答する形式になっていたとか?)。

217 :名無しのオプ:2006/09/23(土) 18:14:01 ID:cNDQv35n
「読みました」報告・国内編2
梶 龍雄「葉山宝石館の惨劇」(1989年 大陸書房)★★★★
専用スレッドで評価が高いので読んでみました。マイナーな出版社とセンスのない
タイトルでほとんど評判にならず、新本格の第三の波に飲み込まれた最後期の本格
ミステリ。
葉山マリーナを臨む洋館で繰り広げられる惨劇、殺された私立探偵が持っていた
藁の十字架は何を意味するのか。
本格に対するこだわりと常に「何か新しい試み」をみせてくれる作者、なるほどこ
れは、まさにそのような作品です。
ほとんどの本格作家が後期の作品になるほどシリーズキャラクターに頼った通俗
ミステリに走るか時代小説など他のジャンルに軸足を移すなか、梶は逆に後期の
作品ほど本格度が高くなっていることは驚きです。

梶龍雄の作品はだいたい次のように分類できると思います。
 @太平洋戦争前後を時代背景とした青春ミステリ(1970年代後半)
   文学性は高いがミステリのトリックに重点が置かれていない作品
   講談社のハードカバーで出版
 A戦前の旧制高校生を主人公とした青春ミステリ(1980年代前半)
   小峰元の影響を受けたと思われる軽めの本格ミステリ作品
   講談社ノベルスで出版
 B現代が舞台のタイトルに「惨劇」「殺人」がつく本格(1980年代後半)
   本格マニア以外の読者を拒絶するようなタイトルの作品群
   講談社ノベルズ以外にマイナーな出版社のノベルス版中心
   Bのなかに「あまり知られていないが意外と秀作」な作品がありそうです。









218 :名無しのオプ:2006/09/23(土) 20:04:23 ID:wtKcStO/
梶龍のマイナーな出版社のノベルス持ってるけど
(このスレや梶スレで未紹介タイトル)、二時間ドラマぽいんだよな

219 :名無しのオプ:2006/09/23(土) 21:31:05 ID:y0uYGbwz
講談社ノベルスは後発だから最初からけっこうなんでもありだったけど、
やはり河童とか他のノベルスは基本的に中年男性向きで制約もあったんだろうね。

220 :名無しのオプ:2006/09/24(日) 02:25:58 ID:sD4JoNtD
>>219
小松左京の『日本沈没』とかも出してたけどね。>カッパ

ところで、個人的に最近、佐賀潜が気になるんだが、わりと早く亡くなっちゃったからな……

221 :名無しのオプ:2006/09/25(月) 01:04:51 ID:wAnMFFes
この時代の海外本格の代表作家はディヴァインでよろしいでしょうか

222 :3:2006/09/25(月) 11:26:20 ID:WWmbixDt
赤川次郎「幽霊候補生」(文春文庫)★★★★☆
「幽霊列車」に続く1979年のシリーズ第2弾。
第1話の表題作が大した出来でないのでガッカリしていたら、以降は傑作揃いでビックリ。
第2話「双子の家」は、双生児の実業家と弟が、それぞれ相手に命を狙われていると夕子と
警部のコンビに訴えるが・・・という話。何となく予想は付いたのですが、大掛かりなトリック
と「割れたガラス窓」の伏線の上手さに感心しました。
夕子・警部コンビが豪邸の留守番を頼まれるが、庭には放し飼いのライオンがいて、という
展開で始まるのが第3話「ライオンは寝ている」。別荘に行ったはずの豪邸の主人が何故か
戻ってきて、庭でライオンに噛み殺されたらしいのだが、夕子の慧眼が、ちょっとした手掛か
りからライオンの冤罪と、余りにも大掛かりなトリックと真相を指摘するのが圧巻。間然と
するところのない傑作。
第4話「巷に雨の降るごとく」は、大学生サークルのキャンプ中に起こった謎の首吊り自殺の
謎に迫る話。偽装工作がかなり意表を突いており、バカミスに近いけど楽しめます。トリック
は全く違うけど、何となく有栖川有栖の某作品を思い出しました。
第5話「眠れる棺の美女」も佳作。金持ちの老人が死んだふりをして、遺産を狙う家族の反応
を見ようと酔狂にも自分の葬式を出すが、棺の中で本当に刺殺されてしまう・・・。これも単純な
事実から真犯人を指摘する手際が実に鮮やか。
以上、シリーズ第1作「幽霊列車」以上の傑作揃い。同時期の泡坂「亜愛一郎」シリーズに
決して劣っていません。ストーリーの雰囲気も、この時期にして1970年代の同僚作家よりも、
後の新本格の短編集に近い感覚なのが凄い。赤川次郎、恐るべし。
ショボい表題作は、イントロダクションだったのだろう、ということで不問に付します(笑)。

223 :3:2006/09/25(月) 11:33:58 ID:WWmbixDt
連投スマソ

山村美紗「京都殺人地図」(徳間文庫)★★★
京都府警の江夏検視官を主人公とする1980年の連作集。
全8話ともトリッキーな仕掛けに満ちており楽しめますが、重要な伏線を後出しにしている
場合が多く、本格ミステリとしては不完全燃焼。
その中で瑕疵の少ない佳作を選べば、密室トリックに挑んだ「少女は密室で死んだ」、生け花
のちょっとした知識で犯人を特定する「水仙の花言葉は死」、指紋で被害者は特定できるのに、
何故か首が見つからないバラバラ殺人が、最後に凄まじい真相に向かう「首のない死体」、意表
を突いた溺死トリックと、作者の新製品好きwが上手く手を結んだ「溺れた女」の4編。残り
4編は凡作。でも決して駄作とは言えないのは流石。

大谷羊太郎「モーニングショー殺人事件」(サンケイノベルス)★★☆
1972年の長編。長らく探しており、ようやく最近入手しましたが・・・。
ワイドショーなどでお馴染みの、人気歌手と昔の知り合いの「ご対面」企画。しかし生放送の
最中に「ご対面」の相手が毒殺される。過去を知られたくない歌手の仕業なのか?だが彼女には
絶対に犯行は不可能だった。更に、秘密を知ったマネージャーもまた密室で殺される・・・。
第一の殺人の毒殺トリックは、単純ながらも常識の裏を突いた、なかなかの出来。でも第二の
殺人の密室トリックは、良くあるパターンで面白味なし。真犯人の設定も伏線不足で満足できず。
最初の毒殺トリックが面白いだけの話。

224 :名無しのオプ:2006/09/25(月) 13:52:06 ID:X1PTecAr
3氏、いつも乙です。
赤川の幽霊シリーズは「候補生」までは面白いとよく聞きますが、
第3集以降はどうなんでしょうか?

225 :3:2006/09/25(月) 18:06:55 ID:WWmbixDt
>>224
はい、俺の赤川次郎のストックもこれで終了ですので、第3集含め、他の赤川次郎作品は今後の課題です。
「幽霊候補生」が素晴らしかったので期待してますが、果たして・・・。

オマケ。
深谷忠記「倉敷・博多殺人ライン」(光文社文庫)★★★☆
1992年の壮・美緒ものの長編。
本作は珍しく、派手なトリックを一切使わず、「三重に封印された封筒」の謎だけを手掛かりに、細かい
矛盾や錯綜する人間関係をほぐしてゆくことで解決に導くパターン。それと巧妙なミスリーディングに
よる真犯人の設定がミソ。それに騙されれば読者の負け、見破れば作者の負けでしょう。地味だけど、
隅々まで考え抜かれた佳作。
しかし、ストーリー展開と探偵役その他の人物設定等は、もうマンネリの域を遥かに超えてますね。
俺は飽きが来てないですが、合わない人には、このシリーズを読み続けるのは、かなりの苦痛かも。

辻真先「東海道36殺人事件」(光文社カッパノベルス)★★★
1989年のスーパー・ポテト物の長編。
「アカ・サカ・ノ」というダイイング・メッセージの真相はまあまあ。その他のトリックもストーリー
展開も今ひとつですが、意外と細かい伏線を張ってあるので、その点は楽しめました。或る人物のさり気
ない描き方など上手いもの。

226 :名無しのオプ:2006/09/30(土) 20:08:38 ID:i4vREc3X
「読みました」報告・国内編3

梶龍雄「蝶々死体にとまれ」(1984年 中央公論社)★★★☆
後に「幻の蝶殺人事件」と改題され廣済堂文庫より出版。

学園祭中の昆虫同好会部室で女子学生が変死し展示されていた幻のアゲハ蝶が
消えた。この蝶にまつわる関係者が連続して密室で襲撃され探偵に乗り出した
シラケ女子大生たちは、ある罠を部室に仕掛け犯人をおびき出そうとするが・・
連続した三つの密室トリックもさることながら、この作品は動機の隠蔽が一番の
読ませどころです。いつもながら伏線の張り方が巧でミスリードも効いています。
一種のミッシングリンクものともいえるでしょう。じっくり読むことをお勧めし
ます。


227 :3:2006/10/02(月) 13:57:51 ID:ShzWie3D
今回は怪作、駄作を紹介します。

島田一男「黒い事件簿」(春陽文庫)(採点不能)
これは1960年代の南郷弁護士物の短編集。流石に、こちらも最初から本格ミステリなど期待して
いませんでしたが、アクションとテンポだけかと思いきや、どの作品にも、意外と伏線が張られて
おり、一応、フーダニット物として、それなりに読めるのには驚きました。
ショボい、使い古しのトリックながらも、アリバイ工作やら密室トリックまで飛び出して、凄いの
か、メチャクチャなのか良く分かりませんw

大谷羊太郎「青春の仮免許」(祥伝社ノンノベルス)★
1979年の長編。
強盗事件が発生。一味に縛り上げられた被害者はカーテンの隙間から逃げてゆく犯人一味を見届け
ようとするが、次の瞬間、彼らは不可解な消失を遂げてしまった・・・。
それから20年後。東大を目指して受験勉強中の浪人生の主人公は、謎の失踪を遂げた父親を探す
うち、姉の自殺の謎を追う女子高生と知り合いになり、父親の愛用したバイクで事件を追うが、
20年前の強盗事件が深く関わっているのを知る・・・。
これはバイクに託して主人公の成長を描いたビルドゥングス・ロマンですね。しかし、本格ミステリ
として見るべきところは殆どなし。ただ、何が凄いと言って、最初の強盗事件のプロローグの末尾に
「読者への挑戦」が入っているところでしょうか。人間消失の謎は最後にエピローグで解かれるのです
が、余りに古典的なトリックでガッカリ。ともかく、最初の20ページ足らずで「読者への挑戦」が出て
くるミステリは初めて。しかも主な伏線や手掛かりはそれ以降に示されているので、まるで意味なし。
大谷羊太郎、衰えたり。読むなら、これ以前の1970年代前半の作品群でしょうね。

228 :名無しのオプ:2006/10/02(月) 19:09:17 ID:/3u3jz5h
「大谷羊太郎、衰えたり」に異論。
初期作を2冊読んだが文章トリックともヒドイ出来でした。
3氏の評価に疑問符ですね。ちなみに読んだのは「殺意の演奏」(1975年)
「深夜の訪問者」(1977年)です。


229 :名無しのオプ:2006/10/02(月) 20:35:31 ID:ruCwPmQ1
大谷羊太郎は短編が案外良い

230 :名無しのオプ:2006/10/02(月) 21:30:06 ID:YOkKpwcC
「殺意の演奏」は名作でしょう。

231 :名無しのオプ:2006/10/02(月) 21:47:53 ID:KVSdJ76+
『殺意の演奏』は乱歩賞の中でも面白かったです。
ただ、大谷なら1980年代の作品も面白いですよ。
『大密室殺人事件』などですね。
もうちょっと後で書かれていたら、トリッキーな作者ということで
それなりに受けたかと思われます。

232 :名無しのオプ:2006/10/02(月) 22:05:15 ID:RG3uaDZk
1980年代前半の大谷作品は駄作が多い
80年代末からの光文社文庫書き下ろしから、また面白くなってきますよ
『大密室殺人事件』はこの時期の大谷作品の代表作の一つですね

233 :名無しのオプ:2006/10/03(火) 08:12:31 ID:Y4X4Nz8z
大谷の作風の変化は
ttp://www.asahi-net.or.jp/~JB7Y-MRST/YUT/SP/Ootani.html
のインタビューを読めば判る。
出版社の事情のせいで書きたくても書けない作家が結構いるのかもしれない。

俺は大谷はダメです。
先ず『小説』としてぜ〜んぜんおもしろくないもん。

234 :3:2006/10/03(火) 10:49:23 ID:DXW+G5kB
あっ、珍しく反響が。
「衰えたり」と書いたのは、これ以降の「濡れ衣を着る男」他の「〜の男」シリーズがダメダメで、
更に、力作と聞いた「悪人は三度死ぬ」も、ただ色々なトリックのアイディアを無雑作に投げ出した
だけでストーリーと上手く絡み合っておらず、謎が投げやりに解決されてゆくだけに思え、こりゃ
もうダメだな、と思ったからです。
でも実は、お勧めの「大密室殺人事件」や「複合誘拐」を未読なので、俺の早トチリの失言だった
かも。スミマセン。

あと、「殺意の演奏」も「深夜の訪問者」もダメ、と仰る方は・・・。うーん、目先を変えて、
「殺人航路」は如何?「殺意の演奏」の文章の生硬さもなく、芸能界ネタからも離れているので。

オマケ。

梶龍雄「天才は善人を殺す」(徳間文庫)★★☆
1978年の初期長編。
梶龍雄は別に専用スレがあるけど、そちらにも、またここでも挙がっていない作品ということで
本作を紹介。
この作者の現代物ミステリといえば、例のスゴい言語感覚によるヘンな若者言葉が炸裂するのでは、
と危惧しましたが、心配したほどのことはないようで。但し「シラけ」「セマる」の変な誤用には
辟易しましたが。
密室トリックや、キャッシュ・ディスペンサー犯罪の手口など面白くもあるのですが、やはり当時の
ハイテクに絡めた仕掛けは、三十年近くも経ってみれば、どうしようもなく古びてしまうもので、
今やこの手口は通用せず、梶龍雄風に言えば、「白け(ルビはホワイトキック)で処置なし(ルビは
ショチレス)なのダ」。
ただ、それ以外にも意外な真相が用意されていたりして、色々工夫の跡が見られますけどね。

235 :名無しのオプ:2006/10/03(火) 19:04:20 ID:w4dGBN/Y
「大谷羊太郎、衰えたり」に異論の人の言いたかったのは、衰えるもなにも最初から
たいした作品を書いてないじゃないか、という意味ですね。

「読みました」報告・国内編4

梶龍雄「真夏の夜の黄金殺人」(1988年 トクマノベルス)★★★☆
千葉県外房海岸にひょんなことから集まった早稲田と慶応の学生各4人組が
黄金で彩られた邸宅の強盗殺人に引き込まれ・・・推理早慶戦の副題あり。
前半は舞台が夏の海岸ということもあり、名作「海を見ないで陸を見よう」を
思わせる郷愁にみちた恋愛ミステリ風、事件発生後は旧制高校シリーズ風と
なかなか凝った構成ですが、トリックが梶にしては平凡。まあ標準作です。



236 :名無しのオプ:2006/10/03(火) 20:21:03 ID:sZo149rN
各作家のナンバー1を決めよう!スレにて、「宮原龍雄」作品投票中。

締切りは、平成18年10月6日(金)、〜12:00まで。1人1票でよろしくご参加を。

http://book3.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1154275629/l50

投票したい作品を<<作品名>>のように<< >>括って投票するのがローカル・ルールになってます。


237 :3:2006/10/06(金) 12:20:46 ID:AGgizvsF
>>235
そういう意味だったのですか。・・・決してそんなことは無いと思いますけどね。

井沢元彦「謀略の首」(講談社文庫)★★★★
1992年発表、織田信長シリーズ第3弾の長編。
石山本願寺を制圧しようとする織田信長は、鉄造船を造って、大阪湾を制圧する毛利方の
村上水軍を蹴散らし本願寺を包囲しようと図る。一方、本願寺を助けて織田を牽制しよう
とする毛利方は、あの手この手の謀略を仕掛けてくる。鉄造船の建設現場にも何者かの邪魔
が入り、更には織田信長の身辺にも危機が及んでくる。敵のスパイは一体誰なのか・・・。
このシリーズはどれも秀作揃いですね。グイグイと引っ張り込まれるパワーとスピード感
を持っています。
スパイの正体や暗号解読などは在り来たりですが、謀略を一つ一つ論理的に解明する織田信長
の推理は見事なもの。裏の裏の、そのまた裏をかいた結末も決まっています。

山村美紗「京友禅の秘密」(講談社文庫)★★★
1983年のキャサリン物の中・短編集。
表題作、和服に友禅染めで残されたダイイング・メッセージ、というのは一寸やり過ぎでは、
と思いますが、日本間の密室トリックは、長編「花の棺」同様、襖と障子に関する日本人の
常識の裏を衝く、なかなかの出来栄え。
「哲学の小径の少女」は足跡トリックですがトリック自体は平凡な出来。ただ、悲惨な話で
後味も良くないのに、何故か心に残る佳作ではないかと。
「謎の新聞広告」とは実もフタもないタイトルですが、誘拐物を一捻りした一発アイディア
もの。
「エアロビクスは死の匂い」は電話に関するアリバイ物ですが、この類のトリックはもう飽き
飽きしました。
巻末の「十条家の惨劇」は中編。トリックに見るべきものはないですが、最後に明らかになる
真相に、ちょっと意外性あり。

238 :名無しのオプ:2006/10/08(日) 18:39:00 ID:zeeUQWkE
「読みました」報告・国内編5

斎藤栄「紅の幻影」(1980年 講談社文庫)★★★☆
犯人が仕掛けるトリックではなく、作者が作品全体に仕掛ける趣向を、斎藤はストリック
(ストーリー+トリック)と称していたが、この作品はその実践第1作。
今でいう叙述トリックとは若干意味合いが異なるが、まあその類の本格ミステリ。
初期の中町や折原を読んだ今の読者には、ものたりない感があるかも。
なお、この作品は春陽文庫では「勝海舟の殺人」として出ていました。

