2ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

怪談文藝【三題噺スレッド】八百文字

1 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/08(日) 21:38:50
すべては怪談の為に。

※『要綱』
・ここは怪談専門の三題噺スレッドです。
・一作品800文字まででお願いします。

現在までに出ているお題(作品は過去のお題からでも結構です)
「冥王星」「ようかい」「小説家」
「うろこ雲」「病院」「ワイン」
「うなぎ」「柳」「サナギ」
「てのひら」「雨だれ」「路地裏」
「茸」「塩」「廃屋」
「蝶」「傘立て」「大仏」
「鳥」「携帯」「古井戸」
「コンビニ」「見世物小屋」「薬物中毒」
「新学期」「頭」「自作自演」
「カブトムシ」「ブランコ」「ビデオテープ」
「ポプラ」「本」「犬」
「猫」「下駄」「レタス」

※『注意』
・批評や感想は真摯に受け止め、次回作に活かしましょう。
・他板の話題を持ちこむのは荒れる原因となりますので謹みましょう。
・低レベルな罵り合い(過剰反応、罵倒、レッテル貼りなど)はスレッドの品位を損ないます。
・東さん(ttp://blog.bk1.co.jp/genyo/)の目にとまる可能性を考えて行動しましょう。
・分離元スレッドはこちら http://book3.2ch.net/test/read.cgi/bun/1159950044/

※『次スレを立てるのは950に書き込んだ人』
・990くらいになったら、書き込みは一次ストップ!
・次スレへの誘導をお忘れなく!

2 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/08(日) 21:59:26
乙です!

ここは相互に怪談作品を発表・批評しあい、トレーニングする場です。

とか『注意』にあったほうがいいかもね。

3 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/08(日) 22:03:07
本スレは流れが早すぎるし、こっちはゆっくり行きたいもんだ。

4 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/08(日) 22:09:03
あと、お題にNO.を付けたほうが何かと便利かも。

今の「冥王星」「ようかい」「小説家」
はNO.12とか。

5 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/08(日) 22:11:45
「ようかい」って何?
妖怪、溶解、酔うかい?用かい?

6 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/08(日) 22:11:57
乙です。
じっくり熟考して出すも良し。スピードに賭けるも良しって事で。

7 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/08(日) 22:16:44
>>5
どれでもOK。
ただ、あんまり苦しいダジャレは批判されることがあるかもしれないことを
覚悟して作品を投下するでFA?

8 :まめ:2006/10/08(日) 22:18:59
怪談専門のスレまってました

9 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/08(日) 22:37:08
どれくらい長くていいの?
50レスくらい使ったらさすがにマズイよね?

10 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/08(日) 22:44:05
>>9
>一作品800文字まででお願いします。
1レス内で。



11 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/08(日) 22:48:31
>>10
それは短いなあ

12 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/08(日) 23:16:07
1スレ内に納まってれば800字に拘らなくても良いんじゃない?
親元スレで書いてた頃も大体そうだったし、
「出来れば掲載」と言ってる過去作品も現に800字超えてるのもある。

13 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/08(日) 23:46:40
>>12
1スレじゃなく1レスでした!

14 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/09(月) 01:02:42
お題〈てのひら、雨だれ、路地裏〉
 「托鉢僧」

 深夜、受験勉強をしていた時のことだ。
 時間は零時を過ぎ、辺りはひっそりとした静けさに包まれている。
 昨夜から降り出した雨の音と、雨だれがベランダを叩くタンッ、タンッという単調な音だけが聞こえてくる。
(……一息いれるか)
 一段落着いたので伸びをして机から離れる。
 と、雨の音に混じって微かな声が聞こえてきた。
「〜もらもら〜もきゅもきゅ〜」
 何だろう。奇妙なリズムを持った旋律に興味が湧き、ベランダに出て闇夜を透かしてみた。
 すると、路地裏の入り口に誰か立っているのを見つけた。
 法衣を纏い編み笠を被っている。
 坊主、だろうか。編み笠に遮られて顔は見えない。
 胸の前に両の手のひらでお椀の形を作っているところから、駅前でたまに見かける托鉢僧を連想した。
 先ほどから聞こえるのはどうやらお経らしい。
(こんな時間にあんな場所で何をしてるんだろう……)
 不思議に思ってしばらく見ていると、不意にすぐ後ろで鈴の音が聞こえた。
 チリーン。チリーン。
 驚いて振り返ると、机の上にひび割れた汚い小鉢が置いてある。
 ついさっきまでこんな物は無かったはずだ。
(何だコレ?)
 訝しんでいる内に路地裏にいた坊主もいつの間にかいなくなっていた。

 翌朝、昨夜のことを家族に話して小鉢を見せると
「あのクソ坊主! まだ成仏してねぇのか!」
 と、父がはき捨てるように言って小鉢をゴミ箱に投げ捨てた。
 何か知っているのか、と聞いてみたが、不快な表情をするだけで父は何も答えてくれなかった。


15 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/09(月) 01:03:34
よーし、お父さん1スレ全部使って怪談書いちゃうぞー、


16 :14:2006/10/09(月) 01:06:20
ちょっと古いお題ですが書いてみました。
感想等あったらお願いします。

17 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/09(月) 01:16:20
いいね、雰囲気がよく出てる。

>「〜もらもら〜もきゅもきゅ〜」
面白い表現だけど、話の中に「もきゅもきゅ」である必然性がないから
読後に違和感が残るかな。

>ついさっきまでこんな物は無かったはずだ。
>(何だコレ?)
>訝しんでいる内に〜
普通はもっと驚いたり怯えたりすると思う。
主人公のリアクションが薄いので、読み手も淡々と読み進めてしまうのかも。

全体としては面白かった、乙!

18 :14:2006/10/09(月) 02:10:51
>>17

「〜もらもら〜もきゅもきゅ〜」は臨済宗のお経がこのように聞こえる、というのを ネットで見かけたので書きましたが、
仰るとおり、あまり意味の無い描写だったかも知れません。

>普通はもっと驚いたり怯えたりすると思う。
>主人公のリアクションが薄いので、読み手も淡々と読み進めてしまうのかも。
これもご指摘の通り、不自然でした。

コメントありがとうございました。勉強になりました。なんか自分の創作上の癖というか弱点が見えてきたような気がします。

19 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/09(月) 09:30:20
スレも新しくなった事ですし、新しいお題に入りませんか?

20 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/09(月) 09:59:50
いいね、じゃあ一番目は「避難」

21 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/09(月) 11:02:12
二つ目のお題は「柿」
甘柿でも渋柿でも干し柿でも、柿渋でも。

22 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/09(月) 11:32:23
3つ目「鶴」で

23 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/09(月) 11:49:39
でわ、「非難」「柿」「鶴」ということで。

24 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/09(月) 11:52:58
間違えた「避難」「柿」「鶴」ね。

25 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/09(月) 20:39:37
作品が出てこないな。お題が難しすぎたのかね。

26 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/09(月) 20:47:05
まったり進行という事で、焦らず行きましょう。
プロットは出来ても書く時間が取れないorz

27 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/09(月) 20:48:47
出掛け先から今戻ってきた。今初めてお題知った。頑張ります。

28 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/09(月) 21:21:17
俺も宿題(まだ書いてないお題)を書いてみます。

29 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/09(月) 21:49:08
このスレは平和に、まったりと行きたいね。


30 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/10(火) 02:07:24
同意

31 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/10(火) 18:14:50
 夢を見た。もう随分昔に亡くなった祖母の夢だ。場所はわたしが幼い頃ほんの一時期住
んだことのある祖父母の家だ。老朽化が激しいので近々に取り壊すと父が言っていた。
「鶴が来ん」
 布団に横になったまま首だけテレビに向けてニュースを見ていた祖母がそう呟いた。
 なるほど例年であれば冬の近付くこの季節になると鶴に限らず渡り鳥の第一陣が越冬に
渡って来たものだ。夢の中ではどうもそれが遅れているらしい。
「鶴が来ん年に柿を切っとは馬鹿スッタンのすっこっじゃ」
 モゴモゴと歯のない口で祖母は言った。
「鶴が来ん年にはお山が火を噴っ。そん前にはふっとか地震も来っ。地震が来た時ぁ、あ
ん柿の木ん根元に避難せんといかん」
 庭にそびえる柿の古木を見やりながら祖母はそう言った。
「じゃっで渋柿でん、あげんして切らずにおいてあっじゃっでね」

 そこで目が覚めた。夢の内容が妙にリアルで、かつ理にかなっているのにちょっと驚い
た。
 つまり火山が噴火する前兆として地震が来る。渡り鳥はそれを予兆して渡ってこない。
柿の木は深く広く根を張るというから地震の時など地割れが起きにくいと言う。
 うん。本当に理にかなっている。
 わたしはさっそく実家の父に電話した。
「うん、元気。でさ、昔の家の柿の木ってまだあった?」
「おう、もう虫が湧くばっかいじゃっで、今日にでも業者に連絡して切ってもらおかいっ
ち思ちょった」
「馬鹿スッタン」
 思わず祖母の言葉が口をついて出た。
 受話器の向こうで父は烈火のごとく怒っている。
 さて、どう取り繕ったものか……。

32 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/10(火) 18:17:41
>>31
九州の人かな?例の擬古文の人。

33 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/10(火) 18:21:33
作者の推理はこの際横に置いときましょ。

34 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/10(火) 19:16:34
>>31
ゾッとする話ではないけどヤバイぐらい良作。すばらしい。

35 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/10(火) 19:57:15
>31
夢に祖母が出てきて柿の木を切るなと言っていた
と言ったら、きっとパパも切るのを止めると思うよ。
ネタにマジレスしてみました。面白いなあ。

36 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/10(火) 21:06:18
うわ、面白い……。
面白すぎて、創作意欲が……。

37 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/10(火) 21:14:09
>>31
なかなか面白いね。方言がいい味を出してる。
ただ、夢の内容を検証する部分で、理にかなってるという記述は無かった方がよかったかも。
ちょっと説明がましく感じた。
それ以外は難しいお題を巧く纏めていると思う。
乙でした。


38 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/10(火) 21:43:17
>>34->>37
皆さん、ありがとうございます。
何とかコワい話にしようと頑張ったのですが、なんかホノボノ系になっちゃって……。
37さんの仰るとおり確かにちょっと説明がましいですね。ご指摘ありがとうございました。

39 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/10(火) 23:11:53
ラストワンをどの作品にするか、最後の最後まで悩んでいましたが、
本日午後ようやく全100篇を確定させて、リストをビーケーワンに送信しました。
現時点で、収録予定の作家数は68名、第1回〜第3回の応募作からの採用は15篇となっております。

だそうです。
さてここの住人から選ばれた人が出ると良いですね。

40 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/11(水) 06:47:00
来年の怪談大賞を >>31 が獲っても驚かない。

41 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/11(水) 17:59:58
お陰さまで「てのひら怪談」の連絡が参りました。
実を言いますと、今や個人的にはbk1に投稿した作品よりも三題噺に出させていただいた作品の方が
思い入れがあったりするのは、ちと……。

しかし、いずれにしろありがたい事です。

42 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/11(水) 19:02:24
>>41
おめでとう!
来年はさらにレベルが上がりそうだなぁ。俺ももっと頑張らねば……

43 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/11(水) 20:16:25
ありがとうございます!

44 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/11(水) 22:36:17
>41
ここでさらすのって諸刃の刃だ。
ほどほどにな。
それから、おめでとう。

45 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/11(水) 23:31:45
すいません。

46 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/12(木) 02:03:48
>>41
おめでとう。
とりあえず、三題噺は、練習になりそうだと言うことが判明したわけだ。
来年に向けて頑張ろう。

47 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/12(木) 02:30:14
まあ、ネタを温存するのも、ここで書きまくって地力を上げるも、それぞれの戦略次第、ってことで。

48 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/12(木) 05:14:47
>>47
実際、かなり上達してる人もおるようだしな。

49 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/12(木) 13:06:30
 子どもが、木から落ちた。
「あれは 柿の木なのだ。 
 とても折れやすく、登ってはいけないのに、なぜ 親が教えない。
 親の不注意の事故だ。」
 皆の前で、そのようなことを言った男と、子どもの父親とが 喧嘩になった。 
避難所生活も 長くなり、皆すさんでいる。  人口密度は 高過ぎるし、
暖かい食べ物も口には 入らない。 いらつくのも 無理はない。 
私も 疲れが溜まって、頭痛が とれなくなってきた。 少し仮眠をとったほうがいいのだろう。
今の 私の住居である体育館へ 向かう。   
 いったい いつまで この生活が続くのだろう。 湿った毛布の ひんやりとした肌触り。
目を瞑っていても 漏れてくる光。 こんなこと、知りたくはなかった。 どこかで鶴が鳴いている。
咽にくぐもって、ぎゃろろ、ぎゃろろと、ああ、冬になってしまっ…。
 鶴が来るのは、私の故郷だ。 ここには来ない。 気がついて、毛布から覗くと、女が子どもの首を
絞めていた。 子どもは抵抗もせず なすがままで、鳴いていたのは女だ。 
ぎゃろろ ぎゃろろと、口から空気を漏れさせている。 この女は 夜泣きがうるさいと 毎晩せめられ、
ある夜、とうとう自分の子どもに手をかけてしまったのだった。 
 可哀相に、自分が死んだことも わからないのだろう。 時々、このように人前に出てくるのだ。
明るい 陽射しのなかで、過去をくり返している親子に 同情の念はあるが、 だからといって、
何が出来るというものでも あるまい。
 今度こそ眠ろうと 私は毛布をかけ直した。 次は何があっても、起きないつもりだ。


50 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/12(木) 16:01:42
49乙。
避難所生活での実話風創作怪談。
着眼点は面白いのでもう少し捻りが欲しかった気がします。

51 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/12(木) 16:17:42
柿の木が唐突な感じ。もう少し自然に取り込む工夫を。
子殺し女の死因が触れられていないが、先の柿の木で頤使したと書くだけでも
冒頭部分とつながり、唐突感が薄まったりする。

「なすがまま」だけど「なされるがまま」かな?

52 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/12(木) 18:05:23
「なすがまま」の対語が「されるがまま」じゃないの。

53 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/12(木) 19:13:42
>>49
スペースで空けたのは意識してのことだと思うが、地の文と独白部分の文が交錯してて、ちょっと分かりづらかったかな。
雰囲気はよく出てると思う。
乙でした。

54 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/12(木) 20:31:01
お題〈うなぎ・柳・サナギ〉 
   タイトル「孵化」

 出張から帰ると宅配便の荷物が来ていた。
 差出人は柳とだけ書かれていて、思い当たる人物がいない。
 取りあえず荷物を開けてみると、妙なものが入っていた。
 昆虫を飼育するようなケースの中に木の枝が一本。枝に何かのサナギのようなものが張り付いている。
 そして、いやに古びた紙が一枚同封されていた。
「コノサナギガカエルマエニ、ダレカニオクリナサイ。
サモナイト、クト×××××ノジャ×××ガヨミガエリ×××××ダロウ。H・P・ラブ××××」
 所々、かすれていて読めないがこれがチェーンメール、いわゆる「不幸の手紙」に類似するものだと想像が付いた。
「くだらねぇな。誰の悪戯だ」
 何人かの悪友の顔を思い浮べてみた。東の奴の仕業だろうか。あいつはこの手の話が好きだったな。
 連絡を取ってみようかとも思ったが、出張から帰ってきたばかりで疲れてもいた。 
 それに今日はもう晩い。どうするかは明日考えることにして、寝ることにした。
 
 ズルルッ、ズルルッ。
 何かが這うような音で私は目を覚ました。
 起きて見ると、例のケースの蓋が開いていた。
 そして何か妙な粘液の跡が付いている。まるで巨大なナメクジが這ったような跡だ。
「……なんだこりゃあ」
 粘液の跡を辿っていくと押入れに続いていた。
 襖に手をかけて恐る恐る開けようとした瞬間。
 ビュルルルルッーーー。
 鋭い笛のような音と共に、ウナギのような黒くてぬめぬめした触手が何本も飛び出して、腕に絡みついてきた。
「うわわわぁっ!」
 手紙の指示に従わなかったことを激しく後悔しながら、私は押入れの中に引きずり込まれていった。 




55 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/12(木) 21:19:14
>54
クトゥルーもので来たか。
受け取ってすぐに誰かに送っていたら……
郵便局やトラックの荷台で大変なことが起こっていたわけですね。

56 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/12(木) 21:28:22
彼がカタカナとはいえ日本語をマスターしてるとは思わなかったよ。

57 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/12(木) 21:35:21
>>56
そこがこの話の一番コワいポイントとか?

58 :54:2006/10/12(木) 22:00:47
すいません、こんなもんしか思いつきませんでしたわ。
クトゥルーはw ごめんなさい、もうしません(たぶん)


59 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/12(木) 23:42:46
いやいや、クトゥルーものは好物です。
読んでいるうちに自分もクトゥルーで一本書きたくなりました。

60 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/13(金) 06:16:03
>>59
おお、ぜひ書いてください。読んでみたいです。

61 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/13(金) 13:18:24
 倉の整理をするという父からの電話を受けてすぐさま有給休暇を申請して実家に戻った。
 曽祖父はそこそこ商才があった人物らしく、養蚕業などで財を成し、またそれなりに道
楽者で、長崎にあった古い洋館など買い取ってこの南九州の町に建ててみたり、洋の東西
を問わず骨董なども蒐集していたという。しかしその息子の祖父は曽祖父の派手好きな面
しか受け継がなかったらしく、見事に財を食いつぶし、ついにはその洋館も手放してしま
った。お化け屋敷などと呼ばれたその洋館は現在町の有形文化財となっている。
 祖父はわたしが幼い頃に亡くなったので余り記憶はないが、わたしが考古学や民俗学に
興味があるのは、この祖父の血のせいだと昔から父に言われたものだ。
 それで唯一残ったのが親族の間で開かずの倉と呼ばれるこの海鼠壁の倉という訳だ。
「こんなの読むの得意だろう? だからお前は点検係りな」
 父から祖父の書き残したという目録を渡された。掛け軸、壷、面、屏風、槍、刀など並
んでいるが、名の知れたお宝と呼べそうなものには全て墨で×印が付いている。大方売り
払ったという意味なのだろう。その辺りだけは祖父は目利きだったようだ。
 そんな目録の中に妙な書付があった。
 九頭龍蛇魂蛹。
 さらにこれにだけ朱い墨で注意書きめいたものが書いてあった。
 何人たりとも此れを起こすべからず。
 箱根の九頭竜神社などで祀られている龍神に関係しているのだろうか? その後に続く
蛇魂というのもそれっぽい。その蛹というと龍に変化する前の状態? つまり龍神の卵?
「これ何処に置きますか?」
 倉の中から運び出された品々を点検し、破れたラベルなど貼り直していると、一抱えも
ある柳行李が運び出されてきた。何事か書き付けた和紙で四方が封印されている。
 これだ。これがあの九頭龍蛇魂蛹に違いない。何故か確信めいたものがあった。
 不意にその行李が揺れ、何かぬめった、そう丁度鰻の群れが動き回るような音がした。
 なるほど、さすがの祖父もこれだけは売り払えなかったらしい。
 わたしは理由も付けずにその行李をすぐに元あった場所に戻させた。
 思い出したのだ。九頭龍とはある神話の日本語表記。そして多分、蛇魂の蛇は「じゃ」
ではなく「だ」……。

62 :61:2006/10/13(金) 13:22:55
60さん。お約束の作品、とりあえず「鰻」「柳」「蛹」で書いてみました。

63 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/13(金) 16:27:55

              ,.-‐'''''''''''―---..,,__
            /:::::::::::::::::::::::::::::::::::;;-'ヽ
           ,':,r‐'''~~''''''―‐―'"7::::::::::::\
          l'/::           ミ::::::::::::ヽ
          !'::             ゙、::::::::::゙l
          ,'::::::              ヾ:::::::::::l
         ,l:;;;     ,ィ::::::....       ミ:::::::::l
          j彡ミヽ、  彡",....__       .、ミ::::::::l
         ゙Kソ_,ヾ    ヽ.'-'..>   ..:::::r'"/ヘl
          l::::'''' .,'   .:.. ̄     ..::::l イ-、.l
          l::`..::,'   ::.      ..:::.::: l/::... .}
          {::..::( .  ::...       :::::: l':::.. /
            l::. ヾ r'^ヾ ::.      :::::: __/
          l::.  ::"         ...:::::::V
            l:: ;:-――-      ..::::::::|
           .l::.:   ̄       .:::: ..::::|
           .l:::::...........     ...::   .::::ト、、
            ゙、::::      ,,.-''    ./ .〉ヽ、
            ヽ、__,,.-''"     / ./ .::::\
             /l::::::::::::::::::   ,,-''  ./:::::::::::::::`
             ノ:::lヾ、::::::::::  /    /:::::::::::::::::::::
>>61乙!
次ぎの作品も期待しています。

64 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/13(金) 17:53:04
短い時間でよくこれだけのものが書けるものだ。

65 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/13(金) 18:01:49
>>63のAAは誰?

61は例の九州の人かな?

66 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/13(金) 18:23:39
>65
おれもそう思ったけど、作者は詮索しない方向でいきましょう。
AAも誰かわからん。

67 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/13(金) 18:26:53
そうですね。純粋に作品を見ることにします。

68 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/13(金) 19:26:20

>>61-62
ダゴンで来ましたかw
なんかラブクラフト全集を読み返したくなりましたよ。
クトゥルーと日本の旧家という組み合わせが意外性があって面白かったです。
乙でした。


69 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/13(金) 19:43:52
>>63
このAAはラヴクラフトだろ、多分。

70 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/13(金) 20:01:29
>>68さん
「蛇魂」と書いて「だごん」。
このアイデアが浮かんだ時には正直嬉しくて嬉しくて、早く仕上げたくて仕方がありませんでした。
楽しんで頂けましたら何よりです。

あと>>63さん
ラヴクラフトのAA、ありがとうございます。

71 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/13(金) 20:10:53
あ、なるほどラブクラフトだったのか。

72 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/13(金) 21:39:21
ラブクラフトの顔って、夢野久作と嶋田久作の顔に似てる

73 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/14(土) 01:33:20
>>61
もっと長い物語にも出来そうな濃密な雰囲気。
上手いなぁ……。

74 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/14(土) 21:43:59
よろしければそろそろ新しいお題などいただけませんでしょうか?

75 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/14(土) 21:55:30
じゃ、一つ目は邪神

76 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/14(土) 22:01:43
ふたつめ「月」

77 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/14(土) 22:25:09
<(_ _)つ「工場」

78 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/14(土) 22:53:42
月に地下工場を作るために地面を掘っていたら太古の邪神を
蘇らせてしまう話は無しでおながいしたい。

79 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/14(土) 23:08:08
新しいお題は「邪神」「月」「工場」ですね。了解しました。

80 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/14(土) 23:37:02
>>78
今までの三題噺見てて、そんな安直なものが出てくる訳がない事位判るよね。

81 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/14(土) 23:48:30
SFも無しでおながいしたい。

82 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/15(日) 00:00:52
>>80-81
そうやって可能性の芽を摘むのはいかがかと。

83 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/15(日) 00:07:15
リクエストなんかせずにそういう作品を自分で書けば良いんですよ。
ここはトレーニング場なんですから。

84 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/15(日) 00:46:48
>>78
のような内容だって、書き様によっては安直にならないわけで。

85 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/16(月) 15:11:23
新しいお題は難しすぎたのでしょうか?

86 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/16(月) 15:39:38
難しすぎるという程ではない。ただ、連続投下になるのでちょっと控えているだけ。

87 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/16(月) 15:49:40
「金は だいじぞ。」 婆ちゃは いった。
しってらい。 んなの。
だから 俺は 工場でふつうだったら みんな 
1交代しか しないところを 2交代しとる。
2交代は たいへんぞ。 としよりは 死ぬぞ。
だが 俺は だいじょうぶ。 神さんが ついとるもん。
婆ちゃと 俺だけの 神さんは すごいぞ。
雨だって ふらすぞ。 風だって おこせる。
婆ちゃだけが なだめること できる。
婆ちゃが いちばん。
近所のもんに ばれたときは たいへんだったな。
邪神 邪神 いうやつは ほおっておけ。
金がたまったら 婆ちゃ よんでやる。 いっしょに くらそう。
だから 婆ちゃ 月のもの だといって 
俺をのけもんに するんは よしてくれ。
俺ぁ いっつも 婆ちゃの指 しゃぶっていたいのよ。 
 

88 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/16(月) 16:32:30
無理に方言使わなくても……

89 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/16(月) 16:35:06
空白がねぇ……

90 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/16(月) 20:46:30
>>87
ツキモノ筋に関連した話かな。
独特の文体が雰囲気を出してるね。
乙でした。



91 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 18:56:27
 いつまでも起きて來ないと思ったら、薄く微笑んだやうな表情のまま妻は布團の上で冷
たくなっていた。生前から口數の少ない女だったが、最後までそれを貫き通したやうだ。
 愼ましやかに葬儀を執り行ひ、その後獨り暮らしとなった譯だが、これがなかなかに面
倒だ。日常の細々とした事の煩雜さに戸惑ふ事しきりといったところだらうか。例へば炊
事など西洋科學の實驗のやうなものと思っていたが、だうしてだうして手順通りに行って
もなかなか再現性が得られない。そんな譯で氣がつくと妻が身罷ってから隨分家に閉じこ
もっていた。これでは軆にも心にもよろしくない。そこで馴染みの勸工場まで繰り出す事
にした。
 陳列された雜多な品々を冷やかしながら見て囘る。
 と、店の奧で退屈さうに座っていた骨董屋の店主が目聡く私に氣付き聲を掛けてきた。
「こりゃ先生、久し振りやないですか。商賣でっか、あきまへん。いや最近こないな勸工
場みたいな博品は流行りまへん。大通りの百貨店とやらに根こそぎお客持ってかれてま
うて、女房ともいつ夜逃げしよかってしょっちゅう謂ふてますわ。
 そや、先生の好きな支那の古い銅器、入ってますよって見てやってもらえまへんか」
 私が鼟餮文の銅器に目がない事を覺えていたやうだ。
 店主は店の奧から一尺餘りもある壺を抱きかかへてやってきた。手にとって見る。確か
に古い時代の銅器のやうだ。鹿のやうな角の生えた動物が浮き彫りになってゐる。
「これ勿論鹿なんかとちゃいます。天禄獸ともちゃいまっせ。これ辟邪神獸でっせ」
 辟邪。邪惡を避ける神獸として天禄と共に旗に描かれる事の多い鹿に似た傳説の奇獸。
 しかしどんなに珍しくてもこの地に住む者で店の言ひ値で買ふ阿呆はいない。互いに手
を打てる額面に落ち着いたところで家に届けさせる手筈を整へた。
 勸工場を出るとすっかり暗くなった空にぽっかりと三日月が浮かんでいた。それにやや受け口だった妻の横顔が重なる。
「相變はらずの骨董狂ひと笑っておくれ」
 ぴうと吹く北風に埃が舞い上がり、ふふ、と妻の笑ひ聲が混じっていたやうな氣がした。
 私はひとつ身震いしてから外套の襟を立て、帽子を目深に被り直すと家路を急いだ。
 さうだ。明日は家中の銅器に積もった埃でも掃除するとしやう。

92 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 20:01:04
トウテツだ!!
すげー!
中国の一番好きな妖怪です。

93 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 20:02:23
>>91
孔子暗黒伝を連想しました。

94 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 20:14:16
これは怪談かなあ?
題材はいいけど、怪談っぽくないよな。


95 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 20:28:51
>91
雰囲気は良いけど、これはプロローグ? 続きがあるの?
何かありそうな感じで、余韻というか怪異の予感はばっちり。


96 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 21:06:31
>>91
近世文学(?)を学んだことがある人なのかな。
浅学の俺には真似できん文体ですわ。
いや、素晴しい。
乙でした。

97 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 21:52:53
関西弁?が不自然かも。

98 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 22:11:19
>>91
素晴らしい!!
来年のbk1大賞間違いなしですね。

99 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 22:18:35
>>91
長編も読んでみたいと思わせる内容です。
まさか鼟餮の青銅器を持ってくるとは思いませんでした。
お題も自然に消化されていてパーフェクト!!
次回も是非投稿してください。


100 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 22:20:48
>>91
うまい!
でも擬古文いがいの作品も読んでみたい。


101 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 22:24:56
>>98

やらせん!やらせんぞぉ!!とマシンガン乱射ww

102 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 22:32:34
もう擬古文と方言はいいよ。

103 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 22:33:15
>>91
中国志怪小説を書いて欲しい。
というか、書いていませんか?

104 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 22:42:34
>>92-103
ありがとうございます。
東京の根津美術館でトウテツ紋の青銅器を眺めるのが好きです。見ていると時間が経つのも忘れます。
関西弁は以前住んでいたのでそこそこ使えるつもりでしたが、文章にすると難しいですね。
実は擬古文以外でも出してまして、実は>>61のお話なんかもそれなんですけど……。
中国志怪小説はいつかチャレンジしたい領域です。
あ、ちなみに大学院まで理系でして、物書きは完全に趣味でやってます。

105 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 23:02:22
まじかよ……

106 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 23:09:32
プロだと思ってた。
趣味でこれかよ。

107 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 23:14:43
お前凄すぎ!

108 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 23:24:48
ありがとうございます。
これもひとえにこの三題噺が存在してくれたお陰です。
本当に良いトレーニングになります。

109 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/18(水) 23:30:33
やらせん!やらせんぞぉ!!とマシンガン乱射ww

110 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/19(木) 00:13:36
在野にこんな才能があったんだな……。
なんか、自信なくなってきたよ……。
今までは、それなりに自分の作品に自信があったんだけど、
知識にまだ浅さがあることを自覚した。
もっといろんなジャンルの本を読んで出直すわ。

111 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/19(木) 01:14:31
ここはトレーニングの場。知識の充実も大切だけどまずはジャンジャン書く事が大事でそ

112 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/19(木) 01:55:29
>>109
ドズル?

113 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/19(木) 22:02:51
土曜日に出されたお題でまだ2本。「邪神」「月」「工場」で書いてる人いますか?
それとも次のお題に移った方が良いですか?

114 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/19(木) 22:23:32
それぞれ、ペースや都合があるだろうから、まだの人は出来次第出す、ってことで。

もう書いちゃった人のためにお題出しとくね。

じゃ1つめのお題は「心臓」で。

115 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/19(木) 23:52:34
じゃ、ふたつめは「落葉」で。

116 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/20(金) 01:38:58
レベルアップ目的なら、少し難しいのを出してもOKだよね?
みっつめは「カンブリア紀」

117 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/20(金) 01:49:24
では新しい三題噺のお題「心臓」「落葉」「カンブリア紀」と言う事で。

118 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/21(土) 02:38:37
お題〈うろこ雲、病院、ワイン〉
タイトル「うろこ雲」

酒をジュースの空きボトルに入れてカムフラージュ。
そして、人目の無い病院の屋上へ。
へへっ、ちょろいもんだぜ。
あのバカ看護婦どもめ!
肝硬変が怖くて酒が呑めるかっつーの!
んっんっんっ。
ぷはーっ、うめぇえ!
腸に染み渡るわい。
ん? おわっ!
何だよ、東さんじゃねーか。脅かすなよ。看護婦どもに見つかったかと思ったぜ。
ん? これかい? へへっ、看護婦どもには黙っててくれよ。
あ、あんたも飲むかい? 赤ワインもあるぜ。
えっ、いらない? あ、そう。
そういや、あんた、此間、治療室に運ばれてったばかりだもんな。
調子はどうだい? まだ、具合悪いのかい?
えっ、何だい? 雲がどうかしたのかい?
うろこ雲だろ、あれ。
違うって? よく見ろ?
うーん……
うわっ、うわわわわわっ!
か、顔っ! 小さい顔がいっぱい、雲に浮んでっ! あ、東さん?
あ、東さん! か、体が透けてっ!
あ、ああ……。
天に昇って、うろこ雲の一部になってしまった東さんを見て思った。
……酒、止めよう、と。 
  



119 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/21(土) 08:55:13
>>118
これ、前にもなかった?
こぴぺ?


120 :118:2006/10/21(土) 18:42:18
このお題で同じアイディアの作品って出てましたっけ?
周回遅れwで迷走していたため、スコーンと忘れてました。ごめんなさい。


121 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/21(土) 19:42:24
酒を病院で隠れて飲んで、最後に怪異をみて禁酒しようと思う話は過去にあった。
ありがち過ぎるアイディアなのかもね。


122 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/21(土) 19:47:14
看護婦の目を盗んで飲むという展開まで同じだったので、
てっきり以前出した作品の習作を投下されたのかな? と思いました。

123 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/21(土) 19:48:24
文体も似すぎ。


124 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/21(土) 21:31:44
以前読んだものを忘れて、ふと思い出した時に、
自分のアイデアと錯覚してしまうのか。
それとも偶然の産物?

と、槙原&松本のニュースを読んで考えていたところに、これだw

125 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/21(土) 22:45:49
過去ログ保存してる人いる?

126 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/21(土) 23:08:30
自分の作品しか残してないなぁ……。

127 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/22(日) 04:02:18
>>126
前の方知らないので、投下して下さい。

128 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/22(日) 09:43:47
前の作品は、Datオチしてると思う。
だけど似すぎだなこれ。
偶然なんてありえる?

129 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/22(日) 11:27:49
どの程度似てるのか分からないから、知らない者からすれば偶然なんじゃないの?程度。

130 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/22(日) 11:33:49
過去掲載作のコピペか習作と思うくらいだから、ちょっと偶然とは思えない。

131 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/22(日) 11:37:22
文体、オチ、流れ、全て同じだもんな。


132 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/22(日) 11:45:39
まあまあ、面白かったから別にいいんじゃないの?
そんなにシビアにならなくても、次から気をつけてもらえれば。

133 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/22(日) 12:18:22
いや似ているってレベルじゃないので。
同じ作者の人じゃないですよね?


134 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/22(日) 13:42:25
前の作品と比べて見ないと何とも言えん。

135 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/22(日) 13:47:38
似ているとされた作品は、おそらく私の作品だと 思いますが、
作品は残してありませんし、次回作に期待ということで。

まあ、こんなこともあるよ。 もし、落ち込んでたら、頑張って 次 出せ。

136 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/22(日) 14:10:52
なんかここに自分の作品投下するのが怖くなった……。

137 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/22(日) 15:26:53
三題噺の性質上、既出作品を読んでいないとカブる可能性は十分ある。
避難前のスレがDAT落ちしている以上、全ての作者が全ての作品を読んでいるとは限らない。
シチュエーションが似ると展開方法が似てもおかしくないし、
匿名での名誉にさほど意味がない以上、故意にパクる意味がない。

ストイックに修行するのもいいけど、「それ前あったよ」「うはマジでw」くらいの軽いノリで
次々書き綴ってもらう方が、読者としては気楽に楽しめる。

落ち込まずに、どうか頑張って下さい。

138 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/22(日) 15:35:27
過去のお題ではなく、新しいお題にチャレンジすれば全く問題ない。

139 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/22(日) 15:44:13
かぶると言う事は誰でも思いつくレベルと言う事。
トレーニングのためにも執筆陣には更なる奇想を期待する。

140 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/22(日) 15:47:32
上昇志向もいいけど目標値が高すぎるとコケるよ。
気軽に書いてほしいな。

141 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/22(日) 15:53:38
その前の作品ってヤツだけど、どのスレだったか、いつくらいの時期か
教えてくれれば過去ログ持っているから探すけど

142 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/22(日) 16:33:26
何時だったかわからないが、本スレにあると思う。
12以降のスレをちょっと探してみてくれ。


143 :118:2006/10/22(日) 17:20:35
お騒がせしちゃってすいません。
深夜、眠い目を擦りながら作品を書いたので、たぶん以前読んで記憶の底にあった135さんの作品のアイディアに影響を受けたんだと思います。
決してパクるとか、そういうつもりで書いたものではないんです。
135さんにはご迷惑をお掛けしました。ごめんなさい。


144 :135:2006/10/22(日) 20:08:36
きにするな。 べつに 迷惑はかかってない。
それより こんなことで ここから足を洗おうとするなよ。

145 :118:2006/10/22(日) 20:20:39
ありがとうございます。
135さんにそう言って頂けると助かります。


146 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/24(火) 20:27:44
 馴染みの西洋骨董屋に行くと、かの息子が歐州まで骨董の買ひ付けに行ったと言ふ。こ
れまでは必ず店主自ら足を運び己が目で確かめて購入していたらしいが、掛かり付けの醫
者より海外渡航を眞顔で禁じられたらしい。流石に強心臟で知られる店主も泣く泣く見送
ったといふ。
 それまで店主はもっぱら佛蘭西の蚤の市で買ひ漁っておったらしいが、息子はついでに
海峡を超えて英國まで足を伸ばしたさうだ。
「英國の南西部にある半島の古物商でみつけた物らしいんですがね」
「寒武利亞だな。地質年代で有名なカンブリア紀はこの地の名に由來すると聞いた事があ
る。いまでは確か……ヱルヅであったか、ヱェルヅであったか……」
「倅もそんな事を申しておりました。なんでも曰く付きの品なんだとか……」
 さう言ひながら店主が古びた木箱を取り出した。木箱の底以外の面全て似に細かな浮き
彫りが施されてゐる。落葉の上を吹き荒れる風を渦巻き紋樣で表したものらしい。
「これは自鳴琴ですな。この表面の浮き彫りはなかなかに見事。かの地のケルト人なる人々
に傳はる手法と思はれますな」
 曲を聽きたかったが、殘念ながら發條は錆びてゐるのか囘らないやうだ。
「先生にはいつもお世話になっておりますから、こいつは先生に差し上げませう」
 壞れてはゐるが浮き彫りが見事な事もあり、店主の好意に甘える事にした。
 
 夜眠ってゐると、何時頃だらう、音は小さいが音樂が聞こえてきた。
 途切れ途切れだが、澄んだ金屬音だ。音の出所は多分鄰の部屋。鄰の部屋にはあの自鳴
琴が置いてある。發條が何かの加減で囘り始めたか? 店主め悔しがることだらう。
 そんな事を考へてゐると、やがて音は濶рムし、そして止まった。
 ヂ……ヂヂヂヂ……ヂ……ヂヂヂヂ……ヂヂヂヂ。
 地の底から聞こえてくるやうな小さな耳障りな音、そして再び曲が流れ始めた。
 氣が付くと全身が硬直していた。金縛りといふ奴だ。腦は起きてゐるのに身體が眠って
ゐるといふ譯だ。何か視界の端で動いてゐる氣がするが、氣儘な獨り暮らしの身の上、當
然そんな譯はない。してみるとこの音樂も幻聽の可能性もある。
 とりあへず明日あの自鳴琴は骨董屋に返すとして、さてこの金縛りはだうしたものか。

147 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/24(火) 20:43:42
>>146
お!

148 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/24(火) 20:46:47
こんなお題でも擬古文で書き上げましたか!
しゅごすぎるー!

149 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/24(火) 21:35:08
カンブリア紀がネックで書けずにいたが、なるほどこういう切り口があったか。
お見事!

150 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/26(木) 18:45:17
 父の掌に小さな石膏の塊。落葉か草鞋に見える。
「この三葉虫というのは、カンブリア紀に発生してなぁ」
 父は微笑みながら、その石膏を私の掌に乗せてくれた。
 掌の上の石膏は、やはり落葉か草鞋にしか見えない。
 おとうちゃん、これ、さんようちゅう、てなんなの?という私の問いに、父は「おま
えにはまだ早すぎたな」といって微笑んだ。

 これが、父との最後の思い出になった。

 父は心臓を患っていたらしい。
 私が中学に入学したときに、母がそう教えてくれた。
 確かに、私の記憶にある父に「健康」というイメージがなかった。
「父は心臓が弱かった」と聞いたとき、すんなりと納得したものだ。
 そんな父だからこそ、生物の営みに並々ならぬ興味を持っていたのだ、と母が言う。
 生前のまま残してある父の部屋には化石や標本で埋め尽くされている点でも、それは間
違いない。
 父の部屋に入る度に、あの人はまだ生きたかったのだろう、と思えてならなかった。

 父の部屋の換気をしているとき、机の上にあの石膏の三葉虫があった。
(落葉みたいだって、思ったっけ)
 父のあの笑顔を思い出して、そっと手に取った。
 石膏独特のひんやりとした手触りに、何故か涙が溢れそうになる。
 石膏を握り締め、祈るように胸にかき抱く。
 手の中で、どぐっ、どぐっ、と石膏が脈動した。
 まるで心臓の鼓動を感じさせるような。

 驚いて取り落とした石膏。
 かちん、と音を立てて机の上で裏返った。
 三葉虫の裏側。平らな面に彫り込まれた言葉。

「おまえも すぐに」

151 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/26(木) 19:58:31
>>150
新作乙!
なかなか怖くていいね。

152 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/26(木) 20:07:22
>>150
ほろりと来る前半のほのぼのとした空気から突き落とす最後の一言が効いている。


153 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/26(木) 22:25:48
そうか? オレにはパターン化したオチにしか映らなかった。
他の終わり方もあっただろうに、正直惜しい。

154 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/26(木) 22:40:25
お題〈邪神、月、工場〉
タイトル「宗教勧誘」

 東さんは最近、地方に転勤した。
「一応、栄転なんですがね……」
 新しい工場の責任者となった東さんは、給料が僅かに上がったものの、責任は増え、勤務時間も倍近くになった。
「管理職なのでしょうがないんですが……」
 仕事の大変さよりも困った事があるという。
 東さんの工場は二四時間稼動するため、従業員は四交代で働いている。
 真夜中の時間帯は働き手が少なく、工場の責任者である東さんが自然と真夜中の時間帯の現場リーダーを勤めることが多かった。
「最初はちょっと頭のおかしい人だと思ったんですよ」
 月の出ない夜になると、決まって、変な女が工場の入り口に立つという。
 何か事故があってはいけないと、東さんが注意しに行くと、女は
「貴方たちの神は邪神です! いますぐ悔い改めて改宗しなさい!」
と捲くし立てる。
 何度、東さんが、ここは工場で宗教とは関係ないと、言っても聞き入れない。
 そんな事が何回か繰り返された。
 困り果てた東さんは、一度、警察を呼ぼうとしたことがある。
「取りあえず、事務所でお話しましょうと言って、ちょっと目を離したんですよ」
 その僅かな時間で女は消えていた。
「逃げたのかなと、思ったんですが……」
 物理的にありえなかった。
 いくら真夜中とはいえ、照明灯は付いているし、周りにほんの数秒で隠れられるような場所はない。
「その時、初めてゾーッと、しちゃって……」
 以来、女が入り口に現れても、無視することにしたという。
「工場が建つ前は、そこに何があったか調べてみればどうです?」
 と私が聞くと、東さんは首を振って、
「いや、それを知ったらもう続けられなくなるから……」
 と溜息をついた。

155 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/26(木) 22:40:54
〈冥王星、ようかい、小説家〉
タイトル「居るモノ」
「狐狗狸さんをやったんだ」
 何だよ、突然。
いい年こいて、そんな事やったのかよ、お前。
何? 東がやろうと、言い出したから?
 成程な。それにつき合わされたのか。大変だったな。
「最初は、冥王星は惑星から外されるのかとか、俺は将来小説家になれるのかとか、そんな事を聞いてたんだ」
 あ〜冥王星ね。
あれ、外されたらしいぞ。
さっき、ニュースでやってた。
これからは矮惑星と呼ばれるらしいな。
 で、狐狗狸さんの予言が当たったとか、そういう話なのか?
「いや、そうじゃないんだ。色々質問した後、東が、妖怪に会いたいのですが何処に行けば会えますかって、狐狗狸さんに聞いたんだが……」
 ……相変わらずだな、あいつは。
 未だに、妖怪がいるとか思ってんのか。
まあ、いいや。
それで、どうした?
「……に居るんだそうだ」
 えっ? 何だって。
「お前の家に居ると、云うんだよ。妖怪が……」
はぁ? 俺の家に?
あほか、お前。
それで、わざわざ電話してきたのかよ。
付き合いきれねぇな。
もう、切るぞ。
乱暴に受話器を置く。
馬鹿馬鹿しい。俺の家に妖怪なんか居るわけねぇだろ。俺の家に居るのは……
――タタタタッ。
裸足で廊下を走り回る青白い子供を目で追いながら、俺は思わず溜息をついた。(終)

156 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/26(木) 22:47:36
あっ、、「非難」「柿」「鶴」のお題を抜かしてた。

157 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/26(木) 23:04:30
>>146
相変わらず擬古文が素晴しい。
この骨董屋シリーズは続けて欲しいな。
乙でした。

>>150
心臓と石膏というのが巧い取り合わせだと思う。
話の持って行き方もいい。
乙でした。

158 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/27(金) 12:23:01
>>154-155
乙。
ストーリー上不要な表現が見受けられます。
そんな贅肉部分を削り取ればもっとシャープな印象になるかと思います。
辛うじてお題を取り込んでいる感じがしまうので、唐突感のないお題の出し方の方に
言葉を費やした方が良いかと思います。

159 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/27(金) 12:37:28
>>150は擬古文ばかりの中で新鮮に感じるw
しっかり書ける人なんだとお見受けしたが。

160 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/27(金) 14:25:16
あたらしいお題希望

161 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/27(金) 15:15:03
>>146
オレも>>157の人と同意見。
骨董屋が出ても出なくても良いから、この「先生」のシリーズが読みたい。

162 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/27(金) 21:09:47
じゃ一つ目のお題は「人形」

163 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/27(金) 23:42:24
二つ目は「強酸」

164 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/27(金) 23:45:06
3つめは「おっぱい」でヨロ!

165 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/27(金) 23:49:29
>>164
却下!

166 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/27(金) 23:50:20
じゃあ、「しょっぱい」で。

167 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/27(金) 23:57:06
では新しい三題噺のお題は「人形」「強酸」「しょっぱい」と言う事で。

168 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/28(土) 00:18:26
あのさ……お題の更新早くない?
過去のが出せるっていっても、今のお題で出したいじゃない。

169 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/28(土) 00:22:19
じゃぁ毎週1回だけお題を決めるとかにするか?