239 :名無しのオプ:2006/10/09(月) 18:04:20 ID:RKgnqHGg
小峰先生からミステリーにハマッた者ですが、
すごい良スレですねえ。稀有ですよ、こんなスレ。
みなさんのミステリーと
時代と文化に対する愛を感じます。これから勉強させて
いただきます。

240 :3:2006/10/10(火) 11:54:42 ID:mGaWaH5z
赤川次郎「ミステリ博物館」(角川文庫)★★★★
1982年の、ミステリのトリックや趣向、小道具などの名称でタイトルを統一した短編集。
「密室」は、泊まると謎の死を遂げるという伝説の残る離れの四阿で起こった殺人事件。だが四阿は
密室どころか、屋根も壁も残っておらず、室内が丸見えになっていた・・・。屋根と壁が消えてしま
った真相が見事。タイトルの意味が笑えた。
「人間消失」はホテルで俳優が評論家に殴られ、友人が入ってみると、評論家は消えていた、しかも
クローゼットから女優の他殺体が発見されて、という話。事件の組み合わせ方が上手い。
「脱出」は縄抜けを得意とする奇術師がパーティの余興で、縛られた上に鍵の掛かった室内から脱出
しようとするが失敗、密室内で殺されていたという話。J・D・カーやE・D・ホックを強く意識した
佳作。
「怪談」は新任の幼稚園教師が一年前に死んだはずの園児の幽霊に出会うが、実は・・・。これは
北村薫ふうの佳品ですね。幽霊出現の動機が上手い。
「殺人予告」は一年前に強盗事件で死んだ男の妻のもとに、何故か一年前の事件の予告状が届くが、
という話。ちょっとアッサリし過ぎか。
「幽霊屋敷」はパーティの余興で本当に幽霊が現れて、という話だが、手が込んでいるけど、ちょっと
ゴタゴタしており、スッキリしません。
「汚れなき罪」は、死刑執行の後、真犯人が刑事の前に現れ、人の良い刑事は冤罪の死刑囚の娘に
詫びに行くが、という話。まあまあの出来。
少なくとも前半の4作は傑作。初期の赤川次郎は、やはり凄いです。

241 :3:2006/10/10(火) 11:57:16 ID:mGaWaH5z
連投スマソ

斉藤栄「方丈記殺人事件」(光文社文庫)★★★★
1979年の長編。
「方丈記」を研究する大学助教授の宇賀神は、研究成果を巡る大学の勢力争いから、命を狙われて
いると友人に告げて消息を絶つ。一方、大阪では寺の三重塔内でサラ金の女社長の他殺体が。なお
三重塔は密室状態にあった。一見無関係にみえた二つの事件の接点は・・・。
権田萬治の解説に「ドンデン返しが見事」とあったけど、まあ大したものでないだろうと思って、
素直に読み続け、「もうページも少ないのに、二つの事件が一向に結びつかないけど、一体どう
なるの?」と思っていたら、まんまと術中にハマってしまいました。お見事。
但し、微妙な伏線や、表現ぶりの周到な部分もあるとは言え、これは現代の基準から言ったら、
ちょっとアンフェアかも。とにかく余り考えずに淡々と読めば、結末の驚きは大きいはず。
なお三重塔の密室トリックはバカバカしい、というか、バカですw

津村秀介「虚空の時差」(祥伝社ノンポシェット)★★★★
1983年の初期長編。
新幹線の車内で勃発した毒殺事件。警察の捜査の結果、容疑者が二人に絞られるが、事件が起きた
とき、一人は大阪から博多に向かう新幹線の中に、もう一人は、羽田から九州に向かう航空機の
機内にいたという鉄壁のアリバイが・・・。
初期の「黒い流域」「時間の風蝕」に比べて、破綻せずに手堅くプロットを練っており、破れそう
でなかなか破れないアリバイへの興味で結末まで読ませます。トリックそのものも、一箇所だけ
危ない部分もあるものの上手く纏めてます。佳作といって良いでしょう。

242 :名無しのオプ:2006/10/10(火) 20:20:06 ID:1RANRwb5
各作家のナンバー1を決めよう!スレにて、「海渡英祐」作品投票中。

締切りは、平成18年10月13日(金)、〜12:00まで。1人1票でよろしくご参加を。

http://book3.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1154275629/l50

投票したい作品を<<作品名>>のように<< >>括って投票するのがローカル・ルールになってます。


243 :名無しのオプ:2006/10/11(水) 01:00:21 ID:NHFaaDEk
>>241
方丈記殺人事件は昔手に取ったこと合ったけど、冒頭で方丈記の原本を指して
こんな走り書きなら方丈記そのものは半日から一日で書けるだろうという箇所を読んで
アホかと思い放り投げたことがあったけど、
今から考えたらもったいないことしたのかな?

244 :名無しのオプ:2006/10/11(水) 01:06:56 ID:cIxOBdY8
ミステリと関係ないじゃんそんなの

245 :3:2006/10/11(水) 13:13:18 ID:XLAbhATW
>>243
「方丈記」に関する作者の薀蓄やら隠された暗号の件などは、確かにバカバカしいですね。
しかし、それは無視しても、結末は十分に楽しめるので、ぜひ再読を。

草川隆「寝台特急出雲・殺意の山陰路」(青樹社文庫)★★☆
1987年の長編。
歌手のキャンペーンで松江に行った歌手、作曲家、芸能誌記者らの一行。だが帰りの寝台特急の
個室内で作曲家の秘書が刺殺された。第一発見者の芸能誌記者は、死体発見の瞬間、何者かに
殴打されて気を失ってしまう。彼が犯人でないとすると、関係者全員にアリバイが。そして東京に
帰った関係者を巡って第二の殺人が。だが、この時も関係者にはアリバイがあった・・・。
この作者の作品を初めて読みましたが、本作は不発でしたね。車内のアリバイ工作も、第二の殺人
のアリバイも、単純で、しかも独創性が殆どなし。ただ、第一の殺人のアリバイ工作に関して、
実に大胆な手掛かりが、序盤から何度も明記されていたことにだけ感心しました。それだけ。

赤川次郎「幽霊愛好会」(文春文庫)★★☆
1983年の「幽霊」シリーズ第3弾。
起承転結の上手さ、特に意表を突いた真相は相変わらず冴えていますが、残念ながら、そこに
至るまでの伏線不足が目立つし、トリッキーな趣向も衰えてきて、前2作に比べて格段に落ちる
としか判断できません。噂どおり、「幽霊」シリーズは第二作まで、ということでしょうか。

246 :名無しのオプ:2006/10/13(金) 21:23:04 ID:6GdgBwu7
仁木悦子のノンシリーズ長編を何冊か古本屋で入手しました。
いままで仁木兄妹シリーズの長編や短編集しか読んでませんでしたが、
本格ミステリの秀作ぞろいで驚きました。独特のほのぼの感と哀愁にあふれ
「昭和」の時代を感じさせてくれます。
お奨めはこの3作品。いずれも★★★☆です。
「二つの陰画」(1981年 講談社文庫)
「枯葉色の街で」(1982年 角川文庫)
「陽の翳る街」(1984年 講談社文庫)

247 :名無しのオプ:2006/10/13(金) 22:12:52 ID:VixOzRn/
>>246
本格かどうかは微妙だが、三影潤シリーズも忘れないであげてね…
むしろミステリ度と物語性のバランスは仁木兄妹シリーズより良いんじゃないか
と個人的には思う。

248 :名無しのオプ:2006/10/13(金) 23:54:57 ID:6GdgBwu7
三影潤シリーズ?
「冷えきった街」(1980年 講談社文庫・長編)
『緋の記憶』(1983年 講談社文庫・連作短編集)
内容忘れたけどハードボイルド系でしたか?
しかし題名に「街」が多いね。



249 :名無しのオプ:2006/10/14(土) 00:00:57 ID:a5x04C3u
>>248

三影潤シリーズは出版芸術社から『探偵三影潤全集』として
全3巻に纏められましたね。
長編は『冷えきった街』のみで、あと既存の短篇集に散らばっていた作品を
色のイメージで分けて収録してあります。

250 :名無しのオプ:2006/10/14(土) 21:40:22 ID:gW/LQxQh
「読みました」報告・国内編6

梶龍雄「青春迷路殺人事件」(1985年 講談社ノベルス)★★★
のちに「我が青春に殺意あり」と改題され徳間文庫より出版
旧制高校シリーズ第4作。旧制一高野球部のエース投手の兄が殺された事件を
なぜか旧制三高生が上京し一高生と共に探偵に乗り出すという話。
アリバイトリックは平凡ですしミステリとしてはあまり評価できません。
銀座のカフェ女給と学生との交情など他の部分で読ませはしますが。



251 :3:2006/10/16(月) 12:21:44 ID:kuPjYFu0
専用スレもあるし、何を今更という感じですが、一応、この作家の作品にも触れておきます。

内田康夫「後鳥羽伝説殺人事件」(角川文庫)★★★
1982年の、あの浅見光彦のデビュー作。
後鳥羽法皇の隠岐島への流罪を巡る伝説を調べて旅行していた女性が、広島のローカル線の駅で
殺される。地元署の刑事は県警本部から派遣された若手エリート警部と対立しながらも事件を追う
が、迷宮入りの様相を呈してきた。その時、事件の関係者の家族として登場するのが、あの・・・。
ローカル線の事情を利用した巧妙な犯行、浅見の、細かい事実や矛盾点を突く推理、そして意外な
真犯人など、「本格」として佳作になり得るのに、ストーリーの流れというか、文章の些細な表現
などから、「意外な犯人」を容易に予測させてしまっているのが残念。表現に配慮しつつ、もう一寸
伏線とレッドヘリングを増やすなりすれば、フーダニット物の傑作になっただろうに。
ただ2時間ドラマのイメ−ジとは全く違うので、読んでみる価値はあり。

内田康夫「平家伝説殺人事件」(角川文庫)★☆
1982年、浅見光彦物の第2作。
詐欺らしき犯罪計画を画策する三人の男女。やがて起こる客船からの行方不明事件。事故を装った
保険金詐欺なのか?しかし、関係者が密室のマンションから謎の転落死を遂げる。三人の男女に何が
起こったのか?
文庫版あらすじの「密室トリックと想像を絶するドンデン返し」に惹かれて読んでみましたが、この
文章こそ詐欺だよw
マンションの密室トリックは、古典的な手口で萎えるし、「ドンデン返し」に至っては、あの真相
レベルでは噴飯もの。容易に予測できる範囲。
それより気になるのは、第一作では抑えられていたメロドラマ的な要素に、比重が傾きつつあること。
「本格」の皮を被っただけのメロドラマを、「新感覚の本格派」と褒めた、解説の権田萬治を恨み
ますw

252 :3:2006/10/16(月) 12:23:19 ID:kuPjYFu0
連津スマソ

山村美紗「ヘア・デザイナー殺人事件」(光文社文庫)★★
1985年のキャサリン物の長編。
ニューヨークで活躍した美容師を巡って起こる連続殺人。美容院のガラス張りの個室の密室殺人、
衆人環視のマンションから消えた凶器、日本旅館の密室殺人・・・。
二つの密室トリックは、一つは手品の基本的なトリックでしかないし、もう一つは、はっきり
言ってアンフェア。しかも余りにも有名な古典の海外作品と同趣向とは・・・。
この作品で唯一出来が良い点は、第二(第三かな?忘れた)の殺人の凶器の意外性。まさかアレが
鈍器として使えるとは思いもよりませんでした。どこの家にもある物で、俺もソレを試してみま
した。致命傷を与えられるかは分かりませんが、これは相当なもの。
この作者も、この辺りから、そろそろ衰えが見えてきた感じ。

253 :名無しのオプ:2006/10/16(月) 14:08:21 ID:zw3s7Fo6
初期の内田康夫は本格ミステリ寄りの作品を書いてますね。
(死者の木霊、後鳥羽伝説殺人事件、パソコン探偵の名推理など)
謎解きがメインのミステリは苦手と言っているので、本格寄りの作品は書かれなくなった
のは仕方ないのでしょうが。


254 :3:2006/10/17(火) 17:47:08 ID:ii3hwp+I
嵯峨島昭「踊り子殺人事件」(徳間文庫)★★★
1972年の長編。作者の正体は、芥川賞作家にして特異な文体で名を馳せたポルノ小説作家。
セールスマンの久里村は出張中にレズのショーダンサー二人連れと知り合い、意気投合して
京都まで同行するが、ダンサー殺しに巻き込まれる。レズの女性達は或る男から恨まれてい
るらしく、事件現場にもその男の影が・・・。
作者の正体から、猥雑なC調小説かと思ったら(実際、そういうシーンもあるが)、意外に
も淡白な印象で、もの悲しい独特の雰囲気があります。謎の真相には甘い部分もありますが、
実はこの作品の凄いところは、メイントリックが、やや極論ですが、泡坂妻夫の某作品の先駆
であるところ。もちろん、あれほど洗練されてないし、伏線の張り方もヘタだし、「何で気付
かないの?」とも思いますが。プロットも意外なほどしっかりしており、この作家が、これ
ほどのミステリを書けるとは驚きました。

高柳芳夫「摩天楼(ニューヨーク)の弩」(徳間文庫)★★☆
1983年発表の長編。
ニューヨーク郊外にある豪邸で、日本のコンピューターメーカーの現地支社長が、雪の積もる
玄関先で、中世の武器・弩により射殺された。実は彼には産業スパイの容疑がかかっており、
庭で彼を見張っていた会社幹部らの眼前で、姿なき犯人によって殺されるという不可能犯罪
だった。会社の計略でスケープゴートに仕立てられ逮捕された社員の町田は、友人に事件の
調査を依頼、獄中から真犯人を追及してゆく・・・。
産業スパイ合戦のリアルな内幕描写の重厚感で、読み応えのある作品に仕上がったものの、
「雪に覆われた邸宅での弓による不可能犯罪」のトリックが、J・D・カーばりとは言え、彼の
凡作・駄作におけるトリックのパターンに近いのが残念。あと登場人物が少ないのに、二転
三転する謎解きに拘ったことから、結末を待たずに真犯人が一人に絞れてしまうのも欠点。
ニューヨークの街の描写も月並み。他のドイツ物の作品に比べて、やや劣る出来栄え。

255 :3:2006/10/17(火) 17:49:41 ID:ii3hwp+I
連投スマソ

島田一男「波の墓標」(廣済堂文庫)★☆
1970年の長編。
第二次大戦中に満州で私兵を指揮し、中国軍に処刑された筈の「満州のジャンヌ・ダルク」川浪珊子が
今も生きている!?新聞の論説委員・西島は、来日した中国人・陳青江の依頼を受け、川浪の生死を
調べ始める。どうやら、処刑された川浪は影武者による別の人物で、更に、川浪の秘書だった女性も
整形手術を受け、彼女の影武者になっているらしい。西島は当時の関係者を訪ねて高知へ飛ぶ。だが
先回りする謎の人物により、一人、また一人と、秘密を知る者が殺されてゆく。更に西島は、川浪の
実家がある山形・酒田に赴くが、そこで彼を待ち受けていたものは・・・。
川浪珊子のモデルは、「東洋のマタ・ハリ」「男装の麗人」と呼ばれた川島芳子。高木彬光か松本清張
が扱いそうな雄大なテーマで、タイトルまで松本清張ばり。時刻表のアリバイまで持ち出して、期待大
だったのですが、・・・嗚呼、やっぱり島田一男(笑)
主人公がいつもの通りのキャラクター、威勢の良いチャキチャキの新聞記者では重厚感ゼロ。時刻表
トリックはともかく、第一の殺人で被害者が言い残した言葉の錯誤なども面白く、謎の女性の正体など
も含めて、演出次第で幾らでも「本格」風になる筈なのに残念。しかもラストで突拍子もない人物が
素っ頓狂な行動に出たせいで、余韻もへったくれもあったものではありませんw

256 :名無しのオプ:2006/10/17(火) 18:43:19 ID:Tidw68sP
嵯峨島昭=捜しましょう、佐賀潜=捜せん!、加田伶太郎=誰だろうか?
宇野鴻一郎でしたか?連作短編集「グルメ殺人事件」(題名うろ覚え)も
面白かった記憶があります。


257 :3:2006/10/23(月) 12:21:11 ID:CIbFUOp9
池田雄一「出雲3号0713の殺意」(徳間文庫)★★★☆
1987年の長編。
殺人事件の容疑者となった挙句に失踪したカメラマンを追って、その恋人は彼から最後の電話が
あったと思しき出雲地方へ寝台車で向かう。だが車内で女性の絞殺死体が発見される。その前後
には失踪中のカメラマンらしき姿が。更に現地に着いたヒロインを待っていたのは、カメラマン
の妻を名乗る女だった・・・。更に出雲、萩を舞台に連続殺人が・・・。
寝台車内でのキテレツなトリック、或る職業の意外な盲点を利用したアリバイトリック、焼死体
に関するトリックなどなど、大小様々なトリックを盛り込んだ、実に手の込んだ作品であり、なか
なか楽しませていただいたのですが、どうも、正統な「本格」作品とは違うなあ、というのが正直な
感想。女性二人の葛藤が、ベタなドラマに出てくるようなレベルだし、二時間ドラマ丸出しの部分
もあるし、トリックの必然性にも少々難があるし、といったところが居心地の悪さを感じる原因で
しょうか。でもまあ、読んでみる価値はあると思います。

井上ひさし「四捨五入殺人事件」(新潮文庫)★★★
1975年の長編。
田舎町の講演会に招待されたベテランと若手の二人の作家。しかし村の唯一の出入り口に架かる橋が
嵐で流されてしまった。その晩、二人が泊まった旅館の浴室で密室殺人事件が・・・。
これは飽くまで、井上ひさし流の「ミステリのパロディ」なのでしょう。クローズドサークル、密室、
見立て殺人などなど、本格ミステリの色々な趣向が出てきますが、真面目に取り入れているという
より、茶化しているのでしょうね。真相も、まあ現代なら幾らでも実例多数のものですし。
ただ、社会派全盛で、本格ミステリもその影響下にあり、泡坂妻夫なども登場する前のこの時代に、
こうした斜に構えた「本格ミステリのパロディ」を書いたことは尊敬に値しますが。
なお文中に、クリスティ「オリエント急行殺人事件」のネタバレあり注意。