170 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/28(土) 00:40:35
「しょっぱい仕事だぜ……」
 俺はラブホテルの入り口近くの電柱に案山子のように突っ立ったまま、ひとりごちた。
 浮気調査、というやつだ。そう。俺は興信所職員なのである。
 今日は「旦那の浮気を調査してくれ」というブルジョワジーなマダムの依頼でこんな
糞寒いラブホテル街に突っ立っているのだ。
 ひとつ気になるのは、ホテル入り口をはさんで向こう側にある電柱にいる女。
 黒く長い髪を下ろし、白っぽいコートの襟で顔を隠している。
 入り口の一点を見つめる眼からして、どうも“ご同業”らしい。
 お互い大変だよな、と語り掛けたいところであるが、流石にそれはできない。
(仕方ないわな)と俺は再び入り口に眼を移した。

 小一時間ほど経っただろうか。
 入り口に人影が現れた。男女。だが俺のターゲットではない。
 ふん、と鼻を鳴らして、俺は懐のカメラから手を離した。
 前の電柱を見ると、あの同業らしき女が動き出している。
(ああ、こいつらは奴さんのターゲットだったのだな)
 俺がそう理解した瞬間の出来事だった。
 同業らしき女は、その男女の前に立ちふさがった。
 そのまま急にコートを広げるや否や彼らに飛びかかる。
 コートが思ったよりも大きいのか、同業の女と男女全てを飲み込んだ。
 もぞもぞとコートが蠢く。中で揉みあっているのだろうか。

「ぎゃあっっ!!」
 ふいに、屠殺場の豚のような声が聴こえた。
 聴こえてきた声は次第に小さくなったかと思うと、白いコートがしぼんでいく。
 いや。そのまま消えてしまった。
 残されたのは強酸をぶっかけられた様な状態の変死体二つ。
 慌てて死体に駆け寄った。
(ん?)
 足元に、白い紙片。見るとそれは人の形をしていた。
 人形の紙片は風に飛ばされ、消えていった。

171 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/28(土) 01:17:10
>>169
新しいお題は今までも大体毎週一本のペースですよ。
前回も先週の金曜日だし……。

172 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/28(土) 01:24:20
週末にお題が出て、週明けに早ければ一本目が投下というパターンが多いかな?
>>170、めちゃくちゃ早いのにきっちりとまとまってますね、乙です。

173 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/28(土) 01:26:25
>>170
「ぎゃあっっ!」はなくても良かったかな?

174 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/28(土) 02:20:07
>>168
気持ちは解るが、そんなに気にしなくてもいいんじゃないかな。
ここは自主的なトレーニングの場なんだから、自分のペースで作品を投下すればいいと思うよ。

>>170
無駄のない文章で展開もスピーディ。
お題が出てから大して時間が経ってないのに、よくここまで…
いやはや、乙でした。

175 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/28(土) 08:22:27
>>170
式神?
ホラーぽくもあり、怪談ぽくもあり。
短時間でここまで書けるとは、驚きです。

176 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/29(日) 17:14:32
わたしは肌が、きたない。
アトピーだろうって。 強酸性水の浄水器 買わないと。
お母さんが「お金がかかって しょうもない」って。
「お勉強だってできないし、器量だって良くない、アトピーにもなっちゃって」
お母さん 困るって。 
「なにもあんたには 期待しないから、めだたないようにしているのよ」
お母さん、わたし 学校で答えがわかっても 手は上げない。
もし、まちがっていたら、お母さんが 恥ずかしいめにあうんだものね。
金喰い虫の どうしようもない娘だけど、いいつけ 守る。
だけど、お母さん。 わたし 時々 どうしようもないときが あるの。
お母さんに言っても わかってもらえそうもないから、言わないけど、
そんなとき、まっ黒いクマの人形が 「行こうよ 行こうよ」って言うの。
わたし ちょっと、一緒に行ったら どうなるんだろうって 思って。
恐くて 行かないけど、それでも クマの人形は、わたしを誘って、
「こんなところ 捨てちゃって、別のところで やりなおそう」って。
クマの人形は お母さんより 優しいことばをかけてくれる。
でも、やっぱり お母さん好きだし、もう少しがんばってみたい。
涙は、ちょっと しょっぱいけど。


177 :イラストに騙された名無しさん :2006/10/29(日) 17:25:06
>176
うわ、なんだか切ないお話だ。
強酸性水が肌に良いかは知らないけど。
「クマの人形」って字面が不気味。ぬいぐるみとは違う感じで。
乙でした。

178 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/29(日) 21:29:50
人形、という単語を無理矢理入れた感じがするね。

179 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/30(月) 12:19:23
>>176
読んでいてずんっと重さがくる話ですね。


180 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/31(火) 15:46:53
>>176
暗くて重くて切実だな。


181 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/31(火) 17:41:30
このルールを無視した文体がなければもっと良いと思う。

182 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/02(木) 21:12:19
>>176
設定と心情描写がうまいと思います。
欲を言えばもう少しクマの存在感が欲しかったかな。
乙でした。

183 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/03(金) 00:43:14
お題〈鶴、柿、避難〉
 タイトル「童謡」

自衛隊員の東さんの話。
以前、A島沖で地震があったとき、救難活動のためA島に派遣されたことがあるという。
補給物資を届け、炊き出しをするのが任務の内容だった。
避難所に指定された公民館に到着すると、どこからか童謡が聞こえてきた。
つぅ〜ると、
かぁ〜めが、
すぅ〜べったぁ〜
うしろのしょぉ〜めんっ、
だぁ〜あれっ。
島の子供たちであろうか。
公民館の脇にある柿の木のそばで、四〜五人の子供たちが遊んでいた。
こんなことがあって落ち込んでいるのか、声に活気がなかった。
(カゴメ、カゴメか。島の子供は純朴なもんだな)
家でテレビゲームばかりしている自分の息子と比べて、東さんは感心した。
その後、白米や豚汁を炊き出して島民に配布していると、東さんは子供達の姿が見えなくなっているのに気がついた。
島民の一人にそのことを聞くと
「子供? 子供なんてこの島にはいねぇよ」
と、怪訝な顔で言われた。
そういえば、島は過疎化が進んで住んでいるのは年寄りばかりだと、事前のミーティングで聞いていたのを思い出した。
じゃあ、昼に見た子供たちは何だったのだろう。
腑に落ちないまま、翌日、島を離れることになった。
結局、全島に避難勧告が発令され、退去することになったのだ。
「何か、あの島の精霊のようなものだったんじゃないかと思ってるんですがね」
たまにテレビで島のニュースが放送されているのを見ると、あのときの子供たちの姿を東さんは思い出すという。

184 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/03(金) 04:12:15
お題〈心臓、落葉、カンブリア紀〉
タイトル「復活」

――ドクッ、ドクッ。
 心臓が脈打つ。
 その脈動を見て、耐え難い恐怖を私は感じている。
 落ち葉のようなかさかさとした体表に、次第に生気がみなぎってくる。
 そして、ゆっくりと何かが動き出す。
 ソレが何かを確認する前に、魂を引き千切るような絶叫が私の口から迸る。
 そこで夢は終わる。
 一週間程前からだ。
 私はカンブリア紀の地層から化石を発掘する作業を開始した。
 それと同時に毎晩、あの恐ろしい夢を見るようになった。
夢と発掘作業の繋がりは全く無いのに、なぜか私は両者を結び付けていた。
 この発掘は中止したほうがいい。
 でないと、取り返しがつかない恐ろしい事が起こる。
 理性ではその根拠のない考えを拒絶しながら、本能では確信していた。
 今日もジリジリと背筋を炙られるような焦燥感を覚えながら、半ば機械的にノミを地層に打ち付ける。
カチリ。
 何かがノミの先に触れた。
「教授!」
 すぐ傍で作業をしていた助手の東が歓声を挙げる。
 ああ、駄目だ。
 これを掘り出してはいけない。
 こいつを復活させてはいけない。
 こいつは……
しかし、私の右手は、まるで別の意思を持ったかのようにノミを振るい続ける。
止められない。
ノミの先端に振動を感じた。
――ドクッ、ドクッ。
 復活が、始まる。

185 :名無し物書き@推敲中? :2006/11/03(金) 18:10:46
>183
子ども達は島民が帰ってくるのを待っているのだろうか。
(一緒に避難してたりして)

186 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/03(金) 18:25:27
>>184
この時代の化石って結局生物痕跡化石であって生物そのものが石になっている訳ではないんですよねぇ……。

187 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/03(金) 19:46:28
 先日身罷った家内の妹から、今年十五になったばかりの姪の後見人になって欲しいと言
はれた。氣儘な獨り住まいの身の上、子供の扱いに慣れてゐないのが少々氣にはなるが引
き受ける事にした。
 出迎へに行く段になって、姪の寫眞を失くしてゐる事に氣付いた。家内は神懸り的に得
意だったが私は失せ物探しが苦手だ。しかし寫眞などなくとも簡單に見付けられた。獨逸
人の父讓りの明るい栗色の髪、大きな目の瞳の色は紫水晶のやうな味を帶びてゐる。肌
は中國白磁の如き白さだ。和裝ではなくきちんと洋裝させれば佛蘭西のアンチック人形そ
のものだ。少し顎がしゃくれてゐるのが家内の血筋を窺わせる。
 姪――名をカヲリと言ふ――と共に驛から自宅までの道を漫ろ歩く。
「さて、カヲリ君。こちらの感想は?」と問ふと彼女は地面を見詰めながらかう應えた。
「土が肥えちょっ。折角良か土やっとけ、こいを畑にせんとは如何にも惜しか」
 かの地は例の活火山より噴出せし白砂臺地である。唐芋程度しか育たないと言ふ。
「大正大噴火からこっちはちっとは大人しかばって、灰は降つ。灰にゃ無水硫酸が入っち
ょっで、作物が枯るっ」
 無水硫酸とはつまり水分を含んだらただの硫酸であり強酸である。作物どころか金屬も
腐食する。しかし西洋人のやうな人相風體と相容れない強烈な田舍訛りだ。だが言の葉の
端々から利發さが窺い知れる。これは當分退屈せずに濟みさうだ。
 彼女には洋食屋が似合ひさうだと思ひ、馴染みの洋食屋を目指してゐるとその手前の蕎
麥屋の前で彼女が立ち止まった。尋ねるとあちらでは饂飩屋が多く蕎麥屋は珍しいらしい。
ならばと蕎麥屋に入った。私はトロロ蕎麥、カヲリは家内も好物だった鴨南蠻を食した。
「だう?」と尋ねると小さな聲で「しょっぱい」と呟いた。向かふは薄味なのださうだ。
 自宅に向かひながら實は寫眞を失くしたのだと告げると、彼女は暫し目を閉じ、やがて
「中國の古い壺の横」と呟いた。なるほど歸宅して見て見ると將に饕餮紋の銅器の横に
それはあった。だうやら家内似の資質らしい……。これは當面退屈する事はなささうだ。

188 :名無し物書き@推敲中? :2006/11/03(金) 20:17:27
>187
最初、身罷ったのが家内なのか家内の妹なのか混乱したけれど、
死んだ人が娘の後見を頼むわけがないので得心した。
仏蘭西人形のような美貌の姪が、土地の感想を聞かれて田舎訛で
地味(ちみ)について語る意外性が良かった。
あと蕎麦屋でのやりとり。
カヲリ君の手で庭が畑になる日も近か。



189 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/03(金) 20:22:38
>>187
乙です。ひょっとして今回はパスかと思っていました。
骨董屋シリーズの先生の姪っ子の登場ですね。千里眼のハーフの少女。
三題噺なのになんかシリーズ物っぽい様相を呈してきた感じです。
相変わらずお題も無理なく織り込まれていて見事です。
次回も期待しています。

190 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/03(金) 20:43:09
>187
魅力的なキャラクターが出てきましたね。
今回もとても面白かったです。
この骨董屋シリーズは、ぜひ、続けていって欲しいですね。
乙でした。

191 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/03(金) 23:31:42
>>188-190
どうもありがとうございました。>>187です。
今回、このシリーズにカヲリを登場させたのは女性の視点を入れる事で
今後出てくるであろう様々なお題に対応しやすいのでは? と考えたからです。
識者の先生、西洋骨董屋(実は欧古堂という名前です)の店主と倅、
それに葉書を持ってくる郵便配達員(洋食グルメという設定になっています)、
それに今回のカヲリ。これだけキャラがいれば何とか対応してくれるでしょう。
場合によっては亡くなった奥さんも思い出話等で登場させれば一応……。
どうしてもこの登場人物で対応できない場合にはクトゥルー物という手もありますし……。
次回のお題がどうなるか判りませんが、次回も一生懸命考えさせて頂きたいと思います。

192 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/04(土) 01:50:31
やっぱりちゃんと人物設定とか考えてやってるんですね。
これからも期待してます。頑張って下さい。

193 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/04(土) 03:41:05
お題〈しょっぱい、強酸、人形〉
タイトル「涙」

雅夫の死に顔を見ても涙を流さなかった私。
普通なら、恋人の死に対して、涙のひとつでも零すものだろう。
愛しい人が死んだのだ。
女なら、いや、人間なら当然のすることだ。
でも、私の両目からは一粒たりとも涙は出てこなかった。
まるで砂漠のように乾いたままだった。
風が凪いだ湖のように静寂に包まれた心。
その水面には小さな波紋すら立たなかった。

やはり私は冷酷な人間なのだろうか。
心の作りが人とは違うのであろうか。
そもそも私は、心というものを持っていないのではないだろうか。
人の心を持たない人の形をしたもの……そう、私は機械人形なのだろう。
機械人形なら涙を流さないのも納得できる。
体の中を流れているのは温かい血ではなく、冷たい有毒な液体なのだろうから。
でも、しかし……
私は逡巡した。
機械人形だって涙を零すことがあるかもしれない。
冷たい有毒な液体が、涙となって流れ出る刻があるはずだ。
例えそれが、人を傷つける強酸のような涙だとしても……
そう思ってしまったのだ。
今となっては儚い夢。

……無駄になってごめんね。
横たわる雅夫の死体に謝りながら、
いつか私も温かくてしょっぱい涙を流してみたい
そう、願った。

194 :名無し物書き@推敲中? :2006/11/04(土) 08:23:13
>>193
心を持った機械人形の悲しみの物語として読んだけど
「無駄になってごめんね」は何を謝っているのかわからなかった。

その時、奇跡のような一滴が私の目からこぼれ落ち、
雅夫の頬に落ち……ジュウと雅夫の皮膚と肉を溶かした。


195 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/04(土) 10:48:14
推敲をちょっと重ねれば自分で問題点に気付けた筈。
せっかくの展開を壊さないためにも是非!

藤田和日郎の「からくりサーカス」に出てくる自動人形の心情みたいだな。

196 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/04(土) 10:49:37
>>193
素材と展開は面白い。
ほんの少し推敲をすれば、もっともっと良くなると思う。


197 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/04(土) 19:16:53
前回から一週間、そろそろ新しいお題出してもらう?

198 :名無し物書き@推敲中? :2006/11/04(土) 19:46:11
もう1週間? 早い気がするけど、 
せっかくのタイミングなので、出させてもらう。
「胡瓜」(キュウリ・きゅうり)

199 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/04(土) 20:06:07
「傀儡」

200 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/04(土) 21:38:27
じゃあ「砂漠」で

201 :名無し物書き@推敲中? :2006/11/04(土) 21:40:23
新しいお題は「胡瓜」「傀儡」「砂漠」です。
力作をお寄せ下さい。

202 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/04(土) 21:40:43
三題出揃いました。
「胡瓜」「傀儡」「砂漠」

203 :193:2006/11/04(土) 21:46:38
>>194-196
ご意見ありがとうございました。
夜中に書いてそのまま投下したんですが、今改めて読んでみると、みなさんの仰るように
推敲が足らなかったようです。
「夜書いたものは朝推敲しろ」という基本が出来てなかったようで、何ともお恥ずかしい限りです。orz

204 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/04(土) 22:20:26
その三題だとお決まりのネタに誘導されてしまう、という意味で難しいですな。

205 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/04(土) 22:23:00
大丈夫。204氏が考えている誘導先が全く見えないオレがここにいる。

206 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/05(日) 01:20:43
でけた。けど推敲のため一晩寝かせます。お休み。

207 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/05(日) 16:38:49
お題〈胡瓜、傀儡、砂漠〉
タイトル「流浪の民」

地球温暖化が叫ばれてからどのくらい経つだろう。
 資本主義という名の悪魔はそれでも暴走を緩めず、その傀儡である人間は、狂ったように己のエゴを満たすことにのみ終始し続けている。
森林は伐採され、川や湖は干上がって砂漠化した。
生き物はその住処を失い、世界は鉄とコンクリートに覆われた。
自然の中に神を見出し畏れ慎んだ思想は、遥か歴史の彼方に押し遣られ、その痕跡すら消し去られて久しい。
そして順わぬ神は零落し、流浪の民と成り果てる。
濁った輝きを放つ月を見上げて歩きながら、そんなことをつらつらと考える。
……不毛だな。
 結実しない思考に辟易し、道端に腰を下ろして先程畑から失敬してきた胡瓜を齧る。
 不味い。
 化学物質で汚染された土壌と酸性雨で育った胡瓜は、見た目とは裏腹に酷く空虚な味しかせず、まるでゴムを噛んでるようだった。
 一口齧っただけで放り投げる。
 瑞々しい胡瓜が好きなだけ喰えた昔が懐かしい。
 そんなセンチメンタルな想いに囚われたことに苦笑しながら、肩をすくめる。
 仕方がない、これが現実さ。
 そう呟いて、立ち上がる。
どれ、人間でも襲って尻子玉でも喰うとするかな。
我は再び歩き出した。
(了)

208 :名無し物書き@推敲中? :2006/11/05(日) 22:32:44
>207
キュウリというお題をみたとき、誰か河童の話を書くような気がしていたが。
懐かしい感じのSF。
ゴムを噛むようなキュウリって、そうとう不味そう。
キュウリの旨さの一部は、あの歯触りだからな。


209 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/06(月) 01:54:53
速攻投下、乙です。

皮肉でも何でもなく純粋に質問。
カッパって動物を川などに引きずり込んで生き血を啜るものだと思ってた。
抜いた尻小玉を食べるというは全く知らなかった。
なんかそんな(尻小玉食べる)という話ってありましたっけ?

210 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/06(月) 02:22:20
感想ありがとうございました。
>>209さん
河童というのは言わずと知れた水の妖怪ですが、全国各地に様々な呼び名と特性で伝わっております。
209さんの仰る「動物を川などに引きずり込んで生き血を啜るもの」というのもその特性のひとつですが、主なものとして
1.胡瓜が好物 2.相撲を取るのが好き 3.尻子玉を抜く(喰う)
というのが共通したものです。

この尻子玉とは、溺死体の腹が膨れて肛門が開いている様子を昔の人が見て、河童の仕業=河童が尻子玉を抜いた(喰った)と考えたことからきているようです。


ちなみに胡瓜は水神信仰に欠かせない供物で、河童を水の神の零落した物とする説もあるそうです。

211 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/06(月) 02:27:46
訂正

>ちなみに胡瓜は水神信仰に欠かせない供物で、河童が胡瓜を好物とするのは、河童が水の神の零落したものだと考える説によると思われます。

212 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/06(月) 02:33:40
あるよー。
血を吸うというのも、和漢三才図絵だと「肛門から血を吸う」ですな。

まあ食べるかどうかは二義的なものと思われます。
要は水死体の肛門が開いている事実を元に、尻から何か抜く妖怪が想像されたので。

213 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/06(月) 10:18:45
尻小玉を抜くと言うのは有名だけど、
抜いた尻小玉をカッパが食すというのは聞いた事がないなぁ

214 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/06(月) 17:10:48
 河童というのは左甚五郎が作った藁の人形が変じたものだ、という話がある。
 甚五郎の式神……「傀儡」であった藁の人形は、用が済むと川に流された。
 川に流された藁の人形が河童に……という訳だ。
 そんな河童どもの好物は尻子玉だとか、胡瓜であるとか諸説ある。
 尻子玉好物説は、水死体の肛門が開ききっているのを見て「ああ、この人は河童に尻
子玉を抜かれたに違いない」という当時の想像から生まれたものらしい。
 なら、何故胡瓜なのか。
 胡瓜はインドが原産国だ。砂漠を渡り、中国を経由して日本に渡ってきたのだろうか。
 もしかしたら河童伝来と関係しているのかもしれない。

 左甚五郎が藁の人形を傀儡にしたように、私も傀儡を作りたい、と願っている。
 どのような秘法があるのだろうか。
 どのようにすれば傀儡を我がものにできるのだろうか。
 私は、ある場所にやってきた。
 熊本の球磨川である。
 ここは河童伝来の地だ。河童がいるのならここか遠野だろう。ここが駄目なら、次は
遠野だ、と決めてある。

 傀儡であったはずの河童を捕らえて研究すれば、私の研究も一段と進むだろう。
 まずは河童を捕らえねば。
 私は、真夜中に球磨川のほとりから大量の胡瓜を流した。撒き餌である。
 ほどなくして、水面が白く泡立った。
 おお、これは河童か。水面を凝視する。
 泡立つ水面から現れたモノは。白い。違う。これ。ああ。

「ケツンス(尻の穴)が開いとるばい」
 私の屍体を見た巡査が、顔を顰めた。
 私は川面から彼らを見ている。
 私は、今、傀儡として、ここ球磨川に。

215 :名無し物書き@推敲中? :2006/11/06(月) 17:26:18
>>214
>泡立つ水面から現れたモノは。白い。違う。これ。ああ。

ああ、一体何が現れたのか!(身悶え)

ところで、日本全国に河童のような妖怪は四百種ほどいるらしい。
違う名前で、それぞれの水辺に。
河童(カッパ)という名称が広がったので、
各地で、うちのあの妖怪も河童だな、ということになったようだ。
だから球磨川で成果が上がらなかったからと言って
一足飛びに遠野に行かなくてもよい。
九州と東北の間に、沢山の河童系妖怪がいる。


216 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/06(月) 17:29:08
>>215
それはですね。
この主人公の浅はかさというか「研究といっているが、実は」ということなんです。
すなわち有名どころしか調べてない、浅学だと。
そんな人間が悪ふざけをして、という怪談の王道的展開になるようにしました。
だけど、ホラーに近いような気もしないでもないですw

217 :名無し物書き@推敲中? :2006/11/06(月) 19:37:50
>216
説明させてしまってすみません。
そんなヤツだからエライ目に遭うわけですな。
王道展開、良いですよ。乙でした。

218 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/06(月) 21:15:39
>>214
河童人造人間説ですね。
ラストの捻りがなかなか良いです。
乙でした。

219 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/07(火) 17:15:15
>>214
読みやすく、また二段オチが効いていて面白かった。
オーソドックスに見えて、ひねってあるのが巧みなところだと思います。

220 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/08(水) 23:32:21

幽怪談文学賞の選考会が本日行われ、大賞は以下の作品に決定いたしました。

【長編部門】

 大 賞  黒史郎 『夜は一緒に散歩しよ』

 優秀賞 水沫流人 『七面坂心中』

【短編部門】

 大 賞 宇佐美まこと 『るんびにの子供』


221 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/08(水) 23:37:26
知ってます。
この手の情報をわざわざご記入頂かなくても元親スレなどで確認しています。

222 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/09(木) 00:03:47
長宗我部元親?

223 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/10(金) 14:58:46
黒タンがんば!


224 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/10(金) 18:04:43
 ここ最近矢鱈とカヲリが溜め息をついてゐる。田舍からこちらに出て來て里心でもつい
たのやも知れぬ。これでは義妹に申し譯ない。何か退屈凌ぎでもさせてやらねば……。
 しかしとなると生半な物など見せる譯にはいかぬ。珍しい物を指す言葉に「石に花咲く」
と言ふ言葉ある。暫しの思案の末わたしは標本棚から秘藏の菊石を取り出した。菊の花瓣
のやうに見える事から菊石と言はれる物だ。わたしは早速カヲリを呼び付けた。
「こいは中生代の頃までおった鸚鵡貝の祖先で、たしかアンモン貝の化石……の模型」
 流石に千里眼の持ち主、見事である。しかし模型とは……、さては歐古堂め謀ったな。
 ならばと今度は半里ほど西にある神社に引き連れて行った。拜殿の前庭に鎭座まします
大岩がある。これに彫り込んである神紋が見やうによっては花に見えなくもない。
「こん神社は牛頭天王をば祭神にしちょっで、木瓜つまり胡瓜を象ったもんで……」
 然り。カヲリは年に似合はずなかなかに知惠者のやうだ。かくなる上は……。
 すぐさまカヲリの腕を取り、表通りからふた筋ほど奧まった處にある勸工場に向った。
 案の定、西歐骨董屋の店主はいつものやうに暇さうにしていた。
「この閧ヘアンモン貝の化石の贋物を格安で分けてくれてすまなかったな」
 店主は度肝を拔かれた樣子で、ギクシャクとさながら山猫廻しの傀儡の如き有樣だ。
 すぐさま店主に命じてひと抱えもある蝦茶色の石の塊を持って來させた。
「砂漠の薔薇じゃったろかい。水に溶けた重晶石なんかの成分が結晶化したもんで、砂漠
に水があった證據ち言はれちょったかね。魃に魅入られた人たちの怨も沁み込んじょっ」
 西洋ばかりか中國の山海經にまで及ぶカヲリの博學ぶりに舌を巻く他はなかった。
 歸りの道すがら滿足させられなかった事を詫びると、カヲリは頭を振ってかう言った。
「今日は二日目でだるかったどん、先生のお陰で氣が紛れもした。有難ごわした」
 なんだ。さうであったのか……。

225 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/10(金) 19:36:58
>>224
思わず笑ってしまった。<さては歐古堂め謀ったな。
カヲリちゃんのマンスリーデイのお話でごわしたか。

226 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/10(金) 20:32:11
>>224
カヲリ嬢の博覧強記ぶりとオチのギャップが面白かったです。
乙でした。

227 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 00:15:09
 日向國志布志大慈寺は京の臨濟宗妙心寺の末寺とし、興國元年、南朝方武將楡井某によ
り玉山玄提を開山として建立され、その後光明天皇より広慧の宸筆を下賜されて後は龍興
山大慈広慧禪寺と稱し、文安元年に臨濟宗十刹と、日の本で十指に入る禪宗寺院に加ヘら
れたり。山號は龍受山。
 開山玉山玄提和尚、禪の境地に達せんと欲し齡百三十四歳にして石室に籠もり、七日に
渡る斷食の後人寂。僧、民悉く此れを憂ひ、血の涙を流せしと傳へ聞くもの也。

 貳代大慈寺剛中和尚、水斷ち五穀斷ちに臨みし初代大慈寺玄提和尚に尋ねて曰く。
「そは水斷ち五穀斷ちにて今更何をぞ得らん哉」
 初代大慈寺、應えて曰く。
「人の欲の内、最も強き食ひ意地を抑え、身を乾かさん。
 既に我、餘人の三代もの長きに渡り生き長らえたり。最早この世に未練なし。身の渇き
が心の渇きとなり、砂漠に水が沁み込む如く、七日の讀經三昧にて悟りが我が身に染み渡
らんや否やをこの身をもって確かめん」

 貳代大慈寺剛中和尚、開山堂に初代大慈寺玄提和尚が亡骸を納めて曰く。
「見よ尸解仙を夢みし者の亡骸を。宛ら萎びた胡瓜の如し。
 賢者は知るべきを知り、知るべからずを求めず。愚者往々にしてこれを辯えず、知の傀
儡に成り下がり身を滅ぼさん。
 初代は身をもって其れを示さんと人寂された。他山において即身佛に金箔など施し佛と
して奉るもあるやに聞いてをるが、本山にてはこのまま晒し置く。
 人は人としての本分を辯え、その命盡きるまで存分に生きるべし」

228 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 00:31:35
擬古文飽きた。。。

229 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 00:52:17
>>224
>>227
乙です。
胡瓜⇒河童が続いたのでどうなるかと思いましたら、ここでストップ。
擬古文の方が河童の話などテーマにしやすいのでは、と思いましたが意外でした。
相変わらずお題は無理なく織り込まれてます。さすがです。
同じ擬古文でも印象の違う書き方って出来るんですね、勉強になりました。

230 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 01:13:47
>>227
骨董屋シリーズと同じ人でしょうか?
1つのお題で2つも書くとは驚きました。
ただ、禪の境地を欲して「尸解仙」というのがよく分からないです。
「尸解仙」は左道のイメージがあったあので…

231 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 02:04:55
>>225-226
>>228-230
どうも、>224と>227を書いた者です。
今回のお題が出された時、お決まりのネタに誘導されてしまうとの発言が目に止まり、
河童以外のテーマで書き上げようと努力してみました。
立て続けに2本の投稿でこの文体が嫌いの方には大変申し訳ありませんでした。
骨董屋シリーズを投下した直後に、不意に尸解仙の話を思いつき、連続投下させていただきました。

>230の方、禅と尸解仙につきましては、禅寺として名高い達磨寺において、
『日本書紀』推古天皇21年に臨済宗南禅寺派の達磨寺が片岡尸解仙説話を創建由緒とする
とありますように、必ずしも仙道とばかりの関係では語れないものがあり、
そんなところから、このような事もあったのではないかと思い書いてみました。
とは言え、短い時間で書き上げましたので言葉足らずの箇所もあり、どなたかが仰って
おられたように、一晩推敲する時間を設けた方が良かったかも知れません。

232 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 06:52:22
擬古文飽きたって言っている人は、読んでそう発言したのかな。
読まずに言っているのかも。と、思った。
いる=ゐる(居る)、言う=いふ
とか、簡単なルールを知れば古文調もそんなに難しくない。
声に出して読んでみると意外と内容がわかる。

本当に飽きたというなら仕方ないけれど、
書いてあることが面白いので、読んでいないなら残念だと思ったので。
(読めない漢字があると飛ばすけどなー)

233 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 08:09:12
内容が面白いなら、擬古文以外の文体で書いても評価はされると思う。

234 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 09:11:45
擬古文が内容を引き立てる場合もあると思う。
語り方というか、パッケージの妙。

235 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 13:43:12
同じパッケージングばかりだと飽きてくるのは必然

236 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 14:36:12
擬古文に飽きた人はスルー推奨。
一週間経ったし、そろそろ次のお題に行きますか。
個人的には植物のお題が入るのが好き。花や野菜、木や草なんか。

237 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 14:47:41
じゃ、一つ目は鈴蘭。

238 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 15:11:27
二つ目は、蝿取り紙

239 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 15:26:08

どぶろく

240 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 15:46:16
では次回お題は「鈴蘭」「蝿取り紙」「どぶろく」という事で。

241 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 20:26:23
擬古文あきたっていってる人は、擬古文の人ばかり投稿しているから、
他の人も作品だせってこと?

242 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 20:46:50
擬古文の人は通常お題に対し擬古文スタイルが一本(今回だけ珍しく二本だけど)。
という訳で擬古文の人ばかりが投稿している訳じゃない。コンスタントに投下してるだけ。
もちろん他の人たちが投下してくれるのは大歓迎だけど。

243 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 22:24:59
>>231
なるほど。「日本書紀」にそんな話がありましたか。
「尸解仙」というと中国、道教というイメージしかなかったもので勉強になりました。
それにしても、よくこんなネタ見つけてきますね。
231さんの博識さには頭が下がります。
次回作も期待しておりますよ。


>>242
>他の人たちが投下してくれるのは大歓迎だけど
俺もそう思うが、強制はできないしねぇ。
まあ、コツコツ地道にやっていきましょう。

244 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/12(日) 01:43:32
それなりに中国志怪関係の話については知っているつもりだったけど、
砂漠の薔薇に、魃に魅入られた人たちの怨が沁み込んでいるって話は初耳。
擬古文の人の博覧強記ぶりに関心。

245 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/12(日) 07:11:35
>>244
>砂漠の薔薇に、魃に魅入られた人たちの怨が
擬古文タンの脚色かもね。
いずれにせよ、さもありなんって感じがするので成功。

246 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/13(月) 13:08:44
黒史郎もここに参加してくんないかな?


247 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/13(月) 20:36:51
実は擬古文タンが黒白。
……な、わけねーかw

248 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/13(月) 21:12:52
「>247氏の質問だが、どうだね?」
「……んな訳なかろが」
「そうか。やはり、な。
 カヲリ君によると黒氏ではないとのことだよ、>247氏」



249 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 00:52:31
作者の詮索はしないというのがここでのマナー

250 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 07:06:16
>249
絶対それはない、という確信の元の詮索なので勘弁ナー

>248
カヲリ君がさう言ふなら、さうだらう。

251 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 18:16:29
然り。

252 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/16(木) 18:56:13
 連日鹿屋基地より海軍の戰鬪機、編隊を組みて飛び立ち、志布志灣上空を時に高く時に
低く飛び交うなど、時局何やらきな臭くなりし夏の頃の事、香取と名乘りし者訪れ、本山
に傳はる「大慈寺文書」なうち「南洲本草綴」の閲覽を申し出たり。
 近頃西洋醫學全盛の感は否めぬものの、玉石、木竹、禽獸、蟲魚、龜貝、果?など本草が
效用も是に劣るとも思へず、その證據を示さんと斯樣な全國行脚を行ってゐる由。本來で
あれば壇方筋のみ閲覽を認むるものなれど、斯樣な事情を慮り閲覽を許したり。
 文倉より「南洲本草綴」を取り出し渡すと貪るが如く讀み耽け、語り掛けるもこちらの
聲など全く耳に入らぬ樣子。つひには其の侭本堂に泊り込みとなりにける。
 朝ぼらけの頃本堂に赴くと、本堂前に生えし草の根を瑪瑙の鉢にて擂り潰し、それを鳥
黐に練り込んでをる。問ひ質すとこの鳥黐を紙に塗り付け下げておけば蝿取り紙になると
の事。淡々しき紫の花をつけるだけの草と思へしは蝿毒草と言ふとの事。禮を述べると逆
に恐縮し、更に懷より取り出したる粉末を白湯に溶かし込み薦められる。
「歐州獨逸國では天國への階段、いやこちらはお寺ですから極樂の方が良いですかな。さ
う呼ばれる花の根を煎じた藥湯です。本邦では北國か高地の山野に咲く君影草とか鈴蘭と
か呼ばれてゐる草の根を煎じたもの。加賀前田家傳來の藥湯にございます」
 薦められるままに白く濁ったどぶろくの如きその藥湯を煽り、其の侭私は昏倒した。壇
方の者の手により町醫者に運び込まれ毒消しして貰ったと言ふ。勿論その閧フ記憶はない。
「南洲本草綴」を確かめると仙草泉の箇所のみ破り取られてゐた。仙草泉とは冬蟲夏草の
事である。琉球國に棲むと言ふ蜏蟲の仙草泉を用ゐれば反魂が叶ふと傳へ聞く。さてさて
あの香取と言ふ御仁、御佛の御加護を望めるものか……。

253 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/16(木) 19:01:20
すいません。4行目の終わり近くにある「果?」は「果蓏(から)」。
木の実、草の実の事です。失礼しました。

254 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/16(木) 20:16:16
>>252
西洋骨董屋シリーズではなく九州の話の方ですね。
お題も無理なく織り込まれているのは流石です。
乙です。

255 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/16(木) 21:02:28
鈴蘭には毒があったんですね。
読んでいて疑問に思い、ググって知りました。

256 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/16(木) 22:22:58
 鈴蘭の君。
 僕が心の中で君の事をさう呼んでゐる事など君は知るまい。君が女學生の頃から僕は君
をさう呼んでゐたのだよ。まさに君はこの呼び名に相應しい。楚々としたその佇まい、そ
の白く小さな顔、鈴蘭といふ花を直に見た事はないが鈴蘭といふ言葉は君にこそ相應しい。
 君の事を考へてゐる時こそが僕の生きる時閨B現世など取るに足らない。
「ぼけぇっとしちょっでそげなモンに絡まるっとじゃ」
 煩い、煩い、煩い。
 煩いのは親父の聲か、執拗に髪にへばり付くこの蝿取り紙か……。
 勇魚漁で片腕を失ひ、陸に上がってからはどぶろくばかり呷り始終呑んだくれてゐる親
父。この親父さへまともな仕事、例へば僕のやうな役場勤めとか、せめてヘ師でもしてく
れていたら、僕もこんな生活に甘んじる事もなく、君と付き合ふのに躊躇わなかっただら
う。君の父親はこの町で知らぬ者とてない大地主。町を見渡せる小高い丘の上に建つ瀟洒
な洋。それが彼女の家。一方僕ときたら海邊の蝿が飛び交う掘っ立て小屋。こんな僕で
は君に懸想する事は出來ても告白する事などままならない。
 君が婚約したと聞いた時は正直、この世など壞れてしまへと思ったものだよ。
 しかし役場で戸籍係をしていて良かったよ。僕が氣付かなければ君は戸籍を僞っていた
成り上りのあの男に騙されていたに違ひない。君のお父樣も僕に感謝してくれたのだよ。
 でもこんな僕の氣持ちは君には傳はらなかったみたいだね。
 まさか君がかうやって首を括ってしまふとはね。
 しかしさうやっていても君は美しい。俯いた小さな白い顔などまさに鈴蘭そのものだよ。

257 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/16(木) 22:32:43
うわっ、こんな話、好みです。
連投、乙です。

258 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/17(金) 09:39:49
>>256
ラストでいきなり情景が飛び込んできました。
お見事!

259 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/17(金) 18:41:06
>>252-256

2つともかなりのレベルですね。特に2番目のには唸らされました。
難しいお題を自然に消化して、こんな素晴しい話が書けるとは…
いやはや乙でした。

260 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/17(金) 18:50:30
それに比べて俺はくだらん話しか思いつかん。
今回は難しいなぁ…

261 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/18(土) 17:01:05
「鈴蘭」「蝿取り紙」「どぶろく」の三題は今のところ、擬古の人だけみたいだけど
どうする? 新しいお題に移りますか?

262 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/18(土) 17:09:32
そっか、もう一週間経つのか……。
ま、出来上がったら投下してもらうって事で。

ほんじゃ、ひとつめは「記念写真」

263 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/18(土) 18:59:49
ふたつ目「パイロット」

264 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/18(土) 20:30:42
みっつめ「牧草」

265 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/18(土) 22:08:45
では三題噺、新しいお題は「記念写真」「パイロット」「牧草」という事で。

266 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/19(日) 04:09:27
一応書いたので投下しておきます。

267 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/19(日) 04:10:48
お題〈鈴蘭・蝿取り紙・どぶろく〉
タイトル「蠅」

ここで暮らしてから、そろそろ一ヶ月になる。
 辺鄙な処だが、ようやく此処での生活にも慣れてきた。
住めば都ということだろうか、最近では此処の良さも分かってきた。
 静かで空気は澄んでいて、土地の物も美味い。
 地元の日本酒やどぶろくなど、余所では手に入れ難い酒を飲めることも気に入っている。
当初、想像していたよりはずっと快適だ。
ただ一つだけ問題があった。
それは蝿が多いことだ。
……ブブ…ブブブ……ブ…ブブ……
 と、神経に障る羽音を立てながら、毎日物凄い数の蝿が飛んでくる。
 それも都会ではちょっと目にする事が無いような、大きくて醜悪な蠅だ。
 家の中に何個も吊るしている蠅取り紙は、数日で覆いつくされて真っ黒になる。
おかげで窓も開けられず、一日中閉め切ったままだ。
(……まあ、腐る物が近くに有るのだからしょうがないな)
 窓から裏庭の少し盛り上がった一角が見える。
 あそこから蠅が湧くのだろう。
 だが、それも時が経てば解決するはずだ。
 カーテンを閉め、裏庭をどうするか考えてみる。
 蠅が出なくなったら、あそこに何か植えてみるか。
 いい養分があるからきっと見事な花が咲くはずだ。
そうだな、あいつの好きだった鈴蘭はどうだろう。
(……好きな花と一緒なら、あいつも喜ぶしな)
 咲き誇る白い花を思い描いて、ほくそ笑む。
 ……ブ…ブブ……ブブブ……
 そんな私の妄想を厭らしい羽音が破る。また、蠅だ。
 ……それにしても。
 この閉め切った部屋に奴らはどうやって入ってくるのだろう……

268 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/19(日) 13:26:19
>>267
ぐっじょぶ!

269 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/19(日) 14:22:37
>>267
オチが予想出来るのが駄目だけど、流れはいいね。


270 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/19(日) 15:07:03
>267
蝿取り紙は何個もじゃなくて何本と表現した方が良いかな。
他にもところどころ無駄な表現があるのが気にかかる。
ありきたりな展開であっても表現次第では面白くなるので推敲を重ねて欲しい。

271 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/20(月) 17:37:46
 朝早くから牧草まみれになって働き、夕方厩舎に牛たちを戻すという代り映えしない毎
日。同級生たちは皆この町を離れ都会に出て行ってしまった。企業どころか高校すらない
この町には俺のように家業を継いだ者くらいしか残っていない。
 そんな俺に同窓会の幹事という白羽の矢が立ったのは、単に地元に残っていたからに他
ならない。それでも引き受けたのはクラスがたったの七人だから。しかしたった六本電話
を入れれば終わる簡単な作業かと思ったが意外と手間取った。卒業アルバムの奥付にある
同級生リストをコピーし、それを元に全員に電話したのだが、皆転居していて大変だった。
 もっとも卒業以来二十年振りだから仕方がない。それでも何とか直接本人と連絡がつき、
皆快く出席するとの返事をくれた。最後に当時の担任の先生に連絡を入れる。
「幹事ご苦労様でした。しかし久し振りですね、皆が揃うのは。卒業式以来ですか……。
 いや、……たしか皆さんが中学生になってから一度揃った事がありましたね?」
「そうでしたっけ?」
 そう言いながら俺は手元の卒業アルバムをパラパラとめくった。クラス全員で撮った卒
業記念写真。先生を中心に左右に三人ずつ。写真の下にそれぞれの将来の夢が書いてある。
 ――パイロット、歌手、初代女性総理、ロボット工学博士、プロ野球選手、宇宙飛行士。
 パイロットと書いたのは俺だ。あの頃はあながち無謀な夢とは思わなかったが……。
「そうそう、思い出しました。ほら、井上さんのお葬式で……」
 写真の右上の片隅に丸で縁取られたお下げ髪の女の子。彼女の夢は――中学生。
 生まれつき病弱で休みがちだった井上。確かに白い棺に納まった井上の周りに花を……。
 俺は慌ててリストを見直した。一番上にある彼女の名前の横には出席了解の印が……。

272 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/20(月) 18:34:05
>>271
こないだうちにも同級会の案内が来ました。
欠席の返事を出したけど、亡くなった人も何人かいるんだよなあ……
なんてことを思い出しました。
中学生になりたかった井上さん……怖いというよりも切なかったです。

273 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/20(月) 18:53:05
>>271
怖くて悲しくてエェ話や!

274 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/20(月) 20:44:01
>>271
面白かった。
乙!

275 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/20(月) 21:28:50
>271
お題消化もしっかり出来ている。
切なさと恐怖もしっかり存在していて、良作怪談だと思う。
乙!

276 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/20(月) 23:03:41
>>272-275
ありがとうございました。
久し振りに普通の文体で書いてみました。
週末までに西洋骨董店ものでもう一本書いてみたいと思います。

277 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/20(月) 23:11:00
>>276
ぐえッ! 
おぬし、擬古文タンだったのか。ヤラレタ!

278 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/21(火) 01:12:52
あ、正体明かさない方が良かったですね。申し訳ありませんでした。
あっちの文体だけだと飽きたとか色々言われるものでつい……。
今後、あの文体以外の時は判らないように投下するようにします。

279 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/21(火) 13:32:49
ありがちなネタだけど、切なくていいね。
擬古文よりこっちの方が好み。
これからもたくさん作品投下して下さい。

280 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/21(火) 23:04:22
ありがちと言うのは簡単だけど、じゃあ誰でも思い付けるかと言うとそうでもない。
無理なくお題を消化しながら話を展開させ、切なさまで醸し出せるのはスゴイ。
擬古文の方も期待してます。乙でした!

281 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/22(水) 15:05:59
やたら擬古文たんを持ち上げる人が多くて萎えるなあ…。
ちょっとくらい否定的な感想が出てもいいじゃないか。
全員が素晴らしいと思う作品なんて、誰にも書けないよ。
漏れも擬古文たんは凄いと思うけどね。
あんまりマンセ−意見ばかりだとちょっとなあ。

282 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/22(水) 18:19:04
>>281タンの意見はもっとも。でもそれだったら作品が投下された時に言えばいいんじゃない?
という事で、今回の作品でもこのスレにある今までの作品でも良いから281タンのの否定的な感想は?

283 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/22(水) 19:00:55
>>279の感想を>>280がわざわざ否定したからでそ?
他人の感想を否定してまでもちあげなくてもいいじゃない?ってことでわ?

284 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/22(水) 19:08:28
ここはまたりしてて良いスレだから、細かなことでいちいち目くじら立てたくないね。
自分もいっちょ創作してみるか。

285 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/22(水) 19:15:31
まあぶっちゃけ作品投下しづらいわな俺は。
個人のファンが多いところに投下しても、見向きもされなそうでなぁ…

286 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/22(水) 19:21:45
ヒント
つジサクジエン

287 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/22(水) 19:53:55
ここは筆力をあげるためのトレーニングの場です。
投下された作品次第で評価は様々でしょうが、見向きもされないと言う事はないと思います。

288 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/22(水) 20:04:34
大分前のお題で書いてもオケ?