258 :名無しのオプ:2006/10/23(月) 20:12:06 ID:zIZlYxWR
>>257
池田雄一は「Gメン'75」「女弁護士・高林鮎子」等のメインライター
だったと記憶しています。
Gメンでは鉄道ミステリーを数本書いてたっけ。
(他にも色々なタイプの物を書いてますが)

259 :名無しのオプ:2006/10/23(月) 22:22:31 ID:IP5R3RHd
>>135
>深谷忠記「『法隆寺の謎』殺人事件」(光文社文庫)★★★

たまたまブッコフで見つけたので購入してみた。
アンフェアだというのは(メール)のことかな?
たしかに真相の通りだといろいろ法医学的に突っ込みドコロがあるような・・・
まあそこは目をつぶるとしても法隆寺の謎がソエモノ程度だったのが残念。

個人的には「なぜあのポイントにトランクを遺棄しなければならなかったのか」
というロジック。シンプルだが盲点をつかれた。



260 :3:2006/10/24(火) 12:30:15 ID:6AxbxQ4U
>>258
確かに、シナリオライターらしいドラマ向けの小説に仕上がっていますね。「Gメン」のメインライター
とは知りませんでした。

>>259
そう、その点です。アレだけは残念。

アンソロジー「推理教室」(江戸川乱歩・編、河出文庫)★★★
1957年の、犯人&トリックを当てる、推理クイズ形式の短編集。執筆陣は、樹下太郎、鷲尾三郎、多岐川恭、
永瀬三吾、宮原龍雄、楠田匡介、山村正夫、鮎川哲也、仁木悦子、大河内常平、飛鳥高、佐野洋で、一部を
除いて一人当たり2編づつ収録。
1957年の作品で、スレタイの条件にはギリギリ入るし、収録作家の一部に、それ以前に活躍していた作家が
いるので、いつか紹介したいと思ってました。
宮原と楠田には期待したのですが、宮原「湯壷の中の死体」は今イチで、「消えた井原老人」は昭和27年発表
の作者の某短編と同じ設定でトリックも同一とはお粗末。楠田も「影なき射手」で旧作と同一トリックでお茶
を濁していますが、もう一つの「表装」では、同年に亡くなった永井荷風をモデルにした老画家を登場させ、
金の隠し場所のトリックに工夫を凝らしてます。
飛鳥「無口な車掌」は思い切った叙述上のトリックを用いているけど、効果が上がらず。鷲尾「ガラスの眼」は
死体の隠し場所に絡む怪作。鮎川は「不完全犯罪」を収録。
秀作は、意表を突いた毒物投与のトリックを用いた樹下「孤独な朝食」と、乱歩「踊る一寸法師」に似た設定で、
サーカス団で起きた奇想天外な大量首吊り殺人のトリックに唖然とする、大河内「サーカス殺人事件」でしょうか。
特に後者は、伏線も練られており、チェスタートンを思わせるトリックといい、本書のベストだと思います。

261 :名無しのオプ:2006/10/24(火) 16:14:22 ID:Gu5Uc04m
258です。訂正します。「女弁護士・高林鮎子」のメインライター(初期の作品)は
池田と同じく「Gメン」のメインライターだった高久進でした。

文庫版「推理教室」ってたしか解決編が上下逆になってるんですよね。
鮎川哲也「魚眠荘殺人事件」、樹下太郎「貨車引込線」、佐野洋「土曜日に死んだ女」、
多岐川恭「干潟の小屋」、土屋隆夫「九十九点の犯罪」と「見えない手」が割愛されている
のが残念です。

262 :名無しのオプ:2006/10/25(水) 00:10:43 ID:bWYu9p7c
>>257
井上ひさし「四捨五入殺人事件」
は20年ほど前にNHKの銀河テレビ小説で映像化されていたっけ。
中村雅俊と大竹まこととか中条静夫が出演していて
原作に忠実だった記憶がある。

263 :名無しのオプ:2006/10/26(木) 09:50:19 ID:58GnsxI0
>>257
75年は横溝正史復活とかすでに社会派「全盛」ではないのでは?

264 :3:2006/10/26(木) 12:28:16 ID:5l9GwCE0
>>262
中村雅俊の若手作家の役は原作のイメージぴったりですね。大竹まことは、あの作家とは一寸イメージが
違うなあ・・・

>>263
ゴメン、俺の小学生時代のアヤフヤな記憶で書きました。
1976年に映画「犬神家の一族」封切り→横溝の大ブーム来る→角川文庫版何千万部だか突破→1977年、他の
横溝作品も続々映画化→TBS「横溝正史シリーズ」にハマる→プールでスケキヨ倒立流行る→森村誠一の
「人間の証明」映画化→校舎の窓から帽子投げが流行る
の順で、個人的に記憶していたのでw
「犬神家」映画化前から横溝のブームは来ていたのでしたっけ?その前年や前々年ころは、「砂の器」や
「動脈列島」などの社会派の映画がヒットし、そっちの原作などが広く読まれていたように記憶している
ので・・・。

笹沢左保「夜の目撃者」(光文社文庫)
1971〜72年頃の作品を中心にした短編集。
巻頭の「優雅な告発」は金持ちの御曹司が転落死を遂げ、その未亡人に嫌疑が掛けられ、彼女の義弟も
また謎の死を遂げる・・・。義弟が遺した暗号文に二重の意味を持たせており、日本古典文学の或る
知識が使われている点が面白いところ。「空蝉の身に」も、タイトルから分かる通り「源氏物語」に纏わる
暗号が出てくるが、これも二重の解読による凝った仕掛けが先ず先ずの出来です。
「インコが逝く」は作者には珍しい設定の傑作。インコを飼う大富豪の老人と、屋敷に同居する秘書、看護婦、
ボディガード、情婦ら取り巻きの面々。老人は、取り巻きの一人に裏切り者がいるとして、遺産分配から外す
と宣言した。その直後、インコが何者かに殺され、すっかり衰弱した老人は、裏切り者の名を記した謎の暗号
文を残すが・・・。何通りにも解釈できる暗号と、二転三転する展開が優れており、問題編と解決編に分けた
構成など、珍しく犯人当て物に徹しています。その他全8編。全作が「本格ミステリ」とは言い難いし、駄作も
混じっていますが、読む価値はあると思います。

265 :3:2006/10/26(木) 12:30:37 ID:5l9GwCE0
スマソ、書き忘れた。
笹沢左保「夜の目撃者」は★★★
です。

266 :名無しのオプ:2006/10/26(木) 14:02:15 ID:58GnsxI0
>>264
>「犬神家」映画化前から横溝のブームは来ていたのでしたっけ?
すみません。じつは私も生まれる前のことなので詳細にはわからないので
ツッコミを入れる身分ではないかもしれませんが…。

ttp://www.yokomizo.net/guide.html
こちらのページの解説などごらんになってはいかがでしょうか。
>●横溝ブームって、映画の「犬神家の一族」のせいですよね?
>結論から先に言うと、まったく違います。
だそうです。

267 :名無しのオプ:2006/10/26(木) 18:37:11 ID:tOnSVZie
新谷識って人はどう?
ちょっと気になった

268 :名無しのオプ:2006/10/26(木) 19:03:28 ID:LOajDpFs
森村誠一「人間の証明」って「砂の器」の換骨奪胎とゆうか、ミステリ的にはどうですか?
この作品以前は本格ミステリとして結構おもしろく読んだが・・・
 ・主人公がまさに栄光をつかもうとする寸前に知られたくない過去を知る人物が現れ
  殺してしまう。(音楽家とデザイナー)
 ・ダイイングメッセージは被害者の出身地に起因するある理由で誤認される。
  (カメダとキスミー)

269 :名無しのオプ:2006/10/26(木) 21:09:15 ID:THTx+QjT
>>263−264
社会派全盛の定義をどうするかは人によると思いますが、
当時は横溝は別格として、他の純粋な本格の書き手はそれほど多くの読者を獲得できずにいたこと、
「社会派推理小説」というキャッチコピーをつけた作品が多く発行されていたことから、
社会派が主流であったと言っていいと思います。
あくまで印象ですけど、社会問題を入れていれば、出版社は「社会派」と名付けた時代が続いてました)

あと、横溝ブームについてですが、
ミステリ好きの恩師の話では、恩師の高校時代(調べたら1968年のようです)に週刊少年マガジンで
「八つ墓村」の連載が始まり、それが多くの読者の心を掴み、原作を読んでみたいという声が編集部に集中したそうです。
その声を受けてか、1970年には講談社で横溝正史全集(10巻)が発行されています。
横溝ブームの始まりをいつにするかは、諸説分かれると思いますが、
それまで一般には忘れ去られかけていた横溝の名前を認知させたという意味では、
マンガ版「八つ墓村」の連載開始の1968年が一つ重要になるかと思います。

270 :名無しのオプ:2006/10/26(木) 21:46:19 ID:V0wjzzZX
63年生まれだけど。
漫画版は呼び水にはなったものの、
ブームの中に組み入れられるほどものもでもないと思う。
たしかに、角川文庫版の第一冊目『八つ墓村』の初版の表紙は
有名な杉本一文ではなく、漫画版を担当した影丸譲也のイラストだった。
しかし、これは刊行後すぐ差し替えられ、以降は漫画版とのつながりは切られている。
ブームが拡大した七十二〜三年頃には、漫画版があったことを多くの人が知らなかった。
(自分も含む)

271 :名無しのオプ:2006/10/26(木) 21:48:15 ID:Mbf09eMO
それ以前は「本陣」とほか1,2作以外は絶版だったんじゃなかったけ。

角川が横溝家を訪問して「百万部売ってみせるから版権ちょーだい」と
いって、先生が「大言壮語を吐く奴だ」と思いつつやらせてみたら、
「ほんとに百万部売りやがった(苦笑)」ってエピソード。

272 :3:2006/10/27(金) 13:05:59 ID:yrVBZ/nR
横溝ブームの事情、勉強になりました。

石沢英太郎「殺人日記」(集英社文庫)★★★
1963年発表の処女作「つるばあ」を含む短編集。各々の発表年は未詳ですが、文庫版は1979年刊。
表題作は、陳腐なタイトルと思わせて、この作家らしくない(?)大技の仕掛けを施した一編。
「貸借対照表」も、題名通りの仇名を持つ下積みの経理マンに、プロバビリティの犯罪を絡めた
不気味な佳作。
その他、「食い逃げ」や「もとより放蕩無頼の徒」「古九谷乱れ窯」「惜蘭譜」など、作者の造詣が
深い浮世絵、陶芸、植物に関する秀作もあるが、これらは「本格ミステリ」じゃないので省略。
最高傑作は、やはり処女作「つるばあ」。終戦直後の満州・大連を舞台に、ロシア人、中国人、
日本人が一時的に一緒に働いていた電力会社で起きた人間消失事件。消失トリックは割りと単純
ですが、人情に厚いロシア人将校、渋い中国人の守衛など個性豊かな登場人物と、終戦時の満州の
一断面を上手く事件の背景に取り込んでおり、陳舜臣あたりの秀作短編にも匹敵する出来栄え。
本作を読むだけでも買う価値はあると思います。

深谷忠記「房総・武蔵野殺人ライン」(講談社文庫)★★☆
1987年のノンシリーズの長編。
房総半島の海岸でレイプ未遂事件の被害者となった女性が自殺、その娘は犯人グループを執拗に
追及し、ついに居所を掴むが、彼らはガス中毒死していた。だが、その犯人は娘の父親だった。
逮捕され、法廷での審理が続くうち、明らかになった意外な事実とは・・・。
とにかく暗い話。中盤以降に展開する法廷の論戦も、他の法廷物の傑作に比べれば迫力なし。また、
謎の核心は、ただ一点に集約されているので、それに気付いてしまえば全て分かってしまう、それ
だけの話。

273 :名無しのオプ:2006/11/01(水) 02:20:07 ID:fEbgcc0d
角川が仕掛けた横溝ブーム以前のものはブームとは言わない。
70年代の文庫化に始まる。リアルタイムで体現したが「犬神家ー」の
文庫本カバーが、映画化などでブームが大きくなると、変わったのをおぼえてる、

274 :3:2006/11/01(水) 17:57:28 ID:+jOovKZp
蒼井雄「灰色の花粉」(『幻影城』1978年新年増刊号)★★
あの「船冨家の惨劇」の作者の遺稿長編。昭和37、38年頃に執筆されたらしきもの。
昭和6年、丹波地方で起きた殺人事件で逮捕された男は、入獄以来、無実を叫び続けていたが、
30年後の昭和37年、出所となった。或る依頼人により、彼の身元を引き受けようとしていた
緒方弁護士だったが、使いの者が行く直前に、その男は何者かに攫われてしまう。その直後、
神戸で起きた殺人事件の現場に、その誘拐された男がいたとの情報が。更にその事件には、
30年前の事件の被害者の長男で、死んだと思われていた男も絡んでいるらしい。更に、弁護士
一派とは別に、出所した男を追う若手推理作家も謎を追い始めるのだが・・・。
硬質な文体は「船冨家」を彷彿とさせ、淋しい丹後地方の海岸風景の描写など、蒼井雄の世界
が満喫でき、その点では満足できるのですが、謎の設定と解き方、それを支える中盤以降の
プロットにかなりの混乱が見られるのが残念。なかなか大胆なトリックが使われているのに、
途中で殆どバレバレになってしまっていたり、犯行方法の一つに、本格派ではタブーである
方法が使われたり、伏線が十分でないのも残念。ただ題名を「灰色の花粉」としたのだけは
意味深長で秀逸。でも、「本格ミステリ」としては、駄作としか言いようがないですね。

275 :名無しのオプ:2006/11/04(土) 23:44:21 ID:O0s7aXWS
「読みました」報告・国内編7

梶龍雄「裏六甲異人館の惨劇」(講談社ノベルス 1987年)★★☆
「奥秩父」につづく映画監督探偵シリーズ。クリスティの「ゼロ時間へ」に触発された
作品との梶のコメントがあるが、むしろ同じ作者の超有名作品の変形。作者のねらい
は成功しているとはいえません。
もうひとつ。
梶龍雄「金沢逢魔殺人事件」(講談社ノベルス 1984年)★★★
旧制高校シリーズ第3作、旧制四高生を狙った連続猟奇殺人事件を新聞記者と四高生
が推理する。本格度は高いが従来の青春ミステリの味わいが弱い。この辺が前2作と
比べて評価が低い要因でしょうか。



276 :名無しのオプ:2006/11/05(日) 00:23:50 ID:LIWzgRZm
3さんはどこで本入手してるの?
都会のブッコフとかはゴロゴロしてるのかな?
正直裏山。

277 :名無しのオプ:2006/11/05(日) 00:32:28 ID:4BNntbKU
んなこたあない

図書館ネットワークで全部読めるけどね

278 :名無しのオプ:2006/11/05(日) 03:37:21 ID:aO97uHWL
本気出して探すレベルの本じゃないから
きっとブッコフ系じゃないかなーと思う。
そこがまたいいんだが。

279 :名無しのオプ:2006/11/05(日) 14:55:49 ID:LIWzgRZm
ウチの近くのブッコフは90年代以降の本ばかりなんだよなー
赤川次郎ならたくさん転がってるけど。そんなわけで
>>222 『幽霊候補生』読んだ。

法医学的に「?」な真相もあったが、伏線の張り方が上手いよね。
とくに「割れた窓ガラス」「柩の中で背中を刺された死体」に感服。


280 :名無しのオプ:2006/11/06(月) 03:00:26 ID:cYsXDcMv
ブッコフでも梶龍雄のノベルスとか探すのはかなりの難易度だよね

281 :3:2006/11/06(月) 13:30:15 ID:CZ7KaSzX
>>276
もちろん、殆どがブッコフです。流石に旧「宝石」誌と「幻影城」誌は、東京のJR中央線沿線の
それなりの古書店で購入しましたが。古書店が多いこの沿線に住んでいるので、比較的良いものが
入手できるのかも知れません。あとは西武新宿線&池袋線沿線に行くくらいかな。

赤川次郎「死者は空中を歩く」(徳間文庫)★★★
1979年の長編。これは「フラッシュバック」で取り上げられていましたね。
警察に追われる強盗犯、性犯罪者、横領犯、サラ金に追われる男の四名が、或る富豪の元に集め
られた。富豪は「自分を殺してほしい」と提案する。その夜、富豪は自室のある塔の最上階から
飛び降りるのが目撃される。提案どおり誰かに突き落とされたのか?だが死体は見つからず、や
がて屋敷に集まった人々を狙って連続殺人が持ち上がる。やはり屋敷に強制的に連れて来られた
富豪の娘とその夫が謎に挑むのだが・・・。
CC物という訳でもなし、ミッシング・リンク的な趣向もあるけど伏線不足だし、フーダニット
物としてもやはり伏線不足。ただ、ストーリーは実に面白いし、ブラックユーモアと紙一重の
ユーモアも利いています。しかし、真犯人の犯行方法の一部には、かなりの無理があるのでは
ないかと・・・。

高柳芳夫「死を呼ぶ聖女」(祥伝社ノンノベルス)★☆
1985年の長編。
冒頭の日記の叙述など、作者は或る「効果」を狙ったのでしょうが、惜しいことに、結末で殆ど
活きていません。もう一捻りか二捻りすれば、読者に驚きを与えられるのに残念。ダイイング・
メッセージも詰まらないし、二転三転する真相も、その先を誰でも予想できるので、読者は白ける
ばかり。ただ、小技の毒殺トリックが、ちょっとだけ面白かったです。

日下圭介「笛の鳴る闇」(祥伝社ノンポシェット)★★
1987年の長編。
将門伝説、暗号、地下室の密室トリックなど趣向が盛りだくさんで、幾通りにも解読できる暗号
文には努力の跡が見えますが、ペンキをぶちまけられた地下室の密室トリックは腰砕けの真相。
密室になった真相と動機は、ちょっとユニークではあるものの、何だかなあ、というのが正直な
感想。
更に、この作者の初期短編群に感動した身としては、文章の荒れ具合も気になります。

282 :名無しのオプ:2006/11/06(月) 19:40:53 ID:RXWg0nPr
>>281
レスどうもです。
以前はよく国立駅のブッコフに通っていたんですが
いつのまにかつぶれてしまって・・・

で、飛鳥高『細い赤い糸』読みました。
第15回(1962年度)日本推理作家協会賞受賞作ということで、
笹沢『人喰い』みたいなカンジかなと期待せずに読み始めたのですが、
最後の20頁で「おお!」と感心しました。
そこにたどり着くまでが・・・・でしたが。

ミステリ・フラッシュバックで紹介されてないのは有名すぎるからかな?