289 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/22(水) 20:13:38
もちろんOKです。288さんの作品楽しみにしています。

290 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/22(水) 20:14:52
ありがとう!
頑張って考えてみる。

291 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/22(水) 20:53:41
>>287
同意。285さんも評価を気にする前にひとつ創作してみてはどうかな?
いいトレーニングになると思いますよ。

>>290
俺も楽しみにしてます。

292 :記念写真・パイロット・牧草:2006/11/22(水) 22:16:35
 夏休み中のバイト先として、僕が紹介されのは牧場だった。
 早朝に起きて牛舎の掃除、餌である牧草運び、牛にブラシをかけて、搾乳機で乳搾り。
 高い時給に惹かれて来たものの、思ったよりも重労働で初日は全身が筋肉痛になった。
 それでも一週間もすると体が慣れてくる
「ちょっとは様になってきたんじゃないか」
 牛舎の床を洗っていると、主任さんがそう声をかけてきた。四十代後半の、都心から脱
サラしてこの牧場に来たっていう人だ。
 写真が趣味とかで、牧場のホームページに牛や風景の写真を載せたり、職員さんたちの
記念写真を撮ったりもしてる。
 初日から気さくに声をかけてくれた人だから話し易い。余所者同士という親近感もある
のかもしれない。
「いや、さすがに筋肉痛にはなんなくなりましたけどね」
 まだまだっす、と僕が笑うと、そりゃそうだと主任さんも笑う。
「あと片付けておくからロール開けてこいよ」
「ういっす。行ってきます」
 ロールというのは牧草を大きい塊にして、ラップっていうビニールで覆ってるやつのこと。
 僕は主任さんの好意に甘えてロールの一つを開けにいきながら、そういえば、と不意に
思い出す。
 主任さんは優しいけど、一度写真を見せてくれと言ったときはやんわりと断られた。
 人に見せる写真は決めているそうで、それ以外のは映画で言うパイロット版にもならな
いようなのだとか。
 昨日他の職員さんに聞いたら、エロい写真でも撮ってるんじゃないかと冗談半分で笑っ
ていた。
 それならそれで見せてもらいたいと思いながらロールラップをとると、すっぱいような
匂いがむっと広がる。この匂いは牧草が発酵した匂いで、ラップで包んでいるのは発酵さ
せるためだ。
 僕は牧草を固く縛っている紐を切って、固まった草をほぐしていく。
 と、崩していた真ん中に太い枝のようなものが出てきた。
 黒ずんで、茶色っぽくて、五本の細い枝がついた、太い、枝、枝なのか、これは。
「ああ、それは開けるなって言ったじゃないか」
 後ろから主任さんの優しい声がした。

293 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/22(水) 23:00:52
うまい。お題も無理なくこなされてる。
唯一の難は800字を超えちゃってる事くらいでしょうか。
でもまぁ、1レス内に納まってますからOKでしょう。
パイロットの使い方が憎いですね。

294 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/23(木) 07:10:32
>>292
ロールなど細部が描かれているので、牧場の雰囲気がよく出てると思います。
流れもいいね。乙でした。

295 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/23(木) 07:11:27
お題〈牧草、パイロット、記念写真〉
タイトル「写真」

東君が子供の頃、祖父母の家に遊びに行ったときのことだ。
酪農を営んでいる祖父母一家が牧場に出た後、一人になった東君は、よく庭にある倉に入って遊んでいた。
 その日も倉の中にある様々な品を物色していると、古ぼけた一冊の手帳を見つけた。
 手に取ってパラパラと捲ってみると、中にセピア色になった一枚の写真が挟まっていた。
 何かの記念写真だろうか。
若い男の人を中心に大勢の人が並んで写っている。
周りの人達が笑顔を浮かべているのに対して、真ん中の青年だけは緊張した面持ちで直立していた。
その青年の顔をよく見ようとした瞬間、東君の頭に映像が飛び込んできた。
写真の青年が牧場で牛に牧草をやっている。
青年は黙々と作業をしながら
――もう、こいつらの世話も出来なくなるな。
と、長いため息を吐く。
青年の悲しみや諦めの感情が胸に流れ込んできて、気が付くと東君は泣いていたという。

その後、牧場から帰ってきた祖父母達に写真を見せると
「よくこんな物見つけたのぅ」
と驚かれた。
写真の人物は祖母の父(つまり東君の曽祖父に当たる)で、写真は戦争で徴兵される直前に撮った物だった。
曽祖父は入隊後、ゼロ戦のパイロットに志願して、敵艦に特攻して果てたそうだ。
「お国のためとは言いながら、本当は牧場を離れたくなかったんだろうのぅ」
東君から話を聞いた祖母は、そう言って涙を流した。

「そんなことがあって、牧場を継ごうって決心したんすよ」
東君は現在、農業大学に通っている。卒業したら祖父母の牧場で働くつもりだ。

296 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/23(木) 13:16:07
>>293-294
ありがとうございます。
初投下で緊張してたんですが、感想いただけてすごい嬉しいです。

>800字オーバー
すいませんミスでした。気をつけます。

>>295
しみじみとする、いいお話ですね。記念写真は出征時のものでしょうか?
もしそうでしたら、もう少しその写真の描写があってもよかったかなと思いました。

297 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/23(木) 14:07:41
>>296
字数は、一つの目安と言うことで。そんなにキニスンナ。

>初日は全身が筋肉痛になった

年をとると二日後くらいに筋肉痛になるので主人公の若さが眩しい。
ロールの中に埋まっている主任さんの秘密を発見した
主人公の驚き。
それを目撃する主任さんの優しい声(おそらく笑顔)が良い。

298 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/23(木) 14:36:41
>>292
細部まできちんと書いていて好感が持てます。
最後の「優しい声」が無気味な印象で良いですね。

>>295
切ない良いお話です。

お二人とも、乙でした。

299 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/23(木) 18:06:39
今「農業大学」って殆どないですから農業大学校とかの方が良かったかも知れません。
もしくは大学の農学部というような表現。あるいは「東京農業大学」などの具体名。

いつもの事ですが、主人公を「東」にするのはちょっと……。
どうしても電化を連想してしまうので今回のような大学生という設定だと違和感が……。

300 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/23(木) 19:37:42
>>296-299
コメントありがとうございました。

>296さん。仰るとおり、もうちょっと突っ込んだ描写の方が伝わり易かったかも知れません。

>299さん。確かに農業大学というのは古臭いですね。農学部にしておけば良かったです。

>電化を連想してしまうので今回のような大学生という設定だと違和感が

すいません、大学生はキツかったですか…(笑)
主人公をいつも「東氏」にしているのは、星新一の真似で(ショートショートに出てくるN氏とかF氏とかの)
ここの方には「東氏」が親しみやすいかなと…
まあ、抽象概念的な固有名詞ということで読んでいただければ幸いです。

301 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/24(金) 10:43:57
 ――記念寫眞承リマス。
 カヲリ君と散歩中にそんな看板を掲げてゐる寫眞に出會した。
 通りに面した窓硝子越しに瑞西製や獨逸製の寫眞機が整然と竝んでゐるのが見て取れる。
 寫眞は下手に文言を書き連ねるよりも、時に確實な情報手段足り得る。折角だから寫し
て貰い、カヲリ君の兩親に送らうと思ひ立った。
 何故か訝しがるカヲリ君の手を引いて薄暗い店内に入ると他に客はなかった。
 來客の嬉しさを隱せない店主は撮影の準備を整へながら滔々と長広舌を繰り広げる。
「先日、そこの勸工場の西洋骨董屋で古い寫眞機と出逢いました。ボデイはまういけませ
んでしたがレンヅは天然水晶を磨き上げたなかなかに上質なもので、レンヅだけをこの寫
眞機に組み込みました。あ、お孃さん、まう少し笑って。お美しさが際立ちます」
 見るとカヲリ君は怒ったやうな目付きで寫眞機を睨みつけ、氣持ち小刻みに震へてゐる。
「嫌だなぁ、魂なぞ拔けませんからご安心下さい」
 そんな迷信を信じてゐる人もまだ居るのですと店主が笑ひながらシャッタァを切った。
 寫眞が完成したら連絡を貰う事にして店を出やうとした時、カヲリ君は壁に飾ってある
額に入れられた寫眞を指差し、小聲で呟いた。
「……おかしかモンがずんばい映っちょっ。こいにも、こいにも」
 カヲリ君が指差す寫眞――複葉機の前に立つパイロット、牧草を束ねたものが累々と轉
がる牧場――に、言はれてみれば人の顔と思しき物が映り込んでゐた。
「あん水晶は元々猶太の卜占に使はれたモンじゃろ」と微笑む。
 歐古堂め、また怪しげな物を賣りつけたものだ。
 さてさて出來上がる寫眞は如何なものか。


302 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/24(金) 11:04:40
>>300
東氏でいいと思う。
他のお題の話しも、もっと読んでみたい。


303 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/24(金) 11:10:03
>>301
相変わらず無理なくお題を消化し、かつキャラも生き生きとしています。
このシリーズは続けて欲しいです。
乙でした。

304 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/24(金) 16:55:43
>>301
どんな写真が撮れるのでせうね。鶴亀鶴亀。
てのひらに載せる時のペンネーム、カヲリにしようかなあ、
というのは冗談ですが、てのひら収録作家に寄稿依頼があるようですね。
擬古文タン、その時が来ましたよ。


305 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/24(金) 18:58:38
久しぶりに来てみたら、ずいぶんとお題が出てる見たいだね。
しかも、今までに投下された作品が、結構レベル高い。
よし、おいらも書いてみるぞー。

306 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/24(金) 19:06:30
擬古文さんはてのひら掲載組なの?だったらチャンスだね!
他の掲載組のみんなもこのスレでトレーニングしようぜ!

307 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/24(金) 19:17:06
ここの地道な活動が目に止まったのかも。なーんて(笑)
でも、ここで書いてる人が選ばれたら凄いよね。
掲載組は頑張ってください。

308 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/24(金) 19:36:12
八畳の部屋に、着物の女が座っている。机の一点をじつと見つめている。
左手のすぐそばに、万年筆の余滴であろう、パイロットインクの小瓶があった。
飾り窓の障子が破れている。そこから、落日の西日が差し込んでいた。だが、部屋の中は、何故か薄暗く、淀んでいた。どこかしら、空虚さを感じさせる部屋であった。
着物の女は、万年筆を動かそうとしたが、懊悩に胃袋が締め付けられているのか、眉を顰めて筆を置いた。
彼女は、しばし悩んでいたが、意を決したように書いていた文字を途中で塗りつぶし、その横に「疎開先」「記念写真」という文字を添えた。
女が写真を裏返す。
そこには広がる牧草地の中に、もんぺ姿の女が映っている。写真の女のすぐ後ろに、軍服を着た男が立っている。男の顔は、何故か陰っていて、はっきりと見えなかった。だが、口元が笑っているのは見て取れた。
女は、もう一度写真を裏返すと「兄と」という一文を加えた。
そうして、女は、私から、戦友の骨の入った骨壺を受け取って、泣いた。

309 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/24(金) 19:36:50
うわ、読みづらい……。
ところで、てのひらって何?

310 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/24(金) 19:55:08
ぐぐって自己解決。

311 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/24(金) 20:38:30
>>308
乙。でも、よくわからんのだが。
雰囲気は良い。

312 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/24(金) 20:56:28
>>308
申し訳ないが読んでいて風景が全く浮かんでこない。
おまけに誰の視点なのかも判り辛い。
疎開先で彼女を写した写真に戦地の兄が映り込んだという話なのだろうが、
それがキチンと伝わるようにした方が良いでしょう。

313 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/24(金) 21:49:36
>>311
>>312
コメントありがとうございます。
視点に関しては、最後の一文以外は、神の視点。

314 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/24(金) 21:52:22
>>301
水晶に憑いた念のような物を見てしまったのでしょうか?
小刻みに震へてゐるカヲリ嬢が何だか可愛らしいですね。
今回も楽しませていただきました。

>>308
静寂を思わせるような雰囲気は出てると思います。
が、他の方も書いているように状況が分かり辛いかな。
この点を推敲しなおせば、物悲しい、しっとりとした怪談になると思う。

お二人とも、乙でした。

315 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/25(土) 00:51:33
>>301です。
303さん、304さん、306さん、314さん、コメントありがとうございました。

何やらここにきて三題噺スレにも新たな書き手さん方が加わった様子(それも複数?)。
大変喜ばしいことです。皆でトレーニングに励みましょう。

316 :「鳥」「携帯」「古井戸」:2006/11/25(土) 01:21:17
 それはわたくしの耳には鳥の鳴き声に聞こえるのです。
 可笑しいでしょうか。可笑しいのでしょう。
 でもそう聞こえてしまうのですから、仕方のないことなのです。
 ずっとずっと、それは聞こえているのです。
 私がこの古井戸の底に落ちてから。
 水の冷たさも感じなくなってから。
 気に入っておりました携帯傘も朽ち砕け、もう眼球さえもなくなってしまってもずっと、
それは聞こえているのです。
 遠い遠い、遥か西の方で、私の知っている声が、悲鳴を上げているのが。
 夜な夜な魘され、叫んでいるのが。
 それは宵に鳴く濡れ烏のごとくに叫ぶのです。
 そして時折それには、言葉が混じるのです。
 許してくれ、と。
 それはとても可笑しなことなのです。
 あの方が許しを請うているのは明らかにわたくしなのです。
 ですけれども、わたくしは一度としてあの方の元へ赴いたことはないのです。
 ならばあの方は一体、何に怯え叫んでいるのでしょうか。
 わたくしには判りません。
 わたくしはこうして時折、通り掛るあなたのような方にお話を聞いて頂けるだけで満
足ですのに。ねえ。

317 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/25(土) 14:06:21
>>316
良い雰囲気です。「鳥」「古井戸」「携帯」をお題としたお話ですね。
「携帯」だけがちょっと文体から浮いている感じですが、
それ以外は非常によくまとまっていると思います。
次回作も期待しています。

318 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/25(土) 17:58:34
前のお題から一週間経ちましたので新しいお題を募りたいと思います。

と言う事で一つ目は「百舌(モズ)」

319 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/25(土) 19:42:04
二つ目「ミルク」

320 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/25(土) 20:05:35
怖いのが読みたい。

三つ目「夜」

321 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/25(土) 20:53:58
では新しい三題噺は「百舌(モズ)」「ミルク」「夜」と言う事で。

322 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/25(土) 22:01:44
困った……早贄ネタしか思いつかない……。

323 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/26(日) 00:12:31
 ある夜、男が自分の家族を皆殺しにした。
 男はまず、長女を掃除機の胴体で殴り、長女は即死。
頭を狙ったので、粉々になったガラスのコップからミルクがこぼれるように
割れた頭蓋骨から脳髄が飛び散った。
 次女は 母親のいる台所へ逃げようし、背中を襲われた。
椅子の足が肺に刺さり、1番長く生きていた。
 母親は百舌の早贄のように 包丁で首と手を壁に押さえ付けられ、体は床から
少し浮いていた。
 男は家族を殺すと リビングの窓の鍵にビニールの紐を引っ掛け、首を吊った。
首を吊るのに高さは いらぬのである。1メートルとちょっとでも死ねるのである。
 男は死後、遺体解剖され、頭の中に腫瘍が見つかった。
 近所の者も、知り合いの者も、皆、言った。優しい男であったと。
家族おもいで このようなことをしでかす者ではなかったと。
頭の中の腫瘍のせいであろうと。
 しかし、そんなことは 本当は 誰にもわからない。

324 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/26(日) 17:38:27
>>323
乙。>>308の人かな?
うーん申し訳ないが、やっぱり情景を想像しにくい。
お題を「ある夜」「ミルクのように」「百舌の早贄のように」
とほとんど比喩表現として消化しようとしている上、
その比喩がわかりにくい。
内容的にも怪談というよりもホラーな感じ。
今後の精進に期待。

325 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/26(日) 19:16:55
お二人とも乙です。

>>316さん。正統派怪談調でいい雰囲気ですね。ぜひ、他のお題でも書いてみてください。

>>323さん。脳腫瘍で人格が変貌するというのは医学的に根拠があることなので、もう少し怪談っぽい味付けが欲しいところです。
例えば、何らかの因縁や因果のエピソードを加えるとか、何かもう一捻りあると怪談らしくなると思います。

326 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/27(月) 12:32:43
 知り合いが スナックをしている。彼女は ちょっとばかり視える人で、客のそのような相談ごとにも
時おり、のってくれたりしている。私もおもうところがあり、先日 「スナック百舌」の戸を叩いた。
「あらあら、お久しぶりね。」
にこやかに迎えてくれたのはいいが、そのようなことは 今はもうやっていないという。
「だって、死んだ人を降ろしてくれっていうから、こっちも頑張るじゃない。
 それで、『残された家族 みんなで仲良くっておっしゃってます』なんて言おうものなら、
 『そんなの誰だって思い付くって』って、言うのよ。しょうがないじゃない。
 本当にそう言ってんだもの。」
 亡くなった人というのは わりとあたりまえのことしか 言わないらしい。
「このあいだなんか 夜中に呼び出されて、行ったら、かさこそ音がするって。
 でもその家、ものすごいゴミ屋敷きでさ、ごきぶりなんじゃない。   
 霊現象だっていう前に 掃除したほうがいいと思う。」
 どうも 私の相談にはのってもらえそうもない。紅茶を出されたが、いとまを告げると、
「牛乳。」
とあごで 冷蔵庫の方をしゃくった。
「どうせ なんか相談があるんでしょう? あたしミルクティーなのよ。
 そのぐらいしなさい。視てあげるから。」
 彼女 霊感で私の来訪をわかったわけではなさそうだ。そんなにしなびて 入って来たかなあ。
冷蔵庫のドアを開けながら ほっとした。

327 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/27(月) 22:45:00
意識的にこのような句読点の使い方をしているのですか?
どうしてもそちらが気になってしまい、作品が素直に読めません。

328 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/28(火) 00:28:15
>>323さん
>>325さんと同じような感想になるのですが、やはり題材は良いと思いますので、
もう一段捻ってあると読み応えが出てくると思います。

>>326さん
お話の内容や、「そんなにしなびて 入って来たかなあ。」という文章はとても好きです。
ですがやはり句読点と空白を併用されていると、読むテンポが崩れてしまうので勿体無いと思いました。

お二方とも乙でした。

329 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/28(火) 00:30:46
>>317さん>>325さん
316です。コメントありがとうございました。

>浮いている
読み返して自分でも思いました…推敲不足な箇所もありました。精進します。

330 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/28(火) 10:25:13
>>324さん >>325さん >>327さん >>328さん
323  326 です。

コメントをありがとうございます。
この狭いスペースで書き込んでいると、文章の後半が見えづらく、今まで文1つが終わると、
それ以上書かなかったのです。
ワードで書き込んで、張り付けようとしても、はじかれてしまいますし、
本番一発で、どきどきしながら書いておりました。
次からは頑張ってみます。 



331 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/28(火) 19:29:35
>>330
ちなみにわたしは一行40文字で20行という設定にしてWordで書いて
完成したら各行ごとに全て改行を入れてから貼り付けてます。
この方法ではじかれた経験はありません。

332 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/28(火) 21:42:59
>>331
私も似たような感じですね。テキストエディタで一行40文字設定にして、
その折り返し線上に改行入れてから貼り付けてます。
>>330
弾かれる原因やエラーメッセージがわからないので何とも言えませんが、
どうしてもwordからのコピペが上手くいかないのでしたら、
windows付属のワードパットやメモ帳などへ一度貼り付けて、
そこかららコピペしてみてはいかがでしょうか。

333 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/28(火) 22:15:45
 少年は森で遊ぶのが好きだった。
 森は季節によって、日によって、時刻によってその顔を変えた。
 冬は白と黒の世界。春になるとそれが萌える新緑に変わる。時に濃密な、まるでミルクの様な霧が漂う。そして季節に関係なく日が暮れ夜になると必ず鼻を摘まれても判らないような闇が降りてくる。
 少年はその日も一人森の中で遊んでいた。
 オークやブナ、そしてそれを圧倒するモミの木。そんな木の根を跨ぎながら歩くうちに気が付いたら少年はいつしか森の奥深くに入り込んでしまっていた。
 見上げても生い茂る樹木に隠されて空も見えない。
 少年は途方に暮れた。帰り道がまるで判らない。
 と、前方に松明を掲げて歩く人影が見えた。
 少年はその人影を追った。木の根に足をとられながらも懸命に追った。
 近付くとそれはこの辺りで古くから春に行われるゲルマン民族の祭、つまり愚者のパレードの扮装をした一人の老人だった。
 何事か呟いている。近付くにつれてそれが聞こえてきた。
「……忘れはせん。ブロンベルグの血の日曜日の事だけは忘れはせん……」
 少年は足を止めた。不意に母の顔が浮かんできた。暖かいシチューの匂い……。
「Kき森より飛び立ちたる無數の百舌の群れが贄を求め、この大空を覆い盡くすだらう」
 老人は振り返り、少年を見据えた。松明に浮かび上がるその双眸……。
 少年クルト・タンクはそのまま気を失った。

334 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/28(火) 22:19:10
333です。
反則なのかも知れませんが、上記を読むにあたっての予備知識です。

「クルト・タンク」ドイツ ブロンベルグ生まれ。
戦闘機メッサーシュミットの操縦性の難しさによる着陸事故が多発していたドイツ空軍省はフォッケウルフ社にメッサーシュミットの
バックアップ用戦闘機の開発を打診してきた。第一次世界大戦で実戦の体験を持つ飛行機設計師兼テストパイロットという特異な経歴
を持つクルト・タンクの手によってフォッケウルフFw190、通称ヴュルガー(モズ)が完成した。
そしてこの機は第二次大戦中のドイツ空軍の主力戦闘機となりました。

335 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/28(火) 22:59:17
>>331さん >>332さん

ありがとうございます。
コメントをいただくのも嬉しいですが、このような言葉をかけていただくことも
とても嬉しいものですね。もう1度、頑張ってみます。

>>333さん

なるほどね。この手がありましたか。とてもおもしろく拝見致しました。


336 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/29(水) 00:01:19
>>333
まさか三題噺でフォッケウルフなんて言葉が出てくるとは思わなかった。
ミリタリーマニアでドイツ空軍大好きっ子のオレ的には嬉しw
乙です!

337 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/29(水) 00:51:13
>>333
幻想的なお話が、まさか飛行機設計師と戦闘機へ繋がるとは…面白いです。
個人的には、>>334の内容が本文中に、
例えば段落開けてラスト二、三行などで盛り込まれていると尚良かったかと思いました。

乙でした。

338 :名無し物書き@推敲中?:2006/11/30(木) 06:53:51
お題〈百舌、ミルク、夜〉
タイトル「早贄」

 東某が箱根山中で霧のため道に迷ったときの話。
 いくら霧が出ているといっても通い慣れた道のこと、おかしな事だと訝しんでいると、ふと、木々の枝に多数の蛙が突き刺さっているのを見つけた。
 百舌などの鳥が獲物を木の枝に刺す、早贄という習いがあるが、おそらくそれだろうと思ったが、妙な事に気付いた。
 蛙の中には布切れを体に巻きつけている物がある。
 目を凝らして見てみると、それは赤ん坊の干乾び萎びた成れの果てで、到底、人の仕業とは思えぬ。
 さては、妖物の仕業かと思い、その場で火を起こし、木を背に座り、寝た振りをして待っていると、夜も更けた頃、牛の乳のように霧がひと際濃くなり、何者かがやってきた。
 すぐに飛び上がって、抜き打ち様に切り付けると、それは一声呻いて倒れた。
 火を翳して見ると、おそらく年を重ねて妖力を得たのだろう、雪のような白毛の大猿が横たわって死んでいた。
 しばらくすると霧も晴れ、無事、山を越せたことから、道を迷わせたのも大猿の仕業だろうということだ。

339 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 11:23:49
 葉書が届いた。差出は圓井寫眞。先日撮影した寫眞が出來上がったさうだ。
 もとより今日は先だってカヲリ君の編入手續きを濟ませた女學校に要する品など買ひ求
めるべく街に繰り出す心算であった。そのついでに出向く事にしやう。
 臙脂の袴や筆記用具そして通學用の自轉車などを注文し、寫眞を覗くと來客中の樣子。
それではと歐古堂を冷やかしに行くと珍しく早々に店を閉めていた。ならばと家内のお氣
に入りだった甘味處に入った。ひと口食べて「んまか」とカヲリ君も滿足した樣子だ。
 夕刻再び寫眞に戻るとすぐさま硬い表情の主がとんで來た。完成した寫眞を見ると、
カヲリ君の背後に幾筋もの光がまるで蔓の樣に幾重にも絡まり合ひながら天に向かって伸
びてゐる。主も原因はさっぱり判らないと言ふ。しかし當のカヲリ君は氣味惡がるどころ
かいたく氣に入ってゐる樣子。兎に角代金を支拂ひ店を出やうとすると、主に引き止めら
れた。今囘の件について口外無用で願ひたいとの事。
「こん撮影ん時に大概の奴は拂た。あと、あんレンヅは使はんごっしやんせ」
 やうやく表情の和らいだ主に見送られて表に出るとまうすっかり日が暮れていた。
 と、向いの望春といふ華僑の經營するミルクホォルの觀音開きの門が開いた。ヂャヅの
生演奏と女給たちの嬌聲が表まで漏れ出し、赤ら顔の歐古堂の店主が轉び出てきた。
「や、これは先生。こんな夜分にお珍しい。お恥づかしい處を見られてしまひましたな。
 しかし先生、この店はいけません。確かにここの女給は歌も上手く若く可憐かも知れま
せんが、ちょっと肩など組んで歌を歌っただけなのに放り出されてしまひました」
「望春っちゃ百舌ん事じゃ。百舌は字のごっ、聲眞似が上手か。じゃっどん百舌は猛禽じ
ゃっでね。贄にならんかっただけでも儲けもんじゃっど」

340 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 19:13:57
>339
カヲリ君、自転車買ってもらったのか、いいなあ。
臙脂の袴と矢絣の袖を翻して町を往く様が目に浮かぶようだ。


341 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 20:40:16
>>339
乙です。
短い文でも情景が用意に思い浮かべられるのが、いつもながら流石です。
写真に写ったのはなんだったのでしょうか…
それと甘味所で何を食べたのか、ちょっと気になります。

342 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 21:18:44
>>341
さうさう、甘味処!
おれは甘味処といふ文字を見ただけで
あんみつだらうと思ったので、指摘されるまで気付かなかった。
何を食べたんだい、カヲリくん。

343 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 21:57:58
 體調が優れぬと言ふ歐古堂の店主の達てのョみを受け、先日編入した女學校の休みの日
だけ、それも夕刻までと言ふ條件でカヲリ君は暫くの陝^古堂を手傳ふ事に成った。
 とは言へカヲリ君は義妹から預かってゐる大切な姪だ。何かあっては大變である。そん
な譯で、夕刻になってからわたしはこっそりとその仕事振りを覗きに行く事にした。
 歐古堂に着いて驚いた。いつも閑古鳥が鳴いてゐる店内に少なくない客がゐる。
「こいは太陽王っち言はれちょったルヰ十四世の頃ん物で……」
 カヲリ君は店内の西洋骨董の謂れなどを語ってゐるのだが、それを取り巻いてゐる人々
は骨董などそっちのけでカヲリ君に熱い視線を送ってゐる。しかしそれもやむを得まい。
Kを基調とした英國貴族の使用人の如き扮裝はまるでカヲリ君の爲に誂えたやうだ。
 しかしこれは……。わたしは帳場にゐる店主に詰め寄った。
「エプロンドレスなどまるで英國のメイドの如き格好をさせるとは聞いておらんよ」
「とんでもない。あれはカヲリさんがご自分で選ばれたんです。賣り物ですのに……。
 あ、先生。それよりも聞いて下さい、カヲリさん非道いんですよ。うちの大事な賣り物
に、これは何やらの靈が憑いてゐるだとか、とんでもない言ひ掛かりを付けて……」
 その言葉が聞こえたのかカヲリ君が襞の多いスカァトを翻して振り返った。
「嘘は言ふちょらんど。そひよか、新しか物ば古か物のごと言ふて値を吊り上げちょっと
は店主どんじゃろ。今日も鹽梅が惡かっち言ふて人に店番させて、晝閧チから望春に行き
よるし、ほんなこつ嘘ばっかい言ふてから。店主どんにゃ二枚どころか百枚くらゐべろが
生えちょらんねよ。百舌、うん、店主どんは百舌じゃ」
 千里眼が相手では誰も太刀打ち出來まい。哀れではあるが、ま、自業自得である。

344 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 22:18:30
乙です。
なのですが、「百舌(モズ)」「ミルク」「夜」のお題、ですよね?
違ってたらすいません。でももしそうだとしたら、夜とミルクは…と思ったものですから。

345 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/01(金) 22:29:01
あ、すいません。
800字におさめる時に削ってしまったようです。大変失礼しました!
今回の343は無視して下さい。

ちなみに339で登場しました通り「望春」はミルクホールです。
このミルクホールという言葉を誤って削ってしまいました。
また最後、夜道をカヲリ君と先生が話しながら帰るシーンがあり、ここで
「夜」という表現を使っていたのですが、これも誤って削ってしまいました。

全く三題噺になっておりませんでした。申し訳ありませんでした。
以後注意いたします。

>>341>>342さんのご質問にあるカヲリが食べた甘味処のメニューですが
「芋羊羹」です。

346 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/02(土) 01:28:48
>>326さん。幻想的な雰囲気の話ならよかったんですが、ごく日常的なトーンで語られる話なので
やはり普通の文体で書いた方がいいと思います。そんなにしなびて 入って来たかなあ、という表現は
328さんと同じく私も面白いと思います。

>>333さん。浅学のため「ブロンベルグの血の日曜日」やドイツ空軍のことは分からないのですが、
ゴシック・ホラーのプロローグを思わせるような感じの雰囲気は好きです。

>>339>>343さん。周りを固める人物も生き生きとしてきましたね。それにしてもカヲリ嬢のメイドさんルックですか…
も、萌える! なんつて(笑)

347 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/02(土) 01:52:24
>>346さん、コメントありがとうございます。
333です。「ブロンベルグの血の日曜日」というのは第一次世界大戦時にポーランドが
西プロイセンのブロンベルグに侵入し、大量のドイツ人が虐殺された事件で、
第二次世界大戦の火種の一つとも言われているものです。

348 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/02(土) 07:18:56
>>345
ことさら美味い芋羊羹なのであろう。
それにしても歐古堂、メイド服も売っているとは。
カヲリが着る位だから、妙な因縁のあるものではないようだが。

349 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/02(土) 08:56:32
>348
カヲリ君の育った南九州では芋はそのまま食べていたらしく、
芋羊羹のように手の込んだ菓子は珍しかったと思われます。

350 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/02(土) 17:49:17
甘藷は蒸かして塩をふってたべるのが、んまか。

新しいお題行きますか?
次の方からドウゾ。

351 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/02(土) 18:54:38
んじゃ、ひとつめ「芋」で

352 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/02(土) 21:48:24
じゃ、ふたつめ「蜘蛛」

353 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/02(土) 21:48:28
ふたつめ、「エナメル」。七宝でもマニキュアでも皮でも。

354 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/02(土) 21:50:25
では次の三題噺は「芋」「蜘蛛」「エナメル」って事で。

355 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/03(日) 15:14:15
 学校から帰ってくると、「台所手伝って」とお母さんに言われた。鞄を置き
行ってみると、じゃが芋を渡され、皮を剥くように言われる。いやだな。お母さん、
あたしに言いたいことあると、2人きりになりたがるから。今うちにはあたしとお母さんしかいない。
「この間の個人面談でね、お母さん、先生に言われたんだけど。」ほら来た。
「中学2年の2学期だっていうのに、少し勉強量が足りないんじゃないかって。」
 お母さんの横で、あたしは黙ってじゃが芋を洗う。あれ?お母さん背伸びた?
肩の位置が少しおかしい。
「塾のこともあるし…、ちょっと聞いてる?」
 しかたなくあたしはお母さんの顔を見る。吃驚した。お母さんの頬に蜘蛛がへばりついている。
足が細くて長くい10センチぐらいの、その、蜘蛛。お母さん、どうして気が付かないの?
「今、頑張らないでどうするの?」
 お母さんが喋り出すと、蜘蛛はしゅるんと口の中へ引っ込んだ。テレビの女優って
なんでこうゆうとき、悲鳴が上げられるの?あたしできないよ。ものすごく涙が出てくる。
「高校、行く気あるの?」
 下を見ると、お母さんはハイヒールを履いていた。お母さんお気に入りのエナメルのやつ。
ものすごく高いヒール。床が傷だらけになっている。
「一生のことなのよ。」
 お母さんは言う。あたしはただ泣くしかない。



356 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/03(日) 15:33:37
>>355
理由が判らない恐怖……を狙った作品でしょうか?
お題も無理なく(?)織り込まれています。
乙でした。

カッコで括られた台詞の最後に句点「。」を付けられていますが、
小説などを読まれれば判ると思いますがこの句点は不要です。
カッコ付きの文で最後に句点を付けるのは、引用文の場合。
引用文の場合は原文のままとし句点までつけます。
また「?」や「!」などが文中に出る時にはひと文字分空けるのがルールです。

せっかくトレーニングするのですから、この際このような執筆時のルールなどを
身につけておくのも損はないと思います。

357 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/03(日) 17:12:12
355です。
そうそうのコメントをありがとうございます。
なんだか、小学生からやり直した方がいいのでは、と我が身を振り返りました。
恥ずかしいなあ。ここに書き込む前に習う事だなあ。

>>331さん >>332さん
やはり駄目でした。 弾かれてしまいます。 
エラー3151 と出ます。 これは私のパソコンの機種の問題のようです。
この場をかりてお礼を申し上げます。 ありがとうございました。
 

358 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/05(火) 00:37:58
遅レスですが>>347さん、説明ありがとうございました。
346です。
大戦時についてはあまり詳しくないもので勉強になりました。

359 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/05(火) 07:27:11
>>355
「あたし」の視点だと、母親が壊れているようでもあるけれど、
あたしの方こそ危ういところにいるのかも知れない。

受験の頃って、大なり小なり本人も家族も追いつめられるよなあ。

360 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/05(火) 13:08:08
ポプラビーチの「週刊てのひら怪談」
銀峰こと勝山海百合さんの「とりひき」を読んでいて、思わず今回のお題「芋」の三題噺かとw
しかし本当にお上手でした。わたし達も頑張りましょう。

361 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/05(火) 22:03:24
>360
合っているのは「芋」だけではw
蜘蛛やエナメルも織り込めそうではありましたな。

擬古文の人が擬古文で(擬古文でなくても)
「週刊てのひら怪談」に採用されますように。

362 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/06(水) 11:30:35
受賞者も再度応募可能みたいだから、採用は狭き門となりそうだ。


363 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/06(水) 17:59:55
 海外で開催された長期の学会出張から戻ると四歳になる一人娘の様子がおかしかった。
 食欲もないし、食べながら頻りと頬を撫でたり、箸の先で口の中をせせろうとする。
 職業柄すぐに気付いて見てみると、左右の下の奥歯のエナメル質が欠け、象牙質部分に
ポッカリと孔があき、中に食べ物の滓だろうか、なにか白いものが詰まっていた。
 よりによって歯科医のわたしの娘が虫歯だなんて……。
「お母さんが出掛けてる間、甘いもの食べてたでしょ? 明日治療するからね」
 出国した二週間前にこんな兆候はなかった。それは朝と就寝前のブラッシングをしてい
たわたしが一番よく知っている。しかしこんな短期間に一気に進行するものだろうか?
「お祖母ちゃんに……」
「お祖母ちゃんから何か貰ったの?」
 娘の言葉を聞いてわたしは立ち上がった。
 いつもいつも義母はいらない事をしてくれる。娘を甘やかすばかりで、こっちの思惑な
んぞ全く気にしない。夫は否定するがわたしは最近の言動や行動から認知症を疑っている。
 わたしは娘をそこに置いてすぐに義母の部屋に向った。
 たとえ認知症だとしても言うべき事はきちんと言わなければ……。
 正直義母の部屋は苦手だ。へんな臭いがする。それが出国前よりも酷くなっていた。そ
んな中で義母は芋虫の様な指を座卓の上のカリントウに伸ばしているところだった。
「お義母さん、娘に何を与えたんですか?」
「何もしてませんよ。そうそう、公園に桑の実がなったのを教えてあげて、それと……」
 その時、ダイニングの方から皿の割れる音と娘の悲鳴が聞こえてきた。
 慌てて駆け戻ると娘が床の上を転げ回りながら吐いている。さっき食べた夕食と、濃い
青紫の小さなツブツブ、そして小さな蠢くものが吐瀉物の中に無数に混じっている。
「それと蜘蛛の味を教えて上げたんですよ。それが本当に葡萄みたいな味でね……」
 ダイニングの入り口でカリントウを咥えたまま義母が笑っている。カリントウの端が口
元からこぼれ落ちた。断面で蠢く白い紐の様な……、あれはカリントウなんかじゃない!
 わたしは悲鳴を上げながら、白目をむき泡を吹き始めた娘を抱き起こし口をこじ開けた。
 ……娘の口の中は数え切れない程の蜘蛛の子で溢れかえっていた。

364 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/06(水) 18:16:13
>363
うげーっ!! となりました。
お題の折り込み方もお見事。
アメンボは甘いからアメンボだとは聞いたことがありますが……
乙でした。

365 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/06(水) 23:31:11
生理的嫌悪感を刺激する強烈なボディブローの連続のような話でした。
正直食事時にはあまり読みたくない作品ですね。
映像がイメージしやすかったです。
乙です。

366 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/07(木) 10:20:34
 新しく銅器が入ったと言ふので歐古堂まで來てみると、相變はらず店の外はカヲリ君
目當ての輩で芋を洗ふが如き有樣。だが店内は少しは以前の落ち着きを取り戻していた。
「こいはエナメルっちゅうて七寶莊嚴の煙草盆。英國王室御用達の工房で……」
 そんなカヲリ君の説明を受けてゐるのは、Kい外套のせいで熊とも見紛うばかりの巨漢。
その男は煙草盆に食ひ付かんばかりに顔を近付け、しきりと頷いてゐる。
「先生、その銅器如何ですか。ちゃんとカヲリさんに觀て貰いましたからおかしな物で
はないと思ひますよ。しかしカヲリさんは大したものです。元々博覽強記だと思っており
ましたが、最近ではそれに接客も慣れてこられたやうで、安心して店番を任せられる程で
す。正直、出來ましたら歐州への買ひ付けに目利き役で同行して欲しいくらゐでして……」
「良かろ。國の言葉ば喋る姉ちゃんに免じて買ふたろ」と言ふ大聲と共に見事な髯をたく
はへた先程の客が帳場にやって來た。そしてわたしの顔を見るなり「ん、こら西園司……
先生」と聲を掛けてきた。この髯面には見覺えがある。たしか九帝大の……。
「大角でごわす。今度こっちの大學に來もした。專門は歴史民族學。今は風土記とかで土
蜘蛛なんぞの研究をしちょります。ま、太古に思ひを馳せる浪漫派っち覺えっ下さい」
 大角は決して安くない代金を即金で支拂ふと「ほいじゃ」と言ひ殘して店を出て行った。
 同時にカヲリ君がしゃがみ込み、肩を震わせた。何事かと驅け付け聲を掛けやうとした
途端、カヲリ君は天を仰ぎ腹を押さへて大聲で笑ひ出した。目には涙まで滲んでゐる。
「熊んごたる人が浪漫げな」
 くっくと笑ひながら小さくなった大角の背中を見やったカヲリ君の表情が不意に曇った。
「何じゃ……、あん人ずんばい蟲やら蛇やらうちょらよ……」

367 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/07(木) 15:51:41
あっちのスレでも書かれてたけど、本当に幽怪談大賞短編部門に出せるかも?
お題もうまく織り込まれています。
乙でした。

368 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/07(木) 16:08:05
短編に出したら受賞間違いなしだよ。


369 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/07(木) 16:32:40
歐古堂いいね!
映像化できそう。


370 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/07(木) 19:04:03
擬古文でなくても、擬古文タンが書いたのはわかる気がする。
だって、あれ

>366
熊みたいななりで浪漫派で悪いか。カヲリ君の意地悪。
……心は乙女な大角であった。

371 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/07(木) 19:21:57
>370氏の「だって、あれ」の続きが気になる。。。。。

372 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/07(木) 19:51:40
擬古文はプロレベルだな。
色んな文学賞の応募汁!


373 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/07(木) 20:20:30
>371
作者の詮索はしないのがルールなので自主規制しただけですが
構成、フォーマット、句読点の付け方などに現れる
擬古文タンの癖が、擬古文でない時にも現れると思った次第。

374 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/07(木) 21:19:18
 早朝から庭の方で何やら物音がするので書齋の窓を少しすかして見るとカヲリ君が何や
ら勇ましい事になっていた。手拭いを姉さん被りにし、襷掛けまでして庭の一角を一心に
掘り返してゐる。家内が生きていた頃は花壇だった筈の一角はカヲリ君の畑になってゐた。
 カヲリ君はわたしの目線にすぐに氣付き、滿面の笑みを浮かべて腰を伸ばすと、手にし
た獲物を見せびらかすやうに捧げ上げた。足元には結構な量の芋が轉がってゐる。
「こないだ寄った甘味處の職人どんに、持ち込んだ芋で芋羊羹ば拵えてくれんねっちョん
だら、良かっち言ふてくれたでね。こいで芋羊羹ば作ったら、わっぜ旨かど」
 子供の樣に無邪氣な笑顔でさうは言ふが、見た所普通の甘藷と變はりはない。
 わたしの表情に氣付いたのかカヲリ君は手に持った甘藷を兩手で二つに折った。斷面が
鮮やかな赤紫色である。成る程、紅芋か紫芋であらうか。
 勝ち誇ったやうな笑みを浮かべたカヲリ君だったが不意に表情が曇った。目線の先を見
やると一匹の盲蜘蛛がゆらゆらと立ってゐる。ふむ、所詮は年頃の娘……。
「大丈夫。それは咬まない。英名はダァディイ・ロング・レッグスと言って……」
 カヲリ君は硬い表情のままそっと兩手で盲蜘蛛を包み込んだ。朝日の中、兩手を合はせ
てゐる樣は伊太利は厄西で觀た琺瑯畫法による宗ヘ畫「祈る乙女」を思ひ起こさせた。
 見惚れてゐるとカヲリ君は何事か小さく呟き、柏手を打つ樣に兩掌をパンと合はせた。
 豫想もしない行動に驚くわたしに、カヲリ君はその掌を開けて見せてくれた。白い手の
中に盲蜘蛛の姿はなく代はりに一枚の紙が挟まれてゐた。その紙がまるで生きてゐるかの
樣にカヲリ君の掌から舞い上がり、そのままひらりと生け垣を越えて行く。
「式神……。性質の惡か呪じゃなかったら良かどん……」

375 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/07(木) 21:58:48
>>374
厄西はベニス、琺瑯畫法はエナメル画ですね。わからなくて調べたよ。
どんだけ芋が好きなんだ、カヲリ君は。
しかし誰がどんな目的で式神を放ったのか、気になる。

376 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/07(木) 22:10:12
>>355さん。不条理感漂う怪談ですね。不気味な雰囲気が良いです。

>>363さん。素晴しいグロさです。描写が巧みでビジュアルがすんなりイメージできました。数え切れない程の蜘蛛の子ってのがかなり鳥肌モノです。

>>366>>374さん。もはや、うまくお題を消化しているとか言うレベルじゃないですね。小説として面白いです。

みなさん乙でした。

377 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/09(土) 01:49:42
蟲やら蛇やらうちょらよ>巫蟲ですな。

378 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/09(土) 17:49:58
あ、今日は土曜日か。新しいお題ですよね。
お題ひとつめ「箱」

379 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/09(土) 18:19:07
ふたつめ。「湾」

380 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/09(土) 19:19:45
じゃ、発売記念で「幽」

381 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/09(土) 19:51:52
お題は「箱」「湾」「幽」で。
みなさん、鋭意執筆して下さい。

382 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/10(日) 19:16:58
 取材の為にある作家の物語の舞台である町を訪れる事になった。空港からJRで湾岸沿
いに南下し、かつて新婚旅行のメッカであった青島などを経由して辿り着いた終着駅。日
南海岸国定公園の西の端に位置するそこが彼の代表作「かがみじし」の舞台となった町だ。
 早速市の観光事務局を訪ね、取材の旨を伝え、かの作家が見たであろう場所など尋ねる。
「人は減りましたが、猪は今もずんばいおります。猪を人口に加えたら町村合併なんぞせ
んでもとっくに市に昇格しちょったとですが……。じゃちぃっとばっかい案内しましょか」
 思いがけず現地で調達出来た人懐っこいツアコンの運転する車で寺や城址など巡り、町
で一番古いという町を見下ろす丘の上にある神社まで来た。
 不思議な神社だ。南、つまり海に向って立てられた鳥居をくぐるとその右手に本殿があ
る。鳥居とは神を迎え入れる門で、その先にある本殿はそれをもてなす場の筈。これでは
海から来た神は本殿に辿り着けない。寄り来る神に対してどうして……。
 不思議がっていると「次行きましょ。白砂青松っちゃここん為にあるようなもんじゃっ
ど」と言われる。どうも彼は写真をとれば取材が終わると思っているらしい。苦笑。
 防風林である黒松林の手前で車を下り、林を抜けると目の前に白い砂浜が広がっていた。
緩やかに弧を描く海岸線。沖合いに小さな無人島が浮かんでいる。なるほど美しい。
 黒潮がぶつかる地である為、鎖国時代も南蛮貿易が密かに行われていたそうだ。しかし
意外と海流が荒く座礁する船も多かったと言う。数年前もメキシコの船が座礁したそうだ。
 波打ち際に何かあった。近付くとボロボロに朽ちた木箱だ。箍の模様から見て相当古い。
「海神さんからの土産じゃ、拾ても誰も何も言わんど」と勧められたが遠慮する事にした。
何故か箱が幽かに震えた気がしたからだ。途端にツアコンの表情が初めて苦渋に歪んだ。

383 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/10(日) 20:03:24
>382
舌打ちと共に「命拾いしたな」という声が聞こえそうです。
ほのぼのした旅行記のように始まったけれど
鳥居と本殿の位置がおかしいというあたりから不吉なものが兆してます。
(「かがみじし」という作品は存じません)


384 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/11(月) 00:46:41
「カガミジジ」って椋鳩十の動物童話ですね。好きな童話でした。
良い雰囲気でした。
乙!

385 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/11(月) 06:07:51
>384
「かがみじし」「鏡獅子」で検索しても
歌舞伎の演目くらいしか出てこなかったので
椋鳩十とは気付きませんでした。ありがトン。

>>382
魅入られた男、危機を逃れる。
乙でした。

386 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/11(月) 10:46:18
 寺の裏を回ると、崖の側面をくり抜いて格子戸をはめ込んだ洞窟があった。
「牢屋だったりして」僕が言うと彼女が「そうみたいよ」と壁にへばりついている説明版を眺めながら返事をした。
「昔の偉い人を幽閉していたって。ダンボール50箱分の空間があるそうよ」
 名字の漢字は難しくて読めなかったんだな。見ると、洞窟は狭く、暗く、じめじめしていて、天井は湾曲している。
立つことは出来ないだろうなあと思ったけど、よく考えたら昔の人は背は低かったのだった。
いや、低くっても無理かな。
 僕と彼女、二人して格子戸の隙間から奥の方を覗いていたら、隅っこにプリンの容器に白い物体、
おそらく塩が盛られているのが見える。「薄気味悪いね」とか「もう行きましょう」とか言いながら、
僕達は夕暮れの中、寺の出入り口まで戻った。
 出入り口の料金所に着くと、さっき拝観料を払ったおばさんがまだいて、「あー、お客さん穴まで行ったのね」
と言いながら、彼女の背中をばんばんと軽く叩く。「気にしないでね。ただ叩いただけだから」とかも言う。
「ね。あの洞窟なんなの?」小さな声で彼女に聞かれた。
「わかんないよ。そんなこと聞かれても」
「だってあなた、幽霊なのにそういうこともわからないの?」
 彼女は馬鹿にしたような表情で僕を見る。幽霊だからって何でもわかると思うなよ。まだ、僕は新米なんだ。
死んだのだって、たかだか数カ月前なんだぜ。
「今度、死んだじいちゃんにでも聞いといてやるよ」
 溜息付きながら返事をする。なんだかんだいっても彼女のことを好きだし、
こんなふうに死者がいつまでも生者にくっ付いてちゃいけないよなあとも思う。
 こんな時彼女の肩を抱きたいなあ。半透明になった手を夕日に透かしてみた。

387 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/11(月) 12:20:26
>>386
可愛いお話でした。
彼女についていたのは何だったんでしょう?