283 :3:2006/11/07(火) 13:40:42 ID:2QPH/xj+
>>282
「細い赤い糸」は、当時としては画期的だったのでしょうね。俺は犯人に感情移入してしまいましたが。
まあ何にせよ、あの土屋隆夫「危険な童話」を抑えての受賞ですからねえ。

陳舜臣「虹の舞台」(徳間文庫)★★★☆
1973年の長編。もう歴史小説に比重が移っていて、ミステリは少なくなっていた頃の作品ですが、なかなか
の佳作。
インド独立運動の英雄、チャンドラ・ボースに関連した殺人事件を陶展文が解明しますが、トリックはとも
かく、淡々とした「枯淡」の境地とも言える文章に気を緩めていたら、まんまとミスリードされてしまいま
した。また、何気ないエピソードも小技だけど伏線になっているなど、十分、楽しめました。飽くまでも
「本格ミステリ」としては薄味ですが、渋い、滋味に溢れた小説としてならお勧め。
なお陶展文は若干の短編を除いては、これが最後の登場。もう一度、彼の活躍するミステリの新作を読み
たいです・・・。

284 :名無しのオプ:2006/11/07(火) 22:32:10 ID:jhMcNx/P
「読みました」報告・国内編8

梶龍雄「鎌倉XYZの悲劇」(講談社ノベルス 1988年)★★★☆
何者かに銃殺された素人マジシャンが、天国から地上の私立探偵に意思を照射し
旧家の連続殺人事件を推理させるという話。佐野洋「見習い天使」、辻真先「デッド
ディテクテブ」など似たアイデアはありますが、一番の読みどころは真犯人の意外性
でしょう。泡坂妻夫の某作品の二番煎じともいえますが、私は関心しました。


285 :名無しのオプ:2006/11/07(火) 22:49:14 ID:c1Hir70v
>>283
陶展文は、80年代中頃に乱歩賞30周年で講談社ノベルズから出た乱歩賞スペシャルで
陳舜臣が書いた長編に出てきませんでしたっけ?
ずいぶん昔に古本屋で手に取っただけなのでうろ覚えですが、
確か裏のあらすじに陶展文の名前があったような気がするんですけど……。

286 :3:2006/11/09(木) 12:22:24 ID:6E5nsYAF
>>285
そのタイトル、早く思い出してください!w

結城昌治「夜は死の匂い」(集英社文庫)★★★
1964年、女性週刊誌に連載された長編。
北海道に住む裕子は、女優を目指して上京しテレビの脇役などをしていた姉の圭子が自殺したのを知る。
彼女は役を得るために、ディレクターやスポンサー、マネージャーの男性などと荒んだ生活をしていた
らしい。彼女を自殺に追い込んだのは誰なのか?裕子も上京して姉と同じ道に進み、姉の死の謎を追及
し、復讐を開始する。だが先回りするように、疑わしい男たちは次々と変死を遂げてゆく・・・。
女性誌に連載されただけあって、ヒロインの心理描写が丹念で、虚飾に満ちたテレビ界、芸能界を描いた
風俗的なサスペンスに行くかと思わせて、実はWho done itのポイントは外していません。別に大した
トリックがある訳ではなく、意外な真犯人も、現代の読者ならたぶん予想は付いてしまいますが、登場
人物の設定は上手いし、彼らの行動、心理を少しも破綻させることなく最後にカッチリと全てを収束
させる真相が見事。
ただ結城昌治は、非常に男っぽいというか、何か乾いた印象の文章を書く作家だと思うので、ヒロイン
の心理の綾などの描写は、やはり同時代では、笹沢左保の方が上手い気がしますね。逆に言えば、この
辺りに、結城昌治にハードボイルドが書けても、笹沢左保には書けない、否、ハードボイルドっぽく
見えても、それを突き抜けた虚無と情念の権化みたいなものになってしまっている理由があるような
気がします。上手く言えませんけど・・・。

287 :名無しのオプ:2006/11/09(木) 13:51:07 ID:A7Ec5lFW
>>285
そのシリーズには陳舜臣はエントリーしていないぞ。何かの間違いでは?

288 :名無しのオプ:2006/11/09(木) 13:57:31 ID:pirul1JB
手持ちの乱歩賞スペシャルを片っ端から調べてみましたが、陳舜臣は書いてないみたいです
伴野朗の名前はあったのですが。
>>285さんは勘違いか記憶違いをされているのではないでしょうか。

<陳舜臣のシリーズ探偵>
1.陶展文
 長編『枯草の根』『三色の家』『割れる』『虹の舞台』
 短編「くたびれた縄」「ひきずった縄」「縄の包帯」……単行本未収録
   「崩れた直線」……同題短編集(86年)に収録
   「軌跡は消えず」「王直の財宝」……『神獣の爪』(92年)に収録

2.竹森警部
 長編『まだ終わらない』『白い泥』

289 :3:2006/11/10(金) 18:14:26 ID:sR9ZI525
やはり陶展文の長編は「虹の舞台」どまりですか・・・・(´・ω・`)

今回は怪作を紹介。

上宮真人「飛鳥探偵帖−盗まれた国書」(角川文庫)★★
1987年の、聖徳太子を探偵役にした中篇集。
表題作は、小野妹子が隋から携えてきた隋の皇帝・煬帝からの返書が、難波宮の鍵のかかった箱から
消え失せた事件を聖徳太子が推理。まあ盗難方法はトリッキーではあるけど特に目新しいものでも
なし、そもそも、この時代にあの親書を盗む動機を持つ者は一人しかいないじゃんw
吉備国を視察に訪れた聖徳太子が、現地で起きた殺人事件を解明する「吉備路の怪」、飛鳥の都で鬼が
辻斬りにあった謎を解く「英雄の研究」の2篇も、いずれもユニークではあるし、一応、論理的に犯人
と真相を指摘する形にはなっていますが、やはり「本格」の観点から見れば、ちょっとどうかな、と
いうレベル。あと、聖徳太子ほか登場人物にベタな関西弁を喋らせるのは止してほしいです。関西弁が
いけないのでなく、キャラクターに全く合わない調子の喋り方なので。それと作品全体に漂う通俗臭さ
もマイナス。読み易さを狙って却って裏目に出た感じ。まあ古代史が好きな方(俺はそうですが)には
お勧めですが・・・。
なお著者の上宮真人は古代史を専攻する研究者らしいですが未詳。

290 :名無しのオプ:2006/11/10(金) 21:31:47 ID:qvmn9L30
2ちゃんねるにふさわしからぬもんのすんごい良スレですね。
毎日楽しみにしています。
これも『3』さんを中心とした誠実な書き込みの賜物だと思います。
私もいささかネタを持っていますので、
『3』さんのネタが尽きそうなころ(それとも無限?)、
ぜひ参加させていただきたいと思ってます。

291 :285:2006/11/10(金) 22:31:51 ID:m7FZIGD0
>>287-288
講談社ノベルズで中国人探偵が出てくる話があったという記憶から、陶展文があると勘違いしたのかも知れません。
どうも、お騒がせしました。
でも、一体何と勘違いしたんだろう?

>>289
上宮真人の上宮は聖徳太子が上宮王と呼ばれたこと、真人は古代の姓の一つと、
いかにも古代史の好きな人がつけそうなペンネームだなと思います。
でも、聖徳太子の時代の話なのに都大路が出てくるなど、
研究者というよりもただの古代史好きの素人で、ちゃんとした研究者ではないと思います。

292 :名無しのオプ:2006/11/10(金) 23:04:15 ID:qvmn9L30
>291
上宮真人、懐かしい名前ですね。ここで取り上げられることがなければ、一生思い出すことがなかったと思います。

上宮真人、たぶん『古代史推理』、『近江志賀京』などの著作がある長谷川修という人なのではないかと私は推理してます。
この人の著作、着眼は面白いのですが、291さんが御指摘しているように、
テキストクリティークなど無縁の世界、
『研究者には作家的想像力が必要』などと言い出す人ですから・・・・・
この言葉、アカデミズムの立場にいる人たちからは決して出てきません。

ちなみに長谷川修という人が、カーター・ディクスンやライスの『スイートホーム殺人事件』などの訳書がある
長谷川修(新青年の編集部で横溝正史のおともだち!渡辺温が交通事故で亡くなったとき、自動車に同乗してた!)
と同一人物かは不明。
知ってる人います?

293 :3:2006/11/14(火) 12:21:06 ID:qrdiupia
>>290
どんどん紹介してください。俺もストックが少なくなりつつあり、特に傑作、佳作は僅少の状態です。
今や紹介しているうちの1/2はごく最近読んだもの。自転車操業だなw

>>291-292
上宮真人の正体、サンクスです。第二作だかの「額田王の暗号?」とかいう作品を探求中ですが、探す
必要もないかなあ?

皆川博子「殺意の軽井沢・冬」(祥伝社ノンポシェット)★★★
1987年の長編。
軽井沢にある新進女流作家の山荘に集まったライバル作家、編集者、その友人らの面々。その夜、女流
作家が真冬の吹雪の中、山荘から閉め出される事件が勃発。幸い助かった彼女は犯人の顔を見なかった
が、彼女に嫉妬心を抱くライバルの女流作家が疑われる。更には山荘の電話線が切られてしまい、クルマ
を修理に出しているため、山荘は「陸の孤島」状態になる。そして遂に殺人事件が・・・。
典型的なCC物の設定ですが、「本格ミステリ」としては伏線が不足気味で、手掛かりも後出しが多い
ので、真犯人が指摘された段階で不満が残ります。ただ、嫉妬深くてイヤラしく情けないライバルの女流
作家が、実に上手く描かれており、その視点が真犯人を上手く隠している部分もあるし、また追い詰め
られてゆく彼女の焦燥が直に伝わってきて、サスペンスとしては十分楽しめます。

深谷忠記「『邪馬台国の謎』殺人事件」★★★
1989年の壮・美緒物の長編。
邪馬台国の候補地とされる熊本県の或る市の市長選。レジャーランドの建設に反対し、遺跡の保存を訴え
る候補者が殺された。対立候補の仕業なのか?だが被害者を応援する学者やアマチュア研究家たちの間で
も邪馬台国を巡る対立が。更には、十五年前に東京で起きた、雪の密室での心中事件も絡んでいるらしい
のだが・・・。
例の「魏志倭人伝」の記述を一捻りした暗号文と、その解読によって雪の密室トリックを解明する点が
見どころで、暗号文が如何にも「それらしい」のに感心しました。但しトリック自体は大して面白くあり
ません。意外な犯人の設定は先ず先ずでしょうか。


294 :名無しのオプ:2006/11/14(火) 18:47:28 ID:Vq/ruBkp
佐野洋「同名異人の四人が死んだ」(講談社文庫 1978年)
流行作家が新聞に掲載した小説の登場人物と同名の男たちが連続して変死、その作
家の担当である中央日報文芸部の記者が、変死者の接点を見出すべく乗り出すが・・
いかにも本格ぽいタイトルに惹かれ読みましたが、やはり佐野洋でした。ミッシング
リンクものにしてはサスペンスに欠け、「ぬるま湯本格」という感じでした。
佐野洋の代表作って何ですかね?

295 :名無しのオプ:2006/11/15(水) 00:37:31 ID:pKnPiJFL
佐野洋ってさ、「何となく巨匠(笑)」の見本みたいな人だよね
今の時代だったらまずデビュー出来なさそうだ

296 :名無しのオプ:2006/11/15(水) 02:15:14 ID:h/ZP4hCS
佐野洋は地味で小粒だけどいい作品を書いてると思う。
ただ、扱ってるものが古びやすいというか、
週刊誌のそれこそトップではなく広告でも炭のほうにひっそり載ってそうなテーマを扱ってるから、
賞味期限切れが早いと思う。

でも、「一本の鉛」のようにびっくりするくらい普通の本格(でも地味)をやっている初期のものや、
退廃的で暗くねっとりした人間関係を描いた短編は、今も読む価値はあると思う。

佐野洋の代表作とされている「華麗なる醜聞」を読みたいんだけど、なかなか手に入らないんだよな。

297 :名無しのオプ:2006/11/15(水) 06:09:25 ID:0LP1wgE8
「華麗なる醜聞」は双葉文庫の推理作家協会賞全集がまだ生きてるだろ。
注文すれば買える。

つか、アマゾンで検索したら双葉文庫も角川文庫もユーズドで出てるぞ。

298 :名無しのオプ:2006/11/15(水) 12:49:09 ID:gLV6n6gP
/ ̄ ̄'' -、 <BR>  (    / ) ヽ <BR>  i r-,,,, /,,,, )   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <BR> ( >| ● 
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<BR>   / / ヽ ヽ <BR>   ト-<    |_/''┐ <BR>   ヽ=''     `=='


299 :名無しのオプ:2006/11/15(水) 16:42:22 ID:sy04GCjU
近作、といっても2000年度版くらいのなんだけど、ベストミステリーズに収録されたりして、
そこそこ水準作は書いているんだけど、>>296のいうように地味だから、
何を措いてもこれを読めっていうのがないんだよなあ佐野洋。
まあちゃんと読んだのは「かわいい目撃者」、「検察審査会の午後」(対象外)くらいしかない。


300 :名無しのオプ:2006/11/15(水) 19:01:52 ID:ETvtPn8x
佐野洋は基本的に短編作家と思う。読みやすいので「通勤電車の友」ですね。
長編は初期の数編にトリッキイなものあり、文庫で250ページぐらいの薄い
作品ほど出来がいい。
「華麗なる醜聞」は止めたがいい。協会賞作品が必ずしも代表作とはいえません。

301 :名無しのオプ:2006/11/16(木) 03:57:56 ID:CARtDiTh
どう考えても佐野洋の代表作って推理日記シリーズでしょw

302 :299:2006/11/16(木) 23:42:46 ID:bAwWx6mt
久しぶりに読み返してみて、いろいろ思うこともあり、レビューもあまりなさそうなんで書いてみる。
「かわいい目撃者」 (集英社文庫 1979 ・ 初出・双葉社 1973)
推理小説好きの女性教諭の周囲で起きる事件を、同僚の(ほぼ探偵役の)男性教諭と追っていくという形式の連作短編集。
母子家庭の生徒が提出した作文に、パパがころされるとあったことから始まる「かわいそうなパパ」、
参観日用に描かせた絵にはモップを振り上げて男に立ち向かう母親が描かれていた「いさましいママ」ほか、
「いやらしいペンパル」「あつかましいフィアンセ」「おませなリボン」「ないしょのマーチ」「ひねくれたクイズ」全7篇、
いずれもあるきっかけから現れた事件のその様相が、主人公が推理したものから終盤で一変、意外な真相を現すという、
短編の骨子を忠実に押さえた出来になっている。
ただねえ、佐野に限らず、この時代の作品・この年代の作者にいえることかもしれないんだけど、
女性の描き方が上手くないというか、むっつりスケベというか、例えば「ペンパル」の話で、知り合いの女子高生の身代わりで
彼女の文通相手に会う羽目になった主人公が、この歳でも高校の制服姿でもいけるんじゃないかみたいな思いに耽るシーンとか、
読んでてちょっといたたまれなくなるんだよなあ。
それでも今回読み返してみて看過してたかもしれないと思ったのは、いかにも中間小説的な【メール欄1.】という
物語の締めくくりが、【メール欄2.】というミステリ的な要素と直結してるのって、意外とありそうでないと気づいて、
ミステリとしてのこういう結末は洒落てるんじゃないかと見直すようになった。


いや結構難しいな紹介文も。

303 :名無しのオプ:2006/11/17(金) 00:29:43 ID:mkscu7JL
>>302

>女性の描き方が上手くないというか、むっつりスケベというか

それは仕方ないと思う。
佐野洋らが活躍した時代は、ミステリーはオヤジの読み物だったんだから。
オヤジ趣味的で、男の理想や男に都合のいいヒロインが出てくるし、
読者サービスとしてエロシーンを入れる作家もいたし。

ちなみに、オヤジのスケベ心あふれる作家というと、漏れは斉藤栄が浮かぶんだけど、
それって漏れだけか?


304 :名無しのオプ:2006/11/17(金) 12:39:56 ID:DoUjOXCk
いや、たぶんミステリー界最大のむっつりスケベは
土屋隆夫だと思います。

佐野洋は会話文が古くて読むのがつらくなります。
いまごろ 『〜ですわ』 なんていう女性、います?