>ダンボール50箱分の空間

観光地とかで、こんな説明文が掲示されていることって、ある。

388 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/11(月) 23:55:11
>382
ラスト、あえて言葉を吐かせずに表情だけにしたのが良いですね。
お題は全て無理なく織り込まれています。
早いのに完成度の高い作品でした。乙です。

>386
後半の展開が面白かったです。
指摘のあった段ボール箱については主人公の女性に主観として言わせるなどの工夫をすれば
すんなりおさまったのではないでしょうか。
乙です。

389 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/12(火) 18:42:10
 人から人の手に渡り、彷徨いに彷徨った擧句にわたしが辿り着いたのは永らく監獄とし
て使はれた修道院。しかしそこでの生活も長くは續かなかった。わたしの友であった修道
女が老衰で身罷り、わたしはその西洋の驚異と稱される西海岸に位置する灣上に浮かぶ加
特力ヘ徒の巡禮地として名高い修道院を後にした。以來誰も引き取る者が現れぬままにわ
たしは幾日も晒され續けた。埃交じりの木枯らしや夏の陽射しに晒され續け、純白であっ
た絹のドレスもすっかり廣ばみ、美しかった髪も亂れたまま埃をかぶり……。
 そんなわたしに目を掛けたのは剃刀の樣な目付きの一人の東洋人。彼はわたしを冷たい
目で値踏みした擧句、二束三文で買ひ取った。そのまま彼が逗留してゐる宿に連れていか
れ、わたしはすぐさま木箱に収められ、周りには丸めた古新聞などが詰め込まれた。友と
して遊んでもらふしか能がないのに一度として遊んでももらへぬ侭に……。

 幽かに潮の香の混じった淀んだ空氣と射干玉の闇の中でわたしは永らく搖られ續けた。

 蓋が不意に開いた。わたしを買取った東洋人と良く似た面差しの老人の顔、次いで肌理
の細かい白い肌に明るい栗色の髪、そして紫水晶のやうな味を帶びた瞳の少女が覗き込
んできた。その少女は古新聞を掻き分けてわたしを優しく抱きかかへ髪を撫でてくれた。
「なかなか状態の良いアンテイクドォルだ。問題は衣裝だな」と呟く老人には少女の聲
は聞こえなかっただらう。さう、小さい聲ではあったが少女は確かにかう呟いたのだ。
「おやっとさぁ、これからうちと一緒にこん店の店番ばすっど。うちらは友達じゃ」

 以來わたしはこの陳列棚の上からカヲリを見續けてゐる。本當に友達なのかだうか……。

390 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/12(火) 23:14:06
>389
シリーズ物なのに、これまでとは違った角度からの展開。
相変わらず上手くまとめられております。
乙です。

391 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/16(土) 21:20:19
年末でお忙しいことと思われますが、新しいお題を集めたく。

「翡翠」宝石でも、カワセミでも、色の名前でもご随意に。



392 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/16(土) 23:16:33
ふたつめ、「パソコン」

393 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/16(土) 23:30:08
みっつめ「転落」

394 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/17(日) 07:06:20
今週のお題は「翡翠」「パソコン」 「転落」です。
よろしくお願いします。



395 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/19(火) 18:43:32
 祖父が亡くなった。長男である父の勧めを「都会は性に合わん」と拒んで田舎暮らしを
続けていた祖父は、扁桃腺が腫れて声も出せない程であったというのに、川沿いの畑が心
配だと祖母に書き残して出掛け、結局そのまま帰らぬ人になった。
 祖父との思い出はそんなに多くはない。覚えているのはこの夏、祖父と一緒に川沿いの
畑に行く道すがらの事だ。そう、今回祖父が転落した川の上流にあった小さな畑。

「ほれ、翡翠が魚採りバシチョル」
 見ると鮮やかな色の鳥が川にダイブしていた。祖父の言葉は訛がきつくヒアリングが大
変だ。生き物図鑑などが大好きだったわたしはすぐさま「カワセミだね」と祖父に尋ねた。
「知らん。オイが知ッチョル名前は翡翠。オンチョが翡でメンチョが翠、あわせて翡翠」
 そんな事で祖父はちょっと不機嫌になった。こんな時は話題を変えるに限る。
「……この川、魚たくさんいるの?」
「ズンバイオッド。魚も川海老もガラッパもおる」
 河童は想像上の生き物だ。そう告げると祖父の表情が真剣なものに変わった。
「ウンニャ、ガラッパはオル。川ン底ン処に隠れチョッテ、川べりに来ット蜘蛛の糸ンゴ
タル網を投げて引き摺りこむ。牛デン、馬デン、人デン引き摺りこむ。
 ジャッデ川のそばで遊んだらイカンド。ガラッパに引き込まれそうになった時ぁ、コゲ
ン言えば良カ。覚えチョケヨ。ガラッパソコンオレ。じゃ」

 きっと祖父は声が出なかったのだろう。

396 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/19(火) 18:46:28
>ガラッパソコンオレ
ちょっと待てwww

397 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/19(火) 20:59:26
>>365
>ガラッパソコンオレ
「ガラッパ、そこに居れ」が呪文か、なるほど、ありそう。
そこにお題の「パソコン」も見事に織り込まれている。
ながれいしー(嘆)

398 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/19(火) 21:03:21
>>395
397です。アンカーミスです。
「パソコン」をこんな風に使うとは。
これを思いついた時、してやったりと思ったに違いない。
コンチクショー!

399 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/19(火) 21:31:48
    |┃三             _________
    |┃              /
    |┃ ≡    _、_   < パソコンおれ!じゃ
____.|ミ\___( <_,` ) _ \_
    |┃=___    \     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    |┃ ≡   )   人 \ ガラッ

400 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/19(火) 21:47:18
訛がきついとする事で爺さんの台詞をカタカナ表示にし、
その上でパソコンをそこに織り込むとは、なかなかに曲者よのぉw

401 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/19(火) 21:58:14
>>399
「ガラッ」を台詞の左上に持ってきてればもっと良かったかな?

402 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/20(水) 22:17:00
 ――招運マガ玉。
 パソコンでいつものようにあちこちネットサーフしている時、偶然あるネットショップ
で見かけたこの商品に何故か引き付けられた。
 ――太古よりマガ玉には不思議な力が宿ると言われています。有名な三種の神器も鏡、
剣そしてマガ玉の三種を身に付けることで悪運を退け、良運を引き込むとされていますね。
鏡はまだしも剣を所持する事は銃刀法に触れてしまいますのでとても出来ません。となる
と残るはそう、マガ玉しかありませんね。今回はそんなマガ玉をお手頃価格でご提供です。
一個一個念を込めて貴重な国産翡翠を磨き上げましたこの一品……。

「開けやがれ、こら! いるのは判ってんだぞ!」
 こんなに四六時中入れ替わり立ち代り催促されたらもう外に出ることも出来ない。しか
し一体どうしてこんな借金まみれの転落人生を歩む事になってしまったのだろう。最初は
ほんのちょっとキャッシングしただけの筈だったのに、いつの間にかとんでもない額面に
膨れ上がって……。何が招運マガ玉だ。わたしは携帯ストラップのそれを引き千切った。

 ご存知ない方が殆どだと思いますけど、マガ玉には二種類あるんですよ。それが「勾玉」
と「禍玉」。良運を呼び込む玉と悪気を呼び込む玉なんですけどね。元々玉は二個揃ってひ
と組なんですよ。ほら海彦山彦でも潮盈珠、潮乾珠とか出て来ましたでしょ。運不運もま
た一体なんですよ。誰かが幸福になればその分誰かが不幸になる。かと言ってこんなやり
方は酷いですね。え? えぇ、勿論意識的にやってますよ、これは。

403 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/20(水) 23:29:44
森山東の呪扇みたいな話ですね。


404 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/21(木) 01:08:29
>>402
なんかちょっと膨らませて一本短編ホラーが書けそうなアイデアですね。
お題のこなし方も無理がありませんでした。
乙です。

405 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/21(木) 01:30:06
俺も呪扇を連想した。


406 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/21(木) 05:49:00
>>402
最後の段落は「事情に詳しい関係者」が
テレビの取材に応えて(画像と音声を変えてます)
語っているんだなーと勝手に想像した。

407 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/21(木) 11:17:29
>>403-404
ども402です。森山東さんの呪扇は未読なので今度読んでみようと思います。
コメントありがとうございました。

408 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/21(木) 11:18:27
あ、アンカー間違えました。
>>403-406 です。
どうもすいません。

409 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/21(木) 12:12:23
 衣裝の解れを直すといふ約束でカヲリ君が歐古堂から預かってきた人形は、その髪の色
が明るい金髪である點を除けば、肌の白さと言ひ、小さめの口元と言ひ、意思の強さうな
やや吊り上った眦や味がかった翡翠色の瞳まで、さながら彼女を雛形にしたのではと思
へるほどカヲリ君とその造作が酷似していた。
「歐古堂の店主どんから、こん絲で繕はんといかんっち、金絲やら何やらずんばい渡され
っせ、縫ひ方まで言はれた。人形が直せっち言ふからしょんなかどん、こら大事じゃっど」
 さも迷惑さうに語りながらもその表情はどこかしら嬉し氣だ。つまるところその實カヲ
リ君もまだ人形が戀しい年頃といふ事なのだらう。
「出來るだけ製作當時の素材を用ゐ當時の手法で修復しやうなど、なかなかあの店主も眞
面目な商いを心掛けてゐると言ふ事でせう」
 一旦人形を部屋に置いて來させ二人で遲い晩餐になった。本日は伊太利亞風の魚介入り
麺料理だ。日頃葉書などを届けて呉れる郵便配達員の薀蓄によると髪の毛一本ほど芯を殘
すやうに茹でるのがコツとの事だったが、これがなかなか難しい。結局今囘も……。
 と、どこかで何かさほど重くもない物が轉落する音がした。
 カヲリ君が脱兎の如く驅け出し、そしてやがて件の人形を抱えて戻ってきた。しかしそ
の目は虚ろで焦點が定まってゐない。こんな形で千里眼が發動するのを見たのは初めてだ。
「暑か……、仙人掌が生えちょる沙漠……。空にふっとか鳥……禿鷹? ……赤か肌ん人
が何か言いよる。エ……エルパソ、……エルパソコンドル。魂ば刈り入れる鳥……」
 それだけ言ふとカヲリ君はその場に崩れ落ちた。

410 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/21(木) 12:53:48
>>409
エルパソコンドル!www
この人形はいったいどんな来歴をもっているのだ。
何を見てきたのだ。


411 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/21(木) 19:35:14
800文字で三題噺という制約の中でどうやったらシリーズ物が続けられるのか……。
頭の中を覗いてみたくなります。
今回も面白かったです。
乙でした。

412 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/21(木) 22:47:20
 女史更衣室で着替えてたら、発見。これはいつもお局様の胸元に掛かっているペンダント。
翡翠じゃないかしら。安給料のくせに生意気だと思っていたのよね。地味で無口な暗い女。
小さなものだったので、ロッカーの隅に突っ込めた。ざまあみろ。絶対教えてやんない。
 と、ここまでは良かったんだけど、お局様の奴、無くなったのに気が付くと、真直ぐあたしの机まで来て、
「あのペンダント返して」と言う。なんで迷わずあたしの所まで来るの?
「知りません」と突っ張ると「あれがないと困る」って。知ってるわよ。だから隠したんだもの。
「あなたの為に言うのよ」はぁ? 何言ってんの?
「以前にもあれをとった人がいて、その人崖から転落死したわ」大丈夫。此の辺、崖なんてないから。
 結局知らんふりして、その日はそのまま帰宅した。あの女の正確な名前と住所と電話番号を会社で調べてきたので。
 パソコンを立ち上げる。どこに書き込んでやろうかと思案していると、「馬鹿な女」とあたしの耳もとで誰かが囁く。
「あの石は私の増悪と力を封じ込めるものだったのに」今、この部屋にはあたし一人しかいない。
「私もあんたのこと、大嫌いだったのよね」誰?
「これで心置きなく、あんた殺せる」その声の持ち主は、嬉しそうにそう言った。

413 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/22(金) 00:18:06
乙。
翡翠のペンダントの設定が中途半端な気がします。
もう少し推敲と校正をした方が良さそうですね。

414 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/22(金) 22:43:56
>>412
もう少し推敲をという意見もあり、同意見なのですが
微妙に下手なところ(失礼)が、語り手の性格の悪さ、
嫌な感じ、壊れ具合を効果的に表現していると思いました。
語り手は「崖から転落」どころではない死に方をしたんでしょうなあ。

415 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/23(土) 22:03:21
新しいお題に行きますか?


416 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/23(土) 22:21:58
じゃ、件。


417 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/23(土) 22:45:01
じゃ、布団。

418 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/24(日) 00:45:53
クリスマス

419 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/24(日) 00:56:37

        :☆:
      ..::* ◎.。
     ..::彡彳*‡:*..
    .:+彡*★:ミ:♪:ミ。:.,
   .:彡'゚‡,※゚.◎::▲:ミ,::..
  .,;彡*;▲彡゚*★::.ミ~:ミ+:..
 ..*彡゚◎.从♪.:ミ,☆,゚〓:ミ:,,
 .:彡★*..☆,彡.:◆.ミ.+:◎,ミ。:..
.:゚:彡彡彡彡彡彡ミミミミミミミミ::.
      .,,,;┃┃;,,,.
     ;■■■■;        /;;ヽ
       ■■■       ○/;;;;;ヽ
     ..;■■■;...       (,,・ェ・)   Merry Christmas!
                 〜(,,_ノ


420 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/24(日) 09:21:51
「件」「布団」「クリスマス」の三題を織り込んで
お話を作って下さい。一陽来復。

421 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/24(日) 17:58:34


     曰 / ̄ \
     | |0⌒>   ヽ
     | |  ⊂ニニニ⊃    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ノシヽ (〃´Д`)_ <  なにがクリスマスだ畜生〜
    ||ャ ||/    .| ¢、 \__________
    ||ン || |  .    ̄丶.)
    ||ペ||L二⊃ .(<コ:彡)\
  ||\||ン ||            \
  || \`~~´              \
  ||   \|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||        .☆
  ||     || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||        ,个、
      ||             ||       ノ ♪ミ
      ||             ||      イ 彡※ヽ
                             ||||


422 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/24(日) 20:18:22
クリスマスイヴにこんなお題出しても完成するのがいつになるか分かってんのか?

423 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/24(日) 20:30:35
擬古の人ならやってくれる!


424 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/25(月) 16:50:25
誰か!誰か作品を!

425 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/25(月) 21:12:46
渾身の一作が終わったらじゃ。ちいと待っとれ。
と擬古文たんを装ってみました。

426 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/26(火) 16:54:10
今更で悪いのだが、>>418ってお題としての書き込みなのか?

427 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/26(火) 23:31:59
サウイフコトニシテオイチクリ。スマスマ

428 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/27(水) 03:40:27
 6つになる息子を寝かしつけようとした時のことだ。
「パパ、明日の朝にはサンタさんがプレゼント届けてくれるんだよ」
「そうだよ。だからもう寝なさい」
 ご無沙汰の女房とのクリスマスファックが待っていたので、私は慌て少々ぶっきら棒に言った。
 息子は気に入らなかったらしい。布団の中で駄々を捏ね始めた。
「嘘だよそんなの。サンタなんかいないんだ」
 お前な、と叱りかけて考えた。ここは尤もらしいことを言って丸く治めたほうが話が早い。
「サンタさんはいるよ。いや、正確には居たというのが正しい。
 サンタさんは世界的なおもちゃメーカーの会長で、大富豪だった。
 世界中の民間諜報機関を使って子供たちの趣味をサーベイしている。
 Fedexの倉庫にプレゼントを集めておき、軍が極秘に開発したミニジェットで届ける。
 これは機密と輸出規制の問題があって、ソリとトナカイに偽装しているがね」
 息子は面食らったようだ。
「じゃ、じゃあほんとうに居るの?パパは見たことある?」
「あるよ。牛の頭をしていた」
 すると息子は、"くだんねー"と言って私に背を向けた。


429 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/27(水) 06:55:20
>>428
乙です。
サンタくだん説(勿論父親の法螺)、素晴らしい。
つい聞き入ってしまった。

430 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/27(水) 17:48:19
今日は十二月二十五日。すでに十一時を回り、しん、と寒さが増したようだ。
 遠くで流れるクリスマスソングが微かに聞こえてくる。
 たぶん、今頃沢山の人がそれぞれのクリスマスを迎えているのだろう。
 美味しい食事と、酒と、プレゼントと、人の温もり。
 そんなものが満ちあふれているクリスマス。
 そんな中、私はひとり部屋の中にいる。
 そして、ひとり布団に入り、文庫本を読んでいる。
 湿った布団はほんの少し重く、冷たい。
 枕元に点けた読書灯の色は暖かかったが、やはり、実際には寒い。
 はあ、と息を吐き出すと、部屋の中でも白くなる。
 時折、窓ガラスがカタカタと音を立てる。その度に隙間風がカーテンを揺らす。
 文庫本を持つ指がきしきしと音を立てて固まりそうだ。
 あまりの寒さのせいか、頭が痛い。そして重い。熱があるのかもしれない。
 ぐらんぐらんと視界が揺れてくる。寒い。歯の根が合わない。背中が痛い。
 吐く息だけが、熱い。世界が極彩色に彩られていく。
 不意に、こんな言葉が頭に浮かんだ。
『らいねんは、ひとが、たくさんしぬ』
 私はそのまま極彩色の世界に落ちていった。


「……これは、ひどいな」と刑事が呻く。
 異臭騒ぎのあったアパートの一室。
「元々住んでいたのは若い女ですね。山根明美。二十四才」もうひとりの刑事が言う。
 部屋の中央に牛の首が放置してあった。それはすでに蕩けかかっている。
 その蕩けかかった牛の首のそばに、首のない女の死体。これもぐずぐずになっていた。
 女の死体の手に握られていた文庫本を、鑑識が――。

431 :南国13号 ◆3vYzl1SmKU :2006/12/28(木) 08:30:31
 「件」「布団」「クリスマス」   
朝目がさめて窓を見ると雪が降っていた。今日はクリスマスで、外では恋人た
ちが楽しそうに歩いているのだろうと思うと少し憂鬱になる。
やることもないのでもう一眠りしようかと蒲団をかぶると、足元の方で何かの
気配を感じた。蒲団の中をのぞくと青白い女の顔が暗闇の中にぼんやりと浮か
んでいる。
人ではなかった。女の体は牛の姿をしている。件だなと思った。以前読んだ内
田百けんの小説が頭の中に浮かんだ。
件は私の体を這うようにして近づいてくる。ずっしりとした重みが体に伝わる。
女の香りと牛の体臭が奇妙に混ざって鼻腔を刺激した。
件の顔が目の前まで迫ってきた。鼻息が顔にかかった。件は私の眼をじっと見
つめた。目をそらすことができなかった。体がぴくりとも動かない。件が乗っ
ているせいだなと思った。寒気がした。
件が口をあけた。何かが腐ったような臭いがした。紫色の舌が目に映った。喉
の奥まではっきりと見えた。件が何かを叫ぶ。人の声ではない。耳をふさぎた
くなったが体はあいかわらず動かない。
件は叫び続ける。私は恐ろしくなって必死で逃げようとする。無駄だった。件
が叫んでいるのは私の未来だった。私の身にこれから訪れる何かを件は叫んで
いるのだ。
しばらくして私は目覚めた。件はすでにいなかった。冬だというのに私の体は
汗でびっしょりと濡れていた。件の言っていたことを思い出そうとした。しか
しどれだけ思い出そうとしても無理だった。ただ何か恐ろしいことが起きるの
だということだけははっきりとわかった。
雪はまだ降り続いている。これからどうなるのだろうと思うと少し憂鬱になる。


432 :南国13号 ◆3vYzl1SmKU :2006/12/28(木) 08:32:45
はじめまして。面白そうなので参加してみました。よろしくお願いします。

433 :南国13号 ◆3vYzl1SmKU :2006/12/28(木) 10:04:58
「翡翠」「パソコン」 「転落」
寝苦しい夜だった。時計を見るとすでに二時をまわっている。眠れそうにない
ので蒲団から出てパソコンを開いた。
いろいろな動画をのせているサイトがあり、そこに行く。事故現場の映像や
アニメなどがあったがあまり興味はひかれなかった。
しばらく見ていると翡翠というタイトルの動画を見つけた。少し興味がわいた
ので見てみる。
川が映っていた。静かなせせらぎが聞こえてくる。男が釣りをしている。四十
くらいのくたびれた感じの男だった。他には誰もいない。
しばらく男が釣りをしているところが延々と流れた。もう見るのをやめようか
と思いかけてきたところ一羽の鳥が飛んできた。カワセミだった。なるほどそ
れでタイトルが翡翠なのかと思った。
だがカワセミにしてはひどく大きかった。私が知っているカワセミの倍以上の
大きさがある。それに何だか様子がおかしい。目が真っ赤に血走っていて、嘴
から涎をだらだらと流し、狂ったようにぎゃあぎゃあと鳴いている。しわがれ
たお世辞にもきれいとは言えない鳴き声だった。
突然カワセミが男に襲いかかった。嘴で男の右目を突く。男が川の中に転落し
た。男は泣き叫び川の中を転がりまわる。カワセミは男の目玉を飲み込んだあ
と、きえええええっと奇声を発した。
空から何十匹ものカワセミが飛んできて男を襲った。内臓を食い破り、腸を引
きずり出し、カワセミ達の体は真っ赤に染まっていった。
男はとうに死んでいた。生気の通わなくなった虚ろな目をこちらに向けてい
たが、その目もカワセミに食われてしまった。
カワセミ達が一斉にこちらを向いた。目が不気味に輝いている。そしてぎええ
ええええっと鳴きながら一斉に飛んできた。
私はあわててパソコンを閉じた。どっと汗が吹き出た。しばらくしてそのサイ
トに行ったが動画は削除されていた。


434 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/28(木) 10:29:09
南国13号 ◆3vYzl1SmKU
【年齢】20
【性別】中性
【住所】近畿圏
【職業】学生

435 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/28(木) 16:39:50
>>430
続きは?と思わず読み終わったときに思ってしまいました。
本についての複線の回収が欲しかったです。

>>431,>>433
他のお題にもチャレンジしてみてくださいね。
書くの早いですね。


436 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/28(木) 16:57:28
>>435
いや、俺は>>430はあれで完結していると思ったが。
文庫本の複線というのはあれだろ?
最初の登場人物と死体が同一人物である、ということで。

>>431>>433は文体がイマイチ。
もう少し練ってから投稿すべき。

437 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/28(木) 21:07:42
学生で若いのに、お題でここまで書けるのは凄いぞ。


438 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/28(木) 21:17:02
>>437
そーか?