ちょっとスレ違い申し訳ない。

305 :名無しのオプ:2006/11/17(金) 16:22:27 ID:fLRk+v8K
佐野洋は小説の会話の言葉遣いには結構厳しく指摘してるんだがな
自分も感覚がおじいちゃんのまま必死に現代風俗を取り込もうとして
取り残されてるわけだ 中町信とかもよく「〜ですわ」とか書いてるし

306 :名無しのオプ:2006/11/17(金) 16:27:10 ID:d5lskvQY
>>303
でも同時期に読んでた小松左京とかと比べると、やっぱり気になったんだよね。
特にヒロイン視点一人称なだけに。堅物の人が頑張って書いたみたいな、居心地の悪さが。
誰とはいわないけど、最近の作家でも、女性読者が多いみたいないわれ方してる作品に、
そんなタイプのヒロインが出てて、あれぇ?と思うこともある。

>>304
最近久しぶりに見た「バイオニック・ジェミー」がこんなお嬢様みたいな喋り方してたのかと
驚いたことがある。まあこっちは板違い。


ところで、>>302に書き漏らしたんだけど、集英社文庫版の解説は「フィアンセ」に関して若干ネタバレ気味。
全編中、真相の意外さではぴか一なのでなおのこと要注意。

307 :3:2006/11/17(金) 17:53:50 ID:pn/Hy/9v
またも怪作を紹介。

由良三郎「葬送行進曲殺人事件」(新潮文庫)★☆
1985年の長編。
産業スパイの疑いで逮捕、起訴された男。証拠不十分で無罪を勝ち取るが、その娘は更に、父親を
罠にかけ、実際にスパイを使っていたと思しき男たちの動きを探ろうとする。一方、火葬場では、
遺体を焼いた後、二人分の骨が出てくるという前代未聞の椿事が。二つの事件の真相は・・・。
まあ何というか、いろいろな意味で笑えます。警察の鼻を明かす変な学生探偵の言動が底抜けに
ヘンだし、ベタベタのご都合主義の展開に笑えるし、火葬場の死体に関するトリックも、大昔なら
ともかく、現代ではあり得ないもの。こんな火葬場じゃ、おちおち葬儀もできないよ。でもって、
ラストの意外な真犯人も白々しいばかり。
大学教授の余技にしても、これは一寸・・・。後の長編「裏切りの第二楽章」なんかはそこそこ
面白かったのですが・・・。

山村美紗「京都嵯峨野殺人事件」(光文社文庫)★★☆
1985年の狩矢警部が単独で活躍する長編。
男女7名の大学生グループ。担当教授から京都・嵯峨野の別荘を譲り受けることとなり、男子学生
2名は別荘を民宿に改造してその経営に乗り出し、女子学生たちは出資をすることに。
それから三年後。かつての男子学生らに招待され、別荘に一同が会することに。出資の配当と、更には
彼女らの中から結婚相手を選びたいとの思惑があったのだが、一人、また一人と女性たちが殺されて
ゆく・・・。
これは設定からして「お伽ばなし」みたいなものなので、そこは割り切った上で読めば面白いのですが、
突っ込みどころ満載の良い加減な出来栄えでしたね。密室トリックも、「京都府警の鑑識はバカの集団?」
と思うようなレベルですし、そもそも、こんなに容易に連続殺人が出来る状況じゃないだろ!とも思い
ました。
なお、終章のタイトルが、実に巧妙なミスディレクションとなっていたのには感心しました。そのタイトル
を見て、てっきりラストは、「ああ、アレがああなるんだな」と思い込んでしまい、まんまと騙されて
しまったので。計算してやったのだとしたら、この点だけは凄いです。

308 :名無しのオプ:2006/11/19(日) 21:17:54 ID:Vt1+0Ybz
「読みました」報告・国内編9

梶龍雄「殺人者は道化師」(1989年 廣済堂出版)★★☆
軽井沢の別荘に住む謎の夫人が探偵役の連作ミステリ。密室からの宝石消失トリック
の「消失の闇」、意外な犯人の設定「封筒の中の犯人」ほか、軽めながらしゃれた本格編
7作収録。なお、軽井沢夫人の正体に関しては「隅の老人」系を狙ったものの不発。


309 :名無しのオプ:2006/11/19(日) 21:56:18 ID:xLQdW98h
アニオタは気にならないんじゃないか>ですわ

もっとすごい語尾の口癖持ってるキャラいるし

310 :名無しのオプ:2006/11/19(日) 22:57:25 ID:+aZKKRwk
二階堂黎人は未だに「ですわ」を使うぞ。
それも蘭子シリーズじゃなくてサトルシリーズだぞ。
舞台は現代だぞ。いまどきのOLが使うんだだぞ。
「もしや自分はとんでもない駄作を読んでいるのではなかろうか…」って
気になってなかなか読み進めないよ。

311 :名無しのオプ:2006/11/19(日) 23:17:20 ID:oBZrxQTM
梶龍雄は次から次と知らない作品が出てくるなあ
参考になります

312 :名無しのオプ:2006/11/20(月) 01:01:37 ID:xs56QcI+
大学のゼミの先輩で「ですのよ」を使う人はいるけど、「ですわ」を使ってる人は会ったことないな。


313 :名無しのオプ:2006/11/20(月) 02:33:14 ID:3yPV07an
たしかに「ですわ」を使うのは関西人のおっさんぐらいだな

314 :3:2006/11/20(月) 12:25:45 ID:X/w3of9E
深谷忠記「ゼロの誘拐」(徳間文庫)★★★★☆
1987年のノンシリーズの長編。
進学塾の経営者の娘が誘拐された。この塾では生徒が何者かに殺害される事件がおきたばかりで、
それを逆恨みする者の犯行か、或いは、ライバル塾の関係者の仕業か?誘拐犯は警察の裏をかき、
まんまと身代金の奪取に成功する。だが娘は帰ってこない。経営者の男は警察とは別に一味を追及
し始める。警察も、誘拐犯や経営者の男の言動に不審なものを感じ、何かの裏取引があるのでは、
と捜査を続けるが、真相は意外にも・・・。
これは誘拐物ミステリの秀作。序盤から、どこかヘンだなと読者に思わせつつも、絶妙な描写で
尻尾を掴ませません。後になって真犯人の行動を読み返せば、心憎いまでフェアに勝負しています。
この作者の初期の最高傑作でしょう。

山村正夫「ボウリング殺人事件」(角川文庫、別題「球形の殺意」)★★★
1972年の長編。
ボウリング場に強盗が入り、同僚を殺されたのみならず、警察には一味を手引きしたと疑われ、
会社もクビになった男が、徒手空拳で一味を追及する。一方、強盗の一味は分け前を巡って対立、
殺し合いが始まる。だが真相は・・・。
長いこと探していて、ようやく見つけて読んだのですが、やや期待はずれ。倒叙物の展開にフーダ
ニットを盛り込んだ点が評価されているのでしょうが、最後に明らかにされる真犯人は、それしか
ないよな、というレベル。ボウリング場の密室状況の真相も、ちょっとだけ盲点を突いていて面白
いかな、という程度のもの。

315 :名無しのオプ:2006/11/20(月) 16:26:56 ID:itLG9Uzl
清張スレで、「だわよ」というセリフが米倉涼子だと不自然じゃないって話が出てたけど、
何となくカイヤ川アっぽいと思った。

316 :名無しのオプ:2006/11/20(月) 20:09:44 ID:4ETE32s9
>>314
久々チェキラ!
★4つ以上は読もうと決めてるんで

317 :3:2006/11/22(水) 12:24:56 ID:saJG9M2T
赤川次郎「幽霊心理学」(文春文庫)★★★☆
1983〜85年に発表された短編によるシリーズ第4作。
「影のような男」は、命を狙われていると訴えて警部にまとわりつく男の話。訴えどおり彼のクルマが
爆破され、妻が犠牲になるが実は・・・。第一話として好調な滑り出し。「美女は二度死ぬ」は、女優
の付き人が、女優が殺されていると警部と夕子に訴えてくるが、現場に行くと女優はピンピンしていた。
だが数日後、本当に女優が殺される・・・。展開は上手いが、仕掛けに乏しく凡作。
恋人を奪われた男が結婚式場に乗り込んで、飛び降り自殺すると騒ぎ出すが、元恋人の花嫁は式直前に
写真室で殺されていた、というのが「幸運なる殺人」。夕子の鋭い観察が登場人物の心理を捉えて真相に
到達する、印象的な佳作。
「銀座の殺しの物語」は凡作で、最後の表題作がベスト。警部と夕子が食事をしていたレストランに指名
手配の殺人犯がいて人質騒ぎに発展、警部と夕子も人質になるが、殺人犯の向かった先は自分の犯行現場
で、自分は犯人ではないと言う・・・。二転三転する展開で読者を引っ張り、ダイイング・メッセージを
解き明かし、意外な真犯人が明らかになるラスト1行が鮮やか。
第3シリーズは凡作だったが、また持ち直してくるところは流石。第2シリーズのレベルには達していま
せんが、ちょっと侮れないです。

斎藤栄「徒然草殺人事件」(集英社文庫)★★☆
1975年の長編。
新婚まもなく上水道場で殺された夫の過去を追って、岐阜県の田舎を訪れた妻が知ったのは、夫が公害問題
に絡んで土地の女性を殺した、という疑惑だった。それを恨む娘が彼を殺したのか。だが彼女には鉄壁のアリ
バイがあった。一方、被害者夫婦の仲人役で、「徒然草」の兼好法師は南朝のスパイだった、と主張する神奈川
県庁の役人もまた独自に事件を追うが、三重県の山中で殺されてしまう・・・。
現場に残された錘の謎、写真のアリバイ工作は腰砕け、犯人の設定も強引。但し、第二の殺人で被害者が残した
オセロゲームの石のダイイング・メッセージは、こじ付け気味ですが、ちょっとした錯誤と、その何気ない描写
の伏線が秀逸。あと序盤が清張「ゼロの焦点」そっくりなのは意識してやったことでしょうね。
なお吉田兼好スパイ説は、まあどうでも良いですw

318 :名無しのオプ:2006/11/23(木) 02:13:26 ID:yVaa0FKX
菊村到は発掘の余地ないのかな?
“本格”が出てくるかどうかは微妙だが

いや、けっして「人妻刑事」というタイトルが気になってるわけでは…

319 :名無しのオプ:2006/11/23(木) 18:23:12 ID:nO9sCxtS
「読みました」報告・国内編10

梶龍雄「大臣の殺人」(中公文庫 1985年)★★★★
主婦と生活社から1978年に初出刊行されたものの文庫化。乱歩賞受賞が77年なので、最初期
の作品ということになる。解説の武蔵野次郎氏によると執筆自体は「透明な季節」より前とのこと。
さて内容ですが、明治10年代の警視庁創設間もない時代が舞台となっており、その東京警視庁密偵
が、黒田清隆(当時北海道開拓使長官、のち首相)がからむ連続殺人事件を解き明かすというもので
梶龍雄版「警視庁草子」本格ミステリ編といったところ。なかなかの力作です。


320 :名無しのオプ:2006/11/23(木) 23:22:44 ID:pYKGPXTz
>>319
へーそんな本があるんだ。
初耳。そんなに古そうでもないから、探してみよ。

321 :3:2006/11/24(金) 12:07:25 ID:iw0pIGD5
笹沢左保「日曜日には殺さない」(徳間文庫)★☆
1984年の長編。
北陸の小京都・越前大野。ここ十年の間に一族が次々と不審死を遂げ、兄もまた東京のホテルの密室で
殺され、ついに最後の一人となった旧家の娘。彼女はそれが戦国武将・柴田勝家の呪いだと言うのだが、
恋人はそれを信じず、過去の事件を再び調査し直してゆく。だが・・・。
この作者には珍しい伝奇ミステリ風のストーリー。過去の変死を一つ一つ合理的に解決してゆくのです
が、良く調べれば誰でも分かるレベルの謎解き。しかも最後に残った東京の密室殺人も良くあるパターン
でガッカリ。しかし・・・。
「そもそも、題名の意味が分からないよ」と思っていたら、最後の数ページで題名どおりの、とんでも
ない急転直下の結末。伏線が無かった訳ではないけど、余りにも救いのないラストに、久々に身の毛が
よだちました。この作者の宿命的な暗い人生観は承知していましたが、ここまで冷酷な話は初めて。
ともあれ、「本格ミステリ」としては落第ですけど。

322 :名無しのオプ:2006/11/24(金) 23:52:53 ID:VFhRpBJ+
伴野朗の冒険小説なんかはどうですか?
本格ミステリはあまり読まないので・・・

323 :名無しのオプ:2006/11/25(土) 00:02:14 ID:qEeUWyog
『長安殺人賦』とかいう阿倍仲麻呂主役の歴史ミステリは
つまらんかった記憶がある。

324 :名無しのオプ:2006/11/25(土) 01:40:41 ID:ptrRnDpx
伴野朗は3氏が上の方で殺意の複合を挙げてるね

325 :名無しのオプ:2006/11/25(土) 11:58:53 ID:6h3aZ5ND
伴野朗は3氏が別スレでレビューを書いている

326 :3:2006/11/27(月) 12:26:54 ID:fMSBdiDP
>>322
別スレ「『読みました』報告・国内編」をどうぞ。
純然たる冒険小説なら「九頭の龍」が暫定ベスト、「本格」風味も味わえる冒険小説なら「三十三時間」が
ベストかな。

>>325
「九頭の龍」「ゾルゲの遺言」とも、本スレに紹介しようと思って最近読みましたが、謎解きは多少あっても
「本格」とは言い難かったので、あっちへ書きました。

高柳芳夫「ライン河の白い霧笛」(徳間文庫)★★☆
1981年発表の長編。
日本で殺人未遂を犯し、出所後、ウィーンからデュッセルドルフへと流れてきた鷹見。或る人物の紹介で同地の
実業家ヴォルフマンの運転手に雇われるが、その妻の日本人・百合子に心惹かれてゆく。百合子の父親は密室
状態のホテルで変死を遂げ、自殺と処理されていたが、彼女は信じず、夫ヴォルフマンこそが真犯人だと疑って
夫婦仲は冷え切っていた。そんな冬の或る夜、ヴォルフマンは独りで過ごしていた屋敷内で殺される。施錠され
た室内の、更に箪笥の中に押し込められた死体、そして雪の降り積む屋敷一帯に残されていた唯一の足跡は、
百合子のものだけだった・・・。
相も変わらず密室トリックに執念を見せる作者ですが、それを支える小道具や伏線に精彩を欠いています。意外な
真犯人に関する伏線も今ひとつ。せっかく、「雪に囲まれた密室状況の屋敷に残された足跡はヒロインのもののみ」
というドラマチックな謎を提示しておきながら残念な出来栄え。

327 :名無しのオプ:2006/11/27(月) 20:31:30 ID:fo+/Upb5
「『ラインの薔薇城』殺人事件」とは別の作品なんですか?

328 :名無しのオプ:2006/11/27(月) 22:37:22 ID:P8e/W/h9
>>327
少しは調べろよ。ぐぐればすぐにわかるだろーに

329 :3:2006/11/28(火) 12:14:56 ID:fuG7uK3W
>>327
むろん別物。なお「ラインの薔薇城」は「禿鷹城」の続編。「禿鷹城」を先に読むことをお勧めします。

南條範夫「第六の容疑者」(徳間文庫)★★★
著者は時代小説「燈台鬼」で直木賞を受賞後、「からみ合い」でミステリにも進出した時代小説作家。
「三百年のベール」だけが有名のようですが、これは1960年の現代物の長編。
社長一族で固められた或る同族会社。社長の弟である経理課長は、昔付き合っていた女性の脅迫を受け、
会社製品の横流しに手を染める。更に彼の妻は出版社の男と不倫を重ね、彼の姪の夫であり、社長の
女婿にあたる男も不倫をしている。ところが、これら一連のスキャンダルを興信所の所員に握られ、彼に
よる脅迫も始まった。二重、三重の脅迫合戦の中で、興信所員が殺される。多数の容疑者のうち、真犯人
は誰なのか・・・。
錯綜する人間関係、多数の容疑者がひしめく中、各登場人物の個性を上手に書き分け、スピーディに、かつ
分かり易くストーリーを進めてゆく手腕は見事なもの。
但し「本格ミステリ」としては、地名に関する或るトリックとアリバイ崩しが出てくるのですが、地名の
トリックは鮎川哲也の某作品を連想させるものの、アリバイ崩しは使い古しの手口を、そのまま何のヒネり
もなく提示しただけのお粗末な出来。
もっとも、ラストの急展開はなかなかのもので、現代から見れば大したことはないが、当時にしてはかなり
意外な真犯人とドンデン返しは評価できます。

330 :名無しのオプ:2006/11/28(火) 13:03:24 ID:veOgAxxq
たしか「第六の容疑者」は映画化されてましたね(私は未見ですが)

331 :名無しのオプ:2006/11/28(火) 20:51:01 ID:u2WwYaX5
〜1987という年代条件に当てはまるのかどうか分りませんが、こちらに宣伝します。

各作家のナンバー1を決めよう!スレにて、「胡桃沢耕史」作品投票中。

締切りは、平成18年12月1日(金)、〜12:00まで。1人1票でよろしくご参加を。

http://book3.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1154275629/l50

投票したい作品を<<作品名>>のように<< >>括って投票するのがローカル・ルールになってます。


332 :名無しのオプ:2006/11/29(水) 21:50:50 ID:irdNbjAM
「読みました」報告・国内編11

梶龍雄「毛皮コートの死体」(中公文庫 1985年)★★★☆
ストリッパー探偵物語と副題あり。協会賞候補になった「アパッシュの女」を含む
6編の連作ミステリ。前半3作は浅草が舞台でトリックに重点が置かれた本格編、
後半3作は舞台を熱海に移し人生の哀歓が流れる人情物語風となる。
梶の80年代後半の短編は掲載誌編集部の意向もあってか、やたらベットシーンが
挿入された作品が多いが、この作品はそれほど酷くはありません。
なお、主人公のキャラが気に入ったのか、「浅草殺人ラプソディ」「野天風呂殺人事件」
と続編が書かれています。未読ですがミステリとしての出来はあまりよくないようです。



333 :3:2006/11/30(木) 10:00:23 ID:65HRUHyq
残り少ないストックからの切り札、先ずは一枚目。

司城志朗「そして犯人(ホシ)もいなくなった」(立風ノベルス)★★★★☆
本作しか読んでいないので良く知りませんが、著者の作品は、矢作俊彦との一連の共作などからみて、
軽ハードボイルドっぽい作風が中心でしょうか。
本作は1988年発表の長編、「初めて本格推理小説に取り組んだ」と裏表紙に紹介されており、発表年を
考えると「新本格」の登場に触発されたのかな?
東京・中野区で発見された他殺体。犯人が自首して出たにも拘らず、その隙に何者かが死体を動かし、
十数メートル先の杉並区に放置した可能性があった。次に起きた事件は、飛び降り自殺を、やはり何者
かが他殺に装った事件だった。一体、誰が何のために偽装しているのか?警視庁の岩男警部補が不審に
思う矢先に、フィットネスクラブの支配人が首なし死体で発見される第三の事件が発生。これも実は
首吊り自殺なのでは?だが、誰が何のために首を持っていったのか・・・。
メインのアイディアは、作者が「いつか使ってやろう」と暖めていたものでしょうね。似た例は過去に
もありますが、ちょっとギョッとするもの。中盤辺りで読者にも察しが付きますが、それでは終わりま
せん。その裏をかき、更に、その裏の真相まで用意。しかもラスト直前には容疑者たちの尋問内容を
おさらいしており、そこから読者も真相を推理できるように配慮され、きわめてフェア。
難を言えば、法医学的に「本当かよ?」と思える点が一箇所あることと、全体がユーモア・ミステリ風
で、200ページ程度の長さなので、全く重厚感に欠ける点ぐらいでしょうか。
ともあれ、お勧めの傑作です。

334 :名無しのオプ:2006/11/30(木) 11:49:29 ID:LEbVT7rM
『そして犯人(ホシ)もいなくなった』は以前から気になっていた作品でした
これはなにがなんでも読んでみなくてはいけませんな

335 :名無しのオプ:2006/11/30(木) 12:59:23 ID:rjonOmlH
俺も読もー

336 :名無しのオプ:2006/12/02(土) 01:57:21 ID:IMLCywVy
豊かな泉から湧き出てくるかの如き3氏の知識にも
終に枯渇の刻がやって来ましたか…。
今までご苦労様でした。
切り札、最後までしっかりと拝見させて頂きます。

…3氏の様な在野の賢人の登場が再びありますように

337 :名無しのオプ:2006/12/04(月) 01:34:23 ID:8HRCs4Zy
そうはいったって>>3氏がまた新たな鉱脈的作品群みつけりゃいくらも持つわけで・・・

338 :名無しのオプ:2006/12/04(月) 01:36:59 ID:DOegzikO
そうそうなかろうて

339 :名無しのオプ:2006/12/04(月) 13:08:19 ID:fPNQP7tj
皆3氏にばっかり頼ってちゃだめだ!!