439 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/28(木) 21:17:42
正統派っぽくて俺はいいと思う。
文章力もあるじゃん。


440 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/28(木) 21:22:13
とりあえず ×複線 ○伏線 

441 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/28(木) 22:06:28
>>430
くだんの怪談のようでもあり、ミステリ風の解決もありそう。
文庫本、何を読んでいたのか気になります。
後段で出てこないなら気にならなかったのですが。

>>431,433
まとまっているのですが、ヒナ型にお題をあてはめたような印象も。
特に433は展開も含めて既視感がありまくりでした。

442 :「鳥」「古井戸」「携帯」:2006/12/28(木) 23:02:08
あの古井戸には近づいたらあかんよ。なんでかいうとな、あれが出るんよ。幽
霊や、幽霊。笑ったらあかん、冗談でいうてるんと違うよ。あの井戸からは昔
女の死体が見つかったことがあるらしいてな。
うちは小さい頃女の子より男の子と遊ぶほうが多くてな、そいつらとある日肝
試しすることになってんよ。
井戸のそばに番号書いた石を置いてな、順番決めて夜に一人づつ取りに行くこ
とになってん。うちは三番やったな。みんなはじめはは平気やとかこんなんで
ビビるんは女だけやとか強気なこというてたけど、いざそのときになるととた
んに黙りこんでもうたわ。
そうこうしてるうちにうちの番がきてな、今さら逃げるわけにもいかんからさ
っさと取って帰ろう思うて早足でいったんよ。
だんだんみんなの声が小さなっていって、かわりにうちの足音がはっきりと聞
こえるようになるんよ、なんか背筋がぞっとしたな。
そいでしばらく歩いてようやく古井戸が見えてきたんよ、明かりを向けるとそ
ばに目的の石が見えてな、うち急いでポケットに入れて帰ろうとしたんよ。
そんときや。井戸の中からなんかが飛び出てきたんや。
はじめは鳥かと思うたんやけどな、どうも違うんよ。それがだんだん近づいて
きてな、うち思わず懐中電灯向けたんや。そしたら女の顔があったんや。女の
顔から羽が生えて、それがバサバサと飛んでるんよ。女は笑いながらうちに近
づいてきてな、でも体が震えていうこと聞かんくて、そしたら携帯が鳴ったん
よ。急に体が動いてな、うちその場から急いで逃げ出したんよ、その間も携帯
は鳴っててな、しばらく走った後でたんや。電話からは鳥の鳴き声が聞こえて
きてな、うちびっくりして電話落としてもうた。
あわてて拾おうとしたらいつのまにか目の前にあの女がおって、甲高い声でぎ
えええって叫んでな、うちそのまま気ィ失ってもうた。
それからも何度かあの女見かけたわ。ふっと空見上げたときとか、窓の外なが
めてるときとかあの女がバサバサと飛んでるんよ。うちどうやら好かれてもう
たらしいわ。うちみたいになりたなかったら、あの古井戸には行ったらあかん
よ。


443 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/28(木) 23:33:07
>>442
引き込まれて読んで、後の方で携帯(電話)が登場して
ちょっと驚いた。
漠然と、何十年か前の話だと思っていたので。
主人公の子どもの頃ってだけで、そんなに昔ではないのですよね。
15才くらいの女の子が小学生とかに語っているのかな?
女の顔に翼の妖怪、名前が思い出せない……諸星漫画で見た記憶が。
ごちゃごちゃ書きましたが面白かったです。
おねえちゃんにこんな話しされたら、夜中にトイレいけない。

444 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/28(木) 23:47:45
どんどん新しい噺が書き込まれてるね。
どれも面白いし、いいぞ、いいぞ!


445 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/29(金) 00:57:15
「鳥」「古井戸」「携帯」

 まず、死体は足と手を折り曲げ、頭もなるべく前に傾けるようにする。死後硬直で手足はかなり硬い。
力を必要とする。次に頭の髪は剃り上げ、故人の物であった装身具を付けるが、これは別になくとも良い。
穴はかなり深く掘らねばならぬ。なぜならハイエナに掘り起こされてしまうおそれがあるからである。
墓は古井戸の近くが良しとされるが、新しいものであってもかまわない。ただし、井戸の側でなくては絶対にいけない。
鳥、特に鴉が頭上を舞っている間は死体を埋葬できない。なお、鳶であるなら、その限りではない。
 死体を遺族の男性達が穴に降ろしている間、女性達は後ろを向いてなくてはならない。
もし、その作業を少しでも見てしまった女性がいたとしたら、昔は故人と一緒に、そのまま埋められてしまったそうである。
さすがに今はそのような事はないそうであるが。
 死体が穴の底に収まったら、女性達は穴に向かって正面を向き、各自で携帯してきたスコップを使い土をかける。
穴を埋めるのは女性の仕事である。
 ここまでで涙を流した者がいたとしたら、その者は故人をこの世に縛り付けようとした愚か者であるとされ、
軽蔑の対象となる。故人はこれから、すばらしい世界へ旅立とうとしているのに、
涙でその道を汚してはならぬ。悲しみは葬儀が始まる前に済ましておくもの。
これは、世の常識である。


446 :南国13号 ◆3vYzl1SmKU :2006/12/29(金) 01:36:06
>>435
はい。がんばります。
>>436
そうですね。推敲不足です。以後精進します。
>>437
>>439
ありがとうございます!
>>441
そうですね。ちょっと陳腐でした。次からはがんばります。
>>443
ありがとうございます。携帯電話を出すか出さないかで迷いました。

447 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/29(金) 09:20:15
>>445
ものすごく既視感がありまくるんだが、どっかに貼ったのの改稿?

448 :445:2006/12/29(金) 11:51:45
>>447
いいえ。
アフリカのどっかの部族のお葬式の話を読んで、膨らませました。
ハイエナが掘ってしまうので、穴を深く掘るというくだりが面白いなあと思いまして。
書き込みしたのはここが初めてで、ここが最後になると思います。

449 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/29(金) 12:20:30
>>448
面白かったです。
他の方も言っていましたが、書くのとても早いですね。
最初の話よりも文章が上手くなっているようなので、このペースでどんどん他のお題にも
チャレンジしてみてください。


450 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/31(日) 13:01:25
誰か書けよー

451 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/31(日) 14:28:21
 前夜遲くまで賀状書きなどしていたので、郵便配達の年が來た時にはまだ布團の中で
あった。見るとまう陽が高い。女學校が休暇に入り、カヲリ君は最近では終日歐古堂で働
いてゐる。今日も既に出掛けてゐるやうだ。眠い目を擦りながら郵便配達の年から葉書
を受け取るとその歐古堂の店主からであった。葉書など出さずにカヲリ君に言傳てくれれ
ば良いのにと思ったが、讀むと年明け早々のカヲリ君の誕生日用にョんでおいた品が入手
出來たとある。成る程こればかりはカヲリ君に傳言と言ふ譯にはいかない。
 折角なので書き上げた賀状を郵便配達の年に手渡し街に繰り出した。
 年のPも近い事もあり街中はなかなかに忙しないが、勸工場は表通りの百貨店に客を持
って行かれ、例によって閑散としてゐる。奧にある歐古堂の前だけカヲリ君目當てと思は
れる者たちがたむろしてゐるが、冷かしお斷りと貼り出してからは、店の外から覗き見る
のが關の山だ。正直歐古堂の品々は手輕に買へる程安くはない。
 店内ではカヲリ君が大柄な客の對應に追はれていた。あの背中は……大角君だらう。
 帳場から店主に手招きされ、こっそりと手渡された品は鼈甲細工の縁取りに貴婦人の横
顔を浮き彫りにした貝が嵌め込まれた首飾り、これは惡くはない物だ。
「おぉ、シェルカメオのブロォチ」と大角君が覗き込んできた。と言ふ事は……、案の定
カヲリ君まで覗き込んでゐる。これでは誕生日に驚かす事も出來ないではないか……。
 と、カヲリ君がどこか遠くを眺めるやうに目を細めた。千里眼が發動したやうだ。
「……こん鼈甲も夜光貝も南洋に浮かぶ島のもんじゃらぁよ。
 ……こん島、こいから何度もふっとか火に包まれっせ、燒き盡くさるっど。島も海も何
もかんも何年も生き物も寄り付かん。……英國領のク、クリスマスっち名前の島じゃ」

 彼女が先を見通した事が判ったのは昭和三十三年を過ぎてからであった。
 まさに、依って件の如し、である。

452 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/31(日) 16:21:59
>>451
クリスマスのシーズンが過ぎてどう仕上げられるのかと思いましたが、
成る程こういう方法がありましたか。
お題の織り込みも自然です。
乙!

453 :名無し物書き@推敲中?:2006/12/31(日) 19:15:26
>>451
クリスマスの使い方が捻ってて面白かった。
今年、こういう出会いがあって良かったです。
来年もよろしくです。
乙。

454 : 【大吉】 【204円】 :2007/01/01(月) 08:22:49
運試し。エイッ!

455 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/01(月) 13:53:35
あけおめ!


456 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/01(月) 15:55:34
>>452-453
451です。ありがとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

ここで修行を存分に積みまして、來年bk-1怪談大賞で全員受賞出來るやう頑張りませう。
あ、カヲリ君に初春の挨拶をさせたいと思ひます。暫しお待ち下さい。

何でか、……うちはよかっち。
……しょんなか、ほいじゃDanke dieses Jahr.

457 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/01(月) 17:21:05
君が何を言っているのか分からないよフロイライン!

458 :イラストに:2007/01/01(月) 18:11:05
>>456
メッチェン! 麗しのメッチェン!

459 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/03(水) 02:13:44
あけおめ。
不要かもしれんけど、お題一覧作ってみました。上が古いお題で下が最新。
検索かけて確認したけど、抜けてるのあったらゴメン。あと、>>4で言われてたので番号も振ってみた。
ご参考になれば。

1:「猫」「下駄」「レタス」
2:「ポプラ」「本」「犬」
3:「カブトムシ」「ブランコ」「ビデオテープ」
4:「新学期」「頭」「自作自演」
5:「コンビニ」「見世物小屋」「薬物中毒」
6:「鳥」「携帯」「古井戸」
7:「蝶」「傘立て」「大仏」
8:「茸」「塩」「廃屋」
9:「てのひら」「雨だれ」「路地裏」
10:「うなぎ」「柳」「サナギ」
11:「うろこ雲」「病院」「ワイン」
12:「冥王星」「ようかい」「小説家」
13:「避難」「柿」「鶴」
14:「邪神」「月」「工場」
15:「心臓」「落葉」「カンブリア紀」
16:「人形」「強酸」「しょっぱい」
17:「胡瓜」「傀儡」「砂漠」
18:「鈴蘭」「蝿取り紙」「どぶろく」
19:「記念写真」「パイロット」「牧草」
20:「百舌(モズ)」「ミルク」「夜」
21:「芋」「蜘蛛」「エナメル」
22:「箱」「湾」「幽」
23:「翡翠」「パソコン」 「転落」
24:「件」「布団」「クリスマス」

460 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/03(水) 02:34:29
459タン、乙です。
あと11と12の間に「怪談、幽霊、連休」というお題があったと思います。

461 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/04(木) 11:27:33
>>460
ありがとうです。修正。
作品でもないのに行数食って申し訳ない。

1:「猫」「下駄」「レタス」
2:「ポプラ」「本」「犬」
3:「カブトムシ」「ブランコ」「ビデオテープ」
4:「新学期」「頭」「自作自演」
5:「コンビニ」「見世物小屋」「薬物中毒」
6:「鳥」「携帯」「古井戸」
7:「蝶」「傘立て」「大仏」
8:「茸」「塩」「廃屋」
9:「てのひら」「雨だれ」「路地裏」
10:「うなぎ」「柳」「サナギ」
11:「うろこ雲」「病院」「ワイン」
12:「怪談」「幽霊」「連休」
13:「冥王星」「ようかい」「小説家」
14:「避難」「柿」「鶴」
15:「邪神」「月」「工場」
16:「心臓」「落葉」「カンブリア紀」
17:「人形」「強酸」「しょっぱい」
18:「胡瓜」「傀儡」「砂漠」
19:「鈴蘭」「蝿取り紙」「どぶろく」
20:「記念写真」「パイロット」「牧草」
21:「百舌(モズ)」「ミルク」「夜」
22:「芋」「蜘蛛」「エナメル」
23:「箱」「湾」「幽」
24:「翡翠」「パソコン」 「転落」
25:「件」「布団」「クリスマス」

462 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/04(木) 16:51:41
 近所の一件の家に、救急車が止まっている。二三日もするとその家の門に「喪中」と書かれた紙が貼られた。
別の日にその家の前を通りかかると、表札の下に子どもが喜びそうなシールがぺたぺたと貼ってある。
近所なのでいつもこの道は通る。シールは日増しに増えていった。
 シールがその家の窓を覆うようになったある日、その家の主人を見かけた。下着姿で庭の草花をガムテープで巻いている。
夏真っ盛りでとても暑い日だ。
 シールとガムテープで武装したかのようなその家の前で、主人と中年の女性が言い争っているところに出くわした。
主人は静かに諭すように話していたが、女性は泣叫んでへたり込んでしまった。
それから時々、その女性をその家で見かけるようになった。女性はいつも下を向いて溜息を付いている。
 クリスマスの夜、主人は家の前の道路で布団に包まっていたところを、車に引かれて亡くなった。
凍てつく寒さ、主人は布団の中でやはり下着であったという。
 家はまだある。どうやら次の買い手も決まったようだ。先日、通ったらその家は改築中だった。
若い二人が嬉しそうに設計図らしきものを眺めている。ハーブなども植えようと話している。

463 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/04(木) 17:44:09
>462
もっともっと推敲した方が良いですね。
頑張って下さい。

464 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/04(木) 17:51:29
>>462
主人という人物が像を結ばなかったので、中年男性だとか、
性別年齢不詳だとか、ひとこと書いて欲しかったです。
その点以外は淡々としているのに不気味でよく書けていると思いました。
ラストが妙に明るい感じなのが、因縁がないようでもあり、
このあとの怪異を予感させなくもない……
乙でした。

465 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/04(木) 17:57:17
> 近所の一件の家に、救急車が止まっている。二三日もするとその家の門に「喪中」と書かれた紙が貼られた。

最初が現在形で、二三日後が過去形。時系列がテレコになってしまってはマズイですね。
一行目からまともな文章ではないと、どうせまとまな文章ではあるまいと思われてしまいます。
463タンの指摘どおり、もう少し推敲した方が良いですね。

466 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/04(木) 18:07:59
というか、何を怖がらせたい怪談なのか分かりません。

467 :462:2007/01/05(金) 14:31:15
>>463
すみません。思い付いてすぐ書き込んでしまいました。
>>464
初老を想定しておりましたが、そうですよね。どこにも書いてませんでした。すみません。
>>465
すみません。昔読んだ本の中に、過去形と未来形が混じった文章があって、おもしろいなあと思ったもので。
以後、気を付けます。
>>466
これ、うちの近所の話なんです。
もちろん内容は全て変えてありますが、その家が、こう、ずぶずぶと沈んでいってるような、
爛れてゆくような、その家の前を通る度に不思議な感傷を味わいました。


468 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/05(金) 16:11:00
>467
実話でも創作でも全然構わないけど、まず文章として成立している事が大切です。
実話なら何でも怖がる……というわけではありませんから、その点ご注意下さい。


469 :「箱」「湾」「幽」:2007/01/06(土) 12:03:12
 あんな、この前電車に乗ってたときのことなんやけど。
 満員いうほどでもないけどけっこう人いっぱいでな、うち疲れてたから吊り
革につかまりながらぼんやりしててんよ。そしたらな、なんか隙間があるのに
気づいたんや。こう、なんか不自然なくらい人がよりつかへん空間みたいなの
があんねん。そこに人が立ってもなんか気に入らんのかすぐ移動してまんうよ。
 うち、おかしいなあと思いながら見てたらな、そこに下から箱が浮かび上が
ってきてんよ。大体一辺が三十センチぐらいの大きさやったかな。そいでな、
その箱がゆっくりと開いて、中からなんか出てきたんよ。人に似てるんやけど
ちがうんよ。全身がなんか青白くて変な感じに折れ曲がっててな、頭もこう、
なんていうか湾曲してるんよ。そいつには眼がなくて、かわりに体中に目玉み
たいな模様があってそれがぐるぐる動いてな、うち怖なって叫びそうになった
わ。でも誰もそいつに気づかへんのよ。
 そいつは乗客の体の上をずるずる這い回って、耳元でなんかつぶやいていく
んよ、なんかを確かめてるみたいやったな。それで何人かを回った後また箱の
ところに戻って自分の体を折りたたんで入ってな、そのまますうっと消えても
うたわ。
 あとでそんときのこと友達に話したら、二週間ぐらい前にここで人身事故が
あったんやって。そんときはうちも、ああそのときに亡くなった人の幽霊やっ
たんやなって納得したけど。あれホンマに幽霊やったんかな。うちどうもちが
うと思うんよ。あれは幽霊やなくてなんか別なものやったと思うんや。一体な
んやったんやろうなあ。


470 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/06(土) 15:29:58
>469
乙でした。
正直、関西弁に無理を感じてしまいますね。
方言は上手に使いこなすと雰囲気やリアリティを盛り上げるのに有効ですけど
使い方を間違えるとむしろ興醒めしてしまう諸刃の剣です。
関西弁の話し言葉口調の中で不意に登場する湾曲にも唐突感があります。

471 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/06(土) 17:35:57
>>469
うーん。
文も話も悪か無いが、もう一息。頑張れ。
>470タン 文章上手ですね。批評や感想も勉強なんだな。

472 :469:2007/01/06(土) 19:27:29
>>470
そうですね。関西弁にする意味がありませんでした。ただ単に関西弁で書くのが
好きだからってだけで書きました。以後気をつけます。
>>471
ありがとうございます。頑張ります。

473 :「猫」「下駄」「レタス」:2007/01/06(土) 19:29:30
居間に行くとお姉ちゃんがテーブルの上にたくさんのレタスを広げてもしゃも
しゃと食べていました。そばによってよく見るとレタスは猫の頭の形をしてい
ます。レタスの中に猫の頭があるんじゃなくてレタスが猫の頭の形をしている
のです。しかもときどきウニャアと鳴き声をあげます。
わたしはびっくりしてお姉ちゃんの顔を見ました。お姉ちゃんは目をギラギラ
させて夢中になって食べています。お姉ちゃんがレタス猫をかじるとパリッと
いうかわいた音と一緒に猫の苦しそうな鳴き声が聞こえてきます。
なかには逃げようとするのもいて、お姉ちゃんはそれを下駄で、カランコロン
カランカランコロンと歌いながらリズムよく叩き、ぐったりさせてから食べま
した。
あんまり夢中で食べているので、わたしはお姉ちゃんに「それっておいしいの
?」と聞くと「おいしいわけないでしょッ!」と怒られました。そしてわたし
に「でも食べなきゃなんないの。あんたも手伝いなさい」と言いました。
わたしは正直言って食べたくありませんでしたが、お姉ちゃんが恐い顔でにら
むのでがまんして食べることにしました。
レタス猫の頭に歯をたてるとニャアアという声が聞こえてきて少しかわいそう
になりましたがそのまま思いきってかじりました。あんまりおいしくありませ
んでした。しかたないのでソースで味を消して食べました。お姉ちゃんのほう
を見るとごまドレッシングをかけて食べていました。
一時間ほどかけてわたしたちはレタス猫をすっかり食べてしまいました。お姉
ちゃんはわたしに「おつかれさま」と言って笑い、そのまま自分の部屋にもど
りました。
結局あのレタス猫がなんだったのかわかりません。ただあれ以来おなかの中か
らときどきウニャアという鳴き声が聞こえてきます。


474 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/06(土) 19:43:48
>>473
あれ? 全く同じ設定で書かれた話(猫の頭の形のレタス)を
この「猫、下駄。レタス」が出たばかりの頃に読んだ気がする。
リライト?

475 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/06(土) 19:44:58
今年最初のお題に行きませんか?

お題その1「餅」

476 :473:2007/01/06(土) 21:18:09
>>474
いえ、リライトじゃないです。最近きたばかりなのでわかりませんがかぶって
るんですか?

477 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/06(土) 21:19:21
じゃお題その2「鏡」

478 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/06(土) 22:47:29
じゃ最後「金字塔」

479 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/06(土) 23:27:23
では2007年最初のお題は「餅、鏡、金字塔」と言う事で。

480 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/08(月) 00:40:14
 バスルームで顔を洗って鏡を見ると、わたしの後ろに男が見えた。振り返ると、鼻ピアスの青年が突っ立っている。
「誰?」と聞くと「自分、良い幽霊っすから」と直立不動で言う。「きゃあ」と叫ぶと、ぱっと消えた。
 アパートを出つつ、家賃ここいら辺の相場だったし、赤黒い染みも無かったと、先日引越してきた時のことを思い返す。
会社で仕事の合間にちょっと愚痴ると「はあ、幽霊アパート。もう、住んじゃったものねぇ。お金払っちゃたものねぇ」
と同僚は憐れむ顔をする。「知り合いにそういう相談にのってくれる人がいるけど」
とりあえず、その人に連絡してもらうことを約束して、今日は早めに帰宅した。
 ドアを開けると「お帰りなさい」と幽霊に最敬礼された。ぺたりと尻餅を付く。
「自分、人には危害加えないっすよ。幽霊の金字塔目指してますから」冷たい玄関をお尻に感じつつ、
なんでこんなめにと少し涙が出てしまった。
 携帯が鳴ってる。「それ、取んないほうがいいっすねぇ」鼻ピーが言う。
「詐欺師っすよ。霊能者っていってかなり稼いでます」
「わかるの?」
「まあ、それぐらいは。あねさんのダチも騙されて金巻き上げられてます」
 少し考える。「あなた、人の死期ってわかる?」「百発百中っすよ」
 よし、これはわたしにも運が向いて来たということにしてやる。わたしの仕事は生命保険のセールス。
人の死期がわかれば恐いもん無しではないか。
「着替えている時は出て来ないでよ」鼻ピーに手を差し出す。二人で黄金の帝国を築こう。
「あねさん、俺幽霊っすから握手できないっすよ」同居人は困った顔でそう言った。

481 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/08(月) 12:00:58
>480
面白かったです。これってシリーズ化出来そうな感じですね。
お題の織り込みも無理を感じさせません。
乙です。

482 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/10(水) 09:44:08
 玄関の鍵を内から掛けようとしたら、掛からない。
「あー、その鍵掛けるのコツがいるんすよ。ドアのノブを上にちょっと持ち上げながら掛けるとOKっす」
 やっぱり生前、このアパートに住んでいたのよね。だからそんなことまで分かるんだ。
「なんで鏡に映れんの?」
「そんなこと俺に聞かれても」
「幽霊は鏡に映んないじゃない?」
「それは吸血鬼じゃないっすか」
 あっ、そうか。さすがね。幽霊の金字塔目指してるだけあるわ。
「どうしてこの部屋にいるの? ここで自殺したとか?」
「死んだのは、正月に婆ちゃん家で餅喰って、のど詰まらせて窒息したからっす」
 うわっ。どうフォローしたらいいのか、わからない死に方。んんん、あれ?
「このアパートで死んだんだじゃないの?!」
「俺が死んだのは婆ちゃん家っす」
「じゃ、なんでここにいるのよ」
「いやあ、俺、ロッカーなろうと上京して、このアパート借りたのに、鼻ピアス 開けただけで死んじゃって、心残りで。
 俺のハートがまだこの地に彷徨ってんすよ」
 はあぁ?
「イカ天出たかったな。相原勇可愛いっすよねぇ」
 なんか、あんた、いつ頃死んだのかわかった。


483 :482:2007/01/10(水) 09:52:50
>>481さん
誉めていただいて、ありがとうございます。
シリーズ化出来るかな、と思いやってみましたが、いやぁ、たいへん。
懐古のかたは天才と努力、双方御持ちなんですね。
私はこれでおしまいです。



484 :名無し物書き@推敲中?:2007/01/10(水) 10:24:46
同じお題で2話続けてって、かなり凄いな。しかも面白い。
私も続きが読みたいなあと思っていましたからなんか嬉しいです。


186 KB
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

read.cgi ver 05.02.02 2014/06/23 Mango Mangüé ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)