340 :名無しのオプ:2006/12/04(月) 16:18:15 ID:9JkJ2Utr
>>339よ、ネタを提供してくれw

341 :3:2006/12/04(月) 17:51:24 ID:SiMN1Jki
切り札を使い果たす前に、ちょっと在庫整理。

小林信彦「合言葉はオヨヨ」(角川文庫)★★★
1972年の長編で、前作「大統領の密使」にも登場するテレビ・ディレクターの細井が主人公。
香港出張中の細井は滞在中のホテルの浴室で、見知らぬ他殺体を発見する。現場は内側から
ロックされた密室状態にあり、香港警察の楊警部補に疑われるものの、事件の裏に麻薬組織が
絡んでいることが判明、裏で糸を引くオヨヨ大統領の影が・・・。細井は友人の作家・安田、
楊警部補、そして殺し屋‘きのうのジョー’やら警視庁の鬼面警部、旦那刑事とともに二隻の
麻薬密輸船を追って神戸、東京、そして冬の北海道へ・・・。
ホテルの密室殺人、浴室に残された「007」のダイイング・メッセージの意味と解明された
トリックには大笑い。フェル博士もビックリの大トリック(な訳はない)。
二隻の船のどっちに麻薬が積んであるか分からないという状況での意表を突いた真相、更には
クライマックスでカーチェイスを繰り広げるクルマが、シトロエンDSとルノー(ギャビン・ライ
アルのパロディかな)。本格、冒険小説、ハードボイルドなど、ミステリ全般を茶化しまくって
います。飽くまで「本格その他ミステリのパロディ」の秀作ということで。

辻真先「宇宙戦艦富嶽殺人事件」(徳間文庫)★★★☆
1981年のポテト・スーパー物の長編。
「読者が犯人であり被害者であり探偵」という新作の執筆のため、編集者のアドバイスで神戸・
六甲大学のアニメ研を訪れたポテト。彼らの自主制作アニメ「宇宙戦艦富嶽」の試写会の最中に、
映写機の事故から、アニメ研の女子学生が死亡する事態に。だが事故死ではなく、何者かによる
巧妙な殺人では、との疑いが。続いて、アニメ研のリーダーの実家でも殺人事件が勃発する・・・。
第一の殺人の巧妙な偽装工作が見事。その他にも、アリバイトリックやら意外な真犯人、日本軍
が開発した幻の重爆撃機「富嶽」の薀蓄や洒落た結末など、趣向が盛りだくさんですが、やはり
どこか、「この人、どこまで本気で書いているんだろう?」という「軽さ」が感じられてしまい
ます。
まあ一番印象に残ったのは、アニメ研の連中が話し相手に対し「おたく」を連発していること。
1981年にして、この言葉が広く使われていたのですね。

342 :3:2006/12/04(月) 17:54:30 ID:SiMN1Jki
連投スマソ

高柳芳夫「津軽富士殺人事件」(徳間文庫)★★★
1986年の長編。
推理作家の主人公は、かつて商社員としてドイツ駐在中に因縁があり恨みに思っていたドイツ人・ラーベが
来日し、弘前で大学教授となっていることを知り、彼を殺すべく取材旅行と偽って編集者と現地へ向かう。
ラーベをバーで酔わせ、帰り道、首尾よく弘前城の堀に突き落としたのだが、翌朝、ラーベは国鉄の線路で
轢死体となって発見される。ラーベは一命を取り留めた後、何者かに殺されたのか。同行した編集者にも
不審な動きが。更には被害者を酔わせたバーも一夜にして消えていた?主人公は身に覚えのない殺人事件の
真相を追うのだが・・・。
ベタベタのトラミスかと思いきや、そうとも言えず、かと言ってガチガチの「本格」にも徹しておらず、ちょっ
と不思議な雰囲気の作品。
真犯人の計画が良く考えると穴だらけのような気がするし、伏線も不足気味ですが、主人公が現場に残った
「メガネの破片」から、犯人を一人に絞り込む推理はE・クイーンばりで楽しめました。
ところでラーベを堀に突き落とした推理作家、それは立派な殺人未遂だと思うが、いつの間にかウヤムヤに
なっているのは何故だw

長井彬「赤の殺意」(ケイブンシャ文庫)★★
1982〜91年に発表された作品を収めた短編集。
1991年に発表された「函館殺人事件」「不倫の決算」は駄作。この作者もここまでレベルダウンするとは
悲しい。一応、アリバイ工作やら電話のトリックやら出てきますが、精彩なし。「オホーツク殺人事件」は
「奇妙な味」を狙ったものか、作風に合わない凡作。「撮影旅行殺人事件」は指紋に関するトリックだが
やはり凡作。「三人の赤マント」は、ロックバンドのコンサートの最中に起こった殺人事件。何となく横溝
正史「かめれおん」を思い出した、一応の水準作。「赤いスーツの女」は、単なる××××トリックかと思わ
せて、そこにもう一つのトリックを絡めた点は上手いが、伏線不足なのが惜しい。
最後の2作以外、読む価値なし。

343 :3:2006/12/04(月) 17:58:15 ID:SiMN1Jki
再連投スマソ

多島斗志之「金塊船消ゆ」(講談社文庫)★★★★
1987年の長編。
太平洋戦争中、金塊を隠すためにフィリピン沖に沈めた日本の輸送船。夜間に沈没させるために
地上で火を焚いて目印にしたのだが、そこから割り出されたポイントから船は発見されなかった。
月日は流れ、火を焚いた日本軍の生き残りである浅田と鳥居の元に、戦後四十年も経って、謎の
人物から現地への招待状が届いた。再び、金塊を探し当てようというのか。現地へ向かい消息を
絶った浅田を追って鳥居も現地へ向かったが・・・。
冒険小説としての面白さに加えて、結末の意外性も楽しめました。招待状の送り主の正体とその
動機が明らかになったときは、思わず「おおっ!」と声を上げてしまった。沈没地点に関する
トリッキーな仕掛けも上手い。伴野朗の初期長編群と同様、「本格」風味のある冒険小説の秀作。

344 :名無しのオプ:2006/12/04(月) 19:20:17 ID:FAPrf0At
多島斗志之の初期国際謀略小説は意外な展開、意表をつく結末にこだわり、確かに
本格マインドがあふれてますね。「パンドラ抹殺文書」のバー=ゾウハーを思わせます。
私のお奨めは「聖夜の越境者」(講談社 1987年)「バード・ウォーズ」(天山ノベルス 
1988年)です。

「読みました」報告・国内編12
石沢英太郎「視線」(講談社文庫 1981年)★★★
77年に協会賞を受賞した表題作ほか6篇収録の短編集。
感心するようなトリックが使われているわけでなく厳密には本格ミステリといえない
かもしれませんが、人の内面の謎というか、松本清張の初期短編に通じる味わいが
あります。なかでも毒草による老夫の殺害計画「アドニスの花」が秀逸。



345 :名無しのオプ:2006/12/04(月) 21:30:19 ID:EScPwdH8
>初期多島
ミステリとしての意外性ととも、「バード・ウォーズ」以上のギャグすれすれの
設定が笑える「CIA桂離宮作戦」(「ソ連謀略計画を撃て」)も個人的には大好きですが
まぁやはり一番完成度の高いのは「密約幻書」かな

昨今ワイドショーなどで例の暗殺疑惑を扱われかたを見ると、みんなけっこう謀略好き
なのねって思う。「不思議島」以前の作品を復刊しても受け入れられる器は
まだまだあるんじゃないだろうか。

346 :名無しのオプ:2006/12/06(水) 17:45:15 ID:2Kg9qLok
創元で多島の海上タクシーシリーズが復刊していたね

347 :3:2006/12/08(金) 12:26:16 ID:Vl1Focwo
在庫分から怪作の紹介。

井沢元彦「死にたくなかった女たち」(双葉文庫)★★★
1986〜87年に連載された、殺人事件の被害者の女性が夢に現れるという超能力の持ち主・司門獏を
探偵役とする連作集。
第1話「死んだはずの女」で、司門が超能力を持つ由来などを紹介。被害者の霊が司門の夢に現れ、
事件を解決するまで夢に出続けるので、司門は仕方なく探偵役に。以下、殆ど同じパターンで司門
は事件の渦中に。本作の事件は平凡な出来。
第2話「叫ぶ女」はデパートでテレビのニュースを見ていた耳の不自由な女性が、突如絶叫して窓から
飛び降りた事件。トリッキーな仕掛けと「耳が不自由」という伏線が利いています。
第3話「執念の女」は、司門の友人の田舎に行ったところ、江戸時代に死んだ女性の霊に悩む話。凡作。
第4話「赤い糸の女」は、殺された女ではなく、これから命を狙われている女性を予知夢で救う話。以降
の話では、この時に救われた女性が助手役で登場。これはアリバイトリックなどを凝らした力作。
第5話「思い出の女」、第6話「固められた女」は凡作。第7話「わがままな女」はアイドル歌手の誘拐事件。
伏線の利いた佳作。
以上全7話、佳作、凡作ごっちゃ混ぜの怪作です。

348 :3:2006/12/08(金) 12:29:52 ID:Vl1Focwo
連投スマソ
切り札の二枚目の紹介。

高柳芳夫「奈良-紀州殺人周遊ルート」(徳間文庫)★★★★
1988年の長編。
推理作家の朝見は、自作「奈良-紀州殺人周遊ルート」の映画化のためロケに立会っていたが、主演女優が
小道具と誤って短刀で自らの腹を刺し、重傷を負う現場に遭遇。その後、関係者が次々と殺されてゆく。
密室状態のホテルでの墜落死、走行中の列車からの消失・・・。しかもそれは自作のストーリーどおりの
状況だった。誰が作品を模倣しているのか。朝見は自作のトリックを上回る犯人の犯行手段を解く羽目に
なった・・・。
>>342で紹介した「津軽富士・・・」の、弘前でドイツ人を殺しそこなった推理作家が再び探偵役を務めていますw。
不可能状況での連続殺人について、先ず作家の自作のトリックがあり、それに対し作家が別のトリックを推理、
しかし真相は・・・・、という凝った展開。普通の3倍もトリックを考えたことに敬意を表します。しかし、そうは
上手いトリックを量産できるはずもなく、一部のトリックは拍子抜けなのが残念。ともかく、タイトルから連想
されるようなベタなトラミスではないですが、二時間ドラマに出てくるような良い加減で間抜けな警察だけは
マイナス点。
全作読んだ訳ではないですが、致命的な瑕疵は見当たらないし、トリックから見ても、本作がこの作者のベストかな。

・・・しかし、二枚目の切り札としては今イチか。決して悪い札ではないですが、司城志朗「そして犯人も・・・」を
後にすべきだったかな。何か七並べやババ抜きで作戦ミスした気分・・・orz

・・・ということで、最後の切り札を一枚だけ残していますが、これで在庫一掃。今後はリアルタイムで読んだ
作品を、そのつど紹介することとなります。拙文にお付き合いいただいた方々、有難うございました。

349 :名無しのオプ:2006/12/08(金) 13:17:49 ID:ynkNxiTY
>>348
お疲れ様でした。最期の切り札は>>1000でお使いくださいw

高柳の日本を舞台にしたトラミスみたいなタイトルのは「京都祇園祭殺人事件」
だとかいうものを持っているけど、どこにしまってあるかわからない……
見つけたら読んでみます
>>3氏のレビューを読むかぎり、駄作シリーズではないみたいですね)

350 :名無しのオプ:2006/12/09(土) 02:23:02 ID:lc9D+BmQ
3氏の最後の切り札は何か?気になるので推理してみた。

1.今までに当スレで言及されていない作品
2.あまり有名な作家ではない(でないと切り札とは言わない)
3.文庫作品である(過去の3氏のレビューを見ると単行本、ノベルスがほとんど
  ない。しかも徳間文庫が圧倒的に多い)
ここまでの絞込みはどうでしょう?


351 :名無しのオプ:2006/12/09(土) 02:33:39 ID:mSvB1U22
焦らすのもいいけど、あんまり待たせちゃいやよ☆

352 :名無しのオプ:2006/12/09(土) 17:30:57 ID:NHqnru6T
切り札は藤本泉あたりと予想。

353 :名無しのオプ:2006/12/09(土) 18:18:57 ID:lc9D+BmQ
切り札はズバリ、井上ひさし「十二人の手紙」(文春文庫)と予想

354 :名無しのオプ:2006/12/09(土) 19:00:55 ID:mSvB1U22
>>352-353
レビューよろ

355 :名無しのオプ:2006/12/09(土) 20:59:22 ID:GZ8fr9+h
おつかれさんした。
未踏の地を進む事を恐れてはいけない、
そんな気持ちを教えられた連載でした。

356 :名無しのオプ:2006/12/09(土) 23:23:13 ID:eGMsIqMK
乙でした。続きも気が向いたら書いてください。

「十二人の手紙」は自分も読んだ。
本格かどうかはよくわからんが、おもしろかったよ。

357 :3:2006/12/11(月) 18:11:54 ID:ajVA8N/H
>>350
良いセンいってますw
自分でも意識してなかったけど、確かに徳間文庫が多いなあ。きっと、乱歩賞受賞作などの名作は
講談社文庫に、高木、鮎川、森村、土屋などの有名作家は角川文庫に取られていたので、後発組の
徳間は、それ以外の作品を文庫化する方針で、俺の読書傾向に合ったのかもw

結局この土日も、スレタイの主旨に沿ったミステリしか読まなかった・・・orz
で、感想です。

笹沢左保「遥かなりわが叫び」(角川文庫)★★★★
1977年の長編で、前年の「遥かなりわが愛を」(>>29)に続く、伊勢波警部を探偵役とするシリーズ
第二弾。
勤務先の社長を殺して逮捕された黒塚は、服役中に妻子が交通事故死し、逮捕直前に妻子に会わせて
くれなかった伊勢波警部に復讐を誓う。出所するや、警部のメンツを叩き潰してやると宣言、予告
どおり、黒塚と警部が名古屋にいる最中に、東京で、黒塚が殺した社長の未亡人が殺される事件が
勃発。伊勢波は黒塚の犯行だと断言するが、その彼自身が黒塚のアリバイの証人となっていた・・・。
前作「・・・わが愛を」のアリバイトリックよりも出来が良いと思います。この作品が先鞭を付けた
とは思えませんが、後年、深谷忠記の某作品や新本格の某作品でも使われるなど、様々なバリエー
ションを生み出しているトリックですね。後発作品を幾つか知っていたので、本作は、俺もほぼ
百パーセント見破れたし、現代の読者ならたいてい見当が付くと思います。でも先行作品、という
ことで評価は高めにしておきます。
あと、官能的な描写に重大なヒントが隠されているなど、やはり一筋縄でゆく作家ではないです。

358 :3:2006/12/11(月) 18:14:57 ID:ajVA8N/H
連投スマソ

嵯峨島昭「グルメ殺人事件」(光文社文庫)★★★★
既に>>256さんが紹介してましたね。探して読んでみました。これは面白かった。
酒島警視と鮎子のコンビが、毎回、或る料理にまつわる事件を解決、ついでに薀蓄を傾けたり、
平束八兵衛(実在した警視庁の名物刑事と殆ど同名では?)という刑事が憎まれ役として絡んだり、
という1982年の連作集。
本格ミステリとしてならば、「ちゃんこ鍋殺人事件」と「スイス・フォンデュー殺人事件」がベスト。
前者は、相撲博物館で夜な夜な力士の等身大の人形が暴れ出し、遂に親方を殺してしまうという話。
島田荘司もビックリの大技、というかバカミス。カセットテープに関する或る伏線が上手いが、
とにかくこれはスゴイw
後者は正統派で、白馬の山荘にスキーに招待された酒島警視と鮎子が到着すると、山荘では先に来て
いた客たちが皆殺しになっていたというもの。現場に残された手掛かりだけで、事件当時の状況を
再現する酒島の推理が見事。
その他、「にぎり鮨殺人事件」は、無愛想な鮨屋の主人が殺されるが、主人の残したダイイング・
メッセージがギャグすれすれの一発芸、「北京?鴨(ダック)殺人事件」は「物の隠し方」トリックが
出てくるけど、これまたトンデモ系の凄技。「野鳥獣料理殺人事件」「鮎料理殺人事件」では密室
トリックが出てくるけれどこれは凡作。
その他、奇妙な味っぽい「フォアグラ殺人事件」、「すきやき殺人事件」「ライスカレー殺人事件」の全9話。
今では誰でも知っている常識の薀蓄を垂れていて苦笑するところもありますが、北森鴻「香菜里屋」
シリーズなどとはまた異なる雰囲気の、何とも昭和の香りも漂ってくる、実に美味そうな料理ミステリの佳作。

359 :名無しのオプ:2006/12/11(月) 20:14:00 ID:3G7v685f
「遥かなりわが叫び」は「警部の証言」と改題されて、祥伝社文庫に入ってたと思います(まだ現役なのか?)
「遥かなり〜」のほうがいいタイトルだと思うのに、なんで変えちゃったんだろ


360 :名無しのオプ:2006/12/12(火) 01:06:40 ID:F+r7xU/m
愛人はやさしく殺せ(旧題「三種の神器殺人事件」)
ttp://www.papy.co.jp/act/books/1-102217/

タイトルとあらすじのギャップありすぎw

361 :名無しのオプ:2006/12/13(水) 00:10:22 ID:EuZeRx0O
きっとこのスレぐらいのレベルになると、中町信辺りはもうレビュー不要なんでしょうね…。

ブッコフで「榛名湖殺人事件」「女性編集者殺人事件」「奥只見温泉郷殺人事件」を手に入れたので、これから楽しみに読みます。

このスレを見て深谷忠記を読みました。(紹介されていないものですが)大変良い掘り出し物でした。ありがとうございました。

362 :名無しのオプ:2006/12/13(水) 00:12:00 ID:k3XxFaha
>>361
感想を報告スレによろ

363 :名無しのオプ:2006/12/14(木) 22:42:18 ID:HI9ZlFaJ
「読みました」報告・国内編13

梶龍雄「幻狼殺人事件」(1984年徳間書店、1987年文庫化)★★★☆

幻のニホンオオカミの取材で群馬県山奥の「密室村」を訪れたルポライターの主人公
を待っていたのは不可解な木像連続盗難事件と殺人死体だった。村の唯一の出口は
監視小屋で見張られていたにもかかわらず、いずれも村から隣町に運び出され発見
された。
事件の背景には昭和15年に村で発生した連続婦女暴行事件と憲兵殺害事件が関わって
いるようだが、その犯人は既に死亡したものと思われていた。
20年にわたる愛憎の軋轢が新たな悲劇を呼ぶ・・・コテコテの伝奇推理小説です。
ストーリーはちょっと複雑なので以下、パズルのピースをばらまくと、
平家の落人伝説の村、素封家同士の対立、忌まわしい血の怨念、ひょっこり登場する
素人探偵、鍾乳洞での追跡劇、最後は屋敷炎上、そうです横溝正史そのまんま。
梶龍雄版「八つ墓村」です。本格ミステリを期待して読むとガッカリですが、物語を
楽しむ分にはOKです。





364 :名無しのオプ:2006/12/15(金) 00:48:30 ID:VCE5GMgu
「黒いトランク」と賞を争った梶龍雄の「白い顔の男」って
改題とかされてその後単行本化してたりするんですかね?

365 :3:2006/12/15(金) 17:53:43 ID:TmKazk+w
山村美紗「愛の海峡殺人事件」(光文社文庫)★★☆
1970年の乱歩賞最終候補作「京城の死」を改稿し1984年に発表した長編。
終戦直後に父親がソウルで病死したと伝えられてきたヒロインは、戦後27年も経って、ひょんなことから
父が何者かに殺されたことを知る。ソウルに向かった彼女は当時の関係者を訪ね歩くが、彼らは次々と殺
されてしまう。父親の死に何があったのか、そして連続殺人の犯人は・・・。
犯人は直ぐに見当が付いてしまうし、アリバイのトリックも、その後の作者の作品で乱発される例のヤツ、
という訳で、乱歩賞を逃したのは仕方ないかな、という出来。なお犯人の動機の一部に、ちょっと驚く部分
があります。これは当時よりも現代の方がインパクトが大きいかも。
ともかくも、ベストセラー作家になった後の作品とは違って、作者が一生懸命に描いたということは伝わっ
てくるので、まあ好感は持てますが。

赤川次郎「幽霊湖畔」(文春文庫)★★☆
1986〜88年に発表された作品による「幽霊」シリーズ第5弾。
第1話の表題作は、休暇中の湖での殺人事件と、そこに強盗の指名手配犯が隠した宝石探しが絡んでくる話。
何気ない会話に潜む伏線が上手い。第2話「着せかえ人形の歌」はアイドル歌手とその吹き替えを巡る殺人
事件。凡作。第3話「危い再会」も本格ミステリとしては凡作だが、ヒロインの複雑な心理に着目した夕子の
推理が非常に面白い。第4話「吸血鬼を眠らせないで」は吸血鬼に凝っている中学生と、彼が作った杭で刺し
殺された女性の話。凡作。第5話「狼が来た夜」は、警察にウソの情報ばかり流す男が、またも近所に凶悪犯
が隠れていると連絡してくるが・・・。トリッキーというほどでもないが、これは佳作。
いずれもスイスイ読めるし、ストーリーの組み立ても上手いとは思いますが、トリッキーな仕掛けの面で、
またもレベルダウンしてしまったようです。

366 :名無しのオプ:2006/12/16(土) 13:39:42 ID:KVRHLvIp
「読みました」報告・国内編14

梶龍雄「殺人魔術」(光風社出版 1984年)★★
雑誌掲載された短編を落穂拾い的に収録した短編集。作者のこだわり3つのアイテム(
舞台は軽井沢、怪しげな宝石商、人物入替りトリック)が各編に散りばめられ、またかと
既視感にとらわれる。お約束のベッドシーンの筆力にのみ感心。

梶龍雄「浅間山麓殺人推理」(徳間文庫 1988年)★★☆
「殺人への勧誘」(光風社出版1984年)の改題、文庫化。
文庫タイトルで想起する「館もの」あるいはCCものではなく、多岐川恭がよく書いた
クライムサスペンスに近い。
浅間山麓の平原に集まった5人の男女、彼らは同じ殺し屋に殺人を依頼した過去があり、
その殺し屋から呼び出されたのだった。突然の銃声により5人は命を狙われていること
を知り、殺し屋の正体に迫るべく過去の殺人依頼の経緯を一人ずつ話し出す・・・
半分ほど読んだ段階で犯人の意図は容易に推理できます。凡作というか本格ミステリと
しては失敗作でしょうね。



367 :3:2006/12/18(月) 12:18:58 ID:IJAg51QD
ちょっとスゴい怪作の紹介。

斎藤栄「金糸雀の唄殺人事件」(光文社文庫)(採点保留)
1982年の長編。
怪我を負った仲間を見殺しにし、所持金を奪って生き埋めにした五名の高校生グループ。事件は
発覚しないまま、五年の月日が経った或る日、メンバーのもとに彼らの担任教師の名を騙る手紙が
届いた。例の事件について新事実が判明したので相談したい、というのだ。待ち合わせ場所の湖に
一行は到着するが、先に来ていたはずのメンバーの女性が行方不明となった。湖畔には人が転落し
たらしき痕跡が。そして生き埋めにした仲間が好きだった西條八十の「かなりや」の歌がどこから
ともなく聞こえてきた・・・・。あの時生き埋めにした仲間が生き返り、復讐を開始したのか?
更には、不安に駆られて生き埋めにした場所を掘り返し始めたメンバーの男もまた、密室状態の
小屋の中で不可解な死を遂げた・・・。
最後の最後に待っていたドンデン返しには唖然・呆然としました。確かに、密室トリックやらアリ
バイ工作も含め、理屈の上では、こんなことも起こり得るでしょうし、一応、辻褄も合っているし、
真犯人を示唆する伏線もあちこちにあります。しかし、それでも、常識的な人間の心理から言って、
こんなことをする意味あるの?とも思えるし、そもそも地の文に矛盾も幾つか・・・。
何か、トンデモないものを読んだ感じ。大傑作なのかデタラメの駄作なのか、ちょっと判断に苦しみ
ますので評価は保留。後日、良く読み返してみます。興味ある方は読んでみてください。とにかく、
色々な意味でスゴイよ。


368 :3:2006/12/18(月) 12:23:55 ID:IJAg51QD
連投スマソ

赤川次郎「知り過ぎた木々」(文春文庫)★★☆
永井夕子の高校生時代の活躍を描く「幽霊」シリーズ番外編。1985年発表。
或る女子高の林間学校。学園長夫人の失踪騒ぎに続いて発見された謎の女の他殺死体。更には毒薬騒ぎ
まで勃発する。自殺未遂で記憶を失った友人に随行してきた夕子は、一連の事件には前年の林間学校の
マラソン大会でおきた不可解な出来事に原因があると推理するのだが・・・。
大した伏線もなしに×××トリックを持ち出すのはちょっと頂けませんね。マラソン大会における或る
謎の真相はまあまあ。結末が非常に駆け足ぎみでやや説明不足なのが難。凡作でしょう。

赤川次郎「静かな町の夕暮に」(講談社文庫)★★★
1988年のノンシリーズの長編。
山あいの小さな田舎町に映画のロケ隊一行がやって来た。演劇部に属するヒロインの女子高生はエキス
トラとして出演するが、そのうちに未亡人の母親が主演の男優と急接近し、遂には再婚することに。
しかし事件は起こった。同じくエキストラ役だった演劇部の後輩が学校で殺され、彼女と付き合いの
あった男子高校生も自殺。新しい父親となった男優にも不審な動きが・・・。
「爽やか」「明朗」でもちょっと「苦い味」のするミステリです。やや伏線不足ですが、意外な犯人の設定
は上手いと思います。でも全体に仕掛けが乏しく、これも凡作。

草川隆「L特急<かいじ>に消えた女」(双葉文庫)★★☆
1990年の長編。
映画の撮影中に起こった殺人事件。主演女優が男優を刺殺する演技で、ナイフが本物にすり替えられていた。
誰が小道具をすり替えたのか?事件発覚前に何も知らずに更に次のロケ地に向かった女優は信州・諏訪湖で
水死体となって発見される。覚悟の自殺なのか?だが関係者には鉄壁のアリバイがあった・・・。
アリバイ工作は全体に陳腐なもの。ロケ現場における或るトリックは、まあ合格点でしょうか。探偵役となる
駆け出し女優とマネージャーのコンビがちょっと新鮮に感じられるだけで、何とも個性に欠ける作品です。

369 :名無しのオプ:2006/12/18(月) 19:09:44 ID:yw1dSrJ2
>>367
さっそくブッコフ行ってみましたが見つからず。読みてー
でも代わりに長井彬『槍ヶ岳殺人行』ゲト。

370 :名無しのオプ:2006/12/18(月) 19:15:27 ID:yw1dSrJ2
っと、高柳『「ラインの薔薇城」殺人事件』はガイエの続篇か、
しまった。前作読んでないのに読み始めちゃった・・・

371 :3:2006/12/21(木) 12:26:17 ID:yvwU6VDs
池田雄一「京都大文字連続殺人」(徳間文庫)★★★
1991年の長編。
東京・銀座のど真ん中で発見された全裸の死体。更には新宿の繁華街で発見された十二単を着た死体。
いずれも殺害現場は遠く離れた京都と判明するが、誰が何のために東京まで死体を運び、捨てていった
のか?捜査が進展するうちに、或る容疑者が浮かび上がる。だがその容疑者には鉄壁のアリバイがあっ
た・・・。
「出雲3号0713の殺意」にも登場した伊夫伎警部が活躍。2時間ドラマでテレビ化を狙っているかの
ような展開もありますが、タイトルに因んだ「見立て殺人」の趣向は面白いです。で肝心のアリバイトリッ
クは如何かというと、これは可もなく不可もなく、といったレベルでしょうか。じっくり考えれば誰でも
分かるレベルで、もう一捻り欲しいところ。その代わりラストにはヒネりを入れてますが、これは議論が
分かれそう。俺は無くても良いのではと思いますが。

津村秀介「宍道湖殺人事件」(光文社文庫)★
1986年のルポライター・浦上紳介物の長編。
山陰・松江のホテルから何者かによって転落死させられた男。彼の恋人は数ヶ月前にスイス・ジュネーブ
のホテルで謎の投身自殺を遂げていた。二人の死を不審に思った男の妹は、浦上とともに事件を追及するが、
容疑者と思しき男は同じ日に、横浜で殺されていた・・・。
序盤は非常に退屈で、こりゃ駄作だろうな、と危惧していたのですが、やがて、松江の被害者と横浜の被害
者が、ともに相手の事件の容疑者となっているという不可解な状況になるや俄然、面白くなったのですが・・・。
でもまさか、あの真相じゃないよな、と危惧していたとおりの結末。まあ他に解決方法はないとは思います
が、ヒネりも何もなく、このレベルで「本格」を名乗るのは、ちょっとおこがましいと思うし、本作を賞賛した
解説の権田萬治も反省してほしいです。騙された・・・orz

372 :名無しのオプ:2006/12/21(木) 14:38:57 ID:Zbfgl8w5
津村秀介は殆どが駄作ですから・・・(苦笑

373 :名無しのオプ:2006/12/22(金) 03:32:59 ID:aE1GuNFX
よくおぼえてないが、「影の複合」は面白かった記憶が。

374 :3:2006/12/22(金) 12:12:46 ID:Y9lHNAAT
赤川次郎「さびしがり屋の死体」(角川文庫)★★★☆
1978〜1980年の作品を集めた短編集。
巻頭の表題作は、心理カウンセラーの助手がヒロイン。彼女の親友が恋人の死を知って後追い心中して
しまう。だがその恋人が実は生きていた。ヒロインはカウンセラーとともに事件を追うのだが・・・。
長編に匹敵するアイディアとプロットを詰め込んだ佳作。意外な真犯人といい、結末のドンデン返しと
いい実に贅沢、でもたった50ページほどの短編に詰め込んだためか、ちょっとバタバタした印象。
「長き眠りの果てに」は両親の殺人に巻き込まれて意識不明となった女性が数ヵ月後に意識を取り戻す、
だが記憶喪失で事件の状況を思い出せない。関係者は事件の舞台となった別荘に集まるのだが・・・。
これも長編を支えられるプロットを投入、まあ結末は予想がつきましたが、「本格」というより「サスペ
ンス」風の佳作。CC物の長編にすると面白いかも。
「死が二人を分かつまで」は銀行から現金を横領した女性が名前を変えて別の会社に勤めていた。銀行に
依頼された興信所の調査員が女性を追うのだが・・・。凡作。
「できごと」は修学旅行先で起きたレイプ騒ぎの顛末。一応、犯人当て物になってますが凡作。
「三人家族のための殺人学」は、ともに殺し屋を稼業とする夫婦の話。妻の方が「仕事」に失敗、自然死に
見せかけたはずなのに、被害者はナイフで刺されて発見される。真犯人を見つけ出さないと、組織から消さ
れてしまう・・・。意表を突いた急転直下の結末が見事。伏線も上手い。
以上全5作。この頃の作者はアイディアが溢れ返っていたようですね。出来が悪い作品もありますが、投入
されているアイディアの量は半端ではありません。
それにしても、この文庫の郷原宏の解説は噴飯もの。同時期の松本清張作品の解説では全く逆の主張をして
なかったっけ?そして「郷原節」の例の決めゼリフ・・・。スゴい。

375 :名無しのオプ:2006/12/23(土) 00:57:50 ID:r8dguyOw
「読みました」報告・国内編15

梶龍雄「草軽電鉄殺人事件」(廣済堂文庫 1989年)★★★★☆
「殺人者は長く眠る」(中公ノベルス 1983年)の改題、文庫化。
昭和34年、軽井沢と草津温泉を結ぶ草軽電鉄から当時の人気女優白川梨花が不可解
な状況で失踪した。
24年後、主人公の青年は軽井沢の画廊で出会った少女から祖母である梨花の失踪事件
の真相解明を依頼される。当時の関係者たちを訪ねまわる二人だが、今度は少女の母親
が毒殺される・・・・
クリステイが中期の秀作「五匹の子豚」以降とりいれた「回想の殺人」テーマの本格編。
旧タイトルとのシンクロで梶龍雄版「スリーピング・マーダー」というべきでしょうか。
あらすじだけでこの作品の魅力を伝えられないもどかしさがありますが、列車からの
消失トリック、毒殺トリックなどトリック満載ですが、最終章で明かされる衝撃の真相
にこれらのトリックが翳んでしまいます。これは本格ミステリの埋もれた傑作でしょう。





376 :3:2006/12/25(月) 12:09:58 ID:vYMKRuRh
山崎洋子「横浜秘色歌留多」(講談社文庫)★★★☆
1989年の長編。決して「本格」とは言いがたい気もしますが、それなりに「犯人当て」と「仕掛け」を
意識した作品だと思うので紹介。
大正十年。東京の下町から行方不明の父親を探して横浜に来た桃子。母親は本牧の娼館のマダムとなって
おり、父親が訪ねてきたらしいのだが、行方は掴めない。桃子は隣人の小説家の世話で、亡命ロシア人
ブリエンの屋敷に女中として働くことに。だがブリエンは姪のエレナを使って何かを画策しているらしい。
活動写真にのめりこんでいる小説家にも不穏な動きが。やがてブリエンは体をピンク色に染めて殺されて
しまう。犯人は誰か、そして残されたエレナの秘密とは・・・。
一応、アリバイトリックやら犯人当ての趣向もありますが、やはり大正時代の横浜の風俗描写が出色の出来。
谷崎潤一郎をモデルにした小説家やら桃子の母親の屈折した心情など、脇役も上手く固めています。
「エピローグ」にも一応、意外性を狙った趣向があるし、「本格」風作品として、まあまあの水準ではないか
と思います。

梓林太郎「奥入瀬殺人渓流」(光文社文庫)★★☆
1993年の長編。スレの主旨からは外れる年代の作品ですが、感想が書かれることも少ないかと思うので・・・。
北アルプスの遭難救助隊員の紫門は、登山中、岩場で食事直後に眩暈を起こして転落死する事故が相次いだこと
に疑問を感じ、関係者を尋ね回る。一連の事故は何者かが画策した「殺人」なのではないか。更に調査を進める
うち、青森の奥入瀬渓流で起きた殺人事件も関係していることを掴む。やがて一人の容疑者が浮かび上がるが、
彼には岩場の転落死の時も、奥入瀬の事件の時も鉄壁のアリバイがあった・・・。
登山に因む小道具を使ってのアリバイ工作は、まあまあでしょうか。でも基本的なアイディアにオリジナリティが
感じられません。転落死におけるアリバイ工作は深谷忠記などが先行して使っているし、奥入瀬の事件の仕掛け
だって、警察の鑑識が気づかないのは変。探偵役も魅力不足。

377 :3:2006/12/25(月) 12:13:28 ID:vYMKRuRh
連投スマソ

高柳芳夫「ベルリンの女」(徳間文庫)★★★
1982年の短編集で、全てヨーロッパのドイツ、チェコ、オーストリアなど欧州が舞台の作品集。
表題作は、ベルリンのアパートで鍵のかかった部屋で死んだ男の話。発見者の妻と日本人の男には
アリバイがあったのだが・・・。J・スラデックの某作品にも似た大掛かりな趣向も上手いが、全て
が解決したと思われた後の裏の真相が見事。これが集中のベスト。
次点は「ヴィーナスの山の白い館」かな、J・D・カーなどが使った或るトリックで、レッドヘリ
ングの配置も上手い。でもそれ以上の仕掛けがなく残念。
「フィヨルド殺人事件」「国際電話会社殺人事件」は各々トリッキーな趣向があるが今一つの出来栄え。
「ラインの誘惑」は、単なるアリバイ崩しとみせて、実は主人公の屈折した心情を描いた心理スリラー
風作品。
「落下」「淫蕩の城」は珍しいショートショート。後者は古いドイツ怪奇小説そのままで面白くないが、
前者はこの作者らしからぬ文章で、乱歩「白昼夢」に似た雰囲気でベルリンの街を描いた佳品。でも、
「本格」ではないので・・・。

378 :名無しのオプ:2006/12/28(木) 22:16:09 ID:VRs2YswW
3氏が今年中に切札を明かしてくれますように……

379 :3:2007/01/04(木) 12:10:46 ID:4e3T+7Oh
>>378
リアルタイムで読んでる作品から傑作を発見できれば、前の切り札は発表しても良いのですが、見ての
とおりの状況ですのでねえ・・・。

井沢元彦「隠された帝−天智天皇暗殺事件」(祥伝社文庫)★★★
1990年の長編。
右翼過激派のテロの標的となったニュースキャスターの五条。一緒にいた友人は死亡するが、五代は幸運
にも重傷で済み、その入院中の無聊を紛らわせるため、死んだ友人と研究していた「天智天皇暗殺説」の謎
を解くこととなった。一方で、死んだ友人の遺族は、或る私立探偵に事件の真相究明を依頼、探偵は右翼の
大物へと迫ってゆくのだが・・・。
「天智天皇暗殺説」は、なかなかの迫力と説得力で展開されています。まあ一つの仮説としては非常に面白い
です。一方で現代に起きたサイドストーリーも、安っぽい軽ハードボイルド調ではありますが、それなりに
「本格」を意識して描いており、真相に関する或る伏線など上手いのですが、動機に関する重大な事実を最後まで
伏せていたのはダメ。しかし、意味深長なプロローグなど、捨てるには惜しい作品。

由良三郎「運命交響曲殺人事件」(文春文庫)★★☆
1984年、サントリーミステリー大賞受賞の処女作。
或る地方都市の交響楽団に東京の新進指揮者が招かれた。だがコンサート当日、ベートベン第五「運命」の開始
とともに、指揮台に仕掛けられた爆弾が爆発、死傷者多数の大惨事が勃発した。爆弾を仕掛けたのは誰か、また、
そのメカニズムはどうなっていたのか、指揮者を狙った動機は何か、地元県警本部の捜査一課長は、甥の素人探偵
とともに事件を追うのだが・・・。
音楽に関係の深い「或るもの」を使った爆破装置のトリックが非常に独創的で面白かったです。でも感心する部分は
そこだけ。それ以外の謎解きは凡庸で、「退屈」の一言。

380 :3:2007/01/04(木) 12:13:12 ID:4e3T+7Oh
連投スマソ

日下圭介「『野菊の墓』殺人事件」(光文社文庫)★★★
1988年の長編。
新聞社に入ったタレ込み情報。静岡県に漂着した死体は単なる事故ではなく殺人事件だという。密告者の
氏名を聞いた新聞記者は、その女性が「伊藤左千夫『野菊の墓』には重大な秘密が隠されている」という新聞
の投書で紹介されている評論の著者と同一人物であることに気づく。だがその著者は或る事件に絡んで十年
前に死んでいたし、その著書も見つからない。一方、静岡の水死事故は殺人事件の容疑が濃くなってくる。
被害者は南紀地方を旅行中に奇禍に遭ったものらしい。新聞記者らは調査を進めるうち、関係者の謎の自殺を
突き止める。だがその自殺も他殺ではないのか、しかし疑わしい者には鉄壁のアリバイがあった。そして、左千夫
「野菊の墓」に隠されている秘密とは何なのか・・・。
関係者がダラダラと整理されずに多数登場し、彼らを巡るうちに、事件の謎もダラダラと判明してゆくだけの
ストーリー。ただ、自殺偽装のトリックやその伏線のさり気なさ、×××によるアリバイ工作、「野菊の墓」の原作
を使った或るネタなど、アイディアは巣晴らしいのに、要らない人物が多かったり、謎解きの展開が詰まらないため、
損をしていると思います。もうちょっとシンプルな構成にすれば佳作となり得たのに残念。

381 :名無しのオプ:2007/01/04(木) 21:01:59 ID:kidky+Tr
「読みました」報告・国内編16

梶龍雄「連続殺人枯木灘」(1982年 徳間書店、1986年文庫化)★★★
和歌山県南紀の漁村で東京から来た昆虫マニアが射殺される事件が起き、友人の
主人公青年がその真相解明に乗り出す。一方、当漁村沖の無人島に野外冒険活動
に来ていた児童30名が謎の武装集団に囚われ身代金がわりに大量のモルヒネを要求、
政府は現地に政務次官を派遣する。
この二つの事件の背景には終戦直前の憲兵将校らによる新型銃器強奪事件が関係して
いたのだが・・・・
無人島乗っ取り犯の陸地での共犯者は誰か、そして意外な首謀者の正体は?
この辺は伴野朗の初期冒険サスペンスを思わせますが、前半の本格ミステリから
一転後半の謀略サスペンスへの展開に違和感を感じ、ともに中途半端な印象。
異色作ではありますが、本格フアンにはお奨めできません。


382 :名無しのオプ:2007/01/07(日) 21:28:51 ID:7PvU/1iT
正月休暇で約10年ぶりに帰省し実家の書庫を整理したところ、このスレ対象の
ミステリが大量に出てきた。
斎藤栄、山村美紗、深谷忠記、梶龍雄、西村京太郎、森村誠一、赤川次郎など
それぞれ20〜30冊、自分でもビックリしました。ほとんど読んだ記憶が欠落
しており、もちろん内容はまったく思い出せない。
歳をとるのもいいものですね、初読の感じで3冊ほど読みました。
3氏が上のほうでレヴューしている司城志朗「そして犯人もいなくなった」も既読
でした。

383 :名無しのオプ:2007/01/07(日) 23:08:50 ID:9lRLGMTe
レヴューきぼん。

384 :名無しのオプ:2007/01/08(月) 12:49:06 ID:7rnMwFkX
「読みました」報告・国内編17

梶龍雄「殺人者にダイヤルを」(1980年 講談社)★★☆
「天才は善人を殺す」の芝端敬一ら4人組大学生探偵団が再登場する本格ミステリ。
エリート銀行員とクラブホステスの変死事件が続発、同じクラブにアルバイトとし
て働いていた探偵団の紅一点・京子は仲間とともに真相解明に乗り出した。
事件の背景に銀行業界を揺るがす「トマト計画」という陰謀が見え隠れしていた・・
アリバイトリックにフィボナッチ数列の論理を絡ませたところに新味があるが、
最後のどんでん返しはちょっと強引で、単行本初期6冊のなかでは落ちる出来。
文庫になってない理由がわかる気がする。

梶龍雄「女はベッドで推理する」(1986年 サンケイノベルス)★★★
浮気妻エリ子&黒沢警部補コンビのお色気本格ミステリ連作。
幽霊シリーズ(宇野警部&夕子)や美食探偵シリーズ(酒島警視&鮎子)と同様の
素人女性探偵と警察官コンビ、まあ素人が何度も事件に遭遇するにはこのような
シチュエーションが必然でしょうね。
軽い気持ちで読み始めたが意外と本格度が高くお奨めです。
続編「浮気妻は名探偵」(1989年 桃園書房)も質が落ちていない。



385 :3:2007/01/09(火) 12:24:01 ID:i+eQKi0o
小杉健治「陰の判決」(新潮文庫)★★★★☆
1985年の長編。
弁護士の水木を訪ねてきた女性。十三年前に獄中死した父親の冤罪を晴らして欲しいと言う。水木は
当時この事件に関わり、現在は冤罪事件解決のヒーローとなり、今も或る事件の再審を進めている中西
弁護士に相談し、再審請求に向け、事件を再調査するのだが・・・。
本作は飽くまで法廷ミステリであり、「冤罪」と「再審」の意味を鋭く問う社会派の秀作ですが、終盤、
二転三転した末に、読者の予想を上回る結末が待ってます。やや伏線不足ながらも、緻密な裏の計画が
張り巡らされており、意表を突くトリックも幾つか仕掛けられていて驚きました。「本格」作品としても
佳作でしょう。

井沢元彦「暗鬼」(新潮文庫)★★★★
1987年の時代物ミステリ短編集。
表題作は家康の前半生に取材し、桶狭間の戦いの裏面と、子供を巡る家康の疑心暗鬼を扱った作品。
ミステリ的にはどうということはない。「明智光秀の密書」は正統な本格ミステリ。本能寺の変の直後、
光秀は毛利方に加勢を頼むべく密書を送るが、秀吉に密書を奪われてしまう。だがその密書は暗号で
書かれていた。苦心惨憺の末、解読した結果とは・・・。これは秀作。
「楔」は伊達政宗と豊臣秀吉の心理的暗闘。毒殺トリックは大したことないが、先の先まで読んだ政宗と
秀吉の駆け引きがめっぽう面白い。
「賢者の復讐」は不老長寿の薬を求める秀吉に対する果心居士の復讐。トリックは荒唐無稽だが、この
時代でならではのもの。「抜け穴」は大坂冬の陣、夏の陣を舞台にした家康の深慮遠謀を扱った作品。
「ひとよがたり」は秀吉の正妻・ねねに関わる奇談、「最後の罠」は家康の死因を巡る謎。これもトリッキー
な趣向が冴えている。「本格」風の作品は半数にも満たないがお勧めです。

386 :3:2007/01/09(火) 12:27:27 ID:i+eQKi0o
連投スマソ

嵯峨島昭「湘南夫人」(光文社文庫)★★
1978年の酒島警視が活躍する長編。
ストーリーは、義姉を慕う主人公の青年、義姉の姑の嫁イビリ、不倫、転落の人生・・・、何と言うか、
ベタベタのメロドラマで辟易しました。それらを剥ぎ取った骨格そのものは、海難事故と謎の幽霊船を
巡る保険金詐欺のカラクリを酒島警視が解明するもので、或るトリックも潜ませて、まあ「本格」と言え
なくもないですが、メロドラマが前面に出すぎて、酒島警視の謎解きが後ろに追いやられているのが残念。

斎藤栄「謎の幽霊探偵」(集英社文庫)(採点不能)
1981年のノンシリーズの長編。
三浦半島で自殺未遂の女性を救った高校の同窓生グループとその恩師。その女性が富豪令嬢であることを
知るや、一行は恩師の反対も聞かずに営利誘拐犯に早代わり、女性をダマして信州へと向かう。だが長野へ
の車中でリーダー格の男が殺される。その後も、誘拐メンバーが一人、また一人と殺されてゆくが、被害者
の一人は成仏できずに幽霊となり、自分を殺した真犯人を追及する・・・。
これはスゴイ。「荒唐無稽」で「支離滅裂」なバカミスの金字塔。列車に関するアリバイトリック、密室トリッ
クも出てくるが腰砕けの真相。ダイイングメッセージと、そのトリッキーな仕掛けだけ上手い。
マトモなはずの恩師の教師もスゴい。教え子を止めることも出来ずに、手をこまねいた挙句、各章ごとに一句ずつ、
お手製の川柳を披露!!ナメてんのか。実はこの川柳にもトリッキーな意味があるのですが、もはや暴走したバカ
ミスにとってはどうでも良いこと。それでも要所要所に伏線らしきものがあるのが余計にオカしい。
かなりヘンだが、これはこれで別の意味で面白かったです。

387 :3:2007/01/09(火) 12:35:18 ID:i+eQKi0o
3連投スマソ

夏樹静子「ひとすじの闇に」(文春文庫)★★
1982年の短編集。「斬新なトリックの本格ミステリー集」「トリック・メーカー」等々の惹句に
期待して読んでみたが裏切られました。殆どが凡作。
「死者の嘘」はダイイングメッセージ物だがオチが凡庸、「ヘソの緒」は臍の緒に関する意外な
事実?に驚いたのみ。実際にこんなことが行われているのかなあ?「普通列車の死」も、東海道
線の車内で死んだ男は、何故、新幹線を使わなかったのか、という滑り出しが面白そうだったが、
真相は尻すぼみ。
「鼓笛隊」「遭わなかった男」「年一回の訪問者」とも、起承転結と結末のヒネりは上手いが、
決して「本格」と言えるレベルではない。
例外は一番短い作品「走り去った男」でこれがベスト。何気ない書き出しが、後半一転して全く
別の意味を持っていたことに気付く、技巧を凝らした佳品。一字一句、計算し尽くしている。
本作だけ凄い。
それにしても、解説で絶賛している松村喜雄は、根本的に「トリック」の意味をはき違えてますね。

深谷忠記「踊子の謎 天城峠殺人交差」(祥伝社ノン・ノベルス)★★★
1990年の壮・美緒シリーズの長編。
美緒の友人の姉が伊豆半島で消息を絶つ。死体発見の報に下田に向かうが、別人だった。安心した
のも束の間、今度は天城峠で、その人物が他殺体で発見される。しかも下田の事件と密接に絡んで
いるらしい。関係者のアリバイは完全だったが・・・。
派手なトリックは殆どないですが、些細な矛盾点から、理詰めで真犯人とアリバイ工作を解明する
手際は流石の出来栄え。

388 :名無しのオプ:2007/01/10(水) 00:01:53 ID:BEv77Vv9
初めてカキコします。まだ出ていない作家のようなので。
書き方は真似させてもらいますね。

峰隆一郎「金沢発寝台特急「北陸」13分の殺意」(集英社文庫)★★
1988年の長篇。シリーズ探偵のようです。その探偵役が二人いるのが、珍しいといえば珍しい。
元・警視庁捜査一課刑事で、懲戒免職になって貧乏私立探偵の栢次郎と、テニスクラブの
社長で、何故か柔術の達人でめちゃくちゃに強い高比良亮という二人が探偵役。
他の作品は知りませんがこの作品ではどちらかと言うと後者が活躍しています。
お話は、寝台特急「北陸」で妊婦が刺殺され、容疑者が二人。ナイフの掌紋から一人が
じきに逮捕されるものの、もう一人の疑いも晴れず、探偵役がそれぞれ調査して…
なんていう筋です。
タイトルの通り、アリバイ崩しを主眼に置いたもので、捜査もまぁ丁寧なんでしょうけど、
どうもトリックがエレガントでないというか…。力技!って感じ。推理も、いろんな方法を
考えて検証しては打ち消して…という流れではなく、ひとつの方法にこだわってどうにか
こじ開けた!という感じで、本格の妙味はいまいち。二人の容疑者を巡る結末には
サービス精神みたいなものは感じられるんですけどね。
ただ、高比良亮の強さが尋常ではなく、その格闘シーンはなかなか痛快でした。
この著者には、何故か同じ列車を扱った「金沢発特急「北陸」殺人連鎖」(講談社文庫)も
ありますが、そちらはどうも官能シーンたっぷりの模様。いずれ読んでみます。
拙い投稿で失礼しました。

389 :名無しのオプ:2007/01/10(水) 01:36:50 ID:LTGvzC8G
磯部立彦「フランス革命殺人事件」(大陸書房)★★★

フランス革命が舞台という設定は面白いけど「本格度」はそんなに
高くないと思う。犯人の目星も後半にはつくし。トリックらしい
トリックもなかったような……?

390 :名無しのオプ:2007/01/10(水) 05:42:45 ID:hmwZch/Y
>388
官能シーンたっぷりなんてもんじゃないぞ、@峰作品
劣化版津村秀介風エロ小説といったところ。

391 :名無しのオプ:2007/01/10(水) 12:15:56 ID:uU/k8LiA
峰隆一郎と隆慶一郎を間違えたことが多々ありますw
峰のエロトラミスを何作か読んだことがあるけど、俺にはダメだった
笹沢の官能は許せるんだけど、峰の官能は許せない・・・

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